2013年10-12月期のGDPは消費税率引上げ前の駆込み需要で成長が加速!
必要な経済指標がほぼ出尽くし、来週月曜日の2月17日に今年2013年10-12月期GDP速報1次QEが内閣府より発表されます。各シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で、先行き経済の動向に関する記述を取っているつもりです。一応、明示的に先行きに言及しているのは、日本総研、大和総研、みずほ総研、伊藤忠経済研であり、ほとんどが1-3月期に駆込み需要で10-12月期以上に成長が大きく加速するという内容です。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
日本総研 | +0.6% (+2.3%) | 2014年1-3月期を展望すると、内需が引き続き底堅く推移するほか、消費税率引き上げを直前に控えて、自動車など耐久消費財を中心に駆け込み需要も本格化し、成長率は一段と加速する見通し。ただし、外需については、国内需要の拡大に伴う輸入増に加えて、新興国企業のキャッチアップによる市場シェア喪失や、生産拠点の海外シフトを背景に、円安による輸出押し上げ効果が顕在化しにくいため、景気けん引力は限られる見込み。 |
大和総研 | +0.7% (+2.8%) | 2014年1-3月期についても、内需を中心とした成長が継続することが見込まれる。2014年4月の消費税増税を前に、駆け込み需要が本格化することで、個人消費は増勢を強める見込みである。住宅投資は駆け込み需要の一巡により減速するとみているものの、設備投資は拡大が続く見込みである。輸出についても、緩やかな景気の回復が続くEU向けや米国向けが増加に寄与することで、成長を下支えするだろう。2014年1-3月期の成長率は、さらに加速する見込みである。 |
みずほ総研 | +0.7% (+2.8%) | 1-3月期の成長率は、年率+3%台に高まると予想している。4月の消費増税を前に自動車以外でも駆け込み需要が顕在化することで、個人消費が大幅に増加すると予想される。業績回復を受けて設備投資も増勢を維持するだろう。他方、景気対策関連の事業執行が剥落し、公共投資は減少に転じると予想される。円安・海外景気の緩やかな回復を背景に輸出は回復が続くが、駆け込みの影響から輸入も増加するため、外需はマイナス寄与が続くだろう。1-3月期は公需や外需が低迷する中で、引き続き駆け込み需要の追い風を受ける民需中心の成長が見込まれる。 |
ニッセイ基礎研 | +0.4% (+1.8%) | 2014年1-3月期は、外需は引き続き成長率の押し下げ要因となるものの、設備投資の持ち直しが明確となる中、個人消費が駆け込み需要を主因として極めて高い伸びとなることから、成長ペースが大きく加速する可能性が高い。 |
第一生命経済研 | +0.5% (+2.0%) | 7-9月期の前期比年率+1.1%から伸びが高まるとみられ、日本経済が順調に回復を続けていることが示される見込み。個人消費が伸びを高めることに加え、設備投資も持ち直し、公共投資と住宅投資も大幅に増加するとみられる。好調な内需が成長率を押し上げるだろう。 |
伊藤忠経済研 | +0.7% (+3.0%) | 2014年1-3月期には、2013年10-12月期の構図がより鮮明化し、かつ成長ペースが加速する。まず、公共投資は先行指標のピークアウトが鮮明であり、1-3月期は小幅減少へ転じる可能性が高い。一方、駆け込み需要がピークへ達し、1-3月期の個人消費は更に大きく押し上げられる。10-12月期までは耐久財が中心だったが、1-3月期には耐久財のみならず、春物衣料などの半耐久財や賞味期限の長い食料などの非耐久財、更には年間パスの購入などのサービス消費にも駆け込み購入の動きが広がる。また3月末までの引き渡しなどを目指し、住宅投資も高水準が続く。設備投資の伸びも徐々に高まるだろう。一方、輸出については、世界経済の拡大が追い風となるものの、企業の海外生産重視姿勢が変わらないため、顕著な増勢の加速は期待し難い。以上を踏まえ、当社は現時点で2014年1-3月期の成長率を前期比年率6%程度と想定している。 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | +1.0% (+4.1%) | 10-12月期は外需が引き続きマイマスに寄与したとみられるものの、消費税率引上げ前の駆け込み需要が発生した個人消費や住宅投資の増加が、外需の落ち込みを上回った模様だ。公共投資も増加ペースが鈍化するものの、前期比プラスは維持したとみられる。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +0.5% (+2.2%) | 2013年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.2%)となったと見込まれ、景気持ち直しが続いていることを確認する結果となろう。中でも高い伸びが見込まれるのが個人消費と設備投資である。公共投資も引き続き増加しており、この結果、内需の寄与度は+1.0%まで高まったと予想される。一方、輸出が緩やかな伸びにとどまった半面、輸入は順調に増加しており、外需寄与度は前期比-0.5%と2四半期連続で大きめのマイナスとなったと見込まれる。 |
三菱総研 | +0.5% (+2.1%) | 2013年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.5%(年率+2.1%)と5四半期連続のプラス成長を予測する。消費や設備投資など民需の回復を背景に、成長の再加速を見込む。 |
私の実感としては、10-12月期は前期比年率で+2%成長くらい、上のテーブルに収録した中では、ニッセイ基礎研の+1.8%が下限で、日本総研の+2.3%が上限、第一生命経済研の+2.0%が中位といった感触だと考えています。+2%代後半は少しがんばり過ぎのような気がします。ただし、私の見込みよりも外需のマイナス幅が小さければ+2%台後半もあり得るかもしれません。さらに、足元の1-3月期について考えれば、10-12月期よりも成長率としては加速することは明らかです。いうまでもなく、4月から実施される消費税率の引上げにより反動減が見込まれます。駆込み需要とその反動の量的側面を考えれば、直感的にGDP比で1%近い額、すなわち、3-4兆円と私は予想しています。もっとも、直感ですから、定量的な根拠は希薄です。最後に、下のグラフは上限と称した日本総研の予想に基づくGDP成長率の推移です。ご参考まで。
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