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2014年2月28日 (金)

政府統計がいっせいに発表される!

今日は月末の閣議日ですので、各種の政府統計がいっせいに公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数が、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ発表されています。消費者物価指数の東京都区部を除いて、すべて今年2014年1月の経済指標です。まず、各統計のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1月の鉱工業生産指数104.1 5年3カ月ぶり高水準
経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は104.1だった。米リーマン・ショックの直後だった2008年10月(107.4)以来5年3カ月ぶりの高水準となり、前月比では4.0%上昇した。プラスは2カ月連続。景気回復に加え、4月の消費増税前の駆け込み需要が拡大しエアコンや冷蔵庫、自動車などの生産が増えた。
上昇率はQUICKがまとめた市場予想(3.0%)を上回った。一方、基調判断は「持ち直しの動きで推移している」を据え置いた。経産省は「(消費増税前の駆け込み需要がなくなるため)先行きは生産の低下が予測されており、予断を許さない」とみている。
業種別でみると15業種のうち11業種で上昇した。消費増税に伴う国内自動車販売の増加を背景に、「輸送機械工業」が8.0%増加。エアコンや冷蔵庫の駆け込み需要拡大で「電気機械工業」も大きく上昇した。
出荷指数は薄型テレビや自動車、自動車部品で駆け込み需要が増え、5.1%上昇の105.0だった。出荷の増加に伴い、在庫指数は0.9%低下の104.6、在庫率指数は5.6%低下の98.7だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは2月が1.3%上昇、3月は、3.2%低下する見込み。消費増税に向けた製品の作り込みが一段落し、3月はすべての業種で生産の低下が予想される。生産機械などの受注品で期末に向けての納入品の生産が一服することも響く。
1月完全失業率3.7% 6年ぶり低水準で横ばい 女性就業者減も
総務省が28日発表した1月の完全失業率(季節調整値)は3.7%で、2007年12月以来6年ぶりの水準に低下した前月と同じだった。景気回復を背景に労働力需給が引き締まっていることが背景。総務省は「雇用全体としては底堅く推移している」とみている。ただ宿泊業・飲食サービス業など女性の多い一部業種で就業者が減少する動きもあった。
完全失業者数(同)は242万人で2万人減少した。うち勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は3万人増え、「自発的な離職」は8万人減った。完全失業率を男女別にみると、男性が3.9%、女性は3.5%といずれも前月比横ばいだった。
就業者数(同)は6319万人で前月と比べ30万人減った。うち女性が23万人減少し、昨年12月の年末商戦で一時的に労働市場に参入した女性が市場から退出したもよう。仕事を探していない「非労働力人口」(同)は4517万人と33万人増えた。
今月から新たに発表した雇用形態別の雇用者の割合をみると、正規の雇用者(原数値)は前年同月比で94万人減った一方、非正規の雇用者(同)は133万人増えた。
1月消費者物価、8カ月連続プラス 増税前の駆け込みも一因
総務省が28日発表した1月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比1.3%上昇の100.4だった。プラスは8カ月連続で、07年10月から08年12月まで15カ月連続で上昇して以来の長さ。上昇率は前月と同じだった。
3カ月連続で上昇率が1%を超えるのは、08年5月から11月まで7カ月連続で超えて以来となる。電気料金やガソリンといったエネルギー価格の上昇が物価をけん引する構図が続いた。加えてテレビやルームエアコン、洗濯機などの家電製品の価格も消費増税前の駆け込み需要を背景に上昇した。メーカーが採算を重視して「低価格帯の商品を絞り込んでいる」(総務省)影響もみられるという。
上昇品目数は279、下落は184で、4カ月連続で上昇が下落を上回った。前月は上昇が267、下落が188で、総務省は「幅広い品目で物価の上昇が広がりつつある」とみている。
食料とエネルギーを除く総合(コアコア指数)は前年同月比0.7%上昇と4カ月連続のプラスだった。傷害保険料の引き上げや円安による海外パックの旅行料金の上昇が背景。
同時に発表した2月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が0.9%上昇の99.1だった。
1月小売販売額4.4%増の11.7兆円 1月で最大 自動車けん引
経済産業省が28日発表した1月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆7320億円で、前年同月に比べ4.4%増えた。プラスは6カ月連続。小売業販売額は1月としては比較可能な1980年以降で最大で、伸び率は東日本大震災による落ち込みの反動増があった2012年4月(5.0%増)以来の高い伸びとなった。4月の消費増税前の駆け込み需要などで自動車や家電製品などの売れ行きが伸びた。
これまでの1月の小売業販売額が最大だったのは、前回の消費増税前の97年(11兆6140億円)だった。
小売業の内訳は自動車が21.4%増と5カ月連続のプラス。冷蔵庫や洗濯機、パソコンなどで買い替え需要が広がり、機械器具は7.5%増だった。飲食料品は2.2%増だった。
百貨店とスーパーを含む大型小売店は0.8%増の1兆7135億円で、6カ月連続で増加した。衣料品は減ったが飲食料品が増えた。既存店ベースは0.1%増。スーパーは1.6%減ったものの、百貨店が3.2%増えた。
コンビニエンスストアの販売額は新規出店効果などで5.4%増の7946億円。既存店の販売額は0.1%減だった。
併せて今回初めて発表した専門量販店販売統計(速報)によると、1月の販売額は家電大型専門店は4095億円、ドラッグストアは3697億円、ホームセンターが2509億円だった。

いずれもとてもよく取りまとめられた記事なんですが、さすがに、これだけ並べるともうおなかいっぱい、という気もします。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。これは鉱工業生産統計だけでなく、シャドーで景気後退期をお示ししたグラフすべてに共通です。

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鉱工業生産の伸びは日経・QUICK調査によれば、市場の事前コンセンサスが前月比で+3%の増産でしたから、+4%の伸びはかなり大きいと受け止めています。特に、後で取り上げるように、消費は自動車などの大型の高額耐久消費財がけん引したことから、生産でも、輸送機械やはん用・生産用・業務用機械が高い伸びを示しています。さらに、減産業種でも前月比の減少幅はかなり小さく、ほぼ横ばい圏内の動きと私は考えています。財別の統計で詳しく見ると、耐久消費財は生産が前月比+8.8%増、出荷が+13.5%増と非常に高い伸びを示しています。明らかに、消費税率引上げ前の駆け込み需要の影響が出ています。しかし、先月発表の製造工業生産予測調査では1月の前月比伸び率は+6.1%でしたから、それに比べると伸びは小さくなっています。また、1月の増産はいくぶんなりとも消費税率引上げ前の駆込み需要に起因するわけですから、今後の先行きについては、同じく製造工業生産予測調査に従えば、2月は+1.3%増とまだ増産が続くものの、4月からの消費の反動減を見込んで、3月の生産は▲3.2%減と減産に転ずるとの見込みです。ただし、昨夜のエントリーでも指摘した通り、駆込み需要は1997年の消費税率引上げに比べて小さい可能性が高いと私は考えており、逆に、4月以降の反動減も小さい可能性は十分あります。もちろん、いずれにせよ、生産も駆込み需要に応じた変動は避けられません。

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雇用統計について、引用した記事には失業率が前月と同じ3.7%と低い水準を続けている点、すなわち、総務省統計局発表の労働力調査しか取り上げておらず、なぜか、厚生労働省発表の有効求人倍率などの一般職業紹介状況が抜けているので、上のグラフでプロットしている範囲で補足しておくと、上のグラフからも概要は把握できると思いますが、有効求人倍率は前月の1.03倍から0.01ポイント上昇して1.04を記録し、新規求人数も前月比で+3.5%増と大きく伸びています。新規求人倍率も上昇しています。すなわち、相変わらず、量的に雇用は着実に拡大していると受け止めています。非正規雇用は駆込み需要に対応した部分があると思われますので、4月以降の反動も考えられなくはないでしょうが、消費ほど雇用については駆込みも反動も小さいんではないかと考えられます。一昨夜のエントリーでお示しした通り、雇用の拡大は量から質的な改善、すなわち、賃金上昇や正規雇用の拡大につながる局面に差しかかっている可能性があります。

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消費者物価も、生鮮食品を除くコアCPIの上昇幅が安定して1%を超える状態が続いています。ただ、ヘッドラインCPIでも、コアCPIでも、あるいは、コアコアCPIでも、前年比上昇率が昨年11月から今日発表の1月統計までの3か月で頭打ち気味に見える懸念があります。物価上昇の要因が、円高修正ないし円安の進展やエネルギー価格の上昇などから、徐々に、最終需要への波及やGDPギャップの縮小に主役を交代させつつ、物価上昇の圧力は落ち着きを見せ始めていると私は受け止めています。これについて2点だけコメントすると、第1点はネガティブで、現時点で物価はほぼ日銀の想定するシナリオに沿った動きを続けていると私は考えているものの、日銀のインフレ目標である2%に達するのが2年後より後ズレする可能性を指摘せねばなりません。特に、4月からの消費税増税で需給ギャップがマイナスに振れれば、その振れ幅にもよりますが、後ズレの可能性が高まります。他方、第2点はポジティブで、日銀がインフレ目標を設定する前に、さんざん表明された「インフレ目標によって、インフレに歯止めが効かなくなって、ハイパー・インフレを惹起しかねない」と見方は完全に否定されたと考えるべきです。今になって思えば、「インフレ目標でハイパー・インフレ」なんて見方が恥ずかし気もなくよくメディアに出たもんだと私は思います。

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小売販売額は前年同月比で+4.4%増、前月比で+1.4%増とともに高い伸びを示しました。引用した記事にもある通り、自動車販売が大きく伸びています。前年同月比で自動車小売業が+21.4%増と飛び抜けた増加を示しています。これに次ぐのが、電機製品などが含まれる機械器具小売業の+7.5%増となっています。これらの業種は基本的に4月からの消費税率引上げ前の駆込み需要の部分が小さくないと考えるべきです。既存店ベースの統計で、コンビニとスーパーが前年比で売上げを落とした反面、百貨店が増加しているのも、駆込み需要を示唆していると私は受け止めています。いずれにせよ、他の経済指標に比べて消費は駆込み需要とその反動減の影響がより大きく現れるのは当然です。

足元の景気は、生産も、雇用も、物価も、消費も、いずれも消費税率引上げ前の駆込み需要に応じて景気の拡大を示しています。エコノミストの目は4月の消費増税後、ただし、4月や5月はもちろんのこと、年央以降に景気が腰折れするのか、拡大経路に戻るのか、に向けられています。何となく、景気は腰折れしないという見方がエコノミストの間で優勢な気がしますが、かつて流行った言葉なら、cautious optimism ということになろうかと思います。

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2014年2月27日 (木)

消費税率の引上げが家計消費に及ぼす影響やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、先週2月21日に日本総研から「消費増税が個人消費に与える影響」と題するリポートが公表されています。4月から消費税率が引き上げられ、主として消費へのネガティブな影響、すなわち、駆込み需要の後の反動減などが懸念されていますが、このリポートでは1997年の消費税率引上げと対比させて論じています。ということで、今夜のエントリーでは、このリポートについてグラフを引用しつつ簡単に紹介したいと思います。

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まず、上のイメージ図はリポート p.7 (図表9) 消費税率引き上げ前後の個人消費のイメージ を引用しています。消費税率引上げ前後の駆込み需要と反動減は、大雑把にほぼ均衡すると考えて差支えないんでしょうが、消費税率引上げに起因する物価上昇で実質購買力が低下する効果は長期に継続します。永遠とか、無限の期間と称しても差支えないと私は考えています。今回の消費税率引上げに際して物価上昇は約+2%と見込まれており、ほぼエコノミストの間でコンセンサスがあります。この分だけ実質購買力は長期に失われます。

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次に、上のグラフは同じくリポート p.7 から (図表10) 家計の負担と給付 (前年差) を引用しています。今回の消費税率引上げと1997年を比較して、もっとも大きな違いは家計の負担軽減が考慮されている点です。ですから、1997年当時の2%ポイントの引上げに対して、今回は3%ポイントの引上げと、消費税率の引上げ幅はより大きいにもかかわらず、上のグラフの通り、家計の負担額は1997年当時より今回の方が小さいという逆転現象が生じています。リポートでも指摘している通り、主要な家計負担の軽減は、(1) 所得拡大促進税制の拡充による雇用者所得拡大の促進、(2) 低所得層等への直接給付、であり、他を含めて総額1兆円の対策が講じられているのは見逃せません。

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最後に、上のグラフはリポート p.11 (図表17) 名目個人消費の見通し を引用しています。今回の消費税率引上げにおいては、1年半後にもう一段の引上げが控えていることなどから、現在までの駆込み需要がそれほど大きくなく、また、家計負担軽減対策もあって、1997年当時に比べて反動減のマイナス効果は小さいとの見通しをリポートでは結論しています。ただし、先行きリスクとして、リポートでは「賃金上昇が期待外れに終われば、家計の購買力が消費増税に追いつかなくなるだけでなく、消費者マインドも冷え込む懸念が高まる」と指摘しています。賃上げが実現されるかどうか最大のリスク要因である点については私も同感です。

日本総研のリポートでは家計消費に対する影響を主として分析していますが、当然ながら、住宅投資にも駆込み需要は生じましたし、設備投資にも現れている可能性はあります。しかし、住宅投資の駆込み需要はすでにピークを超えており、消費の駆込み需要は事前に予想されたほど大きくありません。リポートの結論と同じで、消費の腰折れは回避できる可能性が高いと私は見込んでいます。

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2014年2月26日 (水)

リクルート・ジョブズによる派遣スタッフとアルバイト・パートの賃金動向やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、私が労働需給と賃金の関係で注目している非正規雇用賃金の民間統計、すなわち、リクルート・ジョブズによる派遣スタッフとアルバイト・パートの募集時平均時給の調査結果が発表されています。いずれも3大都市圏における1月の結果です。派遣スタッフの平均時給は1,521円で前年同月比+3.3%増、アルバイト・パートは948円で+0.4%増を記録しています。いつものグラフは以下の通りです。棒グラフが時給額であり左軸に対応し、折れ線グラフは前年同月比上昇率で右軸です。出展はリクルートジョブズの調査から、派遣スタッフアルバイト・パートに分かれています。

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まず、派遣スタッフ、アルバイト・パートともにここ数か月で前年同月比プラスを続けており、特に、派遣スタッフの募集時時給は昨年2013年5月に前年同月比でプラスに転じて以来、昨年2013年11月から今年2014年1月まで3か月連続で+3%を超える上昇が続いています。アルバイト・パートも上昇幅は派遣スタッフからかなり見劣りするものの、昨年2013年7月から半年余りプラスが続いています。労働需給がかなりタイトになって、量的な雇用の改善が賃上げに波及するまでに達しつつある可能性が指摘できます。すなわち、景気が労働需給に波及し、まず雇用の量が増加を始め、次に非正規雇用の賃金が上昇し、最後に雇用の質の改善により正規雇用が増加するとともに正規雇用の賃金が上昇する、というパターンを私は想像していたんですが、徐々にステージが進んでいるようで、私のような雇用を重視するエコノミストには好ましく映っています。
ついでながら、職種別で細かく見ると、派遣スタッフの時給でもっとも大きく伸びたのはIT・技術系で前年同月比増減額+74円増、増減率+4.1%増、次いで、営業・販売・サービス系は+30円、+2.3%増、オフィスワーク系は+20円、+1.4%増、医療介護・教育系は+12円、+0.8%増と、これら4職種が前年同月比プラスとなった一方で、唯一クリエイティブ系のみが▲1円、▲0.1%減となりました。エリア別では関東・東海・関西ともにプラスを記録しています。アルバイト・バートでは事務系がもっとも伸び率が大きく前年同月と比べて+10円、+1.1%増、次いで、フード系が+9円、+1.0%増、製造・物流・清掃系が+6円、+0.6%増と続き、前年同月比でプラスなのはこの3職種までとなり、販売・サービス系は前年同月と変わらず、医療・介護などの専門職系は▲6円、▲0.6%減、営業系が▲3円、▲0.3%減となっています。医療・介護を含むカテゴリーで見ると、派遣スタッフの医療介護・教育系が前年同月比でプラスを記録している一方で、アルバイト・パートの専門職系はマイナスとなっています。やや不整合な気がしますが、理由はよく分かりません。

これらの雇用を支えているのは消費税率引上げ前の駆込み需要なのかもしれませんが、消費税率が引き上げられる4月以降も景気は腰折れせずに拡大を続ける、というのが多くのエコノミストのコンセンサスになりつつあります。雇用が量的に拡大して失業が減るとともに、賃上げにより国民生活がさらに豊かになることを願っています。

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2014年2月25日 (火)

企業向けサービス価格指数は安定したプラスを続ける!

本日、日銀から1月の企業向けサービス価格指数 (CSPI) が発表されました。CSPI総合は前年同月比で+0.8%の上昇、変動の激しい国際運輸を除いたコアCSPIでも+0.5%と、安定したプラスが続いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月企業向けサービス価格、9カ月連続上昇 円安一服で上げ縮小
日銀が25日発表した1月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は96.3と、前年同月比0.8%上昇した。プラスは9カ月連続。前年に比べて円安進行のペースが鈍ったことで運輸関連が伸びを縮め、伸び率は前月から0.3ポイント縮小した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。全137品目のうち、前年比で上昇した品目数は60、下落は46と6カ月連続で上昇が下落を上回った。
業種別にみると、上昇に寄与したのは土木建築など諸サービス。1.3%上昇だった。一方、上げ幅を縮める要因になったのは運輸で、2.3%上昇と前月から1.2ポイント上げ幅を縮めた。円安進行が一服し、主にドル建てで取引される外航タンカーなどの運賃を円換算した価格が伸び悩んだ。
情報通信も0.9%下落。ソフトウエア開発が前年同月に大きく伸びた反動でマイナスに転じた。広告も一部のフリーペーパーなどでの値下げが響いた。
もっとも、総平均を為替相場の影響を受けやすい国際運輸を除いたベースでみると、0.5%上昇と前月から0.1ポイント上げ幅を拡大した。サービス関連価格は上昇基調にある。首都圏での出張の予約が好調な宿泊サービスが上げ幅を広げたほか、土木建築サービスもプラスに寄与した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(CSPI)とコアCSPIの上昇率とともに、企業物価(CGPI)上昇率もプロットしています。CSPI上昇率がCGPIに追い付いたように見えなくもありませんが、左右の軸で目盛りが異なりますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は昨年2013年11月だったと仮置きしています。

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基本的には、昨年中、物価の押上げ要因となっていた円高修正ないし円安の進行が今年に入ってやや落ち着いたことが企業向けサービス価格指数総合の上昇率を先月からやや低下させた要因と考えられます。引用した記事にもある通り、CSPI総合が11月+1.2%上昇、12月+1.1%上昇から、1月は+0.8%に▲0.3%ポイント上昇幅を縮小させました。もっとも、運輸が▲0.24%ポイントの寄与度を占め、そのうちでも外交貨物輸送が▲0.19%ポイントの寄与ですから、ほぼこれに尽きています。逆に、変動の激しい国際運輸を除くコアCSPIで見ると、11月+0.6%、12月+0.4%に続いて、1月は+0.5%の上昇ですから、プラス領域で安定的に推移していると見ることも出来ます。
ただし、物価指数は押しなべてラスパイレス指数ですし、総務省統計局の消費者物価指数や同じ日銀の企業物価指数(CGPI)がすでに2010年基準に移行しているにもかかわらず、CSPIはまだ2005年基準ですから基準年から10年近く経過しており、上方バイアスがほかの物価指数に比べても大きくなっている可能性があります。ですから、コアCSPIの+0.5%近辺の上昇率は基準年から10年近く経過したラスパイレス指数の上方バイアスを考慮すればホントにプラスかどうか怪しい、可能性も否定できません。かつての白川総裁のころの日銀の「物価安定の目安」の1%が批判された理由のひとつもこの上方バイアスの存在です。特に、基準年からの経過が大きいCSPIは注意する必要があります。

日経新聞の記事に従えば、日銀の中曽副総裁は本日の衆議院財務金融委員会に出席し、国内経済は緩やかな回復を続けているとの認識を示した上で、2%の物価安定の目標実現に「道筋を順調にたどっている」と述べたと報じられています。その通りだと私も受け止めています。

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2014年2月24日 (月)

マクロミルによる大雪に関する調査結果

先々週は東京近郊のみならず、全国的にも大雪が降って交通などが麻痺した記憶があります。まだ、我が家の近くにも雪は残っており、今週後半には暖かく気温が上がるので融けるのではないかというものの、まだ寒々とした雰囲気を残しているのも事実です。やや旧聞に属する話題ながら、ネットリサーチ大手のマクロミルから首都圏に住む社会人と学生を対象に【首都圏緊急調査】として、大雪による帰宅への不安や、企業・学校の対策状況を調査した結果が公表されています。まず、マクロミルのサイトからトピックスを3点引用すると以下の通りです。

トピックス
  • 大雪が帰宅の足を直撃、9割の人が "不安"
  • 大雪対策が実施された企業・学校は50%
  • ホワイトバレンタイン、4割が予定キャンセルを決断。決行派も3割

ということで、今夜のエントリーでは、マクロミルのサイトからグラフを引用しつつ、簡単に調査結果を紹介しておきたいと思います。

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まず、雪による帰宅への影響については、上のグラフの通りです。「とても不安」と「やや不安」を合わせて85%の人が何らかの不安を感じています。当然です。でも、私の場合は「あまり不安ではない」を選ぶような気がします。メインの鉄道以外にもいくつか歩いて行ける範囲の鉄道がありますし、もちろん、バスもないわけではありません。それと、楽観的な性格をしていますので、何とかなるだろうと気楽に考えています。雪に弱い首都圏での帰宅事情ですから、何らかの不安はあるとは思いますが、楽観的な性格と悲観的な性格でも差が出そうな気がします。

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次に、雪の影響に備えた勤務先・学校の対策については、上のグラフの通りです。震災以降、災害に対する意識が高まって、学校や職場では何らかの対策が講じられる場合が増えた気もしますが、それでもまだ半分弱といったところです。過半の学校・職場では特に対策なしの状態で放置されています。実は、私のオフィスも何の対策もなく通常の勤務をしていたりします。その他、トピックスにあったように、バレンタインデーのイベントについての質問と回答もありますが、私のこのブログでは割愛します。

知っている人は知っていると思いますが、明日2月25日から国立大学の前期試験が始まります。天気予報によれば積雪などによる大きな混乱は予想されないような気もしますが、まだまだ寒い気候が続いています。受験生諸君は後悔しないように力を出し切るべくがんばって下さい。

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2014年2月23日 (日)

Communiqué, Meeting of Finance Ministers and Central Bank Governors, Sydney, 22-23 February 2014

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Communiqué
Meeting of Finance Ministers and Central Bank Governors
Sydney, 22-23 February 2014

  1. We welcome recent signs of improvement in the global economy, in particular, growth strengthening in the United States, United Kingdom and Japan alongside continued solid growth in China and many emerging market economies, and the resumption of growth in the euro area. Some key tail risks have diminished.

  2. Despite these recent improvements, the global economy remains far from achieving strong, sustainable, and balanced growth. We agree the global economy still faces weaknesses in some areas of demand, and growth is still below the rates needed to get our citizens back into jobs and meet their aspirations for development. Recent volatility in financial markets, high levels of public debt, continuing global imbalances and remaining vulnerabilities within some economies highlight that important challenges remain to be managed.

  3. There is no room for complacency. Addressing these challenges requires ambition. We commit to developing new measures, in the context of maintaining fiscal sustainability and financial sector stability, to significantly raise global growth. We will develop ambitious but realistic policies with the aim to lift our collective GDP by more than 2 per cent above the trajectory implied by current policies over the coming 5 years. This is over US$2 trillion more in real terms and will lead to significant additional jobs. To achieve this we will take concrete actions across the G20, including to increase investment, lift employment and participation, enhance trade and promote competition, in addition to macroeconomic policies. These actions will form the basis of our comprehensive growth strategies and the Brisbane Action Plan.

  4. We recognise that monetary policy needs to remain accommodative in many advanced economies, and should normalise in due course, with the timing being conditional on the outlook for price stability and economic growth. This eventual development would be positive for the global economy and reduced reliance on easy monetary policy would be beneficial in the medium term for financial stability. In a transition phase, economic policy could help with measures to increase private sector demand, including investment. We all stand ready to take the necessary steps to maintain price stability, by addressing in a timely manner deflationary and inflationary pressures. All our central banks maintain their commitment that monetary policy settings will continue to be carefully calibrated and clearly communicated, in the context of ongoing exchange of information and being mindful of impacts on the global economy.

  5. As markets react to various policy transitions and country circumstances, asset prices and exchange rates adjust. This might sometimes lead to excessive volatility that can be damaging to growth. While many economies are prepared for this, our primary response is to further strengthen and refine our domestic macroeconomic, structural and financial policy frameworks. Exchange rate flexibility can also facilitate the adjustment of our economies. Some economies may need to rebuild fiscal buffers where policy space has eroded. We will consistently communicate our actions to each other and to the public, and continue to cooperate on managing spillovers to other countries, and to ensure the continued effectiveness of global safety nets.

  6. We will continue to implement our fiscal strategies flexibly to take into account near-term economic conditions, so as to support economic growth and job creation, while putting debt as a share of GDP on a sustainable path. We will continue to work on improving these as part of our growth strategies.

  7. We are committed to creating a climate that facilitates higher investment, particularly in infrastructure and small and medium enterprises. This is crucial for the global economy's transition to stronger growth in the short and medium term. We will undertake reforms to remove constraints to private investment by establishing sound and predictable policy and regulatory frameworks and emphasising the role of market incentives and disciplines. These, along with other actions to promote long-term private sector investment, maximise the impact of public sector capital expenditure, and enhance the catalytic role of multilateral development banks will be an important part of our growth strategies and the Brisbane Action Plan.

  8. We deeply regret that the IMF quota and governance reforms agreed to in 2010 have not yet become effective and that the 15th General Review of Quotas was not completed by January 2014. Our highest priority remains ratifying the 2010 reforms, and we urge the US to do so before our next meeting in April. In April, we will take stock of progress towards meeting this priority and completing the 15th General Review of Quotas by January 2015.

  9. We are committed to a global response to Base Erosion and Profit Shifting (BEPS) based on sound tax policy principles. Profits should be taxed where economic activities deriving the profits are performed and where value is created. We continue our full support for the G20/OECD BEPS Action Plan, and look forward to progress as set out in the agreed timetable. By the Brisbane summit, we will start to deliver effective, practical and sustainable measures to counter BEPS across all industries, including traditional, digital and digitalised firms, in an increasingly globalised economy. We endorse the Common Reporting Standard for automatic exchange of tax information on a reciprocal basis and will work with all relevant parties, including our financial institutions, to detail our implementation plan at our September meeting. In parallel, we expect to begin to exchange information automatically on tax matters among G20 members by the end of 2015. We call for the early adoption of the standard by those jurisdictions that are able to do so. We call on all financial centres to match our commitments. We urge all jurisdictions that have not yet complied with the existing standard for exchange of information on request to do so and sign the Multilateral Convention on Mutual Administrative Assistance in Tax Matters without further delay. We stand ready to give tougher incentives to those 14 jurisdictions that have not qualified for Phase 2 of the evaluations. We will engage with, and support low-income and developing countries so that they benefit from our work on tax.

  10. In 2014 we are focusing our efforts on substantially completing by the Brisbane summit key aspects of the core reforms we set out in response to the global financial crisis: building resilient financial institutions; ending too-big-to-fail; addressing shadow banking risks; and making derivatives markets safer. We want to promote resilience in the financial system and greater certainty in the regulatory environment to support confidence and growth. We will implement these reforms in a way that promotes an integrated global financial system, reduces harmful fragmentation and avoids unintended costs for business. We commit to cooperate across jurisdictions with a renewed focus on timely and consistent implementation supported by meaningful peer reviews, including OTC derivatives reform. In relation to this reform, we agree that jurisdictions and regulators should be able to defer to each other when it is justified by the quality of their respective regulatory and enforcement regimes, based on similar outcomes, in a non-discriminatory way, paying due respect to home country regulatory regimes.

  11. We are grateful for the work of international organisations and other relevant bodies for our meeting (see Annex for completed work and details of specific mandates for further work in support of the above commitments).

出典はG20のサイトです。Annexがあるんですが、省略しています。なお、日本語への仮訳は財務省のサイトにアップされています。

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先週の読書

先週末は図書館の予約が一気に回って来ました。このミス大賞受賞本も一気に2冊読み切ってしまったりしました。経済史の学術書をはじめ、以下の通りです。

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まず、岡本隆司[編]『中国経済史』(名古屋大学出版会) です。実に多くの学者さんが執筆しています。有史時代の最初にさかのぼって中国経済を歴史的に解き明かしている、というか、解き明かしているわけではないにしても、中国経済の歴史を延々と事実として積み重ねています。通常、経済史はマルクス主義的な唯物史観を援用する場合が多く、原始共産制から始まって、奴隷制、封建制、資本制、そしてまだ見ぬ社会主義・共産主義へと一直線に突き進む歴史観を背景にすることが多いんですが、本書は学術書ながらマルクス主義的な歴史観を取っていません。繰返しになりますが、中国経済に関する歴史的な事実を延々と積み上げています。しかも、クロニカルに記述する部分と、トピックとしてコラム的な扱いをなされたテーマに分かれていて、とても読みづらいです。一般の方にはオススメしません。また、この本を読んだからといって現在の中国経済に関する理解や認識が深まるとも思えません。

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次に、三浦しをん『まほろ駅前狂騒曲』(文藝春秋) です。この作者のまほろ(=町田)シリーズはこれで3冊目です。直木賞を授賞された『まほろ駅前多田便利軒』も『まほろ駅前番外地』も私は読んでいます。ハッキリいって、私は三浦しをんの小説のファンです。エッセイは少しクセがありますので、ファンとまではいえないかもしれませんが、それでもほとんど読んでいるつもりです。この作品はシリーズに共通する多田と行天を主人公に、オールスター・キャストでドタバタ劇が進行します。何と多田便利軒で行天の子供を預かることになり、その女の子を中心にいろいろと展開します。ストーリーも文体もとても出来がよく、万人にオススメします。

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次に、八木圭一『一千兆円の身代金』(宝島社) です。今年の「このミス大賞」を授賞された2作品のうちのひとつです。元副総理の孫であり、副総理の長男で代議士の甥に当たる小学生が誘拐され、政府の国債残高に相当する身代金要求が出されます。そうです。私がこのブログで盛んに取り上げる世代間不平等をテーマにしたミステリなんです。こんな小説が登場して、「このミス大賞」を受賞するくらいに世代間不平等が人口に膾炙したと思うと、ブログで何度も取り上げたエコノミストとしては一定の感慨がなくもありませんが、政府に勤務する公務員として少し情けなくなったりもします。ノーベル文学賞も、昨年のアリス・マンローの前まで、ついつい「大きな物語」に授賞されるケースが多かった気がしますが、我が国のミステリも「大きな物語」が好まれるようになったのかもしれません。

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次に、梶永正史『特命指揮官』(宝島社) です。これまた、「大きな物語」のミステリです。しかも、日本国内では収まり切らずに、国際的なスケールの舞台も視野に入れつつ物語が展開されています。主人公は「電卓女」とあだ名される警視庁捜査2課の女性刑事、郷間彩香です。捜査1課の殺人モノのミステリと違って、捜査2課ですから経済犯や知能犯を相手にするセクションです。30歳そこそこの女性刑事、少しピンと来ませんが、誉田哲也の「ストロベリーナイト」シリーズの姫川玲子を少しデフォルメしたのがモデルになっているのかもしれません。本格ミステリ特有のあっと驚く大どんでん返しはなく、タマネギの皮をむいていくように物語の進行とともに事実が明らかにされて行きます。会話とモノローグ的な部分が判然とせず、ややクセのある文体で読みにくいと感じる向きもあるかもしれませんが、プロットはそれなりに秀逸です。でも、物語が大き過ぎてシリーズ化するのは難しそうな気がします。

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経済史の学術書に小説が続いて、最後に、工藤卓哉・保科学世『データサイエンス超入門』(日経BP社) です。タイトル通りのデータサイエンスの入門書です。何度か繰り返されているのは、データの活用はあくまで経営のサポートであり、データがあるので分析をして何かの役に立てたいとの発想ではなく、経営方針に沿ってデータをいかに利用するかを考えるべき、ということにつきます。残念ながら、あくまでビジネスを念頭に置いた発想であり、組織のマネジメントといった着眼ではありません。ですから、私のような公務員にはほとんど何の参考にもなりませんでした。

この週末も何冊か予約が回って来ました。2月も半ばを過ぎて読書が進んでいます。

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2014年2月22日 (土)

寒い土曜日に出歩いて「Jazz Jpan, vol.43」を買い求める

このところ、寒い日が続いていて、我が家や私の職場の周辺では、今週後半は雪こそ降りませんでしたが、先週末に降った雪がまだ完全には融け切らずに道端に残っていたりします。でも、今日は午前中こそいつもの通り室内プールで泳いでいましたが、午後からは出かけました。新宿あたりをうろついて、昨日発売になったばかりの「Jazz Japan, vol.43」を買い求めました。実は、まだ読んでいなかったりします。今は、チック・コリアのピアノ・トリオを聞いています。ゆったりと過ごす週末の夜更けです。

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「お出かけの日記」と「音楽鑑賞の日記」で迷って、結局、後者にしました。

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2014年2月21日 (金)

賃金構造基本調査に見る低賃金はいつまで続くか?

昨日、厚生労働省から賃金構造基本調査の2013年の結果が公表されています。一般労働者、すなわち、フルタイムの労働者の月額平均賃金は前年比▲0.7%減の295.7千円でした。あれほど政権を挙げて賃上げの大合唱をしたにもかかわらず、賃金は上がりませんでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

首相要請も…月額賃金4年ぶり低下 13年0.7%減
厚労省調査

厚生労働省が20日発表した賃金構造基本統計調査(全国)によると、2013年のフルタイムで働く人の平均月額賃金は、前年比0.7%減の29万5700円だった。前年を下回るのは4年ぶり。安倍晋三政権はデフレ脱却に向け経済界に賃上げを求めているが、企業は月例賃金よりも一時金を手厚くしがちな面もうかがえる。
男性の平均賃金は32万6千円と前年比で0.9%減った。女性は0.2%減の23万2600円だったが、賃金水準そのものは男性の71.4%と前年比0.5ポイント上昇。男女間の賃金差は9万3400円と前年から2500円縮小した。
役職別でみると、部長級で女性(66万7200円、2.8%増)が男性(65万2600円、3.4%減)を初めて逆転した。役職別は常用100人以上の企業の正社員のデータで「ぶれる可能性がある」(厚労省)が、女性の一定の処遇改善を示す結果といえそうだ。
賃金が男女ともに前年を上回ったのは、企業規模別では99人以下の小企業だけ。産業別では建設や学術研究、専門・技術サービス、生活関連サービス、娯楽に限られた。
調査は、残業代や休日出勤などの手当を除いた月給の定額部分が対象で、一時金は含まない。13年6月の給与を、同年7月に民間の6万5007事業所を対象に調べ、4万9453事業所から回答を得た。

いつもの通り、とてもよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、一般労働者の賃金の推移のグラフは以下の通りです。いかにも「霞が関文学」っぽいんですが、引用した記事にも簡単な解説がある通り、「一般労働者」とはフルタイム労働者を指し、ここでの「賃金」とは所定内給与のような毎月の定額部分だけであって、一時金は含みません。また、フルタイム労働者だけでパートタイムは含みませんから、非正規比率の上昇による平均賃金の低下といった影響は少ないと考えられます。もちろん、「非正規労働者」はフルタイム・パートタイムの別だけでなく、無期・有期による区別や直接雇用・派遣の違いなどからも定義されることがあり、決して単純ではありませんが、取りあえず、パートタイム労働者が含まれていない統計を基にしたグラフです。

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上のパネルは月額千円単位の賃金の推移を、下はその前年比上昇率を、それぞれプロットしています。1990年代半ばから、ほとんど賃金が上がっていないのが見て取れます。このグラフの賃金は名目値ですので、物価の変動を考慮した実質値とはなっておらす、デフレが進行した期間では実質賃金は上昇していた可能性は排除できませんが、景気後退期の2001年や2009年をはじめとして、賃金が下がることも決してめずらしくもなかったといえます。昨年も、内閣を挙げての賃上げの大合唱にもかかわらず賃金は減少したとの統計結果です。

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参考ながら、同じくフルタイム労働者の月別の定額部分の賃金に関して、都道府県別の賃金格差のグラフが上の通りです。全国平均が引用した記事にもある通り、295.7千円となっており、もっとも賃金が高い東京はその123.3%、逆に最も低い宮崎県は77.0%です。この格差を大きいと見るか、この程度と見るかは意見が分かれるところだと私は受け止めています。衆議院議員の定数格差は2倍を基準としているようですが、東京と宮崎では格差は2倍に達していません。でも、賃金水準の背景に同じ日本人で2倍近い生産性格差があるといわれれば疑問も感じます。

最後に、昨日の経済財政諮問会議において、有識者委員から「法人税率引下げと税収について」と題する資料が提出されていて、かつての米国のレーガン政権下で引合いに出されたラッファー・カーブのように、税率を下げれば税収が上がるという奇っ怪な議論がなされたようです。労働者に対する賃上げにここまで渋い企業に対する優遇策には私は従来から明確に反対しています。それにしても、ラッファー・カーブのような奇っ怪な理論を持ち出してまで法人税を下げて、賃上げもせずにさらに企業にキャッシュを溜め込んで、日本経済に何の利益があるんでしょうか。国債でも買ってもらうんでしょうか。とても疑問です。逆に、現在は企業が溜め込んだキャッシュを国民に還元する政策が必要だと私は考えています。

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2014年2月20日 (木)

貿易赤字の拡大と原発再稼働はどこまでリンクしているのか?

本日、財務省から1月の貿易統計が発表されています。季節調整していない原系列の統計で、輸出額は前年同月比+9.5%増の5兆2529億円となった一方で、輸入額は+25.0%増の8兆429億円に上り、差引き貿易収支は2兆7900億円の赤字と単月では過去最大の赤字を記録しました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1月貿易赤字、過去最大の2兆7900億円 LNG輸入額が最大
財務省が20日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆7900億円の赤字だった。赤字額は2013年1月の1兆6335億円を上回り、現行基準で比較可能な1979年以降で最大となった。円安を背景に燃料の輸入額が膨らみ、液化天然ガス(LNG)の輸入額は過去最大になった。太陽光発電用の光電池などの輸入が増えたことも影響した。赤字は19カ月連続で13年9月以降、最長を更新し続けている。
貿易赤字額が1月に過去最大を更新するのは12年以降、3年連続となる。1月は正月休暇で日本からの輸出が例年少なくなる一方で、暖房など燃料の輸入がかさむため貿易赤字が膨らみやすい。今年は中国の春節(旧正月)が1月末から始まったことも輸出が伸び悩んだ一因となった。2月以降は輸出が持ち直し、貿易赤字が縮小する可能性がある。
1月の輸入額は前年同月比25.0%増の8兆429億円で、これまで最大だった2008年7月(7兆5426億円)を上回り過去最大だった。輸入額は15カ月連続で増え、輸入数量指数は8.0%増と4カ月連続で増加した。クウェートからの原粗油やカタールからのLNG、中国からの光電池など半導体等電子部品の輸入が増えた。中国からの輸入額は1兆9074億円で過去最大。これに伴い、アジアからの輸入額は3兆6691億円で過去最大だった。
輸出額は9.5%増の5兆2529億円で11カ月連続で増えた。輸出数量指数は0.2%減と4カ月ぶりに減った。米国向け自動車や、中国向けにペットボトル原料などになる有機化合物の輸出が増えた。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=104円53銭で、前年同月比20.2%の円安だった。
貿易収支を地域別にみると、対中国は1兆448億円の赤字、対アジアは9664億円の赤字で、ともに過去最大だった。対欧州連合(EU)も886億円の赤字。一方、対米国の貿易黒字は前年同月比15.2%増の3672億円だった。

いつもながら、とてもよく取りまとめられた記事です。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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季節調整していない原系列、季節調整済みの系列ともに1月の貿易統計では輸出が減少して輸入が増加していますから貿易赤字は拡大しています。緑色の棒グラフの貿易収支が、少なくとも、グラフに収めたレンジの中で最大の赤字を記録していることは明らかです。輸出については季節調整済みの系列も含めて、お正月と中国の春節という季節要因が作用しているのは事実ですし、中国をはじめとする新興国・途上国の景気が停滞しているために我が国からの輸出が伸びないもの事実です。逆に、輸入は消費税率引上げ直前の駆込み需要も含めて我が国の景気が上昇している要因があり、さらに、原発停止に起因する燃料輸入、特にLNG輸入の増加も貿易赤字拡大の一因となっています。貿易赤字の拡大については、循環要因としての景気局面の違い、特に中国をはじめとする新興国・途上国の停滞と我が国経済の好景気の差が指摘できる一方で、構造要因としては原発停止に伴う燃料輸入の増加が上げられます。

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ということで、上のグラフは鉱物性燃料輸入の推移を示しています。赤が鉱物性燃料輸入額、青がそのうちの液化天然ガス(LNG)輸入額、これらは兆円単位で左軸に対応し、緑色の折れ線グラフでプロットしたLNG輸入数量は100万トン単位で右軸に対応します。燃料輸入は2008年年央に一度ピークをつけていて、リーマン・ブラザーズ証券破綻とともに主として原油や燃料価格の大幅な低下に従って輸入額も大きく落ち込みました。しかし、LNG輸入数量のグラフに示されている通り、輸入数量は輸入額ほどの落ち込みはなく、2011年の震災を経てLNGの輸入額・輸入数量は高い水準にあります。
原発の再稼働については、原子力規制委員会のサイトを見ると、昨年年央くらいから各電力会社の原発に関して新規制基準適合性に係る審査が進められています。しかし、日経新聞のニュースなどで、審査が遅れている旨を指摘する報道も見かけたりします。私はそもそも貿易赤字は解消すべき課題であるとは考えていませんし、もちろん、一方的に原発再稼働を支持するわけではなく、原発再稼働について判断するだけの能力は持ち合わせません。科学的な知見に基づく審査に従って安全性を確認する重要性は理解している一方で、原発の安全性については私は専門外ですが、そろそろ、原発再稼働の是非について、結論まで一気に進まないまでも、方向性なりとも打ち出すべき時期に来ているとの意見が出る素地もあろうかということくらいは理解します。
原発再稼働が貿易赤字に対する政策割当てに適当であるとはまったく思いませんし、繰返しになりますが、貿易赤字を解消する政策が現時点で必要とも考えていません。原発再稼働は安全性とエネルギー政策の観点から慎重に判断すべきポイントであることは当然です。しかしながら、原発を再稼働すれば燃料輸入は抑制される一方で、原発再稼働に踏み切らずに別のエネルギー政策を発動するのであれば、それなりの政策対応を取るべき必要性が生じる可能性も否定できません。いずれにせよ、放置して先送りするには、余りに重要過ぎる政策課題ではなかろうかと考えるのは私だけなんでしょうか?

私が経験した1980年代末の弾力性ペシミズムが蘇りつつあるように思えてなりません。為替で貿易収支や経常収支はコントロール出来ないのかもしれません。すなわち、消費税率引上げ前の駆込み需要が終了して反動減の局面を迎え、円安に起因するJカーブ効果も終了して、貿易収支が再び黒字に戻る、とまで楽観するだけの根拠はあるのかどうか、私には自信がありません。

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2014年2月19日 (水)

2013年の家計消費は資産効果で高齢者が支える!

昨日、総務省統計局から家計調査の2013年結果が公表されています。このブログでは消費については経済産業省の商業販売統計を熱心に取り上げているんですが、販売サイドの統計ですので購入者から見た消費については家計調査の方がより詳しい分析が可能です。でも、家計調査は毎月の振れの激しい統計ですので少し信頼性に乏しく、逆に、年統計であれば詳細な集計も強みを発揮します。ということで、今夜の記事では家計調査の2013年結果について簡単に取り上げておきたいと思います。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質消費支出1.1%増 13年家計調査、6年ぶり伸び率
総務省が18日発表した2013年平均の家計調査によると、総世帯の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年に比べて1.1%増えた。2年続けて増え、07年(1.2%増)以来、6年ぶりの大きな伸びだった。株価の上昇で資産価格が上がったことが消費者心理を明るくし、高齢層による住宅リフォームなどの消費が膨らんだ。
13年の消費は高齢者がけん引した。2人以上の世帯で世帯主の年齢別に見ると、60-69歳の世帯は実質の消費支出が前年比2.7%増。持ち家の比率が高く、住宅の修繕や家具への支出が13.0%も増えた。30歳未満の支出は0.8%減だったことと比べ、資産を多く持つことが多い高齢層が消費に前向きだった。
総世帯の支出は食料が実質1.6%増と大きく伸びた。13年中は景気が回復し、消費者が少しぜいたくな消費に傾いている。代表例の外食は前年比2.7%増。肉類への支出は5.0%増えた。5.8%増えた交通には鉄道や航空の運賃が含まれ、旅行への支出の拡大がうかがえる。
所得環境はあまり良くなかった。総世帯のうち勤労者世帯で見た13年の実収入は実質で前年比0.3%減。名目は0.2%増えたが、消費者物価が上がったため手取りの収入は減った。13年は所得がなかなか伸びない中で、株価の上昇で恩恵を受けた個人などが消費を引っ張る形だった。
物価が上がる中で、総世帯の電気代は実質で前年比2.1%減った。猛暑だった夏場を除くと使用量が前年を下回った月が多く、家計は節約志向を強めた。

統計のヘッドラインについては引用した記事にお任せして、私なりに2013年の消費の特徴を簡単に指摘すると、まず第1に、引用した記事とは異なり、所得環境はまずまずよかった、第2に、記事の指摘通りに、高齢者が消費を牽引した、第3に、消費税率引上げ前に消費性向が上昇する形で、決してサステイナブルでない消費が増加している可能性がある、の3点が重要と考えています。

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まず、上のグラフはリポートの p.11 図Ⅰ-2-2 を引用しています。2人以上世帯のうちの勤労者世帯の勤め先収入だけなんですが、2012年10-12月期にミニ・リセッションを終えて、2013年の勤め先からの収入に基づく所得環境は決して悪くなかったと考えるべきです。グラフを見れば理解できると思います。確かに、消費者物価の上昇を考慮した実質所得は減少したかもしれませんが、生活実感に近い名目所得は増加しています。リフレ政策の効果と受け止めています。

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次に、上のグラフはリポートの p.23 図Ⅱ-1-2 を引用しています。30代と40代で逆転していますが、それを別にすれば、所得の伸びは若い世代の方が大きい一方で、消費の伸びは年齢が高くなるに従って大きくなっています。引用した記事にもある通り、資産効果が現れている可能性が示唆されていると私は受け止めています。これも、リフレ政策に基づくアベノミクスの政策効果のひとつであろうと思います。また、この結果、年齢が高くなるほど消費性向が高まっていることが容易に想像できます。ですから、図表は引用しませんが、リポートの p.18 図Ⅰ-2-8 では2013年の平均消費性向が2012年よりも高まっていることが見て取れますし、リポートの p.32 図Ⅱ-4-2 では高齢無職世帯の平均消費性向が特に上昇しているのが観察されます。おそらく、この消費性向の上昇に起因する消費拡大の一因は4月からの消費税率引上げを前にした駆込み需要にあり、決してサステイナブルではありません。必ず反動減があります。

家計調査という統計は、毎月は振れが大きくて決して注目しない統計なんですが、実に細かい結果を公表しており、ある程度アグリゲートした結果には興味をそそられます。消費については毎月は販売側の所業販売統計で把握するべきですが、時折、購買側の家計調査も取り上げたいと思います。

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2014年2月18日 (火)

スタティックな期待を示すESPフォーキャスト

やや旧聞に属する話題ですが、先週2月13日に日経センターからESPフォーキャスト2月調査結果が公表されています。1次QE発表直前に勇気を持った公表だと思いますが、時期的に、日経新聞の記事などでは経常収支の動向に注目されたところです。このブログでもグラフを引用して簡単に振り返っておきます。

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まず、成長率予想は上のグラフの通りです。1次QE公表の前ですから、かなり高めに出ています。このブログでも昨夜のエントリーで取り上げた10-12月期1次QEのひとつの特徴は、消費税率引上げ前の駆込み需要がそれほど大きくない、また、新興国経済が停滞して輸出が伸び悩んでいる、といったところですから、次の調査では下方改定される可能性もありえると私は受け止めています。ただし、「山高ければ、谷深し」の反対で、「山低ければ、谷浅し」かもしれませんので、消費税率引上げ直前の1-3月期の成長率が下方修正され、税率引上げ直後の4-6月期が上方修正される可能性があります。

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次に、消費者物価上昇率の予想は上のグラフの通りです。この年末年始、すなわち、消費税率引上げ前の段階では日銀の金融政策のシナリオであるデフレ脱却のパスに乗っているんですが、4月から消費税率が引き上げられGDPギャップのマイナス幅が拡大すれば、需給ギャップに応じて物価の上げ幅は小さくなる可能性が高いと考えられるのはその通りです。上のグラフはそういったエコノミストの期待物価上昇率を平均的に表現しているように思うんですが、他方、2月調査では日銀の物価目標が達成されると考えるエコノミストが1月の1人より倍増して2人になったりしています。スタティックに物価を現在の延長線上で予測するだけでなく、日銀が追加緩和のカードを持っている以上、追加緩和の政策効果を含めて、日銀の物価目標は達成可能と考えるべきです。

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最後に、失業率予想は上のグラフの通りです。さ来年度2015年度の末までかかっても3%台半ばにも達しないとの予想になっています。今年に入ってから、私は経済団体との会合で物価目標が達成されれば失業率は3%強くらいまで低下する、とフィリップス曲線から導かれる当然の帰結について発言したことがあります。しかし、多くのエコノミストの予想は現状をそのまま先延ばしするだけのスタティックな期待を体現しており、なかなか失業率が低下せず、従って、賃金も上がらないという日本経済に20年間染み付いた姿から逃れられないようです。

ESPフォーキャスト調査はカッコ付きの「有識者」であるエコノミストの平均的な見方を集計したものとしてとても有益なんですが、さすがのエコノミスト同業者も長らく続いた日本経済の停滞のために現在の延長線上で考えてしまうスタティックな暗めの将来経済像を抱き勝ちのようです。実際にどうなるかは統計を見てのお楽しみなのかもしれません。

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2014年2月17日 (月)

2013年10-12月期1次QEの成長率はやや物足りないか?

本日、内閣府から昨年10-12月期の四半期GDP統計速報、いわゆる1次QEが発表されました。実質成長率は季節調整済の前期比で+0.3%、前期比年率で+1.0%を記録しました。予想ほどの高成長ではありませんでした。消費税率引上げ前の駆込み需要が1997年の過去の例と比較しても小さかったのと、新興国経済の低迷から輸出が伸び悩んだのが原因と私は考えています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

GDP実質1.0%増 10-12月年率、輸出伸び悩む
内閣府が17日発表した2013年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価の変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増、年率換算で1.0%増となった。4四半期連続のプラス成長だが、前期(年率1.1%増)に比べると伸び率は縮小した。個人消費や設備投資などが底堅く推移する一方、輸出の伸び悩みを背景とした外需の落ち込みが成長率を押し下げた。
甘利明経済財政・再生相は17日午前、「民間需要を中心に景気は着実に上向いている」と述べた。
実質成長率の速報値は民間エコノミストの予測の平均(年率2.7%増)を大きく下回った。生活実感に近い名目成長率は0.4%増、年率で1.6%増だった。10-12月期は名目成長率が実質値を上回り、デフレの象徴とされる「名実逆転」は4四半期ぶりに解消した。
実質成長率が減速する一因となったのは、輸出の伸び悩みだ。「新興国経済が不安定なことから、輸出がなかなか改善しない」(甘利経財相)。輸出全体は前期比0.4%増とプラスに転じたものの、伸び率は小さかった。
輸入は原油や液化天然ガス(LNG)が伸びて3.5%増となった。この結果、実質GDPの前期比の増減に対する寄与度で見ると、輸出から輸入を差し引いた外需はマイナス0.5ポイントと、2四半期続けて成長率を下げる要因となった。
一方、国内需要は実質GDPを0.8ポイント押し上げた。消費増税前の駆け込み需要を受けて、内需が景気を下支えする要因となっている。
内需のうち、個人消費は前期比0.5%増と前期(0.2%増)に比べ、伸び率を高めた。自動車などの高額消費が堅調だったほか、株価の上昇を受け、証券売買手数料などの金融サービスが伸びた。住宅投資も4.2%増と前期の伸び率(3.3%増)を上回った。
設備投資も1.3%増と3四半期連続のプラスだった。自動車など輸送機械や電子通信機器などの分野の設備投資が堅調だったことを背景に、伸び率は0.2%増だった前期から加速し、11年10-12月期以来、2年ぶりの大きさとなった。
公共投資は前期比2.3%増。5四半期続けて前期を上回ったが、12年度補正予算に盛り込んだ公共工事の執行が一服したことで伸び率は7-9月期(7.2%増)に比べて鈍った。
昨年10-12月期の日本経済は個人消費と設備投資がけん引した。公共投資に頼る側面が強かった昨年7-9月期に比べると、民間の経済活動を軸に景気が回復する良い構図だったと言える。
ただ、消費増税前の駆け込み需要があることを踏まえると、年率で1%程度の実質成長率はやや低めだった。内需が好調なためGDPから差し引く輸入が大きく伸び、成長率を抑えた面があるものの、円安にもかかわらず増えない輸出は14年の日本経済にとって大きな不安要因になっている。
13年の年間のGDP成長率は実質が1.6%増、名目が1.0%増だった。足元の消費者物価の上昇で、四半期では「名実逆転」が解消したものの、年間を通してみると名目成長率が実質を下回った。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2012/10-122013/1-32012/4-62013/7-92013/10-12
国内総生産GDP▲0.1+1.2+1.0+0.3+0.3
民間消費▲0.1+0.6+0.5+0.5+0.8
民間住宅+2.3+1.7+0.9+3.3+4.2
民間設備▲1.1▲0.9+1.1+0.2+1.3
民間在庫 *(▲0.2)(▲0.1)(▲0.2)(+0.1)(▲0.0)
公的需要+0.6+1.1+1.8+1.6+0.9
内需寄与度 *(+0.1)(+0.8)(+0.8)(+0.8)(+0.8)
外需寄与度 *(▲0.1)(+0.4)(+0.1)(▲0.5)(▲0.5)
輸出▲2.9+4.2+2.9▲0.7+0.4
輸入▲1.9+1.1+1.8+2.4+3.5
国内総所得GDI+0.0+0.8+1.0+0.1+0.1
国民総所得GNI+0.1+0.7+1.7▲0.2+0.1
名目GDP+0.0+0.7+1.0+0.2+0.4
雇用者報酬▲0.5+0.6+0.4▲0.4+0.1
GDPデフレータ▲0.7▲1.0▲0.5▲0.4▲0.4
内需デフレータ▲0.7▲0.8▲0.3+0.4+0.5

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年10-12月期の最新データでは、前期比成長率がプラスであり、黒の外需がマイナス寄与を示した他は、赤の民間消費、黄色の公的需要、グレーの在庫投資など内需の寄与は1-3月期や4-6月期と大差なく、水色の設備投資はプラスの寄与度を拡大しているのが見て取れます。7-9月期に続いて10-12月期も成長率が減速したのは外需が足を引っ張った結果といえます。

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日経QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比で+0.7%成長、前期比年率で+2.7%成長でしたから、やや物足りない内容といえます。引用した記事にある甘利経済財政担当大臣の発言通り、米国の量的緩和第3弾QE3の縮小に伴う新興国経済の低迷が我が国の輸出の伸び悩みにつながっています。アベノミクスに伴う円高修正もほぼ1年を経て、そろそろJカーブ効果から脱して輸出の増加が期待され、実際に昨年10-12月期は輸出が増加しているんですが、それ以上に原発停止などに起因する燃料輸入の増加により純輸出がマイナス寄与を強めています。期待ほどの成長でなかった対外要因は外需の不振といえます。

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外需が振るわない一方で、10-12月期の成長を牽引したのは内需であり、特に駆込み需要と考えられるのは住宅投資と個人消費です。上のグラフは個人消費のうちの財別消費の伸びをプロットしていますが、10-12月期は7-9月期に続いて大きく耐久消費財が伸びています。非耐久財の消費を抑制して耐久消費財の駆込み需要が生じているようにすら見えます。ですから、1-3月期には保存可能期間に応じて、耐久消費財だけでなく、半耐久財や非耐久財の駆込みも発生する可能性が十分あります。他方、1997年4月からの消費税率の引上げについて参考までに軽く見ておくと、住宅投資は直前の1997年1-3月期にはすでに前期比マイナスとなっており、やっぱり駆込み需要の焦点は消費と考えられます。ちなみに、1996年10-12月期の消費は前期比+1.1%増、1997年1-3月期は+2.1%増の後、消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年4-6月期には▲3.5%減を記録しています。今回、2013年10-12月期の消費はまだ+0.5%増ですから1997年消費税率引上げ前よりも伸びは小さいと考えられます。しかし、1-3月期には消費の伸び率が10-12月期よりも高まることは確実であり、1997年とよく似たパターンをたどる可能性も残されていると私は考えています。

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3枚目のグラフはデフレータの推移です。上のパネルは季節調整していない原系列のデフレータの前年同期比、下は季節調整した系列の指数をそのままプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。消費デフレータや内需デフレータはプラスになったという意味ですでにデフレから脱却しており、昨年年央を底に上昇に転じつつあります。問題はここでも輸入で、控除項目の輸入デフレータの上昇とそもそも輸入のウェイトの増加により、GDPデフレータがもたついていると考えるべきです。消費デフレータ、国内需要デフレータとも、2013年10-12月期には季節調整していない原系列の前年同期比で+0.6%の上昇となっていますので、ラスパイレス指数とパーシェ指数のバイアスを考慮すれば、消費者物価上昇率と整合的であると受け止めています。同時に、日銀が想定するデフレ脱却のパスにも乗っていると私は考えています。

総合的に考えると、1997年の消費税率引上げ時よりも消費の駆込み需要がまだ大きくなく、新興国経済の停滞と原発停止に伴う燃料輸入の増加などから外需が足を引っ張った結果、10-12月期の成長率は市場の事前コンセンサスを下回ったものの、日本経済の姿としては決して悪くなく、デフレ脱却も視野に入りつつある、と私は楽観しています。

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2014年2月16日 (日)

ウェイン・ショーター「ウィズアウト・ア・ネット」を聞く

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ウェイン・ショーター「ウィズアウト・ア・ネット」を聞きました。ブルー・ノートから出ています。どうして聞いたかというと、私が毎月購読しているヤマハの「Jazz Japan」の Award 2013 で Album of the Year を授賞されたからです。去年の今ごろの2月にこのアルバムが出たのは知っていて、それなりに注目しないでもなかったんですが、さすがに80歳を超えるジャズ・プレーヤーですから、なんとなく等閑視していたのが事実です。まさか、昨年の Album of the Year に選ばれるとは想像もしませんでした。収録曲は以下の9曲です。

  1. Orbits
  2. Starry Night
  3. S. S. Golden Mean
  4. Plaza Real
  5. Myrrh
  6. Pegasus
  7. Flying Down to Rio
  8. Zero Gravity to the 10th Power
  9. (The Notes) Unidentified Flying Objects

1曲めはマイルス・デイビスのクインテットのころに録音していますし、4曲めはウェザー・リポートのころの曲です。聴き比べたわけではありませんが、もともと理屈っぽい音楽だった気がしないでもありませんが、さらに線が細いと感じてしまいました。肺活量を必要とされる管楽器奏者の年齢的な限界かもしれません。あるいは、私の方で勝手にそう思って聞いているだけかもしれません。2011年11月27日にソニー・ロリンズの「ロード・ショウズ vol.2」を取り上げましたが、私は元気よく吹くだけがテナー・サックスとは思いませんし、線が細くてもウェイン・ショーターのようにみなぎる緊張感を表現できるジャズ・ミュージシャンはそれほど多くないと思います。下の動画の Orbits は私にとってはもっとも印象的な曲のひとつでした。

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2014年2月15日 (土)

今週の読書はダン・ブラウン『インフェルノ』と東野圭吾『疾風ロンド』

今週読んだ新刊書は、以下の2冊、ダン・ブラウン『インフェルノ』と東野圭吾『疾風ロンド』です。

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まず、ダン・ブラウン『インフェルノ』(角川書店) 上下です。ハーバード大学ラングドン教授シリーズ第4作です。私はこのシリーズの前作、すなわち、発売順に、『ダ・ヴィンチ・コード』、『天使と悪魔』、『ロスト・シンボル』の3作は全て読んでいます。舞台はパリ、バチカン、ワシントンとラングドン教授の冒険大活劇が繰り広げられ、この作品ではフィレンツェ、ヴェネツィア、コンスタンティノープルとなります。経済学者として著名なマルサスの『人口論』の信奉者である遺伝子科学者がとんでもないウィルスを作り出し、ダンテ『神曲』の心酔者ですので、『神曲』に従ったラングドン教授の謎解きが楽しめます。ただし、ラストは日本的ともいえるあいまいな結末となります。007のボンド・ガールならぬ、今回のラングドン・ガールは32歳の女医なんですが、彼女の立場もあいまいです。さらに、終盤のどんでん返しはありますが、ストーリーは地味です。シリーズの中ではもっとも地味といえます。また、我孫子武丸の『殺戮にいたる病』と同じく、読者の方で人物を読み違えるように作者が意図的にトリックをしかけています。読みこなせればさらに面白いでしょう。
下の動画は出版社のプロモーション・ムービーです。

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次に、東野圭吾『疾風ロンド』(実業之日本社文庫) です。これはシリーズかどうか不明ながら、同じ出版社の前作『白銀ジャック』とともにこの季節らしいスキー場を舞台にしたミステリです。とても深刻な生物兵器に転用されかねない病原菌を発見して回収するストーリーなんですが、その回収の任に当たった科学者がかなりのんきというか、ある意味で「鈍臭い」人物なので、ユーモラスな物語の進み方をします。最後の締めくくりも笑えます。出版社が強調するようなスピード感がないとはいいませんが、むしろ、コミカルなキャラの主人公を配した作者の意図を汲むべき作品だという気がします。下のムービーはやっぱりPR動画です。

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2014年2月14日 (金)

2013年10-12月期のGDPは消費税率引上げ前の駆込み需要で成長が加速!

必要な経済指標がほぼ出尽くし、来週月曜日の2月17日に今年2013年10-12月期GDP速報1次QEが内閣府より発表されます。各シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で、先行き経済の動向に関する記述を取っているつもりです。一応、明示的に先行きに言及しているのは、日本総研、大和総研、みずほ総研、伊藤忠経済研であり、ほとんどが1-3月期に駆込み需要で10-12月期以上に成長が大きく加速するという内容です。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.6%
(+2.3%)
2014年1-3月期を展望すると、内需が引き続き底堅く推移するほか、消費税率引き上げを直前に控えて、自動車など耐久消費財を中心に駆け込み需要も本格化し、成長率は一段と加速する見通し。ただし、外需については、国内需要の拡大に伴う輸入増に加えて、新興国企業のキャッチアップによる市場シェア喪失や、生産拠点の海外シフトを背景に、円安による輸出押し上げ効果が顕在化しにくいため、景気けん引力は限られる見込み。
大和総研+0.7%
(+2.8%)
2014年1-3月期についても、内需を中心とした成長が継続することが見込まれる。2014年4月の消費税増税を前に、駆け込み需要が本格化することで、個人消費は増勢を強める見込みである。住宅投資は駆け込み需要の一巡により減速するとみているものの、設備投資は拡大が続く見込みである。輸出についても、緩やかな景気の回復が続くEU向けや米国向けが増加に寄与することで、成長を下支えするだろう。2014年1-3月期の成長率は、さらに加速する見込みである。
みずほ総研+0.7%
(+2.8%)
1-3月期の成長率は、年率+3%台に高まると予想している。4月の消費増税を前に自動車以外でも駆け込み需要が顕在化することで、個人消費が大幅に増加すると予想される。業績回復を受けて設備投資も増勢を維持するだろう。他方、景気対策関連の事業執行が剥落し、公共投資は減少に転じると予想される。円安・海外景気の緩やかな回復を背景に輸出は回復が続くが、駆け込みの影響から輸入も増加するため、外需はマイナス寄与が続くだろう。1-3月期は公需や外需が低迷する中で、引き続き駆け込み需要の追い風を受ける民需中心の成長が見込まれる。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.8%)
2014年1-3月期は、外需は引き続き成長率の押し下げ要因となるものの、設備投資の持ち直しが明確となる中、個人消費が駆け込み需要を主因として極めて高い伸びとなることから、成長ペースが大きく加速する可能性が高い。
第一生命経済研+0.5%
(+2.0%)
7-9月期の前期比年率+1.1%から伸びが高まるとみられ、日本経済が順調に回復を続けていることが示される見込み。個人消費が伸びを高めることに加え、設備投資も持ち直し、公共投資と住宅投資も大幅に増加するとみられる。好調な内需が成長率を押し上げるだろう。
伊藤忠経済研+0.7%
(+3.0%)
2014年1-3月期には、2013年10-12月期の構図がより鮮明化し、かつ成長ペースが加速する。まず、公共投資は先行指標のピークアウトが鮮明であり、1-3月期は小幅減少へ転じる可能性が高い。一方、駆け込み需要がピークへ達し、1-3月期の個人消費は更に大きく押し上げられる。10-12月期までは耐久財が中心だったが、1-3月期には耐久財のみならず、春物衣料などの半耐久財や賞味期限の長い食料などの非耐久財、更には年間パスの購入などのサービス消費にも駆け込み購入の動きが広がる。また3月末までの引き渡しなどを目指し、住宅投資も高水準が続く。設備投資の伸びも徐々に高まるだろう。一方、輸出については、世界経済の拡大が追い風となるものの、企業の海外生産重視姿勢が変わらないため、顕著な増勢の加速は期待し難い。以上を踏まえ、当社は現時点で2014年1-3月期の成長率を前期比年率6%程度と想定している。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+1.0%
(+4.1%)
10-12月期は外需が引き続きマイマスに寄与したとみられるものの、消費税率引上げ前の駆け込み需要が発生した個人消費や住宅投資の増加が、外需の落ち込みを上回った模様だ。公共投資も増加ペースが鈍化するものの、前期比プラスは維持したとみられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.2%)
2013年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.2%)となったと見込まれ、景気持ち直しが続いていることを確認する結果となろう。中でも高い伸びが見込まれるのが個人消費と設備投資である。公共投資も引き続き増加しており、この結果、内需の寄与度は+1.0%まで高まったと予想される。一方、輸出が緩やかな伸びにとどまった半面、輸入は順調に増加しており、外需寄与度は前期比-0.5%と2四半期連続で大きめのマイナスとなったと見込まれる。
三菱総研+0.5%
(+2.1%)
2013年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.5%(年率+2.1%)と5四半期連続のプラス成長を予測する。消費や設備投資など民需の回復を背景に、成長の再加速を見込む。

私の実感としては、10-12月期は前期比年率で+2%成長くらい、上のテーブルに収録した中では、ニッセイ基礎研の+1.8%が下限で、日本総研の+2.3%が上限、第一生命経済研の+2.0%が中位といった感触だと考えています。+2%代後半は少しがんばり過ぎのような気がします。ただし、私の見込みよりも外需のマイナス幅が小さければ+2%台後半もあり得るかもしれません。さらに、足元の1-3月期について考えれば、10-12月期よりも成長率としては加速することは明らかです。いうまでもなく、4月から実施される消費税率の引上げにより反動減が見込まれます。駆込み需要とその反動の量的側面を考えれば、直感的にGDP比で1%近い額、すなわち、3-4兆円と私は予想しています。もっとも、直感ですから、定量的な根拠は希薄です。最後に、下のグラフは上限と称した日本総研の予想に基づくGDP成長率の推移です。ご参考まで。

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2014年2月13日 (木)

+2%台半ばを続ける企業物価の上昇はホンモノか?

本日、日銀から今年1月の企業物価指数 (CGPI) が発表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.4%と、10か月連続でプラスを記録し、そのうち、昨年10月から4か月連続でほぼ+2%台半ばの上昇率水準を維持しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月国内企業物価、10カ月連続プラス 円安で高水準続く
日銀が13日発表した1月の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報値)は102.9と、前年同月比で2.4%上昇した。円安基調やエネルギー価格の高止まりを背景に、10カ月連続でプラスとなった。
企業物価指数は出荷や卸売りの段階など企業間で取引する製品の価格水準を示す。全820品目のうち、前年同月比で上昇した品目数は406、下落した品目は287と5カ月連続で上昇品目数が下落品目数を上回った。
内訳では製材・木製品や石油・石炭製品の価格が高水準を維持。住宅投資増に伴う旺盛な建材需要に支えられ鉄鋼が上げ幅を拡大した。自動車向けの部品が一部で値上げされたことに伴い、プラスチック製品も前年同月比で1.0%上昇した。
一方で、豚肉や牛肉などは年末の需要がなくなり、農林水産物は上昇幅を縮小した。鉄くずなどスクラップ類も上昇が一服した。
円ベースで輸入物価は12.7%上昇したほか、輸出物価も7.9%上昇した。

いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの企業物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルは国内と輸出入別の前年同月比上昇率を、下のパネルは需要段階別を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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1月の企業物価で注目すべきは、輸出入物価の上昇率が低下したことではなかろうかと私は考えています。すなわち、12月のCGPIまでは円安が牽引した物価上昇であり、その代表が上のパネルの輸出入物価と下のパネルの素原材料物価の上昇だったんですが、1月になって為替の円安への動きが一服したことなどから、上昇率が低下しています。もちろん、まだ上昇率そのものは国内物価や最終財物価に比べて高いんですが、それでも、一例としてあげれば、輸出入物価や素原材料物価の前年同月比上昇率が昨年12月から今年の1月にかけて、ほぼ5%ポイントも低下したにも関わらず、国内物価や最終財物価への波及はそれほど大きくなく、いずれも前年同月比上昇率で+2%台の水準を維持しました。もちろん、輸入物価から国内物価へ、また、素原材料物価から中間財物価や最終財物価へ、一定の波及ラグはあり得るんでしょうが、最近ではIT技術の進歩などに従って在庫管理の適正化が進んでおり、波及ラグは一昔前ほど大きくないと私は考えており、いわゆる川上の物価上昇率が低下したにもかかわらず、川下の物価がさほど下がっていませんから、需給ギャップなどの実体経済に応じた物価上昇が実現されつつあると、私なんぞは期待を膨らませています。もっとも、実体経済の改善の一定の部分は、4月からの消費税率の引上げを前にした駆込み需要でしょうから、「実体経済」と表現しつつ、実は、ある程度の、私の目算ではGDP比で0.5%から1%近い仮需が発生しているという事実については認識しておくべきです。

最後に、物価については、企業物価にせよ、消費者物価にせよ、1月31日付けのエントリーで表明した通り、4月からの消費税率の引上げという撹乱要因はあるものの、日銀の想定するインフレ目標とそれに達するまでの物価上昇シナリオに沿った整合的な動きであることは忘れるべきではありません。

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2014年2月12日 (水)

12月に大きなマイナスを記録した機械受注の今後の動向やいかに?

本日、内閣府から12月の機械受注統計の結果が発表されています。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は季節調整済の系列で7441億円、前月比▲15.7%減となりました。大きく増加した11月受注からの反動ながら、それにしても大きなマイナスと受け止められています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、12月15.7%減 1-3月見通し2.9%減
内閣府が12日発表した2013年10-12月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は2兆4339億円となり、08年7-9月期(2兆6117億円)以来の高水準だった。前期と比べると1.5%増え、3四半期連続のプラスとなった。
主な機械メーカー280社が非製造業から受注した金額は7.5%増えて1兆5158億円となり、2四半期ぶりに増加した。金融・保険業や卸売・小売業からコンピューターの受注が増えたほか、建設業から建設機械や運搬機械の需要が旺盛だった。
製造業からの受注は0.6%増の9802億円と3四半期連続のプラスだった。一般機械業から工作機械や運搬機械、化学工業からボイラーやタービンといった火水力原動機の受注が活発だった。
新たに公表した14年1-3月期の「船舶・電力を除く民需」の受注見通しは2.9%減の2兆3622億円。4四半期ぶりのマイナスだが前年同期の実績は1割上回る。内閣府は「受注額の水準としてはそう低くない」とみている。製造業は1.8%減、非製造業は5.9%減を見込む。
併せて発表した13年12月の機械受注統計は「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)が前月比15.7%減の7441億円だった。マイナスは3カ月ぶりで、統計が遡れる2005年4月以降で最大の減少率だった。
船舶・電力を除いた非製造業からの受注は17.2%減の4557億円と3カ月ぶりのマイナス。製造業からの受注も17.3%減の2926億円と2カ月ぶりに減少した。
ただ鉄道車両や火力原動機など、11月に好調だった機械の反動減の要因が大きいといい、内閣府は前月の「増加傾向にある」との基調判断を据え置いた。そのうえで「12月の実績は大きく減少した」との表現を追加した。

いつもの通り、いろんなことをとても適確に取りまとめた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、毎度のお断りで、直近の景気の谷は2012年11月であると仮置きしています。

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毎月の変動の大きな統計ですから評価は難しいところではあるものの、11月の前月比+9.3%増の後の12月が▲15.7%減ですから、最近2か月をならしてもマイナスですし、しかも、日経QUICKによる市場の事前コンセンサスの▲4.1%減を大きく割り込んでいますので、やや大きなマイナスとネガな雰囲気を持って私は受け止めました。ですから、引用した記事の最後のパラにある通り、統計作成官庁の内閣府でも基調判断を「増加傾向にあるものの、12月の実績は大きく減少した」と表現しました。もちろん、引用した記事にもある通り、10-12月期の四半期で見れば3四半期連続の前期比プラスですし、受注水準もかなり高くなっており、決して悪い結果でもないことも事実です。従って、最初に書いた結論に戻りますが、12月統計の評価は難しいところです。ならして10-12月期は+1.5%増のプラスとはいうものの、足元1-3月期の受注見通しは▲2.9%減ですから、消費税率の引上げの後の4-6月期以降も含めて、もっと長い目で観察したいと思います。いうまでもなく、GDPベースの設備投資も注目です。

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12月統計が発表され、四半期のデータが利用可能になりましたので、私がいつも注目している達成率のグラフを書きました。上の通りです。経験則から90%ラインを超えると景気転換点といわれていますが、7-9月期の99.1%から少し落ちたものの、10-12月期でも97.6%を記録していますので、これまた、決して悪い結果ではないと受け止めています。コア機械受注そのものは12月統計はややネガな受止めでしたが、コチラの達成率はややポジな印象です。いずれにせよ、評価は難しいところです。

最後に繰返しになるものの、機械受注は毎月の振れの大きな統計ですので、12月単月で大きく落ちたとはいえ、すぐに評価を下すのは難しいと私は考えています。従って、4月の消費税率引上げ以降も含めて、今後の設備投資の動向を長い目で見て占いたいと思います。タイトルの「今後の動向」は、分からないということなのかもしれません。

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2014年2月11日 (火)

先週の読書から

そろそろ年度末の仕事の忙しさに突入しつつあり、読書の時間が減っているような気もしますし、余り魅力的な新刊書が借りられないという事情もあり、やや読書は停滞気味です。先週に読んだ新刊書は以下の2冊です。

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まず、浜田宏一『アベノミクスとTPPが創る日本』(講談社) です。第1部でアベノミクスに、第2部でTPPにそれぞれ焦点を当てています。非常にオーソドックスな世界標準の経済学を説き、金融政策によるマクロ経済の成長と安定化、自由貿易の進展という余りに理論的にサポートされまくった政策、それぞれ20ずつ、計40のQ&Aで日本経済の将来を解き明かしています。専門的な分析は見られませんが、それを物足りないと思うか、理論的というよりも直感的な解説を受け入れるか、読者の判断に委ねられていると私は受け止めました。少なくとも学術書や専門書ではありません。

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次に、マリー・クヮント『マリー・クヮント』(晶文社) です。一応、自伝という形を取っています。80歳近いおばあさんにしては、自慢話が少ない気もしますが、それだけ自然に自慢話をされているのかもしれません。マリー・クヮントは1960年代にミニスカートを流行らせたデザイナーとして有名ですが、1960年代って世界中のほとんどの先進国にとって「良き時代」だったんだろうと思います。最後に、男性読者の立場から本書を読むに当たって、最低限のファッション用語はネット検索するなりして理解しておいた方がいいとアドバイスしておきます。

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2014年2月10日 (月)

下降が始まった景気ウォッチャーと消費者態度指数、黒字が縮小して赤字になりそうな経常収支

本日、内閣府から景気ウォッチャー調査と消費者態度指数が、また、財務省から経常収支が、それぞれ発表されています。景気ウォッチャーと消費者態度指数は今年1月の統計であり、経常収支は昨年12月です。景気ウォッチャーは供給サイドのマインドを、消費者態度指数は需要サイドのマインドをそれぞれ代表する統計であり、いずれも4月からの消費税率引上げを前に急降下を示しています。2013年の経常収支は比較可能な範囲で史上最低の黒字まで縮小しました。最近の12月までの月次統計ではマイナスを記録することもめずらしくありません。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトからそれぞれの統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

1月の街角景気、3カ月ぶり悪化 消費増税控え、反動減に懸念
内閣府が10日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比1.0ポイント低下の54.7となり、3カ月ぶりに悪化した。4月の消費税率の引き上げを前に自動車や家電製品で駆け込み需要がみられる一方で反動減を懸念する声が出た。飲食業など一部の業種では節約の動きがみられた。
家計分野では「常連客の客単価が低下していたり、月曜から水曜にかけて来客数が減っていたりなど、細かく見ると買い控えの動きが始まっているようだ」(北海道の高級レストラン)といった指摘があった。企業分野で「原材料などが7-8%くらい値上がりしており、いまだに価格転嫁できずにいる」(北関東の食品製造業)といった声もあがった。
好不況の分かれ目となる50は12カ月連続で上回っている。内閣府は前月までの「緩やかに回復している」との基調判断を維持した。その上で「ただし、先行きについては、消費税率引き上げ後の需要の反動減などの影響が見込まれる」との文言を付け加えた。
2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は5.7ポイント低下の49.0と2カ月連続で悪化した。マイナス幅は東日本大震災の起こった2011年3月(20.6ポイント低下)以来の大きさで、指数は12年11月以来14カ月ぶりに50を下回った。
消費増税後に関しては「予想以上に駆け込み需要が大きく、4月以降は反動減で厳しい状況になる」(九州の自動車販売店)、「消費増税による国内消費の落ち込みと、中国経済の成長鈍化を受けて円高が進行し、輸出にも影響が出るおそれがある」(中国の鉄鋼業)といったコメントがあった。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は91.5%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。
消費者態度指数、1年1カ月ぶり低水準 1月40.5
増税後の買い控えにらむ

内閣府が10日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.8ポイント低下の40.5となり、2012年12月(39.9)以来1年1カ月ぶりの低水準だった。悪化は2カ月連続。同調査は今後半年間の暮らし向きなどを聞くため、4月の消費増税後に耐久消費財を買い控えようとする心理が働いたことが影響したもよう。内閣府は基調判断を前月の「足踏みがみられる」に据え置いた。
指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」がマイナスだった。「耐久消費財の買い時判断」は4カ月連続で低下し、東日本大震災直後の11年5月以来2年8カ月ぶりの低水準で推移した。「収入の増え方」では所定内給与の減少が響いた。
一方「雇用環境」は3カ月連続で上向いた。13年12月の有効求人倍率が1.03倍と6年3カ月ぶりの高水準だったことなどを映した。
1年後の物価の見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)は1.0ポイント上昇の89.4%と3カ月ぶりに増えた。9割程度の世帯が上昇すると見込んでおり、04年4月以降で最も高かった13年10月(89.5%)に次ぐ高い水準となった。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は1月15日で、有効回答数は5676世帯(回答率67.6%)だった。
13年の経常黒字、最小の3兆3061億円 貿易赤字は最大
財務省が10日発表した2013年の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は3兆3061億円の黒字だった。黒字幅は前年に比べ31.5%縮小し、現行基準で比較可能な1985年以降では12年(4兆8237億円の黒字)を下回り最小だった。円安を背景に海外投資の見返りである所得収支の黒字幅は過去最大となったが、原粗油など燃料輸入が高水準で貿易赤字が過去最大となったことが影響した。
貿易・サービス収支は12兆2349億円の赤字で、過去最大を更新した。貿易収支は輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで10兆6399億円の赤字。3年連続の赤字で、赤字幅は12年(5兆8141億円)を上回り過去最大だった。円安を背景に輸出額は前年比9.0%増の66兆9694億円で3年ぶりに増えた。米国向けの自動車や中国向けペットボトル原料などの有機化合物が増えた。一方で輸入額は15.4%増の77兆6093億円。4年連続で増え、過去最大となった。燃料に加え光電池など半導体等電子部品やスマートフォンなど通信機輸入が増えた。旅行や輸送動向を示すサービス収支は1兆5950億円の赤字だった。
所得収支は16兆5318億円の黒字で、前年より黒字幅は15.8%拡大した。3年連続の拡大で、黒字幅は07年(16兆4670億円)を上回り過去最大だった。企業の海外事業投資の見返りである直接投資収益と、配当金や利子など証券投資収益がともに増えた。
円相場は1ドル=97.71円で、前年比22.5%の円安(インターバンク直物相場・東京市場中心値の月中平均レート)だった。
併せて発表した13年12月の経常収支は過去最大となる6386億円の赤字だった。赤字は3カ月連続。赤字が3カ月連続となるのは12年11月-13年1月以来となる。貿易・サービス収支は1兆4450億円の赤字で、12月としては過去最大だった。赤字は21カ月連続で、赤字幅は前年同月に比べ6244億円拡大した。うち貿易収支は1兆2126億円の赤字で、12月としては過去最大。輸入額は7兆726億円で過去最大だった。サービス収支は2324億円の赤字だった。
所得収支の黒字は前年同月比24.1%増の8843億円で、4カ月連続で増えた。直接投資収益、証券投資収益ともに増加した。季節調整済みの経常収支は1967億円の赤字で、4カ月連続の赤字だった。

いずれもとてもよく取りまとめられた記事なんですが、さすがに、3本の統計の記事を並べると、もうおなかいっぱい、という気もします。次に、景気ウォッチャーの現状判断DI及び先行き判断DIと消費者態度指数のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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グラフのうち、上のパネルの景気ウォッチャーの先行き判断DIが大きく低下しているのが見て取れます。消費者態度指数は昨年9月をピークに一貫して低下を示しています。台風だ何だとマインド低下の理由を探していましたが、やっぱり、10月の消費税率引上げ判断が需要サイドの消費者マインドに影を落としていると考えられます。供給サイドのマインドである景気ウォッッチャーはその消費税率引上げ前の駆込み需要で潤って来たんですが、さすがに、先行き判断DIの「2-3か月先」というレンジに4月の消費税率引上げが入るようになって急落しました。結果として、景気ウォッチャーの現状判断DIはまだ50を超えているものの、先行き判断DIは1月で50を割り込みました。このところ一貫して低下を続けている消費者態度指数について統計作成官庁の内閣府は引き続き「足踏みがみられる」との基調判断を示し、景気ウォッチャーについても長ったらしく、「景気は、緩やかに回復している。ただし、先行きについては、消費税率引上げ後の需要の反動減等の影響が見込まれる」とまとめています。しかし、グラフなどは示しませんが、消費者態度指数でも景気ウォッチャーでも、1月統計で雇用に関するマインドは改善を示しており、他のコンポーネントと相対的に見ても、雇用については非常に高い水準をキープしています。ですから、短期的に足元で消費税率の引上げによる落ち込みがあっても、雇用が堅調であればマインドは再び改善に向かう可能性が十分あると私は楽観しています。

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続いて、上のグラフは経常収支の年別の推移です。1985年から一貫して経常黒字を記録しているんですが、昨年2013年はその黒字幅は比較可能な過去の統計の中でもっとも小さくなりました。上に引用した記事にもある通り、+3.3兆円の黒字です。上のグラフを見て明らかな通り、リーマン・ショック前の2007年にピークをつけた後、2008-09年と黒字幅が縮小し、2010年にはいったん黒字を拡大したものの、2011年の震災からは傾向的に経常黒字は縮小しています。所得収支は昨年よりも黒字幅を拡大していますので、経常収支の黒字縮小の要因としては、貿易赤字が上げられます。原発停止に伴う燃料輸入の増加、新興国経済の発展や円高に起因する海外生産の進展にともなう産業空洞化、などが貿易赤字に、ひいては経常黒字の縮小に寄与していると考えられます。ただし、私は経常赤字はメディアで騒ぎ立てているほどには懸念していません。それよりも、レーガン政権下の米国のような「双子の赤字」が将来に渡って構造的に解消されないとすれば、すなわち、円安が進んでもかつての弾力性ペシミズムのように貿易赤字の縮小が見られなければ、高齢化に伴う我が国経済の貯蓄不足や過剰消費などが構造問題として浮かび上がる可能性があります。私自身は消費税率の引上げは気乗りしないんですが、政府赤字の縮小もアジェンダに取り込む必要が強まるかもしれません。
最後に下のグラフはいつも通りの月次の経常収支を青い折れ線グラフで示し、その内訳を積上げ棒グラフでプロットしてあります。データは季節調整済の系列なんですが、ここ数か月は経常赤字を連続して記録しているのが見て取れます。

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2014年2月 9日 (日)

東京都知事選挙の開票速報始まってすぐ当選確実が出る

さきほど、NHKで8時から始まった東京都知事選挙の開票速報を見始めると、何と、いきなり舛添候補の当選確実が出てしまいました。それにしても、投票率の低さには驚きました。もちろん、私は投票に行きましたが、昨日の雪の影響もあったんでしょうか。

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2014年2月 8日 (土)

東京では、というか、全国的に大雪!

今日は朝から、ものすごい大雪でした。7時のNHKニュースでは「東京では16年振りの大雪」と表現していました。ということは、我が家の下の倅にとっては、人生で最大の大雪なのかもしれないと思ったりしてしまいました。
私の海外生活は、公式には、南米チリの首都サンティアゴで大使館勤務の経済アタッシェとインドネシアの首都ジャカルタでの開発援助で国家開発庁での計量モデルの経済協力、ということになっていて、サンティアゴは南緯を北緯に引き直せば、ほぼ福岡並みということで、雪はほとんど降りませんでしたし、ジャカルタは南緯7度ですから赤道直下の熱帯です。もちろん、雪は降りません。ただし、短期間で海外勤務にはカウントしていないながら、バブル真っ最中の1989年の冬は2か月ほど米国の首都ワシントンで連邦準備制度理事会 (FED) のリサーチ・アシスタントをして、やっぱり、計量モデルをオペレーションしていた経験があります。
さすがに、2月の米国東海岸は寒かったです。私は毎日のようにABCのニュースと天気予報を見ていたんですが、華氏を摂氏に換算すれば、最高気温が0度に届かず、すなわち、1日中氷点下で、最低気温はマイナス20度近くある日もめずらしくありませんでした。ウィスコンシン通りから少し入ったジョージ・タウンに住んで、ウィスコンシン通りの先にあるメリーランド州のフレンドシップ・ハイツとワシントン市内のダウンタウンを結ぶバスで FED に通勤していました。ウィスコンシン通りは北に向かって緩やかに上り坂になっている、というか、南のポトマック川に向かって下り坂になっているんですが、メチャメチャ寒くて路面が凍結した朝に、まったくコントロールの効かない自動車がゆっくりと回転しながら南に滑って行くという恐ろしい場面も見たりしました。たぶん、人生で最大に寒かった日のうちのひとつの体験だったのかもしれないという気がします。また、私は手が小さいので手袋を重ねてはめていたことを覚えています。手袋なしでの外出は考えられませんでした。なお、寒い冬の気候とは何の関係もないんですが、ちょうど私がワシントン勤務をしているころ、官庁街のフォギー・ボトム近くにタワー・レコードが出来て、リサーチ・アシスタント仲間で繰り出した記憶があります。

どうでもいいことながら、とても久し振りに、「海外生活の思い出の日記」に分類しておきます。

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米国雇用統計のグラフィックス

昨日2月7日、米国の労働省から1月の米国雇用統計が発表されています。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+113千人の増加にとどまった一方で、失業率は0.1%ポイント低下して6.6%になりました。いずれも季節調整済みの統計です。まず、New York Times のサイトから記事の最初の5パラを引用すると以下の通りです。

Jobs Report May Raise Questions on Pullback of Stimulus
Employers added jobs at a slower-than-expected pace in January, the second month in a row that hiring has been disappointing and a sign that the labor market remains anemic despite indications of growth elsewhere in the economy.
Payrolls increased by 113,000, the Labor Department reported Friday morning, well below the gain of 180,000 that economists expected. The unemployment rate, based on a separate survey of households that was more encouraging, actually fell by a tenth of a percentage point, to 6.6 percent.
The data for January come after an even more disappointing report on the labor market for December, which was revised upward only slightly Friday, to show a gain of just 75,000 jobs, from 74,000. The level of hiring in January was also substantially below the average monthly gain of 178,000 positions over the last six months, as well as the monthly addition of 187,000 over the last year.
The two weak months in a row will prompt questions about whether the Federal Reserve acted prematurely when policy makers in December voted to begin scaling back the central bank's expansive stimulus efforts.
The new data is not expected to alter the Fed's course, economists said, but another poor report on hiring next month might force policy makers to rethink their plan when they next meet in late March.

まずまずよく取りまとめられている印象があります。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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まず、上のパネルの雇用者数の増減ですが、1月は+113千人ですから、市場の事前コンセンサスであった170千人を下回り、雇用の改善のひとつの目安とされる200千人にも、もちろん、達しませんでした。他方で、失業率は労働市場からの退出もカウントされるため、0.1%ポイント低下して6.6%を記録しました。リーマン・ショック当時の2008年10月と同じ水準です。仏果と雇用のデュアル・マンデートを課された米国連邦準備制度理事会 (FED) が目標とする6%台半ばに肉薄しています。雇用者数が伸びなかったのは記録的な寒波の生産や物流への悪影響もありますし、失業率の低下などを含め、総合的に見て、市場関係者などからは物足りないという意見も聞かれるようですが、私はまずまず米国雇用は堅調と見なして差し支えないと考えています。

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6%台半ばまで低下した失業率以外に、私が堅調と考えるもうひとつの根拠は、米国労働省の統計とADP統計の乖離が大きくなっていて、ADP統計ではかなり雇用の増加が進んでいる点です。上のグラフの通りです。昨年12月と今年の1月、米国労働省の雇用者統計では民間部門は+89千人増、と+142千人増にとどまっていますが、ADPではいずれも+283千人増を記録しています。ADP統計が大きすぎるきらいはあるものの、米国労働省の雇用統計に現れているほど米国の雇用は低調ではない可能性があるような気もします。もっとも、これは確認のしようがなく、エコノミストとしての感触という以外にはありません。

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最後に、日本の経験も踏まえて、また、現在の欧州中央銀行のスタンスも参考に、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見てほぼ底ばい状態が続いている印象で、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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2014年2月 7日 (金)

リーマン・ショック直前の水準に戻った景気動向指数は景気の拡大を示す!

本日、内閣府から昨年12月の景気動向指数が発表されました。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は前月から+1.0ポイント上昇して111.7を、CI先行指数も+1.1ポイント上昇して112.1を、それぞれ記録しています。消費税率引上げ前の駆込み需要に支えられているとはいえ、統計からは景気は順調に回復・拡大しているように見えます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数、5年7カ月ぶり高水準 先行も6年10カ月ぶり
内閣府が7日発表した2013年12月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.0ポイント上昇の111.7と、08年5月(113.5)以来5年7カ月ぶりの高水準だった。
中小の製造業で電気機械や一般機械の出荷が増えたほか、電子部品・デバイスをはじめとした幅広い業種で生産が伸びたことも指数を押し上げた。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を最上位の「改善を示している」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は1.1ポイント上昇の112.1。07年2月(112.1)以来6年10カ月ぶりの高水準だった。
景気に数カ月遅れる遅行指数は1.0ポイント上昇の115.1だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数、先行指数とも88.9だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は2012年11月だったと仮置きしています。

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引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府は基調判断を「改善」で据え置いています。12月のCI一致指数では、中小企業出荷指数(製造業)と有効求人倍率がプラスに大きく寄与している一方で、マイナスに寄与している指標としては商業販売額(小売業)の前年同月比と耐久消費財出荷指数が上げられています。このマイナス寄与の2指標だけを見ると消費税率引上げ前の駆込み需要が発生していないようですが、12月の時点では駆込みが一服していただけではなかろうかと私は受け止めています。また、引用した記事にもある通り、CI一致指数と先行指数は一昨年のミニ・リセッション前の水準を超えてリーマン・ショック直前の水準に戻しています。グラフを見ても分かる通り、決して、リーマン・ショック前の最高水準を回復したわけではありませんし、景気動向指数は鉱工業生産指数のように付加価値額や何らかの経済活動のスケールを示す指標ではありませんが、駆込み需要の要因があるとはいえ、景気はかなり拡大を示していることは事実と考えるべきです。

経済政策の目標変数には必ずしもなりませんが、米国金融政策の量的緩和縮小に起因する新興国経済の不安から世界中で株価が下落しています。今週後半に底入れした気配もありますが、ようやく景気が回復局面に入りつつある欧州や消費税率引上げを控えた我が国にとっては気になるところです。ある意味では、まだまだ米国経済の世界におけるプレゼンスが大きい点を改めて知らされた気がしています。

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2014年2月 6日 (木)

今年の桜の開花やいかに?

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昨日、日本気象協会から今年2014年の桜の開花予想が発表されています。日本気象協会のサイトから引用した上の画像の通りです。東京は開花が3月29日ころ、見ごろは4月はじめといったところでしょうか。東京の最近10年では3番目に遅い開花だそうで、やっぱり、今年の冬は寒いんだということを実感しました。

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インテージ「2014年ソチオリンピックに関する意識調査」に見る注目の競技と選手やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、1月29日にネットリサーチ大手のインテージから「2014年ソチオリンピックに関する意識調査」と題する調査結果が明らかにされています。タイトル通りの内容です。まもなく始まる冬季オリンピックをいかに楽しむか、簡単に注目の競技と選手を取り上げたいと思います。まず、調査結果のポイントを7点、インテージのサイトから引用すると以下の通りです。

調査結果のポイント
  1. ソチオリンピックに"興味・関心"がある人は 54.8%
  2. "興味・関心"がある理由は、「日本選手の活躍が期待できそうだから」、「オリンピックが好きだから」
  3. 注目競技トップ2は「フィギュアスケート」と「スキージャンプ」
  4. 応援したい選手・チームは、1位「浅田真央」、2位「高梨沙羅」、3位「高橋大輔」
  5. 日本のメダル獲得数は、50.8%が「4-6個」と予想
  6. ソチオリンピックの観戦は、66.0%が自宅のテレビで生中継
  7. 今大会からフィギュアスケート団体戦が新種目になったことは37.4%が知っている
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縮小したのでやや見づらいんですが、上の図表は「注目している競技・セレモニー」の回答結果です。左から2番目のジャンプと真ん中やや左寄りのフィギュアスケートが50%を上回っています。この2競技からかなり遅れて、スピードスケートとカーリングが20%を上回っています。一見したところ、やっぱり、注目するのは日本人選手がメダルを取れそうな競技だという気がします。

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上の表は「応援したい選手・チーム」です。コチラもメダルに手が届きそうな選手を応援する傾向がありそうです。フィギュアスケートの浅田真央選手とジャンプの高梨沙羅選手に50%を超えるサポートが集まっています。トップテンのうち、6人が男女のフィギュアスケート選手というのは、やっぱり、華やかな競技はトクだという気がします。

何はともあれ、
がんばれニッポン!

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2014年2月 5日 (水)

毎月勤労統計と雇用者のお給料と企業家のアニマル・スピリット

本日、厚生労働省から12月の毎月勤労統計が発表されています。ヘッドラインとなる製造業の所定外労働時間が増産により季節調整済みの系列で前月比+0.5%増加し、残業が増加した影響で賃金給与総額は前年同月比で+0.8%増の544,836円と2か月連続でプラスを記録たものの、所定内給与は▲0.2%減で長らく前年同月比マイナスを続けています。まず、統計について報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

現金給与総額、最低水準で横ばい 13年31万4150円
12月は0.8%増

厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、残業代やボーナスを含めた2013年の従業員1人当たり現金給与総額(月平均)は31万4150円で、現行の調査方法になった1990年以降で最低だった12年と同水準だった。景気回復を背景に残業代やボーナスが増えたが、賃金水準の低いパートタイム労働者の比率が高まり、全体を押し下げた。現金給与総額が横ばいで、物価が上昇したため、物価変動の影響を考慮した「実質賃金」は0.5%減った。
調査は従業員5人以上の約3万3000事業所が対象で、現金給与総額はピークだった97年の37万1670円を5万7520円下回った。
現金給与総額を就業形態別でみると、正社員などフルタイムで働く一般労働者は40万4743円で前年比0.7%増えた。一方、パートは9万6630円と0.6%減った。労働者全体に占めるパートの割合は0.6%増の29.4%で過去最高を更新した。
ボーナスなど特別に支払われた給与は企業収益の改善から2.1%増の5万3715円と2年ぶりに増えた。一方、基本給や家族手当などの所定内給与は0.6%減の24万1338円と8年連続で減った。
併せて発表した13年12月の現金給与総額は前年同月比0.8%増の54万4836円と2カ月連続で増加した。所定内給与は0.2%減ったが、冬のボーナスなど特別に支払われた給与が1.4%増え、所定外給与も4.6%増えた。製造業の所定外労働時間は12.8%増えた。

2013年を通じた年次統計にやや偏った印象はあるものの、いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。影をつけた期間は景気後退期であり、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月と仮置きしています。

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12月統計の大雑把な印象は、上のグラフの通り、景気に敏感な所定外労働時間が着実に増加し、ボーナスなども含めた現金給与総額は11月からプラスに転じた一方で、所定内賃金は長らく前年同月比でマイナスを続けています。もっとも、そのマイナス幅は縮小に向かっているように見えます。しかし、上昇している現金給与総額についても、消費者物価が前年同月比で+1.0%超のインフレの達しているわけですから、物価でデフレートした実質賃金はマイナスです。
アベノミクスによる脱デフレ戦略に添って雇用と賃金の動向を考えると、以下の2段階になることが容易に想像できます。すなわち、第1段階で、タイムラグの関係で賃金よりも物価の上昇の方が先行して、まず、実質賃金が低下して量的な雇用の増加が生じます。続いて第2段階で、景気の回復・拡大の効果も合わせて、実質賃金低下に伴う雇用需要の増加から労働需給が引き締まって、質的に賃金が上昇したり、良質な正規雇用が増加する、ということになります。今日発表されたのは12月統計ですから、ほぼ1年を経過したアベノミクスに従って、量的な労働需要増の第1段階から質的な賃金上昇などが実現される第2段階に差しかかるところ、といえそうです。

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しかし、賃上げに障害となりかねないのが企業経営者です。上の画像は、英国の職業紹介大手のヘイズ日本法人から最発表された「2014年度 ヘイズ給与ガイド - アジア」の p.7 次回の給与改定では何%の昇給が見込まれますか? の結果を引用していますが、給与引上げについては日本の企業がとても渋い態度を示している結果が示されています。もちろん、アジア諸国と比較して成熟した経済で活動する日本企業をアジア新興国の中で比較するのはとても酷なのかもしれませんが、企業家のアニマル・スピリットはどうなっているのでしょうか?
バブル崩壊後の「失われた20年」の間、もちろん、日本経済が大きく停滞した最大の原因は日銀の誤った金融政策にありますが、企業は「成長戦略」という名のターゲティング・ポリシーで政府をキャプチャーしたり、さらに最近では法人税率引下げを求めたり、また、雇用が増加しない原因のひとつを大学生などの求職者の「質の低下」と主張しようとするネガティブ・キャンペーンを張ったりと、政府や雇用者の責任を強調して来たように私は受け止めています。しかし、企業家のアニマル・スピリットの衰えが日本経済の停滞を招いた一因かもしれない、という視点は忘れるべきではありません。特に、雇用ではそうだという気がします。

今日の日経新聞朝刊の1面には「トヨタ、6年ぶり最高益更新へ 14年3月期」とか、「日立、23年ぶり営業最高益 14年3月期」とかの、企業業績が華々しく報じられる一方で、夕刊1面の中ほどに毎月勤労統計について、2013年の「現金給与総額、最低水準で横ばい 13年31万4150円」と報じられています。企業業績が大きく改善された一方で、賃上げについては底ばっている状態であり、企業が潤いながらも雇用者に大きなしわ寄せが続いている事実を認識するべきです。ですから、政府からも「官房長官『ベアが望ましい』 好循環実現へ春季労使交渉に期待」といった発言が飛び出す素地があるわけです。なお、引用元はすべて日経新聞のサイトです。

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2014年2月 4日 (火)

早くも花粉が飛散して苦しむ

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やや旧聞に属する話題ですが、1月31日に環境省から「平成26年春の花粉飛散予測(第2報)について」というお知らせが公表されています。上の地図は、pdf で公表されている「平成26年春における都道府県別花粉総飛散量(スギ、ヒノキの総数)予測」から引用しています。一般に2000個/㎠を超えると花粉症に注意が必要とされており、かなりの都府県でこれを超えそうです。ただし、昨年が大量に飛散したこともあり、「前シーズンの半分以下になる地域が多い見込み」とのことです。

私は早くも先々週の段階でアレルギー科の医者に行って処方薬をもらい、すでに10日余り服用していながら、それでも、先週後半はかなりひどい状態だったんですが、なんとか今年もこの季節を乗り切りたいと思います。

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2014年2月 3日 (月)

一家で恵方巻きをいただく!

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今日は、夕食で恵方巻きをいただきました。私は関西人ながら京都の出身ですので、大阪あたりのお商売をしている方面を発祥とする恵方巻きの習慣はまったく不案内です。バレンタインデーはチョコレート、というか、お菓子業界を上げての作戦勝ちとすれば、恵方巻きは巻き寿司業界のホームラン、ということなのかもしれません。

2月1日にプロ野球のキャンプが始まって、節分に恵方巻きをいただくと、明日は立春ですし、段々と春が近づいて来た気がします。

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2014年2月 2日 (日)

最近の読書

先週末は音楽鑑賞のブログは書いたものの、読書感想文は取り上げなかったため、この週末の読書感想文は先週と先々週の2週分になりますので、やや冊数が多くなっています。悪しからず。

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まず、田中秀臣編『日本経済は復活するか』(藤原書店) です。やはり、リフレ派のエコノミストとして、この本は真っ先に取り上げねばなりません。しかし、本としては、編集者の意向もあるのでしょうが、何やら取りとめもなく、論文集にも至らないメモの取合せという印象です。従って、書物としては失敗かもしれませんが、個別の論文には見るべきものが少なくありません。たとえば、私が従来から考えているところですが、松尾教授の論考にもある通り、リフレ的な政策は左派と親和性が高い、というのは見逃すべきではありません。特に対中国の外交政策や安全保障政策で右派的な印象のある現政権が、なぜか、金融政策をはじめとする経済政策については左派的な政策を採用しています。実は、私自身がかなりリベラルで左派に近いエコノミストなものですから、とても興味深いと受け止めています。また、p.221 のボワイエ教授のインタビューでケインズ的なアニマル・スピリットが指摘されています。私は左派エコノミストとしてアニマル・スピリットにかける現在の日本の企業家に対する批判意識がかなり高いんですが、ボワイエ教授の趣旨としては、アベノミクスではアニマル・スピリットを喚起することはないという批判ですので、やや的外れかと受け止めました。

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次に、山田昌弘『なぜ日本は若者に冷酷なのか』(東洋経済) です。私はこの本の著者の山田教授は『パラサイト・シングルの時代 』(ちくま新書) のころから、それこそ若者に冷酷で批判的だという印象を持っていたんですが、この本の元になった週刊「東洋経済」連載中のコラムを見始めて印象をガラリと変えました。実に真っ当な見方が示されていると受け止めています。序章の冒頭で世代間対立を煽るつもりはなく、「若者に冷たい社会」の対照にあるのは「子どもにやさしい親」である、と明記している一方で、その舌の根も乾かないうちから、p.15 では「雇用に関しても、社会保障に関しても、中高年には手厚く、若者には冷たい。」と、対立を煽る意図はないかもしれないものの、世代間格差は決して無視できないという現状認識を披露しています。しかも、その背景が投票行動に基づくシルバー・デモクラシーであることまで明らかにされていて、私もまったく同意見です。もっとも、「シルバー・デモクラシー」という言葉は私が勝手に使っているので、本書には登場しません。私は基本的に市場で決まらず投票で決まる社会保障に関する高齢者や引退世代の極端な優遇を批判していますが、本書で指摘する通り、雇用の場でもそうかもしれません。そういった意味で、世代間格差に関心ある読書子には必読の書といえますが、特に、第5章 日本再浮上のために が鋭い切れ味を見せています。ただし、p.62 からの教育に関する論考について私は少し異議がありますし、新卒一括採用への批判については、私は新卒即失業者としないためには歴史的にも意義は小さくなかったと認識しています。最後にどうでもいいことながら、タイトルのように若者に冷酷な原因を突き止めて、その原因を除去することを目指しているわけではなく、原因は不問にして延々と対処療法を話題にしています。その意味で、「看板倒れ」と感じる読者もいるかもしれません。

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ここからは文芸書ないしエンタメ本に視点を転じ、ジョン・ル・カレ『誰よりも狙われた男』(早川書房) です。著者は言わずと知れたスパイ小説の巨匠です。もう御年80歳を超えたんではないでしょうか。もっとも、本書は2008年の作品です。ドイツのハンブルクを舞台にチェチェンからのイスラム教徒不法入国者と、それを追い詰めるドイツのインテリジェンス機関とのせめぎ合い、さらに、いわゆるプライベート・バンクにおけるマネー・ロンダリングなど、その昔の東西冷戦時代のスパイ小説から昨今のテロとテロ防止を主戦場とするスパイ小説までさすがの巨匠が幅広く対応しているのがよく分かります。ただし、2012年12月1日付けのエントリーで取り上げた『われらが背きし者』でもマネー・ロンダリングでしたので、やや重複感は否定できません。フランス的なペンネームを採用した英国人作家らしく、というか、いつもの通りなのかもしれませんが、最後の方に登場するCIAハンブルク支局のナンバーツーであるマーサに体現されているような米国の振りかざす「正義」に対するシニカルな見方が提供されています。これまた、いつもの通り、007ジェームズ・ボンド的な派手なアクションを取り込んだスパイ小説ではなく、深く静かで地味なインテリジェンス活動を小説にしており、それなりに難解ですが、徐々に後半に向けて盛り上がって行きます。

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次に、堂場瞬一『Sの継承』(中央公論新社) です。私はこの作者の作品は初めて読みました。舞台は2部に分かれており、前回の東京オリンピック前後の1960年代前半を舞台にした第1部とその50年後の21世紀の現代の第2部です。「S」というコードネームを振られた毒ガスをテコにして、国会を解散して内閣を総辞職させ、官僚による支配を確立せんとするクーデタないしテロを目論む集団を主人公に話は進みます。第2部でそのテロが実行されるんですが、いかにも計画がお粗末というか、まったく実現性のない荒唐無稽なテロ活動としか私には受け止められませんでした。現時点の日本で大規模なクーデタが発生する可能性はほぼゼロと私は考えていますし、私自身はキャリアの国家公務員なんですが、昨今の官僚バッシングの中で、ここまで官僚に国の舵取りというか、支配を任せようと考える集団がいるということもちょっと現実離れしていますし、いずれにせよ、小説でしか扱えないテーマなのかもしれません。かなり長いタイムスパンを対象にした小説ですのでページ数も膨大で分厚い本ですが、最後の第2部のテロの実行部分がスカスカなので、インターネットで人を集めるのもやっぱりスカスカなので、緊迫感のない拍子抜けする読後感でした。ラストの緊迫感は奥田英朗『オリンピックの身代金』の方に軍配を上げます。

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次に、高樹のぶ子『香夜』(集英社) です。タイトルはアルファベットが振ってあるように「かぐや」と読ませます。この作者の作品も私は初めて読みました。10代の女性である満留瀬流奈(まるせ・るな)を主人公とする連作の短編集のような出来栄えになっています。もっとも、後の方の短編では20年ほど経過した後で、流奈は2児の母となって登場したりします。この主人公が死ぬ前に会いたいと願った人々との逢瀬を、4つの短編で構成しています。舞台は辺根市という架空の地方都市で、ここでは三条医院の三条家が重要な役割を果たしています。なお、最初の短編に現れる金魚は、直木賞を授賞された姫野カオルコ『受難』の人面瘡のようなものと解釈しました。それにしても、いかにも日本的な「竹取物語」からの影響は感じられるものの、幻想的といえばいいのか、前衛的といえばいいのか、エロスもあればホラーもあって、私にはまだこの作品を読みこなす力はないと感じてしまいました。ル・カレのスパイ小説以上に難解な小説を読みこなす自信のある読書子にオススメします。

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最後に、中山七里『いつまでもショパン』(宝島社) です。この作者は第8回このミス大賞を『さよならドビュッシー』で受賞してデビューし、デビュー作の岬洋介シリーズは前作の『おやすみラフマニノフ』に続いて3作目です。私は岬洋介シリーズは全部読んだんですが、この作品が出たのは恥ずかしながら知らずじまいで、この2014年1月に文庫本のバージョンが出るという宣伝を見て単行本を借りて読みました。舞台はワルシャワで行なわれるショパン・コンクールの会場です。岬洋介がコンテスタントとしてエントリーしています。テロが頻発するワルシャワで、コードネーム「ピアニスト」と呼ばれるテロリストを岬洋介が突き止めます。いつもの通り、クラシック音楽に関するウンチクが傾けられ、特に、指揮も執りますがピアノを専門とする岬洋介のホームグラウンドであるショパンにちなんだ謎解きなんですが、ミステリの部分は音楽のウンチクよりも量として少なく、「ピアニスト」の正体は少し驚かされるものの、それほど謎解きも難しくなく、シリーズ3作目にしてすこし凡庸な気がしないでもありません。1作目の『さよならドビュッシー』からレベルが落ちて来ている気もします。

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最後に、エラリー・クイーンのドルリー・レーン4部作が角川文庫から新訳で出版されていますのでまとめて借りました。1月12日のエントリーで紹介したクイーンの国名シリーズの新訳5冊はすでに読んだんですが、このドルリー・レーン4部作にはまったく手も付けていません。そのうちに、というか、貸出し期限内に読みたいと予定しています。

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2014年2月 1日 (土)

球春! プロ野球のキャンプが始まる!

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いよいよ球春、プロ野球12球団がいっせいにキャンプインしました。
野球機構のサイトから引用した上の地図にある通り、我が阪神タイガースは沖縄県宜野座でキャンプ・スタートです。昨年と同じです。
ここ数年はリーグ優勝から遠ざかり、昨年は2位通過でクライマックス・シリーズに出たものの、3位の広島にコロコロと連敗し悔しい思いをしました。若手投手陣は成長を見せているようですし、ここ何年かハズレの続いた外国人スラッガーが今年こそ当たりであってくれと祈るばかりです。

何はともあれ、
がんばれタイガース!

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