リクルート・ジョブズによる派遣スタッフとアルバイト・パートの賃金動向やいかに?
やや旧聞に属する話題かもしれませんが、私が労働需給と賃金の関係で注目している非正規雇用賃金の民間統計、すなわち、リクルート・ジョブズによる派遣スタッフとアルバイト・パートの募集時平均時給の調査結果が発表されています。いずれも3大都市圏における1月の結果です。派遣スタッフの平均時給は1,521円で前年同月比+3.3%増、アルバイト・パートは948円で+0.4%増を記録しています。いつものグラフは以下の通りです。棒グラフが時給額であり左軸に対応し、折れ線グラフは前年同月比上昇率で右軸です。出展はリクルートジョブズの調査から、派遣スタッフとアルバイト・パートに分かれています。
まず、派遣スタッフ、アルバイト・パートともにここ数か月で前年同月比プラスを続けており、特に、派遣スタッフの募集時時給は昨年2013年5月に前年同月比でプラスに転じて以来、昨年2013年11月から今年2014年1月まで3か月連続で+3%を超える上昇が続いています。アルバイト・パートも上昇幅は派遣スタッフからかなり見劣りするものの、昨年2013年7月から半年余りプラスが続いています。労働需給がかなりタイトになって、量的な雇用の改善が賃上げに波及するまでに達しつつある可能性が指摘できます。すなわち、景気が労働需給に波及し、まず雇用の量が増加を始め、次に非正規雇用の賃金が上昇し、最後に雇用の質の改善により正規雇用が増加するとともに正規雇用の賃金が上昇する、というパターンを私は想像していたんですが、徐々にステージが進んでいるようで、私のような雇用を重視するエコノミストには好ましく映っています。
ついでながら、職種別で細かく見ると、派遣スタッフの時給でもっとも大きく伸びたのはIT・技術系で前年同月比増減額+74円増、増減率+4.1%増、次いで、営業・販売・サービス系は+30円、+2.3%増、オフィスワーク系は+20円、+1.4%増、医療介護・教育系は+12円、+0.8%増と、これら4職種が前年同月比プラスとなった一方で、唯一クリエイティブ系のみが▲1円、▲0.1%減となりました。エリア別では関東・東海・関西ともにプラスを記録しています。アルバイト・バートでは事務系がもっとも伸び率が大きく前年同月と比べて+10円、+1.1%増、次いで、フード系が+9円、+1.0%増、製造・物流・清掃系が+6円、+0.6%増と続き、前年同月比でプラスなのはこの3職種までとなり、販売・サービス系は前年同月と変わらず、医療・介護などの専門職系は▲6円、▲0.6%減、営業系が▲3円、▲0.3%減となっています。医療・介護を含むカテゴリーで見ると、派遣スタッフの医療介護・教育系が前年同月比でプラスを記録している一方で、アルバイト・パートの専門職系はマイナスとなっています。やや不整合な気がしますが、理由はよく分かりません。
これらの雇用を支えているのは消費税率引上げ前の駆込み需要なのかもしれませんが、消費税率が引き上げられる4月以降も景気は腰折れせずに拡大を続ける、というのが多くのエコノミストのコンセンサスになりつつあります。雇用が量的に拡大して失業が減るとともに、賃上げにより国民生活がさらに豊かになることを願っています。
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