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2014年2月 7日 (金)

リーマン・ショック直前の水準に戻った景気動向指数は景気の拡大を示す!

本日、内閣府から昨年12月の景気動向指数が発表されました。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は前月から+1.0ポイント上昇して111.7を、CI先行指数も+1.1ポイント上昇して112.1を、それぞれ記録しています。消費税率引上げ前の駆込み需要に支えられているとはいえ、統計からは景気は順調に回復・拡大しているように見えます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数、5年7カ月ぶり高水準 先行も6年10カ月ぶり
内閣府が7日発表した2013年12月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.0ポイント上昇の111.7と、08年5月(113.5)以来5年7カ月ぶりの高水準だった。
中小の製造業で電気機械や一般機械の出荷が増えたほか、電子部品・デバイスをはじめとした幅広い業種で生産が伸びたことも指数を押し上げた。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を最上位の「改善を示している」で据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は1.1ポイント上昇の112.1。07年2月(112.1)以来6年10カ月ぶりの高水準だった。
景気に数カ月遅れる遅行指数は1.0ポイント上昇の115.1だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDIは一致指数、先行指数とも88.9だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は2012年11月だったと仮置きしています。

photo

引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府は基調判断を「改善」で据え置いています。12月のCI一致指数では、中小企業出荷指数(製造業)と有効求人倍率がプラスに大きく寄与している一方で、マイナスに寄与している指標としては商業販売額(小売業)の前年同月比と耐久消費財出荷指数が上げられています。このマイナス寄与の2指標だけを見ると消費税率引上げ前の駆込み需要が発生していないようですが、12月の時点では駆込みが一服していただけではなかろうかと私は受け止めています。また、引用した記事にもある通り、CI一致指数と先行指数は一昨年のミニ・リセッション前の水準を超えてリーマン・ショック直前の水準に戻しています。グラフを見ても分かる通り、決して、リーマン・ショック前の最高水準を回復したわけではありませんし、景気動向指数は鉱工業生産指数のように付加価値額や何らかの経済活動のスケールを示す指標ではありませんが、駆込み需要の要因があるとはいえ、景気はかなり拡大を示していることは事実と考えるべきです。

経済政策の目標変数には必ずしもなりませんが、米国金融政策の量的緩和縮小に起因する新興国経済の不安から世界中で株価が下落しています。今週後半に底入れした気配もありますが、ようやく景気が回復局面に入りつつある欧州や消費税率引上げを控えた我が国にとっては気になるところです。ある意味では、まだまだ米国経済の世界におけるプレゼンスが大きい点を改めて知らされた気がしています。

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