今週の読書はダン・ブラウン『インフェルノ』と東野圭吾『疾風ロンド』
今週読んだ新刊書は、以下の2冊、ダン・ブラウン『インフェルノ』と東野圭吾『疾風ロンド』です。
まず、ダン・ブラウン『インフェルノ』(角川書店) 上下です。ハーバード大学ラングドン教授シリーズ第4作です。私はこのシリーズの前作、すなわち、発売順に、『ダ・ヴィンチ・コード』、『天使と悪魔』、『ロスト・シンボル』の3作は全て読んでいます。舞台はパリ、バチカン、ワシントンとラングドン教授の冒険大活劇が繰り広げられ、この作品ではフィレンツェ、ヴェネツィア、コンスタンティノープルとなります。経済学者として著名なマルサスの『人口論』の信奉者である遺伝子科学者がとんでもないウィルスを作り出し、ダンテ『神曲』の心酔者ですので、『神曲』に従ったラングドン教授の謎解きが楽しめます。ただし、ラストは日本的ともいえるあいまいな結末となります。007のボンド・ガールならぬ、今回のラングドン・ガールは32歳の女医なんですが、彼女の立場もあいまいです。さらに、終盤のどんでん返しはありますが、ストーリーは地味です。シリーズの中ではもっとも地味といえます。また、我孫子武丸の『殺戮にいたる病』と同じく、読者の方で人物を読み違えるように作者が意図的にトリックをしかけています。読みこなせればさらに面白いでしょう。
下の動画は出版社のプロモーション・ムービーです。
次に、東野圭吾『疾風ロンド』(実業之日本社文庫) です。これはシリーズかどうか不明ながら、同じ出版社の前作『白銀ジャック』とともにこの季節らしいスキー場を舞台にしたミステリです。とても深刻な生物兵器に転用されかねない病原菌を発見して回収するストーリーなんですが、その回収の任に当たった科学者がかなりのんきというか、ある意味で「鈍臭い」人物なので、ユーモラスな物語の進み方をします。最後の締めくくりも笑えます。出版社が強調するようなスピード感がないとはいいませんが、むしろ、コミカルなキャラの主人公を配した作者の意図を汲むべき作品だという気がします。下のムービーはやっぱりPR動画です。
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