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2014年2月27日 (木)

消費税率の引上げが家計消費に及ぼす影響やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、先週2月21日に日本総研から「消費増税が個人消費に与える影響」と題するリポートが公表されています。4月から消費税率が引き上げられ、主として消費へのネガティブな影響、すなわち、駆込み需要の後の反動減などが懸念されていますが、このリポートでは1997年の消費税率引上げと対比させて論じています。ということで、今夜のエントリーでは、このリポートについてグラフを引用しつつ簡単に紹介したいと思います。

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まず、上のイメージ図はリポート p.7 (図表9) 消費税率引き上げ前後の個人消費のイメージ を引用しています。消費税率引上げ前後の駆込み需要と反動減は、大雑把にほぼ均衡すると考えて差支えないんでしょうが、消費税率引上げに起因する物価上昇で実質購買力が低下する効果は長期に継続します。永遠とか、無限の期間と称しても差支えないと私は考えています。今回の消費税率引上げに際して物価上昇は約+2%と見込まれており、ほぼエコノミストの間でコンセンサスがあります。この分だけ実質購買力は長期に失われます。

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次に、上のグラフは同じくリポート p.7 から (図表10) 家計の負担と給付 (前年差) を引用しています。今回の消費税率引上げと1997年を比較して、もっとも大きな違いは家計の負担軽減が考慮されている点です。ですから、1997年当時の2%ポイントの引上げに対して、今回は3%ポイントの引上げと、消費税率の引上げ幅はより大きいにもかかわらず、上のグラフの通り、家計の負担額は1997年当時より今回の方が小さいという逆転現象が生じています。リポートでも指摘している通り、主要な家計負担の軽減は、(1) 所得拡大促進税制の拡充による雇用者所得拡大の促進、(2) 低所得層等への直接給付、であり、他を含めて総額1兆円の対策が講じられているのは見逃せません。

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最後に、上のグラフはリポート p.11 (図表17) 名目個人消費の見通し を引用しています。今回の消費税率引上げにおいては、1年半後にもう一段の引上げが控えていることなどから、現在までの駆込み需要がそれほど大きくなく、また、家計負担軽減対策もあって、1997年当時に比べて反動減のマイナス効果は小さいとの見通しをリポートでは結論しています。ただし、先行きリスクとして、リポートでは「賃金上昇が期待外れに終われば、家計の購買力が消費増税に追いつかなくなるだけでなく、消費者マインドも冷え込む懸念が高まる」と指摘しています。賃上げが実現されるかどうか最大のリスク要因である点については私も同感です。

日本総研のリポートでは家計消費に対する影響を主として分析していますが、当然ながら、住宅投資にも駆込み需要は生じましたし、設備投資にも現れている可能性はあります。しかし、住宅投資の駆込み需要はすでにピークを超えており、消費の駆込み需要は事前に予想されたほど大きくありません。リポートの結論と同じで、消費の腰折れは回避できる可能性が高いと私は見込んでいます。

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