鉱工業生産は積雪の影響で2月は減産に転じる!
本日、経済産業省から2月の鉱工業生産指数 (IIP) が公表されています。季節調整済みの指数で前月比▲2.3%低下の101.5となりました。3か月ぶりの減産です。しかし、基調判断は「総じてみれば、生産は持ち直しの動きで推移」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
2月の鉱工業生産、2.3%低下 大雪の影響で3カ月ぶりマイナス
経済産業省が31日発表した2月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は101.5と、前月比で2.3%低下した。1月の確報値が前月比3.8%上昇と高い伸びを示した反動に加え、記録的な大雪の影響で3カ月ぶりにマイナスに転じた。
2月の速報値はQUICKがまとめた市場予想(0.3%上昇)を大きく下回った。経産省は「マイナスは1月の指数が高かった反動や大雪による一時的な落ち込みのためで、水準としては高い(前年同月比では6.9%上昇)」として生産の基調判断を「持ち直しの動きで推移している」で据え置いた。
業種別でみると、15業種のうち11業種が低下した。大雪の影響で工場の操業を一時的に止めた「輸送機械工業」が前月比5.8%減と指数を押し下げた。「国内販売や輸出は堅調で、需要の減少によるものではない」(経産省)という。1月にボイラーなどが大きく伸びた反動で「はん用・生産用・業務用機械工業」は3.3%減だった。
出荷指数は生産が落ち込んだことで1.0%低下の103.9、在庫指数は0.8%低下の103.8だった。在庫率指数は1.7%上昇の100.6だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きはパソコンなどで消費増税前の最後の駆け込み需要が出て3月が0.9%上昇。4月は駆け込み需要の反動から0.6%低下する見込みだ。
いずれもとてもよく取りまとめられた記事だという気がします。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。
日経QUICKによる市場の事前コンセンサスが+0.3%の増産だったにもかかわらず、2月の生産が減産に転じたのは、統計から判断する限り、何らかの供給制約に伴う結果であり、引用した記事にもある通り、需要不足が原因ではありません。というのは、すべて季節調整済みの指数の前月比で見て、生産が▲2.3%減、出荷も▲1.0%減、ここまでであれば、供給制約か需要不足かは不明なんですが、他方、在庫も▲0.8%減となっていますから、需要はあるにもかかわらず、生産が追いつかず在庫を取り崩した、という生産と出荷と在庫のバランスを想像できるかと思います。その供給制約の原因は積雪と記者発表で説明されているようです。私は多くの情報を持ち合わせませんが、操業停止や流通網の混乱などが軽く想像できようかと思います。もっとも、先月1月の増産が+3.8%増とかなり大きかったわけですから、反動減の要素もゼロではないと私は考えています。供給制約に戻って、この説を補強するもうひとつの傍証は製造工業生産予測調査です。先月の製造工業生産予測調査では、3月には消費税率引上げ前の駆込み需要も一段落して▲3.2%減と見込まれていましたが、今月の製造工業生産予測調査では3月は一転して+0.9%増と、目先の生産見通しに変化が生じています。2月に生産できず在庫の取崩しで対応した駆込み需要を少し遅れて3月に生産して適正在庫水準を維持する、ということなんだろうと考えられます。4月は▲0.6%減ですから、消費増税後の反動に対応した極めて分かりやすい結果といえますし、統計作成官庁である経済産業省による基調判断の通り、ならしてみれば生産は堅調と見なして差支えないと受け止めています。
いよいよ明日、5%から8%に消費税率が引き上げられます。すでに一部の店舗では価格表示を内税方式から外税方式に変更して、私なんぞは少し混乱したりもしましたが、どこまでスムーズな転嫁が進むのかも気にかかるところです。メディアでは朝一番からニュースのトップを飾ったりするんでしょうが、このブログでは少し時間が経過してから取り上げたいと考えています。
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