« 企業向けサービス価格上昇率は安定してプラスを続ける! | トップページ | 政府統計から見た日本経済の現状やいかに? »

2014年3月27日 (木)

3月調査の日銀短観の業況判断と設備投資計画の予想やいかに?

来週火曜日4月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は2014年度、すなわち、来週4月1日から始まる来年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、来年度2014年度の設備投資見通しに特化して拾いました。ただし、三菱総研だけは設備投資計画が予測項目に含まれていないため、先行きの業況判断DIを取っています。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査 (先行き)+14
+17
<n.a.>
n.a.
日本総研+18
+25
<+▲0.1>
製造業、非製造業ともに、国内景気の回復基調や老朽化設備の更新、東京五輪関連投資などを背景に、3月調査としては、過去の景気回復局面並みの投資計画となる見込み。もっとも、設備投資額からみれば、大企業、中小企業ともにリーマン・ショック前の7割程度にとどまっており、企業の設備投資に対する慎重な姿勢は依然として根強く残っている状況。
大和総研+19
+23
<+1.8>
リーマン・ショック以降、低水準での推移が続いていた設備投資は、足下で徐々に改善傾向にある。設備投資の先行指標である機械受注統計などを見ても改善が続いており、2014年度以降設備投資は増加基調が続く見込みである。改善の続く企業収益を背景に、賃上げや設備投資などを積極的に行う企業が増加することで、生産性の上昇やさらなる経済の循環的改善が期待できる。
みずほ総研+18
+24
<+0.5>
(2014年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年比▲1.4%と予測した。製造業では前年比+2.1%と2年ぶりにプラスの発射台が見込まれる。非製造業は3月調査段階では例年マイナスとなることが多いが、2013年度に比べてマイナス幅が縮小すると見込んでいる。
ニッセイ基礎研+19
+24
<▲0.8>
14年度設備投資計画は今年度比▲3.5%を予想。例年3 月調査では計画が固まっていないことからマイナススタートになる傾向があるため、数字自体にはあまり意味が無く、過年度の初回調査との比較感で強弱を計ることになる。▲3.5%という水準は今年度の初回調査、いわゆる発射台であった▲3.9%を若干上回るレベル。今年度収益の改善や設備投資減税という追い風はあるが、消費税増税への懸念から慎重さが残る内容になると予想。
伊藤忠商事経済研+18
+22
<▲1.2>
2014年度の大企業全産業の設備投資計画は前年度比▲1.2%とマイナス圏からのスタートを予想する。未だ2013年度の業績及び投資が未確定な下で、消費税率引き上げ後の需要動向に対する懸念もあり、3月調査の段階では、プラス圏の計画を期待はできない。但し、日本郵政が明らかとしている2014年度からの3年間における1.3兆円の大規模設備投資計画が、3月調査の段階から盛り込まれれば、非製造業を中心にプラス計画となる可能性もある(当社予想では3月調査では盛り込まれないと想定)。1.3兆円が3年間で均等に実施される場合、大企業非製造業の設備投資額は2014年度に3%弱、大企業全産業では2%弱押し上げられることになる。
第一生命経済研+18
+24
<▲0.5>
楽観的に考えると、設備投資計画は、消費税が上がる前よりも、上がった後の方が不確実性は解消され、大きな金額を実行しやすくなると推測される。逆に、今まで設備投資の拡大が鈍かった理由を、消費税増税までの不確実性の強さのせいだということもできる。
筆者は、製造業は消費税の影響を受けにくいこともあって、設備投資は3月調査のデータからプラス計画になるとみる。一方、非製造業、あるいは中小企業は慎重な見方に傾くだろう。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+20
+27
<+0.8>
14年度の設備投資計画については、大企業・中小企業とも、3月調査としては比較的強めの計画が打ち出される見通しだ。景気の堅調な拡大が続く中、多くの企業では、生産能力の増強や営業用設備の機能拡充が必要となっている模様だ。
三菱総研+18
+26
<n.a.>
先行きの業況判断DI(大企業)は、新興国経済の不透明感が依然として強いほか、消費増税後の一定の反動は避けられないことから、製造業は+14%ポイント、非製造業は+18%ポイントといずれも悪化を予想する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+18
+27
<▲0.9>
2014年度については、消費税率引上げ後の景気に対する懸念もあって、設備投資は慎重な計画となるだろう。
富士通総研+20
+25
<+0.4>
2014年度の設備投資計画(全規模・全産業)については、まだ年度開始前のため、慎重な計画(前年度比-2.3%)からスタートすると見込まれる。

私が知る限り、ほぼすべてのシンクタンクや金融機関の予想で、業況判断としては3月調査の足元が取りあえずのピークとなり、6月調査あるいは3月調査の先行きでは3月調査の足元よりも落ちるだろうと見込んでいます。もちろん、その落ち方には温度差があり、大きく落ちると見ている「弱気派」と落ち込みは小さいと予測している「強気派」があるのはいうまでもありません。私は中間よりもやや「強気派」だと自分で自覚していますが、大部分のエコノミストが予想している方向性、すなわち、3月調査の先行きの業況判断DIは3月調査の足元よりも落ちる、という予想は完全にコンセンサスが出来ている一方で、3月調査の先行きでも少なくとも大企業レベルでは業況判断DIはプラスを維持する、という見方にもコンセンサスがあるようです。すなわち、短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIが、3月調査の先行きについてマイナスまで落ち込むことはない、という意味で「強気派」がドミナントなんではないかと私は受け止めています。
私の方で重視した2014年度の設備投資計画ですが、伊藤忠商事経済研のコメントが非常に的確な見方であると考えています。また、実際の予測の数字として私の予想はニッセイ基礎研に近いといえます。ニッセイ基礎研は2014年度の設備投資計画について、大企業は▲0.8%減、全規模全産業で▲3.5%減を打ち出しています。そんなもんだろうという気がします。ただし、4月の消費増税以降の景気動向を見つつ、この設備投資計画は上積みされる可能性が十分あると考えるべきです。ということで、下のグラフは、そのニッセイ基礎研のリポート p.3 (図表5) 設備投資計画 (全規模全産業) を引用しています。

photo

|

« 企業向けサービス価格上昇率は安定してプラスを続ける! | トップページ | 政府統計から見た日本経済の現状やいかに? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 3月調査の日銀短観の業況判断と設備投資計画の予想やいかに?:

« 企業向けサービス価格上昇率は安定してプラスを続ける! | トップページ | 政府統計から見た日本経済の現状やいかに? »