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2014年3月10日 (月)

GDP統計2次QEは大きな修正なく、景気ウォッチャーは先行き判断が後退し、経常収支は大きく赤字に転落!

本日、内閣府から昨年2013年10-12月期のGDP統計、エコノミストの業界で2次QEと呼ばれる経済指標が公表されています。季節調整済の系列の前期比で見て+0.2%成長、前期比年率で+0.7%成長と、先週木曜日にこのブログで取り上げた通り、1次QEからの下方修正されたものの、修正幅はわずかでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10-12月期の実質GDP、年率0.7%増に下方改定
内閣府が10日発表した2013年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%増だった。年率換算では0.7%増。5四半期連続でプラス成長を確保したものの、2月17日発表の速報値(前期比0.3%増、年率1.0%増)からは下方修正された。
10-12月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、設備投資が0.8%増(速報値は1.3%増)に下方修正された。法人企業統計ではGDP改定値を算出する基礎となるソフトウエアを除く全産業の設備投資額が、季節調整して前期と比べると0.3%減と2四半期連続のマイナスだった。
公共投資も2.1%増(速報値は2.3%増)にやや下振れした。12月の建設総合統計を反映したためで、補正予算による公共事業の押し上げ効果の一服感がうかがえる。
12月の商業販売統計の確報値で衣料品や食品の流通在庫が増えたことが影響し、個人消費も0.4%増(0.5%増)に下方修正された。一方、民間の在庫寄与度はプラス0.0ポイント(速報値はマイナス0.0ポイント)とわずかに上方修正された。
生活実感に近い名目GDPは0.3%増(速報値は0.4%増)、年率で1.2%増(同1.6%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス0.3%(同マイナス0.4%)だった。
同時に発表した13年暦年の実質GDPは12年比1.5%増と、速報値の1.6%増から下方修正した。名目は1.0%増で速報値と同じだった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2012/10-122013/1-32013/4-62013/7-92012/10-12
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.0+1.1+1.0+0.2+0.3+0.2
民間消費+0.4+1.0+0.6+0.2+0.5+0.4
民間住宅+2.3+1.7+0.9+3.3+4.2+4.1
民間設備▲0.9▲0.9+1.0+0.1+1.3+0.8
民間在庫 *▲0.2▲0.1▲0.2+0.1▲0.0+0.0
公的需要+0.0+1.0+0.7+1.7+1.6+1.4
内需寄与度 *+0.6+1.1+1.9+1.6+0.9+0.8
外需寄与度 *▲0.1+0.4+0.1▲0.5▲0.5▲0.5
輸出▲2.9+4.2+2.9▲0.7+0.4+0.4
輸入▲1.9+1.1+1.8+2.4+3.5+3.5
国内総所得 (GDI)+0.1+0.7+1.0+0.1+0.1+0.0
国民総所得 (GNI)+0.2+0.6+1.8▲0.2+0.1▲0.0
名目GDP+0.1+0.7+1.0+0.1+0.4+0.3
雇用者報酬▲0.5+0.6+0.3▲0.4+0.1+0.1
GDPデフレータ▲0.7▲1.0▲0.5▲0.4▲0.4▲0.3
内需デフレータ▲0.7▲0.8▲0.3+0.4+0.5+0.5

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。棒グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年10-12月期の最新データでは、前期比成長率がプラスであり、黒の外需がマイナス寄与を示した他は、赤の民間消費、黄色の公的需要、グレーの在庫投資など内需の寄与は1-3月期や4-6月期と大差なく、水色の設備投資はプラスの寄与度をやや拡大しているのが見て取れます。7-9月期に続いて10-12月期も成長率が減速したのは外需が足を引っ張った結果といえます。

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景気判断に大きな影響を与えるほどの下方修正ではないと私は受け止めています。しかも、多くのエコノミストの間で緩やかなコンセンサスがあった「設備投資と公共投資が下方修正で在庫が上方修正」という形での改定です。加えて、今年の足元1-3月期は消費増税前の駆込み需要がそれなりの大きさで出ると考えられることから、むしろ、景気動向は4月以降の消費増税後の反動減の大きさ、また、4月の反動減のショックに続く年央から7-9月期にかけて景気の回復度合いに注目が集まっている雰囲気さえ感じられます。2月の積雪で駆込み需要がそれほど大きくならなかったのが吉と出るか、凶と出るか、何とも悩ましいところです。いずれにせよ、2次QEですので大きな変更もなく、特に今回の発表では注目度が低かった気もします。このブログでもサラリと済ませておきたいと思います。

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GDP統計2次QEを早々に済ませて、本日、内閣府から今年2月の景気ウォッチャー調査の結果も発表されています。上のグラフは現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。現状判断DIは53.0と引き続き50を超える高水準ながら、今年に入って2か月連続で低下しています。耐久消費財などの駆込み需要については、「家電を中心に売上が増加したものの、自動車販売の増勢が鈍化した」と報告されており、そろそろピークを過ぎつつあるのかもしれません。もちろん、耐用期間の差に応じて3月31日までは何らかの駆込み需要が続き、4月からドンと落ちるという構図に変わりはありません。先行き判断DIは上のグラフで見ても分かる通り、大きく低下しました。4月の消費増税が視野に入ったんですから当然です。足元2月よりも2-3か月先の4月から5月の方が落ちるに決まっています。なお、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、先月に続いて、「景気は、緩やかに回復している。ただし、先行きについては、消費税率引上げ後の需要の反動減等の影響が見込まれる」とまとめられています。

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ひょっとしたら、GDP統計2次QEよりも注目を集めたのが今年1月の経常収支だったかもしれません。本日、財務省から発表されています。季節調整していない原系列の統計で、1月の経常収支は▲1兆5890億円の赤字、季節調整済みの系列でも▲5883億円の赤字と、過去最大の赤字を記録しています。上のグラフに見られる通り、貿易赤字の拡大が最大の原因です。中国の春節=旧正月のために輸出が伸び悩むとともに、原発停止に伴う燃料輸入の増加が要因です。まだ円安に伴うJカーブ効果も残っているようです。
報道ではいわゆる「双子の赤字」、すなわち、1980年代以降の米国のような経常収支と財政収支の両方の赤字を懸念するコメントも見かけますが、いずれも私は余り気にしていません。財政収支赤字は目に余る高齢者優遇も一因ですから政策的に是正する必要があると考えなくもない一方で、エントリーのタイトルで「赤字に転落」なんて書きましたが、実は、経常収支赤字については国際競争力の低下などを騒ぎ立てる必要はないと受け止めています。特に、経常収支や貿易収支をターゲットにして原発再稼働なんてのは政策割当てとして、どうしようもなく間違っていると考えるべきです。なお、国際収支項目の組替えが財務省からアナウンスされていて、従来の投資収支と外貨準備増減を統合し「金融収支」と表章し、その他資本収支を「資本移転等収支」に改めています。さらに、以前の所得収支は「第1次所得収支」、経常移転収支は「第2次所得収支」と呼ぶことにしています。それ以外にも何かあったのか、古い1990年代の統計は大きく変更されています。統計としての継続性が少し疑問です。

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