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2014年3月 4日 (火)

毎月勤労統計により雇用の現状を確認する!

本日、厚生労働省から毎月勤労統計の結果が公表されています。賃金と景気に敏感な残業がこの統計のヘッドラインなんですが、製造業の所定外労働時間が増産により季節調整済みの系列で前月比+2.0%増加し、季節調整していない原系列の賃金給与総額は前年同月比で▲0.2%減の26万9195円と減少したものの、所定内給与は1年10か月振りに+0.1%増加して23万9156円を記録しました。まず、統計について報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

1月所定内給与0.1%増、1年10カ月ぶりプラス 毎月勤労統計
厚生労働省が4日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、基本給や家族手当などの所定内給与は前年同月比0.1%増の23万9156円だった。プラスは2012年3月以来1年10カ月ぶり。景気が回復傾向にある中で企業が正社員を採用する動きを拡大させたのが背景だ。
これまで賃金水準の低いパートタイム労働者数の伸びが正規雇用が主体の一般労働者数の伸びを上回っていたため、所定内給与を押し下げていた。しかし、1月は一般労働者数とパートタイム労働者数の伸び率が同じだったため、所定内給与は下げ止まった。景気回復で企業が正社員を増やしたためだ。
所定内給与と所定外給与を合わせた定期給与も0.4%増の25万8364円と、12年5月以来1年8カ月ぶりに増加した。所定内給与のプラス転換に加え、残業代などの所定外給与も1万9208円と4.3%増えた。
所定外労働時間は7.0%増え、8カ月連続でプラスだった。このうち製造業は15.6%増と7カ月連続で増え、伸び率は12年4月(16.8%増)以来の高さとなった。自動車業界などで景気回復や4月の消費増税前の駆け込みを背景に需要が拡大し、工場の稼働率が高まっている。総労働時間は1.4%増の136.5時間と2カ月連続で増加した。
一方、残業代やボーナスを含めた従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比0.2%減の26万9195円だった。マイナスは3カ月ぶり。冬のボーナスが例年より早めに支給された反動で、特別に支払われた給与が14.6%減少したことが影響した。
一般労働者とパートタイム労働者を合計した常用雇用は1.3%増の4631万8000人。一般労働者とパートタイム労働者はともに1.2%増えた。厚労省は「有効求人倍率や失業率も改善し、雇用環境は回復している」とみている。
ただ「確報値の方が賃金水準の低いパートタイム労働者の比率が高まる傾向がある」(厚労省)といい、3月中旬に発表される確報値では所定内給与はマイナスになる可能性がある。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下は製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。賃金は凡例の通り現金給与総額と所定内給与です。影をつけた期間は景気後退期であり、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月と仮置きしています。

photo

基本的に悪くない結果だと受け止めています。まず、上のグラフの所定外労働時間が製造業で伸びたのは、鉱工業生産と整合的な動きです。もちろん、消費税増税前の駆込み需要も込みの伸びです。ですから、4月からの反動減もあり得ます。また、今回は1997年に比較して駆込み需要が大きくないと私は考えていましたが、実は、駆込み需要が小さいのは1-2月の積雪による消費への下押し圧力に起因するという有力な説があり、もしもそうならば、そして、3月に積雪などの天候やその他の経済外要因がなければ、3月にはドッと駆込み需要が発現する可能性は否定できません。その場合は、今回も1997年と同程度の駆込み需要とその後の反動減が結果的に生ずる可能性もあります。下のパネルの給与については、フルタイムとパートタイムの一般労働者がともに同じ率で前年同月から伸びましたので、所定内給与もほぼ2年振りにプラスを記録しました。現金給与総額がマイナスになっていますが、ボーナスなどの特別給与が昨年12月に前倒し支給された結果であり、悲観するには及びません。ただし、引用した記事にもある通り、この毎月勤労統計は速報から確報にかけて、パートタイム労働者の伸び率が高まる統計上のクセがありますから、そうなるとシンプソン効果により所定内給与が下方改定される可能性も否定できません。前年同月比で+0.1%増なんですから微妙なところです。

何度もこのブログで主張している通り、アベノミクス効果などによる好景気が雇用に及ぼす影響は、雇用の量的拡大、特に非正規の量的な雇用増から非正規雇用の賃金の上昇につながりました。この点は毎月勤労統計とともに、リクルートジョブズの統計などから明らかです。さらに、非正規雇用から正規雇用の増加、正規雇用の賃金上昇へと段階が進む場面を迎えつつあると私は考えています。

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