企業向けサービス価格指数は引き続きデフレ脱却に向かう動きを示す!
本日、日銀から3月の企業向けサービス価格指数(CSPI)が公表されています。ヘッドライン上昇率が前年同月比で+0.7%と前月と同じだった一方で、変動の大きい国際運輸を除くコアCSPI上昇率が+0.6%を記録し、前月から+0.1%ポイントながら上昇率を高めています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
13年度企業向けサービス価格、6年ぶりプラス 0.5%上昇
日銀が24日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2005年=100)は97.1と前年同月比0.7%上昇した。プラスは11カ月連続。建設や宿泊需要の盛り上がりで関連サービスの価格が上昇した。13年度は前年度比0.5%上昇と、07年度以来6年ぶりにプラス転換した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。
3月の業種別にみると、上昇に寄与したのは土木建築など諸サービスで1.8%の上昇。首都圏を中心に建設需要が旺盛なことから、土木建築サービスが6.3%上昇した。上げ幅は2月(5.6%)と比べ拡大した。ビジネス観光の需要が好調で、宿泊サービスは5.0%上昇した。
為替変動の影響を受けやすい国際運輸を除いたベースでは、3月は前年同月比0.6%上昇。伸び率は消費増税による押し上げ分を除けば、1993年3月以来21年ぶりの高さとなった。13年度でも0.1%上昇。97年度以来16年ぶりにプラス転換した。
やや年度統計に偏った印象はあるものの、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(CSPI)とコアCSPIの上昇率とともに、企業物価(CGPI)上昇率もプロットしています。CSPI上昇率がCGPIに追い付いたように見えなくもありませんが、左右の軸で目盛りが異なりますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は昨年2013年11月だったと仮置きしています。
2013年度でヘッドラインCSPI上昇率が+0.5%、国際運輸を除くコアCSPI上昇率で+0.1%というのは、道程半ばの消費者物価+2%上昇という日銀のインフレ目標に対して整合的な動きと私は理解していますが、1-3月の指数については、消費増税前の駆込み需要に伴う一時的な需給ギャップの引締りを反映している可能性も否定できません。もちろん、毎月のように言及している基準年から10年近く経過したラスパイレス指数の上方バイアスも無視すべきではありませんが、直感的には広告などにおける駆込み需要の方が影響が大きそうな気もします。もっとも、あくまで直感的な評価ですから根拠はありません。いずれにせよ、この2つの上方バイアスは気にかかるところです。また、引用した記事にもある通り、前月からの上昇率の寄与度差で見て、土木建築サービス+0.03%、宿泊サービス+0.02%、警備+0.01%などの諸サービスが合わせて+0.05%の、また、四媒体広告などの広告が+0.04%の、それぞれプラス寄与を示している一方で、外交貨物運輸▲0.06%をはじめとする運輸が▲0.06%のマイナス寄与を記録しています。
繰返しになりますが、2つの上方バイアス、すなわち、消費増税前の駆込み需要と基準年からの経過に伴うラスパイレス指数の上方バイアスは気にかかるところですが、企業向けサービス物価は日銀のインフレ目標に整合的な動きを示していることが確認できたと私は受け止めています。
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