安定したプラスを続ける企業物価とついでに、消費税率引上げの反動減が出たデジタル家電販売
本日、日銀から3月の企業物価指数 (CGPI)が発表されています。国内物価上昇率は前年同月比で+1.7%と、やや上昇率の幅が小さくなりましたが、安定したプラスを続けています。まず、統計について報じている記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
13年度の国内企業物価、5年ぶり伸び率 円安でコスト上昇
日銀が11日発表した2013年度の国内企業物価指数(2010年平均=100、速報値)は102.4と、前の年度比で1.9%上昇した。円安を背景に輸入物価が上昇し、企業の調達コストの押し上げにつながった。上昇率は08年度(3.1%上昇)以来5年ぶりの大きさだった。
企業物価指数は出荷や卸売り段階など企業間で取引する製品の価格水準を示す。項目別にみると「電力・都市ガス・水道」「石油・石炭製品」や「非鉄金属」などが上昇した。円安による原材料の輸入品価格の上昇が影響した。一方、販売競争の高まりによる値下げ圧力が強い「情報通信機器」などは下落した。
円ベースでの輸出物価は前の年度比で10.3%上昇。比較可能な81年度以降では最も大きい伸び率だった。輸入物価も13.5%上昇し、05年度(17.3%上昇)以来8年ぶりの大きさだった。
同時に発表した3月の指数は102.8と、前年比で1.7%上昇した。プラスは12カ月連続。電力料金の引き上げで「電力・都市ガス・水道」が上昇した。全820品目のうち前年比で上昇した品目は396品目、下落した品目は306品目と7カ月連続で上昇品目が下落品目を上回った。
4月から消費税率が上がったが、日銀は「駆け込み需要や反動の価格動向への影響はまだ明かではなく注視していきたい」と話している。
やや2013年度の年度統計に偏りがあるものの、いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの企業物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルは国内と輸出入別の前年同月比上昇率を、下のパネルは需要段階別を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。いつものお断りですが、このブログだけのローカル・ルールで、直近の景気循環の谷は2012年11月であったと仮置きしています。
企業物価上昇率は3月になって、円高修正の効果が一巡し、輸出入物価の上昇率が大きく低下したことに加え、国内物価上昇率も少し上昇幅を縮小させましたが、1%を超えて2%に達しないレンジながら安定的にプラスを続けていると評価できます。前年同月比プラスは12か月連続です。ただし、GDPデフレータを別にして、物価指数はすべからくラスパイレス指数ですから、基準年から3年余りが経過して、評価するに当たって上方バイアスには注意が必要です。前月比で上昇に寄与した主な品目は電力・都市ガス・水道が+0.06%、石油・石炭製品が+0.04%となった一方で、逆に、マイナス寄与した品目はスクラップ類▲0.06%、非鉄金属▲0.05%となっています。2013年度を通じた動きでは、国内物価が前年度比で+1.9%の上昇となり、リーマン・ショック直前の時期を含む2008年度の+3.1%に次ぐ上昇幅を記録しました。しかし、4月からは消費税率の引上げに伴う需給ギャップの悪化が物価の下押し圧力となると考えられており、為替相場の円安傾向の一巡とともにデフレ脱却には逆風となる可能性があります。
ついでながら、デジタル家電などの調査会社大手のBCNから、4月第1週の4月1-7日における「デジタル家電販売数量実績」がプレス・リリースされています。上のグラフはBCNのサイトから引用しています。業務ソフトを除き、パソコン、テレビ、デジカメなどは4月第1週には消費税率引上げ前の駆込み需要の反動で前年同期比でマイナスとなりました。ただし、パソコンはWindows XPのサポート終了に伴う買換え需要が見込まれることから極端な反動減は避けられると見込まれ、また、テレビも地デジ移行に伴う 2011年7-8月にかけての反動減よりは影響が小さいと予想されています。ただし、デジカメについてはスマートフォンの普及に伴う市場縮小傾向は依然続いており、低価格のコンパクト・カメラを中心に販売台数減少の傾向は当面続くと考えられています。
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