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2014年5月13日 (火)

今年2014年1-3月期の成長率は駆込み需要で上振れか (1次QE予想)

明後日木曜日の5月15日に今年2014年1-3月期GDP速報1次QEが内閣府より発表される予定となっています。必要な経済指標がほぼ出尽くし、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。可能な範囲で、先行き経済の動向に関する記述を取っているつもりです。一応、先行きに言及していないのは、第一生命経済研と表の下に連ねた三菱系3社の計4機関だけであり、それ以外の機関についてはヘッドラインも長めに引用してあります。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+1.1%
(+4.6%)
4-6月期を展望すると、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が、個人消費や住宅投資を中心に顕在化。これまで景気のけん引役であった内需が、押し下げ要因に転じる結果、マイナス成長は避けられず。もっとも、低迷が続く外需については、駆け込み需要や政策効果のはく落を受けて、①輸入が減少に転じること、②企業が優先して対応していた国内向け出荷に代わり、輸出への振り向けに余裕が生じること、に加えて、③米国経済など海外景気が底堅く推移すること、などから徐々に回復に向かう見通し。
大和総研+1.3%
(+5.5%)
2014年4-6月期については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動から、個人消費は大幅に減少する見込みである。ただし、労働需給の引き締まりを反映してパートやアルバイトの賃金が上昇していること、ベースアップが多くの企業で実施されたことにより、所得環境は改善に向かう可能性が高い。所得の改善が個人消費を下支えするため、反動減の影響は一時的なものにとどまるとみている。
みずほ総研+0.6%
(+2.4%)
4-6月期は公需や外需が下支えとなるものの、駆け込み需要の反動が顕れる民需を中心に大幅なマイナス成長が避けられないだろう。
なお、7-9月期は個人消費や住宅投資が持ち直すことでプラス成長に復するとみられ、景気後退は回避されると予測している。
ニッセイ基礎研+1.2%
(+5.0%)
2014年1-3月期は駆け込み需要の本格化による民間消費の高い伸びを主因として高成長となった模様だが、4-6月期はその反動から民間消費、住宅投資が大きく落ち込むことが避けられない。一方、3四半期連続でマイナスとなった外需は、輸出の持ち直しと内需減速に伴う輸入の減少から成長率の押し上げ要因に転じるだろう。現時点では、4-6月期の実質GDPは前期比年率▲5%台のマイナス成長を予測している。
伊藤忠経済研+1.5%
(+6.0%)
反動減について、企業側は概ね想定の範囲内との見解の模様である。ただ、未だ断片的な情報にとどまり、4-6月期の動向を判断するには材料不足である。ちなみに1997年4-6月期は実質GDP前期比▲1.0%、民間最終需要▲3.0%、個人消費▲3.5%だった。
第一生命経済研+1.3%
(+5.5%)
1-3月期の高成長は、駆け込み需要の集中から個人消費が急増したことが主因。駆け込み需要の影響残存により住宅投資も高い伸びが続いたとみられる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+1.5%
(+6.0%)
14年4月の消費税率引き上げ(5%→8%)を前にした駆け込み需要の発生により、耐久消費財などへの支出が1-3月期に集中し、同期の個人消費を大きく押し上げた模様だ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+1.0%
(+4.2%)
1-3月期の高い伸びを主導したのが、消費税率引き上げ前の駆け込み需要によって急増した個人消費である。
三菱総研+1.0%
(+4.0%)
2014年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+1.0%(年率+4.0%)と6四半期連続のプラス成長を予測する。

1次QEの注目点はいくつかありますが、ひとつは駆込み需要の大きさです。私は少し前まで1997年と比較して大きくないと考えていたんですが、5月に入ってから、実はかなり大きくて1997年と比べてもそれほど違わないと考えるようになり、特に、いくつかの消費の代理変数について3月統計が出るに従って、駆込み需要は小さくないとの予想が強まりました。すなわち、すべて季節調整していない原系列の統計の前年同月比で見ると、経済産業省の商業販売統計の小売は名目で+11.0%増、総務省統計局の家計調査が実質で+7.2%増、くらいまではまあまあと思っていたんですが、同じ統計局の家計消費状況調査が実質で+12.5%増と出るに及んで、政府も企業も「駆込み需要は想定内」の大合唱の中で、ひょっとしたら、1997年を上回る可能性もあると考えるようになってきました。私の実感がズレた最大の要因は、我が家では長らく買っていない自動車の販売が実は大きく伸びた点が関係しているような気がします。もうひとつのポイントはかなり技術的なんですが、国際収支統計の扱いです。今年2014年1月から国際収支統計マニュアルがBPM6に移行し、以前と継続性がなくなったと実感していましたが、GDP統計を作成している内閣府では「平成26年1-3月期四半期別GDP速報の推計方法について」と題するメモを出し、「見直し前の概念に組み戻す処理を行う」と表明しています。上のテーブルに示したシンクタンクや金融機関などのリポートでも簡単に触れているものがありますが、第一生命経済研では「国際収支統計の改訂がGDPを大きく撹乱」と題するリポートを発表して詳細に解説しています。ご参考まで。
ということで、上のテーブルに戻って1次QE予想を総括すると、消費増税前の駆込み需要で1-3月期の成長はかなり上振れしたと考えられます。当然です。みずほ総研が何か勘違いしたか計算ミスがあったような気もしますが、年率4%成長は超えているように私は受け止めています。極めて大雑把かつ直感的に言って、需要項目別の詳細を気にせずGDP成長率としての仕上がりだけを見れば、ニッセイ基礎研と日本総研のレンジに収まるような気がしています。もっとも、内需寄与度がプラスで、外需はマイナスというのは、ほぼ一致した見方だという気もします。そして、言うまでもありませんが、先行きについては消費増税のショックにより4-6月期は大きく下振れするものの、7-9月期には早くも持ち直す可能性が高い、と私も含めた多くのエコノミストは予想しています。
下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。

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