企業向けサービス価格指数 (CSPI) は消費税率引上げで大きく上昇幅を拡大!
本日、日銀から4月の企業向けサービス価格指数(CSPI)が公表されています。ヘッドラインの企業向けサービス価格上昇率は消費税率引上げ前の前月比で+2.4%、前年同月比で+3.4%、消費税を除くベースでも前年同月比+0.8%の上昇を記録しました。4月1日からの消費増税の影響を受けて上昇率が大幅に高まっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
4月企業向けサービス価格、3.4%上昇 消費増税で約23年ぶり高さ
日銀が27日発表した4月の企業向けサービス価格指数(2005年平均=100)は99.4と、前年同月に比べ3.4%上昇した。消費税率引き上げの影響で、伸び率は1991年1月(3.4%上昇)と並ぶ23年3カ月ぶりの高さだった。
消費税の影響を除く伸び率は前年同月比0.8%上昇と、2013年12月(1.0%上昇)以来の高さとなり、3月(0.7%上昇)から小幅に拡大した。日銀は年度初めの価格改定で「これまでのコストアップを転嫁する動きがあった」(調査統計局)と見ている。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引される価格水準を示す。
消費税の影響を除いたベースで見ると、上昇品目64に対し下落品目は42と、8カ月連続で上昇品目が下落品目を上回った。業種別で上昇が目立ったのは運輸。高速自動車道や一般有料道路で自動料金収受システム(ETC)の割引制度の縮小や料金の見直しによる値上げが影響した。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(CSPI)とコアCSPIの上昇率とともに、企業物価(CGPI)上昇率もプロットしています。CSPI上昇率がCGPIに追い付いたように見えなくもありませんが、左右の軸で目盛りが異なりますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期なんですが、いつものお断りで、直近の景気の谷は昨年2013年11月だったと仮置きしています。

当然ながら、4月1日からの消費税率引上げにより企業向けサービス物価の上昇率も大きな影響を受け、上昇率が大幅に高まっています。しかし、消費税率引上げの影響を除く4月の前年同月比+0.8%は3月の確報実績+0.7%を上回っていますから、消費税率引上げの影響を差し引いても物価は着実に上昇幅を拡大している可能性があります。もっとも、単月の統計結果ですから、一部に消費税率アップを超える便乗値上げが生じていて、その分だけ物価上昇が押し上げられている可能性は排除できません。便乗値上げについては、それだけ需給が引き締まっていると見なすのか、一時的な物価動向を示すに過ぎず便乗値上げ分は早くに剥落すると見込むのか、見極めは難しいところです。特に前年同月比で見た上昇率が高かったのは、機械修理や清掃などの建物サービスを含む諸サービスが+4.1%、運輸が+4.0%となっていますが、運輸は有料道路が+26.3%を示した効果が大きく、しかも、引用した記事にもある通り、ETCの割引制度の縮小などですから、どこまでがいわゆる「実力」なのかは疑問が残ります。なお、消費税率引上げにもかかわらず、情報通信はまだ前年比でマイナスなんですが、マイナス幅は着実に縮小しています。サービスは一般的に商品に比べてコストに占める人件費の割合が大きく、しかも、CSPIは需給ギャップに敏感な指標ですので、賃金動向との関係も含めて、今後もその行く方が注目されるところです。
日銀は5月14日に発表された企業物価(CGPI)も、今日発表のCSPIも、いずれも消費税率引上げの影響を除く上昇率を参考として公表しています。先月発表された消費者物価の4月東京都区部の統計では総務省統計局は消費税率の影響を除く試算は公表していなかったように思います。日銀に出来て統計局に出来ないこと、あるいはその逆もいっぱいあるんでしょうから、エコノミストとしても決してムリは言いたくないんですが、今週金曜日の発表予定の全国CPIもやっぱり消費税の影響を除く上昇率の公表はしないんでしょうか?
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