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2014年5月 2日 (金)

雇用統計は消費増税直前の駆込み需要でかく乱されるも堅調な雇用を確認!

本日、総務省統計局の失業率などの労働力調査と厚生労働省の有効求人倍率などの一般職業紹介状況、すなわち、まとめて雇用統計が発表されています。いずれも3月の統計です。消費増税直前の駆込み需要によるかく乱も含めて、失業率は前月と同じ3.6%と低い水準を維持し、有効求人倍率は前月よりも+0.02ポイント上昇して1.07倍を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、長くなってしまいますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の失業率、前月比横ばいの3.6% 13年度平均3.9%に改善
総務省が2日発表した3月の完全失業率(季節調整値)は3.6%と前月に比べて横ばいだった。消費増税前の駆け込み需要などで内需が堅調なことから、増産体制をとった製造業で男性の就業者が増えた。景気回復を背景に転職しようとする動きも活発だった。総務省は「雇用情勢は引き続き持ち直している」とみている。
完全失業率を男女別にみると、男性が前月と横ばいの3.7%、女性は0.1ポイント上昇の3.4%だった。就業者数は6346万人で前月と比べ14万人増、完全失業者数は236万人で3万人増えた。うち「自発的な離職」は1万人増え、勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は前月比で横ばいだった。仕事を探していない「非労働力人口」は4495万人と18万人減り、労働市場への参入が活発なことを映した。
併せて発表した2013年度平均の完全失業率は12年度比0.4ポイント低下の3.9%と、07年度(3.8%)以来6年ぶりの低さだった。完全失業者数は24万人減の256万人、就業者数は47万人増の6322万人だった。
3月の有効求人倍率、1.07倍に上昇 6年9カ月ぶり高水準
厚生労働省が2日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.07倍と、2007年6月(1.07倍)に並ぶ6年9カ月ぶりの高い水準だった。改善は16カ月連続で、QUICKがまとめた市場予想(1.06倍)を上回った。緩やかな景気回復を背景に職探しの動きが雇用に結びつき、有効求職者数が減少した。5カ月連続で有効求人数が有効求職者数を上回り、1倍台となった。
一方、新規求人倍率は前月比0.01ポイント下落の1.66倍と4カ月ぶりに悪化した。雇用の先行指標となる新規求人数のマイナス幅が新規求職申込件数の減少幅より大きかったため。新規求人数が減少した背景には、4月の消費増税による駆け込み需要の反動減を加味して、企業が採用を絞りつつあることが挙げられる。
前年同月と比べた新規求人数(原数値)は5.4%増えた。業種別にみると、自動車がけん引した製造業は18.4%増加した。職業紹介や労働者派遣業を含む「サービス業(他に分類されないもの)」は13.7%増、運輸業・郵便業は7.7%増だった。半面、卸売業・小売業は1.8%減り、10年4月(0.6%減)以来3年11カ月ぶりのマイナスに転じた。
厚労省は「雇用は順調に推移している」としつつも「今後は駆け込み需要の反動減の影響がどの程度出るか注視したい」としている。
都道府県別で最も有効求人倍率が高かったのは愛知県の1.55倍、最も低かったのは沖縄県の0.63倍だった。
併せて発表した13年度平均の有効求人倍率は12年度比0.15ポイント上昇の0.97倍と、07年(1.02倍)以来6年ぶりの高水準だった。景気の持ち直しや消費増税前の駆け込み需要を受けて雇用が回復したことを映した。

失業率と有効求人倍率に記事が分かれてしまいましたので長いんですが、いずれもとてもよく取りまとめられた記事だという気がします。次に、雇用統計のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数となっています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。なお、毎度のお断りですが、このブログのローカル・ルールで、直近の景気の谷は2012年11月であったと仮置きしています。

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2012年暮れ以降のアベノミクスによる経済の回復ないし拡大にともなって、雇用は改善を示し続けており、基本的には、2014年3月の失業率や有効求人倍率といった統計も、このラインの上にあると私は受け止めていますが、何分、消費増税直前の駆込み需要により、上振れている可能性が大きいと考えています。加えて、引用した記事にもある通り、先行指標である新規求人数や新規求人倍率がやや落ちましたので、気にかかるところです。でも、変動の激しい指標ですから、来月以降の動向も合わせて見る必要があります。
このところ、政府や日銀などから駆込み需要やその後の反動減は「想定の範囲内」という発言が出ていますが、では、「想定の範囲」がどの程度だったのかは不明です。例えば、月曜日に発表された経済産業省の商業販売統計や、グラフは示しませんが、今日発表された総務省統計局の家計調査などでは、家計の消費が1997年当時と比べてもかなり大きく上振れている姿が統計的に確認できます。生産については上振れは大きくなかったんですが、アベノミクスによる景気回復の主役のひとつであった消費が1997年と同程度の駆込み需要を示したのは、少なくとも、私の想定外でした。

今日発表の雇用統計については、基本的に堅調という従来からの判断でOKと考えていますが、本日のエントリーの主旨である雇用統計を離れれば、月曜日のエントリーの最後にも書いたのと同じ趣旨で、商業販売統計や家計調査などを見る限り、駆込み需要と反動減について「想定内」を繰り返すだけでなく、エコノミストとしては十分な注意を払って今後の経済動向を注視すべきと考えています。

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