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2014年6月 9日 (月)

上方修正された1-3月期2次QEと4月を底に改善を示す景気ウォッチャーと消費者態度指数と黒字を記録した経常収支

本日、内閣府から今年2014年1-3月期のGDP統計が発表されています。いわゆる2次QEです。1次QEの前期比+1.5%成長、前期比年率+5.9%成長から、設備投資などを主因にやや上方改定され、前期比で+1.6%成長、前期比年率で+6.7%成長を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期実質GDP改定値、年率6.7%増に上方修正
内閣府が9日発表した2014年1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.6%増だった。年率換算では6.7%増と5月15日発表の速報値(5.9%増)から上方修正された。6四半期連続のプラスで、伸び率は11年7-9月期(10.8%増)以来10四半期ぶりの大きさとなった。設備投資が大幅に上方修正されたためだ。
1-3月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、設備投資は7.6%増(速報値は4.9%増)に上方修正された。11年10-12月期(8.3%増)以来9四半期ぶりの高い伸び率となった。内閣府は「金融・保険業や運輸・郵便業、建設業で設備投資の伸びが高まった」としている。個人消費も商業販売統計の確報化で飲料などの非耐久財が伸びたことなどが寄与し2.2%増(速報値は2.1%増)と小幅に上振れした。
一方、民間の在庫寄与度はマイナス0.5ポイント(速報値はマイナス0.2ポイント)に下方修正。公共投資も3月分の建設総合統計を加味した結果、2.7%減(同2.4%減)に下振れした。
生活実感に近い名目GDPは1.4%増(速報値は1.2%増)、年率で5.7%増(同5.1%増)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス0.1%(同プラス0.0%)だった。速報段階では09年7-9月期以来18四半期ぶりにプラス転換していたが、改定値では18四半期連続でマイナスとなった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で、最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2013/1-32013/4-62013/7-92013/10-122014/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+1.3+0.7+0.3+0.1+1.5+1.6
民間消費+1.0+0.7+0.2+0.4+2.1+2.2
民間住宅+1.8+0.8+3.3+4.3+3.1+3.1
民間設備▲2.2+0.9+0.9+1.6+4.9+7.6
民間在庫 *(+0.1)(▲0.4)(+0.1)(▲0.1)(▲0.2)(▲0.5)
公的需要+1.5+1.6+1.5+0.5▲0.4▲0.5
内需寄与度 *(+0.9)(+0.6)(+0.8)(+0.6)(+1.7)(+1.9)
外需寄与度 *(+0.4)(+0.1)(▲0.5)(▲0.6)(▲0.3)(▲0.3)
輸出+4.3+2.9▲0.7+0.5+6.0+6.0
輸入+1.1+1.8+2.4+3.7+6.3+6.3
国内総所得 (GDI)+0.9+0.7+0.1▲0.1+1.0+1.2
国民総所得 (GNI)+0.8+1.5▲0.1▲0.1+0.7+0.8
名目GDP+0.9+0.6+0.2+0.2+1.2+1.4
雇用者報酬+0.9+0.2▲0.4▲0.1▲0.3▲0.2
GDPデフレータ▲1.0▲0.6▲0.4▲0.4±0.0▲0.1
内需デフレータ▲0.8▲0.4+0.3+0.5+0.7+0.7

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示した積上げ棒グラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1-3月期の最新データでは、前期比成長率が大きなプラスであり、特に消費増税前の駆込み需要に伴う赤の民間消費と水色の設備投資のプラス寄与が大きく、逆に、黒の外需がマイナス寄与を示しているのが見て取れます。

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先週木曜日の2次QE予想を取り上げたエントリーでは、1次QEとほぼ変わらず+5%台半ばから後半くらいの成長率で、どちらかと言えば、下方修正の可能性が高いと主張したんですが、1次QE、2次QEとも私の予想は下方に外したようで、2次QEでは設備投資の上方改定を主因に成長率も上方修正されています。先週も強調しましたが、先行きについては、足元の4-6月期にマイナス成長に陥ることは確実としても、7-9月期にはプラス成長に復帰して、2四半期連続のマイナス成長というテクニカル・リセッションを記録することはない、との見通しがエコノミストの間の緩やかなコンセンサスであろうと私は受け止めています。GDPデフレータはゼロからマイナスに下方改定されています。いずれにせよ、景気認識や先行き見込みに対して変更を迫るような統計ではなかったと考えるべきです。

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続いて、上のグラフはこれも本日内閣府から発表された景気ウォッチャー消費者態度指数をプロットしています。いずれも5月が最新データとなっており、4月の消費増税後の5月の動向が気にかかるところですが、供給サイドのマインドである景気ウォッチャーも、需要サイドのマインドである消費者態度指数も、いずれも4月を底にして5月はかなりジャンプしています。統計作成官庁である内閣府の基調判断だけ取り上げると、景気ウォッチャーは長くて複雑怪奇なんですが、「景気は、緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる。先行きについては、緩やかに回復していくと見込まれる」とされ、消費者態度指数は「5月の消費者マインドは、持ち直しの動きがみられる。」とまとめられています。いずれにせよ、4月が底であったかどうかはもう少し長い目で見る必要があるものの、景気ウォッチャーの先行き判断DIがすでに4月の段階で50に達したことに象徴される通り、消費者マインドの先行きは決して悪くないと私は判断しています。

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最後に、上のグラフは本日財務省から発表された経常収支をプロットしています。季節調整済みの系列で見て、今年に入ってから経常赤字が続いていましたが、4月は+1305億円の経常黒字を記録しました。季節調整していない原系列の統計では、4月に旅行収支が黒字になるなど円高修正ないし円安の効果が出ているようです。ただし、貿易収支はならして見れば毎月▲1兆円ほどの赤字を計上しており、為替の効果はまだ見られず、貿易収支が黒字になるにはもう少し時間がかかるのかもしれません。

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