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2014年6月26日 (木)

来週7月1日に発表予定の日銀短観の予想やいかに?

来週火曜日7月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。4月からの消費増税後の初の短観ですから注目が集まっていますが、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画の予想を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は当然ながら2014年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、2014年度の設備投資見通しに着目して拾いました。ただし、三菱総研だけは設備投資計画が予測項目に含まれていないため、先行きの業況判断DIに関するコメントを取っています。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (先行き)+8
+13
<+0.1>
n.a.
日本総研+11
+16
<+6.9>
製造業、非製造業ともに、国内景気の回復基調や低金利を受けた良好な投資環境、設備の老朽化等を背景に、維持・更新目的を中心に、先延ばしてきた設備投資に前向きとなる見通し。加えて、人手不足を背景に、省力化・合理化投資も期待可能。もっとも、中長期的な人口減少による国内需要の先細りが懸念されるなか、成長期待の本格回復は見込めず、中小企業を中心に、能力増強に慎重な姿勢はなお根強い状況。
大和総研+18
+17
<+4.8>
リーマン・ショック以降、低水準での推移が続いていた設備投資は、足下で徐々に改善傾向にある。設備投資の先行指標である機械受注統計などを見ても改善が続いており、設備投資は増加基調が続く見込みである。改善の続く企業収益を背景に、賃上げや設備投資などを積極的に行う企業が増加することで、生産性の上昇やさらなる経済の循環的改善も期待できよう。
みずほ総研+14
+20
<+4.1>
2014年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年比▲0.7%と、3月調査(同▲4.2%)から上方修正されると予測する。修正幅(+6.2%)の割にマイナス計画となっているのは、2013年度が大幅に上方修正され、発射台が高くなったためである。
ニッセイ基礎研+15
+19
<+6.7>
14年度設備投資計画(全規模全産業)については前年度比1.0%増(前回は同4.2%減)に上方修正されると予想。例年6月調査では年度計画が固まってくることに伴って上方修正される傾向が強いためである。さすがに増税直後という不透明感から大幅な上方修正とはいかないものの、経常利益が1-3月期に過去最高を記録するなど企業の投資余力が高まっている点は追い風だ。従って、設備投資は例年と遜色ない幅の上方修正が行われ、プラス圏に浮上すると見ている。
伊藤忠商事経済研+14
+19
<+6.3>
大企業非製造業の2014年度計画は前年度比5.2%と、同時期の2013年度計画の4.9%を上回り、金融危機以降で最も高い伸びになる見込みである。大都市での再開発に伴う不動産業や、家計の消費形態の変化に対応するための小売業の店舗投資などがけん引する。一方、大企業製造業の2014年度計画は8.4%と同時期調査の2013年度6.7%こそ上回るが、2012年度12.4%との対比では半分程度にとどまる。また、製造業の設備投資計画は6月もしくは9月がピークで、その後下方修正される傾向が強い点を勘案すれば、最終的な着地は2013年度(当社予想1.1%)と同程度の低い伸びになる可能性が高い。海外生産を重視する姿勢が強まる下で、製造業の国内投資は拡大し難い状況にある。
第一生命経済研+15
+19
<+5.3>
2014年度の設備投資計画は、大企業・製造業が前年比9.7%、非製造業が前年比3.2%とプラスに浮上する見通しである。マクロの設備投資は、2014年1-3月に急増する動きをみせた。これは、パソコンソフトのサポートが終了するのに伴っての更新投資増や、リース取引での駆け込みの影響である。こうした変化が、短観でも2014年度以降の前向きな動きにつながっていくのだろうか。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+19
+22
<+8.1>
14年度の設備投資計画については、大企業・中小企業とも、3月調査からの大幅な上方修正が見込まれる。企業収益が回復基調で推移する中、企業経営者は生産能力の増強や営業用設備の機能拡充に積極的に対応している模様だ。
三菱総研+17
+21
<n.a.>
6期ぶりの低下を予想するが、低下幅は小幅にとどまる見込み。増税後も企業の業況は底堅く推移している。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+14
+18
<+6.7>
今年度(2014 年度)の設備投資計画は、大企業では製造業、非製造業ともに上方修正が見込まれる。もっとも、企業が海外での投資を重視する流れが変わらない中では、生産能力の増強などの大規模な投資が国内で増加するとは考えにくい。今後も、国内での設備投資は、維持・更新投資や研究開発投資など企業が競争力を維持するために必要とされる最低限度のものに限られるだろう。
富士通総研+18
+21
<+5.6>
好業績を背景に、製造業、非製造業とも投資意欲が高まっている。長らく設備投資を手控えてきたために生産設備の老朽化が進んでおり、更新投資に踏み切るだけでも一定の投資が出やすい環境になっている。企業経営者の円安期待の定着により、投資の国内回帰の動きが一部で出ていることも、設備投資の追い風になっている。大企業は3月調査では過去の平均と比べ、高めからスタートしたが、今回調査では順調に上方修正されると見込まれる。中小企業も過去のパターンと同様に、上方修正されると予想される。

まず、日銀短観のヘッドラインとなる業況判断DIの予想については、3月調査における先行き判断ほどには悪化しないとの結果が示されています。すなわち、4月の消費増税に伴う景気の下押し効果については、アチコチで「想定内」という表現が用いられたんですが、実は、企業マインド的には消費増税のマイナス効果は「想定内」どころか想定以下だったことが示唆されていると私は受け止めています。一部ながら、3月調査の足元よりも6月の方がマインドは改善するとの見方も示されていますし、少なくとも、6月調査の時点までで見て、先行き景気を悲観する材料は見当たりません。
次に、設備投資計画ですが、いくつかコメントを引いたように、3月調査では荒っぽい見込みだったものが6月調査では具体的な計画にグレードアップして、設備投資計画が大きく上方修正されるのが日銀短観の統計としてのひとつのクセなんですが、景気の拡大期にはそれがいっそう強調され、今年もその傾向が強く現れる、との予想となっています。みずほ総研のコメントにある通り、伸び率よりも修正幅のほうが大きいのは前年度2013年度の実績見込が上方修正されて、いわゆるゲタが大きくなっているからです。おそらく、2014年度の設備投資はリーマン・ショック以降で最大の伸びを示すことになると私も予想していますが、製造業の設備投資に対する見方は分かれます。すなわち、いわゆる産業空洞化の流れは止まらず、海外投資が主流となって国内投資に回帰することはない、とする見方と、一部ながらも投資の国内回帰が始まる、とする見方です。明らかに程度問題なんですが、為替相場次第では製造業の設備投資が大きく増加する可能性も決して低くないと私は考えています。ここでも金融政策の重要性を強調しておきたいと思います。
最後に、2011-14年度の大企業全産業の設備投資計画のグラフを伊藤忠経済研のリポートから引用しています。ご参考まで。

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