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2014年6月 3日 (火)

毎月勤労統計に見る所定内給与の低下は何に起因するのか?

本日、厚生労働省から4月の毎月勤労統計調査の速報が公表されています。統計のヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比+0.9%増となったものの、所定内給与はマイナスでした。また、景気に敏感な所定外労働時間は季節調整済みの統計で前月比▲2.7%の減少を示しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の現金給与総額、0.9%増 残業増え、2カ月連続プラス
厚生労働省が3日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比0.9%増の27万4761円と、2012年3月(0.9%増)に並ぶ2年1カ月ぶりの高い伸び率だった。増加は2カ月連続。残業代などの所定外給与や期末賞与を含む特別給与が伸びた。
所定外給与は5.1%増の2万564円と13カ月連続で増加した。景気回復を背景に生産活動が活発化している。製造業や卸売・小売業などがけん引し、高い水準で推移した。特別給与は20.5%増の1万208円だった。プラス幅は13年1月(22.1%増)以来1年3カ月ぶりの大きさ。収益改善を受けて期末賞与を支払う企業が増えた。
一方、基本給や家族手当などの所定内給与は0.2%減の24万3989円と、23カ月連続で減少した。新卒採用者が増加している一方、給与水準が高い団塊の世代の退職が続いており、所定内の平均額の減少につながっている。春季労使交渉でベースアップを実施する企業が増えたが影響は限られた。
残業などの所定外労働時間は6.4%増の11.6時間だった。このうち、製造業の所定外労働時間は8.0%増え、16.2時間となった。
正規雇用を中心にした一般労働者とパートタイム労働者を合計した常用雇用は1.3%増の4656万4000人。このうち一般労働者は0.6%増え、パートタイム労働者も2.8%増加した。一般労働者の伸び率は今年1月以降拡大傾向にある。
厚労省は同時に、雇用保険のコンピューターシステムのプログラムにミスがあり過去の統計の一部に誤りがあったと発表した。最近約3年間の賃金や労働時間などの指数を最大0.1ポイント修正した。

次に、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上のパネルは現金給与総額とその内の所定内給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、下のパネルは季節調整した製造業の所定外労働時間を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期です。

photo

まず、上のパネルの賃金ですが、引用した記事にもある通り、残業代などの所定外給与や期末賞与を含む特別給与が伸びたことから現金給与総額が前年に比べて増加している一方で、消費と強い相関を有する所定内給与、すなわち、経済学的なカテゴリーで言うところの恒常所得に近い概念のお給料は減少しています。4月からベースアップの実施などで所定内給与がどれくらい伸びたのかについて、私なんぞは楽しみに統計を待っていたんですが、少し驚きの結果となりました。ひとつには、ベースアップなどの賃上げはまだ大企業に偏っており、中小企業に波及するには時間がかかる、という見方が出来ます。他方、知り合いのエコノミストから示唆されたんですが、4月の所定内労働時間は前年同月比で▲1.1%の減少を示しており、3月の▲0.1%減から減少幅を拡大していて、▲0.2%減を示した所定内給与の減少は実は労働時間の減少に起因する可能性がある、という見方です。単純に所定内労働時間と所定内給与を比較すれば、▲1.1%減と▲0.2%減ですから、労働時間当たりの所定内給与は上昇していることになります。この点については、現時点で得られる情報からは何とも判断できませんが、いずれにせよ、賃金についてはもう少し長い目で観察する必要があります。下のパネルの所定外労働時間については、アッサリと言うと、3月の駆込み需要の反動で4月の生産がやや落ちたわけですから、生産の派生需要である労働に対しても需要は低下していると言うわけです。所定内労働時間もある程度はこの影響であろうと推測しています。

ただし、労働時間とこれに起因する賃金の変動について考えると、我が国における4月と5月については前年同月で比較しても、ゴールデンウィークの日並びによる影響は避けられませんから、なかなか判断は難しいところです。

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