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2014年8月20日 (水)

7月貿易統計で輸出に持直しの兆しは見られるか?

本日、財務省から7月の貿易統計が公表されています。ヘッドラインとなる輸出額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.9%増の6兆1886億円、輸入額は+2.3%増の7兆1526億円、差引き貿易赤字は▲9640億円でした。前年同月に比べて貿易赤字はやや縮小しましたが、依然として輸出は伸び悩んでいる印象です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の貿易赤字9640億円 25カ月連続の赤字 輸出増は3カ月ぶり
財務省が20日発表した7月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9640億円の赤字(前年同月は1兆325億円の赤字)だった。貿易赤字は25カ月連続。QUICKが19日時点で集計した民間予測の中央値(7050億円の赤字)を上回った。円安で原粗油や液化天然ガス(LNG)など輸入コストが増加した。
貿易赤字額は高水準だが、2カ月ぶりに前年同月よりも赤字幅は縮小した。4月に1年8カ月ぶりに赤字額が縮小して以降、円安進行の鈍化や輸出の持ち直しなどで、前年同月と比べた貿易収支悪化に歯止めがかかりつつある。
輸出額は前年同月比3.9%増の6兆1886億円。輸出額の増加は3カ月ぶり。英国向けの自動車のほか、中国向けの金属加工機械、液晶デバイスなどの科学光学機器の増加が目立った。地域別では構成比の大きいアジア向けが3カ月ぶりに増加に転じ、中国向けの自動車部品や金属加工機械の輸出増などが寄与した。欧州連合(EU)向けは14カ月連続で増加。対米国は3カ月ぶりに増えた。輸出数量は0.9%増だった。
一方、輸入額は2.3%増の7兆1526億円。輸入数量は0.4%減となったが、円安で輸入コストが膨らみ輸入額を押し上げた。輸入額の増加は2カ月連続。サウジアラビアからの原粗油やオーストラリアからのLNGなどの輸入が増えた。品目別でも円安を背景に原粗油やLNGなど燃料輸入額の増加が目立った。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=101円73銭で、前年同月比2.9%の円安だった。

いつもの通り、とてもよく取りまとめられている記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易収支については、ここ数か月は輸入の動向に左右されるところが大きく、特に、消費税率引上げ前後の駆込み需要と反動減で大きくスイングしています。季節調整済みの系列で見て、3月に7.47兆円に達した輸入額は4月に6.74兆円に落ち、4-6月の3か月の間は輸入額は6兆円台にとどまっていたものの、7月には7.02兆円と7兆円台を超えています。別の切り口から、季節調整していない原系列の輸入指数を見ると、3月の輸入数量指数は前年同月比で+11.6%増と大きく伸びた後、4-5月はマイナスを記録し、6月はプラスだったものの、7月もマイナスとなっています。ですから、7月の輸入額が前年同月比でプラスをとなったのは数量効果ではなく、輸入価格の上昇による寄与に基づいています。輸入価格指数は前年同月比で+2.7%の上昇となっている一方で、上に引用した記事の最後のパラにもある通り、為替相場は+2.9%の円安ですから、為替の影響を除いたドル建てベースの輸入物価は下落していることがインプリシットに示されていると受け止めています。ひとつの要因として、米国金融政策における量的緩和QE3のテイパリングに伴って、原油などの商品価格は下落する方向にあり、従って、我が国の貿易における輸入価格は低下する可能性が高く、輸入数量が増加しないのであれば価格面から輸入額は伸び悩む可能性が高いと考えるべきです。輸入額からは貿易赤字が縮小する可能性が示唆されていると受け止めています。

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他方、輸出の推移は上のグラフの通りです。いずれも季節調整していない貿易指数を基に、上のパネルは輸出額の前年同月比を数量と価格で要因分解しており、下のパネルは輸出数量とOECD先行指数のそれぞれの前年同月比をプロットしています。ただし、OECD先行指数は1か月だけリードを取っています。先月も主張した通りですが、足元で輸入数量の前年同月比はほぼゼロ近傍で伸び悩みが続いており、下のパネルから、需要サイドではOECD諸国の景気が足踏みしているため、我が国からの輸出への需要が伸び悩む原因となっているのが見て取れます。なお、OECD先行指数の伸びのトレンドよりも輸出が下振れているのはアジア向けの輸出に起因します。そして、アジア経済は米国への輸出によって支えられており、米国経済がこの先拡大を続けるのであれば、日本から米国への直接の輸出とともにアジア経済の拡大に伴う我が国からアジア諸国への輸出もより力強く増加する可能性が高いと私は考えています。

米国経済の回復・拡大は金融政策のQE3のテイパリングに伴う商品価格の下落から我が国の輸入額を抑制し、米国への直接の輸出とともにアジア経済の活性化に伴う我が国からアジア諸国への輸出の増加をもたらすことから、輸出入の両面において貿易赤字の縮小に寄与するものと期待しています。

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