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2014年8月31日 (日)

ライアン小川投手に抑えられてヤクルトに連敗!

  HE
ヤクルト200101000 470
阪  神000000101 291

打線が湿りっぱなしで得点力低下が著しく、ヤクルトの小川投手に抑え込まれて連敗でした。先発の岩貞投手も6回途中までで4失点、制球が定まらずにムダなフォアボールが多かった気がします。9月早々にペナントレースを諦めて秋風が立つのだけは避けたい気がします。

来週の対巨人・対広島6連戦まで首位戦線に残るべく、
がんばれタイガース!

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2014年8月30日 (土)

打線に決定力なくリリーフ投手陣はダダ漏れでヤクルトに完敗して3位転落!

  HE
ヤクルト000201011 4140
阪  神010000000 181

ヤクルトに完敗して、広島に入れ替わって3位転落でした。先発の金田投手は5回2失点ですから、決して悪いピッチングではありませんでしたが、打線の援護なく、リリーフ陣はジワジワと失点しました。見どころはライトゴロくらい?

明日はドラ1ルーキー岩貞投手の先発で、
がんばれタイガース!

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今週の読書は小塩隆士『持続可能な社会保障へ』ほか

今週の読書は小塩隆士『持続可能な社会保障へ』ほか専門書・教養書が2冊と話題の新刊小説などです。

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まず、小塩隆士『持続可能な社会保障へ』(NTT出版) です。先々週の週末の読書感想文で取り上げた『社会保障亡国論』の鈴木教授とともに、社会保障に関して影響力ある発言をされる小塩教授による包括的な著書です。私も大いに感じているところですが、現在の我が国の社会保障は単に年齢による区分で実物給付や所得移転が行われており、社会保障本来の姿である「困っていない人」から「困った人」への援助という役割を損ねている可能性がまず指摘されます。社会保障と財政の関係をはじめ、世代間不平等も大いに論じて無視できない観点であると結論しています。その上で、特に社会保障政策における議論の焦点となっている年金については、鈴木教授のように積立て方式の採用、というか、回帰を目指すのではなく、賦課方式のままでOKなので規模を大幅に縮小すべきであると提案しています。規模の縮小のためには、支給額の削減と支給開始年齢の引上げを重視しています。最後の方の第5章と第6章において、社会保障の基本的な哲学も披露され、老親のケアは生物学的な基礎である本能に基づかないない、とか、人口が増加する社会でないと民主主義は機能しないとか、かなり幅広く論じています。民主主義については、私の従来からの主張である「シルバー・デモクラシー」によるバイアスについても的確に指摘しています。

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次に、ジョエル・レヴィ『デカルトの悪魔はなぜ笑うのか』(創元社) です。イラストや写真も美しい自然科学の入門書というか、100のトピックを取り上げてアナロジーを当てはめ、ビジュアルな図版を散りばめて解説しています。これで2000円は安いと感じる人もいそうな気がします。取り上げられている分野は章別に見て、物理学、化学、生物学、天文学、地球科学、人体、テクノロジーの7テーマです。地球の構造をスコッチエッグにたとえるとどうなるの? 相対性理論を光速で走る急行列車にたとえると? 原子構造を大聖堂を飛びまわるハチにたとえると? といったアナロジーを駆使して解説を試みようとしています。英語の原題が A Bee in a Cathedral ですから、大聖堂を飛び回るハチに例えた原子構造ということになります。でも、いくらきれいなビジュアル図版を駆使しても、シュレディンガーの猫については私はいまだによく理解できなかったりします。

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次に、東野圭吾『マスカレード・イブ』(集英社文庫) です。3年前2011年の今ごろ発売された『マスカレード・ホテル』に至る前の新田刑事とコルテシアのホテル・ウーマンの山岸尚美を主人公にした短編集です。収録されているのは、「それぞれの仮面」、「ルーキー登場」、「仮面と覆面」、「マスカレード・イブ」の4編で、最後のタイトル作以外は『小説すばる』で発表されています。推理小説ですから中身は詳細に触れませんが、なかなかヒネリの利いたミステリばかりです。登場人物も新田と山岸をはじめとして、タイトル作に登場する婦人警官の穂積理沙など、よくキャラの立った人物像を描き出しています。宿泊などでホテルを利用するゲストはすべて仮面をかぶっていて、ホテルの従業員はそれを無理にはがして実像を明らかにしようとしてはいけない一方で、犯罪の真相を解明しようとする刑事は容赦なく仮面をはぎ取ります。この相反する両者の特性を持つ新田と山岸を主人公とするマスカレードも、ガリレオこと湯川を主人公にしたシリーズや加賀恭一郎のシリーズなどとともに、東野圭吾の手によりシリーズ化されるんでしょうか?

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次に、高田郁『天の梯』(ハルキ文庫) です。「みをつくし料理帖」シリーズの第10巻最終巻です。このシリーズの大きなテーマは、もちろん、あさひ太夫こと野江を澪が落籍することなんですが、もう2つ隠れたテーマがあります。すなわち、登竜楼の楼主であり澪の敵役である采女宗馬を何らかの意味で懲らしめることと、天満一兆庵の跡取りである佐兵衛を料理人の道に戻らせることです。この隠れ2テーマは、実に巧みにも同時に解決されます。そして、当然ながら、思いもよらない方法で澪が4000両を用意し、あさひ太夫こと野江の落籍も成し遂げます。今風に言えば知的財産権の売却ということになるかもしれません。ついでながら、かつて御膳奉行の小松原との祝言を諦めた澪は医者の永田源斉から求婚されます。実は、ホントに終わるのだろうかとこの本を半分くらいまで読んだ時点で不審に思ったんですが、とても、バタバタと見事に勧善懲悪かつハッピー・エンドで終わります。やや短かったと感じないではないものの、第1巻からずっと読み続けてきた甲斐がありました。私はこの作品を原作にしたテレ朝のテレビ・ドラマはまだ見たことがないのですが、そのうちに、この最終話が放送されるのであれば、見たい気がしないでもありません。主演は北川景子だったでしょうか?

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最後に、葉室麟『紫匂う』(講談社) です。直木賞作家の手になる九州の小藩を舞台にした時代恋愛小説で、表面上は武家の人妻を主人公にしています。なぜか、直前に取り上げた高田郁『天の梯』と同じ澪という名の主人公です。しかし、実際の主人公はこの人妻の亭主であり、藤沢修平の短編集『たそがれ清兵衛』と同じで下級武士ながら剣術の達人です。もちろん、揺れ動く女心は恋愛小説においては永遠のテーマなんでしょうが、私のような男性読者の目から見れば、主人公の亭主が熊と猪の争いになぞらえて語る<天の目>で見るということや、敵役の剣の達人も引用する<一息の抜き>という教えは、ある意味で、人生を豊かに送る上での人のあり方を伝えてくれるように私は読みました。また、敵役として登場する家老や主人公の亭主の剣術のライバルである武家、主人公の幼馴染みの武家が、みんなそれなりに頭がよくて有能なのに自己中心的な行動に走り、意地汚かったり優柔不断だったりと、なかなか現代社会のサラリーマンの集団にもみられるような親近感を持ってしまいます。最後の終わり方も時代小説の定番ですし、直木賞作家にふさわしいと受け止めています。この作家の作品としては、それほど人気が出るとは思いませんが、私のような時代小説のファンであれば、図書館で借りて読むには適当な1冊だという気がします。

来週から9月に入り、我が家でも子供達の学校が始まります。今秋はなぜか雨が多くて気温が上がらなかったんですが、来週はお天気が回復するような天気予報も聞きます。何冊かミステリのアンソロジーも借りましたので読むのが楽しみです。

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2014年8月29日 (金)

今日は下の倅の誕生日!

今日は下の倅の誕生日でした。高校1年生で16歳になりました。体格は我が家でもっとも立派に育ってくれました。ごちそうとケーキでお祝いします。

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我が家の恒例のジャンボくす玉です。めでたいとお考えの向きはクリックして割ってやって下さい。

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狩野選手の復活弾を能見投手と雨が守ってヤクルトに大勝!

  HE
ヤクルト000000221 5130
阪  神11250100x 10121

長期ロードを終えて甲子園に戻って、とても鮮やかな狩野選手の復活でした。打つ方は狩野外野手に尽きます。見事な働きでした。守る方は大きなことは言えません。先発能見投手こそ7回2失点ですから十分な合格点で勝ち星もつきましたが、点差が開いていたとはいえ、リリーフ陣は落第と考えるべきです。最後は雨に助けられて逃げ切りました。

明日はまたまた金田投手の先発で、
がんばれタイガース!

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本日発表の鉱工業生産と雇用統計と商業販売統計などから見て消費増税後の景気のリバウンドはかなり鈍い!

本日は8月最後の閣議日で経済指標が多数公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計、経済産業省の商業販売統計、総務省統計局の消費者物価指数 (CPI)などです。いずれも7月の統計です。まず、各指標のヘッドラインを報じた記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、7月は0.2%上昇 基調判断「弱含み」
経済産業省が29日発表した7月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比で0.2%上昇の96.8だった。前月比3.4%低下と大幅に落ち込んだ6月の反動から2カ月ぶりにプラスとなった。ただ生産の回復は弱く、QUICKが28日時点で集計した民間の予測中央値(1.0%上昇)は下回った。
経産省は生産の基調判断を「弱含みで推移している」に据え置いた。
業種別でみると、15業種のうち上昇が8業種、低下が6業種、横ばいが1業種だった。上昇業種では「はん用・生産用・業務用機械工業」が前月比6.3%上昇と大きく伸びた。コンベヤや半導体製造装置など輸出向けの受注生産が多く、経産省は「納期が重なった一時的な要因が強い」とみている。一方、低下業種では、自動車など輸送機械が2.5%低下、パソコンや携帯電話を含む情報通信機械も6.9%低下した。
出荷指数は0.7%上昇の95.9だった。在庫指数は0.8%上昇の111.5、在庫率指数は2.3%低下の108.9だった。自動車や家電などの耐久消費財の生産者在庫の水準は12年11月以来の高い水準にあり、「1997年の消費増税後の同時期と比べ生産と出荷の勢いが弱く、在庫が積み上がっている」(経産省)という。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、先行きは8月が1.3%上昇、9月は3.5%上昇する見込み。経産省は「7月の水準が低いため、8月の上昇幅が大きく見える」としている。
7月の求人倍率、横ばいの1.10倍 完全失業率は3.8%
厚生労働省が29日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍と前月から横ばいだった。20カ月ぶりに改善が止まったものの、22年ぶりの高い水準を保った。完全失業率は3.8%と0.1ポイント上がった。仕事探しに出る女性が増えたたためで、総務省は「(雇用情勢は)持ち直しの動きが続いている」との判断を維持した。
有効求人倍率は全国のハローワークで職を探す人1人に対して、企業から何件の求人があるかを示す。数字が高いほど働く人は仕事を見つけやすい一方、企業から見ると採用が難しくなる。
7月に受け付けた新規求人数(原数値)は4.5%伸びた。11業種のうち8業種で伸びた。医療・福祉と教育・学習支援がそれぞれ11.8%増えたほか、宿泊・飲食サービスが5.3%伸びた。一方、広告業など学術研究・専門技術サービスが5.4%減ったほか、情報通信業が4.4%減った。
これまでに比べると求人の回復ペースは弱まっている。6月までの受け付け分を含む有効求人数(季節調整値)を前月と比べると0.5%減った。減少率の大きさは3年2カ月ぶりだ。
総務省が同日まとめた7月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.1ポイント高い3.8%だった。上昇は2カ月連続で8カ月ぶりの高い水準。新たに職を探したり、転職に備えて退職したりする女性が増え、失業者の数を押し上げた。「消費増税で家計の負担が増えていることの影響も考えられる」(総務省)という。
完全失業率は15歳以上の働きたい人のうち、仕事に就いておらず職を探している完全失業者の割合を示す。就業者(原数値)は6357万人と前年同月から0.7%増えた。増加は19カ月連続だ。
7月の小売販売額、増税後初のプラス 肉類・石油製品の値上がりで
経済産業省が29日発表した7月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆8120億円と、前年同月比0.5%増えた。4月の消費増税以降、初めてプラスとなった。畜産品の相場高の影響で肉類の価格が上昇したほか、石油製品が値上がりしたことが販売額の押し上げにつながった。
小売業の内訳をみると、燃料が1.4%増。飲食料品が1.2%増。織物・衣服・身の回り品は2カ月ぶりにプラスとなった。一方、自動車や機械器具は減少が続いた。
大型小売店は0.3%増の1兆7172億円。4カ月ぶりのプラスとなった。台風など天候不順で客足が遠のき、既存店ベースでは0.6%減。このうち百貨店は0.4%減、スーパーは0.7%減となった。
コンビニエンスストアは5.7%増の9523億円。既存店ベースでは0.8%増えた。
同時に発表した専門量販店販売統計(速報)によると、7月の販売額は家電大型専門店は3945億円、ドラッグストアが4162億円、ホームセンターが2777億円となった。
7月の消費者物価、前年同月比3.3%上昇
総務省が29日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は値動きの激しい生鮮食品を除く指数が103.5と、前年同月比で3.3%上がった。電気やガソリンなどのエネルギーや菓子などの生鮮以外の食品、テレビなどの耐久財が上昇した。伸び率は前月と同じで、緩やかな上昇が続いている。
日銀は消費増税が物価を2.0ポイント押し上げているとみており、増税の影響を除くと上昇率は1.3%となる。
品目別にみると、ガソリンが10.4%、電気代が8.5%上がり、エネルギー全体では8.8%上昇した。ただ、6月の9.6%から伸び率は縮小した。ほかには家電が前年から上がっており、エアコンが11.9%、テレビが11.8%それぞれ上昇した。宿泊料も7.4%上がった。
原料高を受けた企業の値上げも物価を押し上げた。生鮮食品を除く食料は4.3%上昇。アイスクリームやチョコレートなどで「企業が内容量を減らす実質値上げを図った影響が出た」(総務省)。
物価は今後も緩やかな上昇が続きそうだ。東京都区部の8月中旬速報値は生鮮食品を除く指数が102.1と、前年同月比2.7%上昇した。伸び率は7月と同じだった。

いずれも網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。しかし、4つの統計を一度に並べると、これだけでおなかいっぱいというカンジです。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。景気後退期の陰については、以下の雇用統計と商業販売統計にも共通です。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前月比で+1.2%の増産で、レンジは+0.5から+2.3%の増産だったんですが、実績は+0.2%増にとどまり、前月の▲3.4%の減産からのリカバリーすら届きませんでしたし、先月段階で発表された製造工業生産予測調査でも7月は+2.5%の増産計画が示されていましたので、生産はかなり低空飛行を続けている印象です。従って、統計作成官庁である経済産業省は基調判断を「弱含み」で据え置いています。もっとも、引き続き、製造工業生産予測調査では先行き堅調な伸びが計画されているようで、8月+1.3%、9月+3.5%の増産計画が示されています。これが実現されるかどうかは最近の実績からして定かではありません。なお、出荷については生産よりも伸びが高くなっていて、生産に波及することが見込まれるんですが、それでも季節調整済みの前月比で+0.7%の伸びですから、決して高い伸びではありません。上のグラフの下のパネルの輸送機械を除く資本財出荷は回復を示す兆しが見えますが、耐久消費財の方はまだ消費増税の反動減が続いているように受け止めています。生産は全体として消費増税のショックからのリバウンドが鈍いと私は受け止めています。

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次に、雇用統計のグラフは上の通りです。見れば分かると思いますが、一応、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数のグラフです。いずれも季節調整済みの系列です。雇用もかなり改善したんですが、失業率や有効求人倍率などを見る限り、7月統計では改善が足踏みを示しているようです。失業率については、引用した記事にもある通り、消費増税の負担増に対応するため、家庭の主婦などの女性を中心に新たに求職する人が増えたことも一因ですから、決して景気の悪化による失業率の上昇ではないんですが、5月には3.5%にまで低下していたんですから、4月の消費増税に伴う需給ギャップの悪化に応じた失業率の上昇という面は否定しようがありません。有効求人倍率や先行指標の新規求人も停滞を示しており、生産が消費増税のショックからのリバウンドが鈍いため、生産からの派生需要である雇用についても足踏みを示していると私は受け止めています。ただし、ほとんど可能性はないと考えられるものの、人手不足から賃金上昇が一部に見られており、人件費アップに耐えられないために求人が減少している、という可能性もないとはいえません。来週発表予定の毎月勤労統計なども確認したいと思います。

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続いて、季節調整していない商業販売統計の小売業の前年同月比と季節調整した指数のグラフは上の通りです。4月に消費増税のショックで大きく落ち込んでから、5-7月は季節調整していない前年同月比で見て小幅のマイナスにまで戻し、季節調整済みの指数では3か月連続の前月比プラスを記録しています。消費増税に伴って、4月にドンと落ちた後、5-6月統計では季節調整済みの前月比ではジワジワと増加を示す一方で、季節調整していない原系列の統計の前年同月比ではマイナスが続く、という局面でしたが、7月は逆に、前年同月比で水面上に出てプラスを記録したものの、前月比では減少に転ずる、という形になりました。商品価格の上昇に伴う燃料や食料の価格上昇に起因する販売額の増加が主たる原因ですが、いずれにせよ、増加したとはいっても名目額の増加ですので消費増税に伴う物価上昇を考慮に入れた実質販売はマイナスのままであると考えるべきです。このブログで取り上げている商業販売統計は供給サイドのデータですが、需要サイドの指標であり、総務省統計局から公表されている家計調査では7月の実質消費の前年同月比は▲5.9%を記録しています。消費については従来から予想された通り、消費増税のショックを払しょくするのに時間がかかる可能性が高く、しかも、今回の消費増税に伴う駆込み需要と反動減は明らかに1997年当時から大きくなっていますので、従来の想定よりもさらに時間がかかる可能性があります。

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グラフとしては最後に、消費者物価上昇率の推移です。折れ線グラフが全国の生鮮食品を除くコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。東京都区部の統計だけが8月中旬値です。これもいつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局の上昇率や寄与度とは微妙に異なっている可能性があります。物価については、かなりプラスが定着したと私は受け止めています。ただし、消費税の影響を除くベースで考えて、この先、消費増税の需給ギャップに及ぼす影響が現れ始め、目先の9-10月くらいには消費増税の影響を除くベースで+1%の上昇率くらいまでインフレ率が縮小する可能性があると覚悟すべきです。ただし、楽観的に見れば、その後は日銀のインフレ目標である+2%に近づくと私は期待しています。

本日発表のものを含めて政府統計を見る限り、日本経済は4月の消費増税のショックで大きく落ち込んだ後、年央まで緩やかに景気は回復しているように見えますが、あくまで私の実感ながら回復の足取りが物足りない、というか想定よりもさらに緩やかな気がします。足元というか、年央以降の7-9月期の成長率も気にかかるところです。

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2014年8月28日 (木)

藤浪投手が序盤に打ち込まれ巨人に完封負け!

  HE
阪  神000000000 020
読  売13000000x 470

巨人に完封負けでした。藤浪投手は序盤から打ち込まれて4失点し、逆に打線は巨人の澤村投手に2安打と抑え込まれました。手も足も出ずにジャイアンツに完敗です。2週間前と同じ1勝2敗で、これが現時点での実力差なのかもしれません。

甲子園に戻ってのヤクルト戦は、
がんばれタイガース!

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世論調査に見る年代別の満足度や国民生活の向上感やいかに?

今週月曜日の8月25日に内閣府から「国民生活に関する世論調査」の結果が公表されています。先週末の読書感想文のブログで取り上げた古市憲寿の満足して幸福な若者論などと関連する部分、特に満足度について年齢別の現状や先行き見通しのグラフを引用して簡単に紹介したいと思います。

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まず、「国民生活に関する世論調査」のサイトから 図1 去年と比べた生活の向上感 を引用しています。去年から今年への生活の向上感ですから、「同じようなもの」が圧倒的に大きいシェアを占めているんですが、これをあえて無視して「向上」と「低下」だけで各世代を見ると、圧倒的に若い世代ほど向上感の比率が大きく、高齢化するほど低下感のシェアが高いことが見て取れます。

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同じようなものですが、「国民生活に関する世論調査」のサイトから 図3 現在の生活に対する満足度 を引用すると上の通りです。これも「まあ満足」が各世代で60%超の圧倒的なシェアを示している一方で、「満足」のシェアと「やや不満」と「不満」を加えたシェアを比較すると、男性よりも女性の方が満足感がやや高く、年齢階級を横軸に取って世代別にみると、満足感は40代をボトムにU字型の折れ線グラフを描くことが読み取れます。ほぼ万国共通で、若い世代では満足感が高く、中年に至るまで満足感が低下し続け、中年期をボトムに高齢期に向かって満足感が高まる、というシェイプが見られるんですが、日本の世代別満足感のボトムは他の先進国に比べて少し年齢層が高い、というのが幸福度研究の現時点までの研究成果だったと私は認識しており、40代がボトムとなっているこの世論調査結果は日本以外の先進国の結果にかなり近づいていると受け止めています。

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最後に、「国民生活に関する世論調査」のサイトから 図30 今後の生活の見通し を引用しています。最初に引用した 図1 去年と比べた生活の向上感 にかなり近く、ほぼ年齢層が若いほど先行きの楽観的な見方が多く、逆に、高齢者ほど先行きに対して悲観的な見方が多く示されています。これら3つの世論調査結果を見て、若者が置かれた客観的な状況はともかく、主観的な幸福度や先行きに対する楽観的な見方などは「幸福な若者」と称するにふさわしい結果であろうと私は考えています。やや不思議な気がしないでもないんですが、それはともかく、社会学的な解明もさることながら、経済学的な解明を試みた最近の参考論文へのリンクを以下に示します。ご参考まで。

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2014年8月27日 (水)

4番ゴメス選手のツーランで巨人との延長戦を制す!

  HE
阪  神0000010202 5100
読  売3000000001 480

巨人との首位攻防第2戦の延長戦を制したのはゴメス選手のツーランでした。相変わらず、クローザー呉投手は失点するんですが、なんとか今日は逃げ切りました。

明日は先発の藤浪投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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価格引上げの動きは中小企業製品にも広がるか?

昨夜に取り上げた日銀の企業向けサービス物価(SPPI)に関連して、やや旧聞に属する話題かもしれませんが、日本総研から先週の金曜日8月22日に「中小企業にも広がり始めた販売価格引き上げの動き」と題するリポートが公表されています。日銀短観や総務省統計局から公表されている消費者物価指数などを基に、中小企業の工業製品の販売価格引上げが消費者物価に与える影響を分析し、大企業だけでなく中小企業製品にも価格引上げの動きが広がりつつあることを確認しています。

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上のグラフは日本総研のリポートから (図表3) 消費者物価・工業製品の寄与度分解 を引用しています。生鮮食品を除くコア消費者物価に占める工業製品のシェアは40%を少し下回るくらいで、ほぼ半分強を占めるサービスに比べて決して高くないんですが、2013年年央から工業製品の前年同月比上昇率はプラスに転じています。なお、上の画像の(注2)にある通り、消費税の影響は除かれています。大企業の製品の価格上昇がこの物価上昇をけん引していましたが、最近時点では徐々に中小企業製品の価格も上昇していることが読み取れます。もちろん、消費者物価に占めるウェイトの高いサービスのうち、小売はもとより宿泊や外食などのサービスでも中小企業のシェアは高く、工業製品だけで判断することは適当ではありませんが、デフレ脱却をより確かなものとし日銀の物価上昇目標達成のために、中小企業のサービスにも価格引上げの動きが広がることが期待されます。
日銀が進める異次元緩和政策によるリフレ政策により、物価上昇率はプラスに転ずるととともに、先行き、徐々にプラス幅を拡大する方向にあると私は考えていますが、それなりに独占度の高い大企業に比べて古典的な完全競争により近い市場で活動している中小企業の価格動向がインフレ目標達成のひとつのカギになるとの考えもあります。今後とも、工業製品とサービスの両方で中小企業製品の価格引上げの動きにも注目したいと思います。

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2014年8月26日 (火)

呉投手がリリーフに失敗し巨人にサヨナラ負け!

  HE
阪  神000120000 380
読  売000002002x 460

呉投手がリリーフに失敗して9回逆転サヨナラ負けで東京ドームでの巨人との首位攻防3回戦の初戦を落としてしまいました。何を言っても結果論にしかなりませんが、先発投手の続投かクローザーの投入かの采配が失敗したということなんでしょう。

明日は、
がんばれタイガース!

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消費増税による需給ギャップの悪化にもかかわらず安定してプラスを続ける企業向けサービス物価

本日、日銀から7月の企業向けサービス物価(SPPI)が発表されています。前年同月比上昇率で見てヘッドラインSPPIが+3.7%、国際運輸を除くコアSPPIも+3.7%となり、いずれも前月から上昇率は変わらず、安定的にプラスを続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の企業向けサービス価格、前年比3.7%上昇 増税除く伸び率0.9%
日銀が26日発表した7月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は102.7と、前年同月に比べ3.7%上昇した。6月の確報値(3.7%上昇)と同じで、1990年12月(4.1%上昇)以来の水準となった。消費増税の影響を除く伸び率は0.9%だった。
消費増税の影響を除いたベースで品目別に見ると、宿泊など諸サービスが1.0%上昇した。宿泊サービスは旺盛な観光需要を背景に伸び率が拡大し、5.6%上昇となった。金融・保険では料金改定に伴う損害保険が上昇に寄与した。
一方で広告は上昇率が低下した。昨年に少額投資非課税制度(NISA)など金融関連の出稿が多かった反動が出た。新聞広告は前年に参院選関連の出稿が多かった反動でマイナスに転じた。
朝夕の割引を始めた有料道路など運輸・郵便が下落した。外航貨物輸送は外国為替市場で円相場が前年に比べて円高方向に振れたことから、マイナスとなった。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引される価格水準を示す。調査対象の147品目のうち上昇が79品目に対し下落は49品目と、10カ月連続で上昇が下落を上回った。上昇と下落数の差は40となり2010年基準では最も高かった。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価(SPPI)と国際輸送を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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前年同月比の上昇率で見て、国内企業物価が6月+4.6%から7月+4.3%へ、消費税を除くベースでも6月+1.7%から7月+1.5%に、それぞれ上昇率を低下させているのに対して、企業向けサービス物価は消費税を含むベースでは+3.7%、除くベースでも+0.9%と上昇率の伸びの加速は止まったものの、上昇率が鈍化する局面には達していません。逆に、消費税を除くベースのコアSPPI上昇率は6月の+0.9%から7月は+1.0%に、むしろ加速していたりします。品目別に見れば、引用した記事にもある通り、広告や運輸・郵便などがマイナス寄与を示した一方で、宿泊サービスや土木建設サービスなどの諸サービス、建設機械レンタルなどのリース・レンタルなどがプラス寄与を示しています。品目別ではなく集計量としてのマクロで考えると、4月の消費増税に伴ってGDP成長率は大きなマイナスに転じましたし、4月以降、需給ギャップは確実に悪化したハズなんですが、需給ギャップに敏感といわれるSPPIの前年同月比上昇率に鈍化がみられず、反対に加速しているのは、サービス価格は財価格に比べて粘着性や特に下方硬直性が高いのもさることながら、消費税率引上げ部分の転嫁を含めて、着実に製品やサービス価格の引上げが進んでいるひとつの象徴と私は受け止めています。需給ギャップに従って物価が上がるのが蓋然性としてもっともあり得るわけですし、価格メカニズムによる調整という意味で好ましくもあるんでしょうが、物価をターゲットとした日銀の金融政策による政策効果が出ている可能性も見逃すべきではありません。

消費者物価(CPI)のウェイトは財とサービスがほぼ半々で、総務省の資料によれば、財が1万分の4,931でサービスは5,069となっています。企業向けサービス物価(SPPI)がそのまま川下のCPIのサービス価格に反映されるわけではありませんが、デフレ脱却と日銀の物価目標2%達成に向けてSPPIも注目の指標のひとつです。

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2014年8月25日 (月)

4-6月期の1次QEを受けた今年度と来年度の経済見通しやいかに?

先々週水曜日の8月13日に4-6月期の1次QEが発表され、その直後の先々週から先週にかけてシンクタンクや金融機関などから今年度と来年度の経済見通しがいっせいに発表されています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ウェブ上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。なお、年度が始まったばかりの段階での経済見通しですので、ほとんどの機関で来年度までの見通ししか示されていませんが、いつもお世話になっているニッセイ基礎研だけ2016年度までの見通しを公表しています。それから、これもいつもの通り、ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しました。ほとんどの場合、今年2014年4月と来年2015年10月の2度にわたる消費税率引上げ後の今年度成長率と来年度成長率に関する見通しを採用しています。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名201420152016ヘッドライン
日本総研+0.4+1.2n.a.2014年度は、①駆け込み需要の反動減一巡、②公共投資をはじめ、企業向け減税、家計支援など経済対策を通じた内需の下支え、③雇用や夏季賞与の増加といった所得雇用環境の改善、などを受けて、景気は秋ごろにも回復軌道に復帰する見込み。もっとも、物価上昇に伴う実質所得の減少が個人消費の力強い回復への重石となる面も。
2015年度は、公共投資がピークアウトを迎え減少に転じるものの、投資・法人減税などが企業部門に対して引き続きプラスに作用するほか、家計部門も所得雇用環境の緩やかな改善を受けて底堅く推移し、景気の自律回復メカニズムは徐々に強まっていく見込み。
ニッセイ基礎研+0.4+1.1+1.3実質GDP成長率は2014年度が0.4%、2015年度が1.1%、2016年度が1.3%と予想する。2014年度は消費税率引き上げによる物価上昇に伴う実質所得の低下と駆け込み需要の反動減が重なるため2013年度から成長率は大きく低下することは避けられないだろう。今回の見通しでは、消費税率が2015年10月に8%から10%へ引上げられることを前提としている。2014年度は3%の引き上げ分がフルに影響することになるが、次回の引き上げは2015年度下期からとなるため、年度ベースでは2015年度、2016年度ともに1%分の引き上げの影響を受けることになる。また、次回の増税前後にも今回と同様に駆け込み需要とその反動減が発生することが見込まれるが、駆け込み需要と反動減の影響が2015年度内でほぼ相殺されるため、2014年度に比べると消費税率引き上げの影響は小さくなる。このため、2015年度、2016年度の成長率は潜在成長率を上回る伸びを確保できるだろう。
大和総研+0.7+1.5n.a.日本経済は2012年11月を底に回復局面に入ったが、今後も緩やかな景気拡大が続くとみられる。安倍政権の経済政策(いわゆる「アベノミクス」)は日本経済再生の起爆剤となり得る適切な経済政策であり、とりわけ金融政策は着実に成果を上げている。日本経済は、2014年4-6月期に消費税増税の影響で一時的に低迷したものの、7-9月期以降、緩やかな回復軌道をたどる見通しである。①足下で消費税増税に伴う悪影響がおおむね一巡したとみられること、②米国向けを中心に輸出が徐々に持ち直すことなどが、日本経済の好材料となろう。
みずほ総研+0.5+1.5n.a.駆け込み需要の反動が一巡する7-9月期以降、景気は緩やかな回復軌道に戻る見込み。賃上げやボーナス増を背景に、個人消費が持ち直し。公共投資も景気を下支え。海外景気の回復と円安を背景に、輸出も年後半にかけて緩やかに増加すると予想。ただし、4-6月期のマイナス成長が響き、2014年度成長率は+0.5%にとどまる見通し。
2015年度上半期に消費増税(10月に10%に引き上げ)前の駆け込み需要が発生する一方、下期は反動などで一時的に落ち込む見通し。それでも、輸出の増加や景気対策(1.5兆円程度の公共投資追加を想定)が支えとなり、景気後退は回避。2015年度の成長率は+1.5%と予想。
第一生命経済研+0.4+1.1n.a.4-6月期の個人消費の反動減の大きさは予想以上だったものの、月次で見れば、4月を底として緩やかながらも改善に向かっている。7-9月期には反動減の影響も和らぎ、持ち直しが見込めるだろう。また、①雇用・賃金の改善が見込まれること、②設備投資が増加すること、③輸出の増加が見込めること、④経済対策効果で公共投資が高水準を維持すること、といった下支え要因も存在する。先行きも景気失速は避けられるだろう。
15年度についても、10月に予定されている再度の消費税率引き上げが下押し要因になるものの、均してみれば景気の改善が続くと予想する。
伊藤忠経済研+0.3+1.3n.a.日本経済は2014年7-9月期に前期比、前年同期比ともプラス成長に転じ、デフレ脱却に向けた動きを再開するとみられる。消費者物価上昇率は4月以降も低下しておらず、インフレ期待は後退していない。景気の持続的な回復を確実にするためは追加の対策が必要となるが、年内に消費税率再引き上げの環境は整う可能性が高い。実質GDP成長率は2014年度前年比0.3%、2015年度1.3%を予想する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+1.2+2.2n.a.日本経済は現在、設備投資比率(名目設備投資/名目GDP比率)でみて94年周期、景気拡張期間比率でみれば9.5年周期の中期循環(設備投資循環、ジュグラー・サイクル)の上昇局面にあるとみられる。バンドパス・フィルターを用いた周期解析の結果から判断すると、設備投資比率は2017年頃まで上昇傾向を辿る可能性が高い。当研究所は、2015年10月に消費税率の再引上げ(8%→10%)が実施されると想定しているが、2度目の消費増税後も旺盛な設備投資需要が景気の下支えとなり、かつ4兆円規模の経済対策が打ち出されることによって、景気後退局面入りは回避される見込みだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2+1.3n.a.2014年度の実質GDP成長率は前年比+0.2%と小幅のプラスにとどまる見込みである。輸出が増加することや、公共投資や設備投資の下支えにより景気が後退局面に入ることは回避されるものの、実質所得の減少を背景に個人消費の回復が緩やかにとどまることから、ゲタ(+1.1%)を除いた年度中の成長率では-0.9%となる見込みである。内外需の寄与度は、内需が前年比-0.2%とマイナスとなるのに対し、外需は+0.4%とプラスに転じるが、力強さには欠ける。個人消費の回復が遅れる場合や、海外経済の悪化により輸出が低迷する場合には、景気が下振れるリスクが高まってくる。
2015年度は、10月に消費税率が10%に引き上げられると想定しており、駆け込み需要と反動減が発生する。ただし、年度中の動きであるため、均してみると2014年度と比べるとマイナスの影響が小さい。2015年度の実質GDP成長率は前年比+1.3%を予想する。前半は駆け込み需要も加わって景気が持ち直していこうが、後半は反動減によって悪化すると見込まれ、消費税率引き上げの影響で家計の状況が一段と厳しくなる中で、景気が後退局面入りする懸念が出てくる。ゲタ(+0.7%)を除いた年度中の成長率では+0.6%にとどまる見込みである。
三菱総研+0.7+1.3n.a.消費増税前の駆け込み需要と反動減は相応に発生したが、その影響は徐々に和らぎつつある。今後は、所得環境の改善と設備投資の緩やかな回復を背景に、14年度後半には再び成長軌道に戻り、15年度にかけ緩やかな回復基調が続くであろう。
農林中金総研+0.4+1.0n.a.14年度の実質成長率は0.4%、名目成長率は2.1%(前回6月時点の予測はそれぞれ1.1%、2.3%で、ともに下方修正)と予測する。この下方修正は4-6月期の成長率が想定より大幅に下振れたことによるものであり、年度内の景気シナリオに大きな修正はない。なお、名実逆転の解消は17年ぶりであるが、消費税率の引上げによる面が大きく、需給改善によって国内付加価値生産セクターでの価格転嫁能力が高まったことを意味するわけではない。ちなみに、13年度からのゲタは1.1ポイントであるが、年度の成長率(0.4%)がそれを大幅に割り込むことを考慮すれば、実態的にはマイナス成長で、景況感は悪化するとみられる。過去20年間で、経済成長率が前年度からのゲタを下回った年は景気後退局面であったことは留意すべきである。ちなみに、GDPデフレーターは前年度比1.7%(前回予測は同1.1%)の上昇を見込んだ。
15年度については、基本的に世界経済の緩やかな成長が進む中、輸出の増加傾向が継続するほか、成長戦略の実行などによる環境整備が徐々に進み、企業設備投資も引き続き増加傾向をたどるだろう。一方、消費税率が15年10月に10%に引き上げられることを前提とすれば、年度上期には13年度末ほどではないにしても民間消費や住宅投資には駆け込み需要が発生する。逆に、年度下期にはその反動減が出ることになる。その結果、15年度の実質成長率は1.0%、名目成長率は1.7%、GDPデフレーターは前年度比0.7%(前回はそれぞれ1.4%、2.0%、同0.6%)と予測した。
富士通総研+0.5+1.5n.a.駆け込み需要の反動減に伴うマイナス成長から脱却した後は、消費が増加基調に戻り、設備投資が勢いを増し、輸出も持ち直していくと考えられることから、2014年度、2015年度とも景気拡大は継続していくと見込まれる。2014年度の実質GDP成長率は0.5%、2015年度は1.5%になると予想される。
SMBC日興証券+0.5+1.6n.a.日本経済は緩やかに回復軌道に回帰していくと予想している。主な理由は3つある。1つ目は外部環境の改善、2つ目は自律回復を誘起する供給制約の高まり、3つ目は追加の経済政策である。
明治安田生命+0.4+1.1n.a.2015年度までの日本の景気回復ペースは、政府・日銀の予想を下回る鈍いものにとどまるとみている。大幅に落ち込んだ4-6月期の反動で、7-9月期の成長率は高めの伸びを予想するが、個人消費や輸出の伸び悩みを背景に、2014年度後半は再度伸びの鈍化を見込む。2015年度は、2度目の消費増税前後を均せば、潜在成長率をやや上回るレベルの推移を予想する。
富国生命+0.7+1.5n.a.前回の想定より実質購買力が著しく低下し、4-6月期の成長率が下振れたことなどを受けて、2014年度の実質GDP成長率は+0.7%と前回予測を0.4ポイント下方修正している。
東レ経営研究所+0.5+1.3n.a.2014年度の実質GDP成長率見通しを0.5%に下方修正した(前回より0.5ポイント引き下げ)。2015年度の成長率見通しは1.3%と、前回より0.2ポイント上方に修正した。「消費増税を乗り越え、先行き景気は緩やかに持ち直していく」という従来シナリオに変更はない。

8月13日発表の4-6月期1次QEの年率成長率▲6.8%を受けて、かなり大きく発射台が低くなりました。従って、特に今年度2014年度の成長率が従来の見通しに比べて下方修正されています。ただし、2015年度以降の成長率見通しに大きな変更はなく、+1%を少し上回る潜在成長率見合いの成長を実現できるとする見方が大勢を占めているような気がします。2015年10月からの第2段階目の消費税率引上げは、各機関とも問題なしとの判定が下されているようで、私は少し疑問が残らないでもありません。もう少し景気動向を見て先送りする選択肢も欲しい気がします。
成長率見通しを離れて、昨年から始まった日銀の異次元緩和による物価上昇率見通しについては、2年後に2パーセントをという日銀の物価目標を達成できると明示した機関は三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研だけでした。ただし、その他の機関についても、消費税率引上げの影響を除いて、少なくとも消費者物価上昇率はプラスに転じ、マイナスの物価上昇率という意味でのデフレ脱却は達成する、とする機関がほとんどでした。私が聞いている範囲の根拠のないウワサ話にも、リフレ派にも「物価が上がらずに景気がいいなら、なお結構」とうそぶくエコノミストがいるらしいです。専門知ならざる世間知としてはそうかもしれません。
最後に、対外収支については、見通し対象期間がせいぜい2-3年と短く、この期間では貿易収支は赤字を続ける一方で、貿易赤字を対1次所得収支の黒字が相殺して余りあることから、経常収支は安定した黒字に戻る、とする見通しが多かったように見受けました。経常収支については中長期見通しを参照する必要がありそうです。
下のグラフはニッセイ基礎研のサイトから引用した実質GDP成長率の推移です。ご参考まで。

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2014年8月24日 (日)

関本選手の逆転タイムリーから終盤怒涛のがぶり寄りで広島を圧倒!

  HE
阪  神010000034 8111
広  島002000000 222

序盤から中盤にかけて、とても嫌なムードだったんですが、伊藤隼太外野手の同点押出フォアボールと代打関本選手の逆転タイムリーから、9回にも昨夜の退場の鬱憤晴らしのようなマートン外野手のスリーランなど、終盤怒涛のがぶり寄りで広島を圧倒ました。連敗をストップし、何とか3タテを免れています。
これで、ジャイアンツとタイガースが1.5ゲーム差、タイガースとカープも1.5ゲーム差で、その次のドラゴンズが5.5ゲーム差ですから、セリーグでは3強が形成されたように見えますが、シーズン終盤に何が起こるかまったく想像もできません。

東京ドームの巨人戦は、
がんばれタイガース!

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2014年8月23日 (土)

4番ゴメスがことごとくチャンスを潰す拙攻で広島に連敗!

  HE
阪  神000000001 191
広  島00000002x 260

昨夜4三振の4番ゴメス選手が今日もチャンスを潰し広島に競り負けました。完敗です。序盤から押しに押して得点できず、8回に先発の能見投手が決壊して2点を失い、そのまま押し切られました。ノーアウトからの盗塁でチャンスを潰したのは積極的でよしとしても、ここまで4番ゴメス選手が不振で、昨日はマエケンに4三振、今日も2三振に最終回の同点機はゲッツーです。あれだけボール球を振ってはダメでしょう。そろそろ賞味期限切れかもしれません。打線の援護がなかった能見投手は責められません。

明日は3タテを免れるべく、
がんばれタイガース!

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今週の読書は古市憲寿『だから日本はズレている』ほか、何冊か小説など

今週の読書は、代表作『絶望の国の幸福な若者たち』で一躍時の人となった古市憲寿『だから日本はズレている』のほかは、話題の新刊小説を何冊か読んでいたりします。以下の通りです。

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まず、古市憲寿『だから日本はズレている』(新潮新書) です。最初に書いた通り、作者は『絶望の国の幸福な若者たち』で一躍時の人となった社会学者です。この新書では、「おじさん社会」である日本の理不尽さや違和感について、「おじさん」に対比される「若者」の観点から論じています。あとがきの p.233 で明らかにしているように、この本の原題は『「おじさん」の罪』だったそうなんですが、新潮社内の「おじさん」の反対にあってボツにされたそうです。ソーシャル・メディアなどで共感をよぶのは「正義」とか「正しさ」ではなく、「もっともらしさ」だと指摘したり(p.113)、客観的に若者に不幸な現在の日本社会で若者が満足している事実を解き明かす鍵をコンサマトリー(自己充足的)に求めたり(p.212)と、従来の主張から新しさはないんですが、改めて若者の現状や心情を把握する上でとても有益な本だと感じています。私の世代間格差に関する基本的な考えは、何度もこのブログで明らかにしているので繰り返しませんが、少子高齢化の下で、客観的な若者不利の状況、というか、若者が市場的な希少価値を発揮できないのは、第1に民主主義という希少性でウェイト付けせずに1人1票というシステムの下で、第2にシルバー・デモクラシーの投票結果を間接民主主義で修正することに政治家が失敗しており、第3に市場性のない社会保障政策や市場システムを不全に陥らせる「岩盤規制」で固められた労働市場で市場的な解決が図られにくくなっており、第4に市場的な解決が可能であっても生物としての人間の寿命を考慮して調整時間が極めて長い、という条件があるからです。日本に特徴的なのは第2と第3のポイントだと思います。

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次に、米澤穂信『満願』(新潮社) です。実は、今年下半期の第151回直木賞は、私はこの『満願』が最有力だと考えていました。実際に受賞した黒川博行『破門』は疫病神シリーズの第5作で、これに先立つ4作は私はすでに読んでおり、極道のヤクザが主人公の1人である疫病神シリーズは決して嫌いではないものの、直木賞を受賞するには少し違和感を感じていたりしました。直木賞は芥川賞と違って長編小説が多いんですが、最近では辻村深月の短編集『鍵のない夢を見る』の受賞もありましたし、姫野カオルコ『昭和の犬』も連作短編みたいなものです。ということで、それはさて置き、この作品『満願』は短編集であり、少なくとも最後の2編、すなわち、「死人宿」と「満願」は私はすでに『ザ・ベストミステリーズ』で読んだ記憶があります。日本推理作家協会の選になる年間のベスト短編で編まれたアンソロジーです。ですから、ミステリを集めた短編集としての『満願』も非常に質の高い作品を集めており、本格ミステリではないものの、現代ミステリとして上質の短編集に仕上がっています。大上段に振りかぶった本格ミステリと違って、日常生活から大きく外れることなく、また、決して殺人事件だけに集中することもなく、名探偵が登場するわけでもなく、ある意味で淡々と一連の出来事の謎を解いていきます。

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次の中村文則『A』(河出書房新社) も短編集です。作者は「土の中の子供」で133回芥川賞を受賞した芥川賞作家です。また、ノワール小説への貢献により米国でデイビッド・グーディス賞を授賞されています。ここ2-3年で私が読んだこの作者の作品は、同じ河出書房新社から出版されている『掏摸<スリ>』と『王国』と幻冬舎の『去年の冬、きみと別れ』なんですが、これらの長編作人は異なるものの、基本的に同じライン上にある短編を集めた作品です。「糸杉」、「嘔吐」、「三つの車両」、「セールス・マン」、「体操座り」、「妖怪の村」、「三つのボール」、「蛇」、「信者たち」、「晩餐は続く」、「A」、「B」、「二年前のこと」と、13編もの多数の短編が収録されていて、執筆時期も発表誌もかなりバリエーションにとんでいるんですが、全く同じにおいというか、テーストを放っています。それなりに力量ある作家だといえます。「妖怪の村」なんぞは福島原発事故を念頭に置いた作品ではないかと読んでしまいましたが、発表時期が震災前ですので、あり得ないと考え直したりしました。まや、本のタイトルに取られた「A」は戦争時の命について考えさせられるところがあり、日本の8月にふさわしい作品かもしれません。必ずしもストレートな作品ばかりではないので、好き嫌いが分かれるとは思いますが、この作家のファンであれば読んでおくべき短編集だという気がします。

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次に、雫井脩介『仮面同窓会』(幻冬舎) です。私はこの作者の作品は『犯人に告ぐ』しか読んだことがないんですが、少なくとも、本格ミステリとしては認めがたい手法により殺人犯を明らかにする作品だという点で共通している気がします。この『仮面同窓会』でも人間関係も含めて、やや反則スレスレの方法で殺人犯が明らかにされます。20代半ばの若者が高校の同窓会の後で、かつて反感を持っていた体育教師を拉致して暴力をふるうんですが、その体育教師が死体で発見され、疑心暗鬼の犯人探しが始まります。当然ながら、最後には犯人が明らかになりますが、「そんなのありか」という読者もいそうな気がします。少なくとも、私はいわゆる「嫌ミス」だと感じました。読後感は決してよくありません。ですから、読む前に、あるいは、買う前に、ネットででも「ネタバレ」情報を探して検討してみるのも一案かもしれないと考えたりしています。

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最後に、葉室麟『天の光』(徳間書店) です。作者は今秋に堀北真紀などの出演で映画化される『蜩ノ記』で直木賞を受賞している時代小説作家です。私も時代小説は決して嫌いではありませんから、直木賞受賞作品のほか何冊か読んでいます。実は、この作品の直前に出版された『紫匂う』も借りたんですが、ついつい、この『天の光』を先に読んでしまいました。『天の光』は表紙の画像を見ての通り、博多の仏師、すなわち、木彫の仏像作家を主人公にした時代小説です。作者は福岡県生まれで西南学院大学のOBですから、土地勘のある作品といえるかもしれません。仏師が木を削って仏像を作成するに際して、木の中に宿る仏性を見出すのか、木に対して仏師の仏性を注ぎ込むのか、はたまた、仏性とはか弱き人間が生きて行くための頼るよすがとなるものであり、そのために仏像を彫るのか、いろいろと哲学的な仏師のあり方や仏像の本質論もチラホラと垣間見えますが、仏師が夫婦となった女性を巡って物語は進みます。でも、女性をかえりみずに京都に修行に行く主人公と、最後は悪人を相手に妻を守りぬこうとする姿の間にギャップを感じたのは私だけでしょうか?

来週で8月も終わり、さ来週からは子供達の学校も始まります。夏休み最後の来週の読書やいかに?

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2014年8月22日 (金)

マエケンに軽くひねられて広島にボロ負け!

  HE
阪  神000000000 050
広  島10201101x 690

マエケンにても足も出ず広島に完敗でした。マエケンは今季初完封だそうです。ジャイアンツに対してもがんばって欲しいものです。今日の試合は早めに忘れて、明日の試合に備えましょう。

明日は能見投手の先発で、
がんばれタイガース!

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マイナビ転職「夏の賞与に関する実態調査 2014」に見る今夏のボーナスやいかに?

一昨日8月20日にマイナビから「夏の賞与に関する実態調査 2014」と題する調査結果が公表されています。まず、マイナビのサイトから調査結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

調査結果の概要
  • 【賞与額】賞与を受け取ったのは全体の約8割。金額は月給の「2カ月分以上2.5カ月分未満」が最多
  • 【賞与額の前年比較】賞与を受け取った人のうち4人に1人が前年より1割-3割程度増えており、景気回復の影響か、"増えた"が"減った"を上回る
  • 【賞与の満足度】4割以上が金額に不満。満足度は転職意向にも影響

経団連調査の「2014年 夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果」や日経新聞調査の「2014年夏のボーナス調査」の結果などによれば、今年の夏季ボーナスは+5パーセントを超えて+10パーセント近い増加を示していたりしますが、この調査結果については、賞与の額などのハードデータではなく、満足度などのソフトデータではないか、と私は受け止めています。厚生労働省の毎月勤労統計で夏季ボーナスの統計が出るのが遅れますし、ハードデータでは満足度などは出ませんので、簡単にこのソフトデータを見ておきたいと思います。

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上の積上げ棒グラフは夏の賞与額と従業員規模のシェアを示しています。このグラフの意図がよく分からないんですが、素直に、タテとヨコを反対にして、従業員規模別の賞与額のシェアを示してくれた方が分かりやすいと思います。何か差支えがあったのかもしれません。3000人以上の大企業に勤務していでも夏の賞与なしの従業員が存在する一方で、30人未満の中小企業では70万円以上の賞与は出ていない、という事実は確認できます。すなわち、極めて大雑把ながら大方の常識と一致して、夏の賞与額は企業規模と正の相関を有しているように見えます。

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次に、上のグラフは前年と比較した今夏の賞与額をプロットしています。±10パーセントというのが、とても大雑把なので、このレンジがもっとも多いのは当然なんですが、前年比11-29%の増減で「やや増えた」が「やや減った」を上回っていますので、当然ながら、昨夏よりも今夏の方が賞与額は増加したんではないか、少なくとも増加した印象があるのではないか、という推測は成り立ちます。これも大方の常識と一致しているように私は受け止めています。

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上のグラフは、夏の賞与があった人に満足度を問うた結果です。もっとも多い「普通」を別にして、「やや不満」が21.3%、「非常に不満」が20.2%と、4割以上が「不満」を感じており、「やや満足」の19.6%と「非常に満足」の5.0%を加えた「満足」24.6%を「不満」が16.9%ポイント上回る結果となっています。マイナビは昨夏に同様の調査をしていないようなので時系列で比較することはできませんが、少し私は驚きました。転職意向のある緑のラインがないピンクのラインより不満度が高いのは当然としても、比較対象が問題なのかもしれません。すなわち、昨夏の賞与額と比較していれば満足度は高いと思うんですが、売上げや経常利益などの会社の取り分と比較した従業員の取り分たる賞与額に不満が高い、ということなのではないかと私は理解しています。

顧客満足度についつい注目が行きがちですが、この先、ますます人口減少社会に突入する日本経済において、労働力を確保し従業員満足度を高めるためにも賃上げは必要です。

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2014年8月21日 (木)

初先発の金田投手が5回2失点でゲームを作り中日を3タテして4連勝貯金10!

  HE
中  日200000200 483
阪  神02200100x 5110

初先発の金田投手の好投が光りました。これで中日を3タテし、4連勝、貯金は10に達しました。打つ方は、初回のルナ選手の先制ツーランを2回に福留外野手のツーランで早々に帳消しにし、相手エラーにも助けられ効率よく加点して、最後はリリーフをつぎ込んで逃げ切りました。阪神らしい勝ち方でした。

明日からの広島戦も、
がんばれタイガース!

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パソコンは日常生活でどのように利用されているか?

今週月曜日8月18日に、総合マーケティング支援のネオマーケティングから「パソコンの利用に関するアンケート」の結果が公表されています。20代から50代の男女600人を対象にしたアンケート調査結果で、毎日パソコンを使う人が9割近くに上る、などの結果を明らかにしています。グラフを引用しつつ、私の興味あるポイントをいくつか簡単に紹介したいと思います。

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まず、上のグラフは年代別にパソコンを使う頻度を問うた結果です。ネット調査の結果ですので、当然に高めに出るバイアスは考慮しないといけませんが、それでも「毎日」という回答が平均で90パーセント近い結果となっています。ただし、高齢ほど頻度が高い、というか、逆から見て、若年ほど頻度が低くなっているのは、パソコンならざる何らかのマシン、すなわち、スマートフォンやタブレットの使用頻度が若いほど高いと考えるべきです。ですから、スマートフォンやタブレットも含めて、「広義のパソコン」を定義するとすれば、ほぼ日常生活のツールになっていると考えてよさそうです。

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そして、その「広義のパソコン」の使用目的のひとつにインターネット接続があると考えられます。もちろん、静止画や動画、あるいは、テキストの編集なども重要な目的のひとつでしょうが、やはり、インターネットに接続してお気に入りのサイトを閲覧したり、メールを送受信したりがメインになるユーザも少なくないと思います。そして、インターネットのサイト閲覧はもちろん、我が家でも私以外はメールはブラウザで送受信しており、ブラウザを使う頻度はワープロ・表計算やメールクライアントなどのほかのソフトよりも著しく高くなっています。上のグラフはそのブラウザのシェアを問うた結果であり、10パーセントを超えるブラウザが3つ認められます。すなわち、IE、Chrome、FireFoxです。年代別に詳しく見ると特徴が見えてきて、IEは年代が高いほどシェアが高く、逆に、ChromeとFireFoxは年代が若いほどシェアが高くなっています。しかしながら、すべての年代を通して、もっともシェアの高いブラウザはIEだということになります。ちなみに、私自身はFireFoxがメインで、Chromeも時々使いますが、IEはほとんど使いません。

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上のグラフは検索サイトについて問うた結果です。Yahooが過半を占めており、Googleはままだ30パーセント程度に過ぎません。ブラウザと同じで、私はここでも少数派になっていて、Googleで検索することが圧倒的に多いです。ただし、Yahooも検索エンジンはGoogleと同じになりましたので、検索だけを考えれば、両社に積極的な違いはないものと私は考えています。私の想像ですが、YahooにはGoogleにはないポータルサイトとしての魅力があって、検索もそのままポータルサイトから流れて使っているような気がしないでもありません。

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最後に、使いたいTOPページへのリクエスト事項です。「よく使うウェブサイトが集約されている」と回答した結果がもっとも多くなっています。当然です。しかし、そのようなサイトは既存のものではないような気がします。当然ながら、人によってよく使うサイトは異なるからです。私の場合、新聞などのメディアのサイト、役所などの経済指標が発表されるサイト、国際機関や官庁などの経済情報のリソースを提供するサイト、よく訪問するブログなどのサイト、貸出カードを作っている図書館のサイト、などなどをhtmlに取りまとめて、オーダーメイドの独自のサイトを作成しTOPページとして活用しています。2か月に1度くらい更新したりしています。

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2014年8月20日 (水)

7月貿易統計で輸出に持直しの兆しは見られるか?

本日、財務省から7月の貿易統計が公表されています。ヘッドラインとなる輸出額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.9%増の6兆1886億円、輸入額は+2.3%増の7兆1526億円、差引き貿易赤字は▲9640億円でした。前年同月に比べて貿易赤字はやや縮小しましたが、依然として輸出は伸び悩んでいる印象です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の貿易赤字9640億円 25カ月連続の赤字 輸出増は3カ月ぶり
財務省が20日発表した7月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9640億円の赤字(前年同月は1兆325億円の赤字)だった。貿易赤字は25カ月連続。QUICKが19日時点で集計した民間予測の中央値(7050億円の赤字)を上回った。円安で原粗油や液化天然ガス(LNG)など輸入コストが増加した。
貿易赤字額は高水準だが、2カ月ぶりに前年同月よりも赤字幅は縮小した。4月に1年8カ月ぶりに赤字額が縮小して以降、円安進行の鈍化や輸出の持ち直しなどで、前年同月と比べた貿易収支悪化に歯止めがかかりつつある。
輸出額は前年同月比3.9%増の6兆1886億円。輸出額の増加は3カ月ぶり。英国向けの自動車のほか、中国向けの金属加工機械、液晶デバイスなどの科学光学機器の増加が目立った。地域別では構成比の大きいアジア向けが3カ月ぶりに増加に転じ、中国向けの自動車部品や金属加工機械の輸出増などが寄与した。欧州連合(EU)向けは14カ月連続で増加。対米国は3カ月ぶりに増えた。輸出数量は0.9%増だった。
一方、輸入額は2.3%増の7兆1526億円。輸入数量は0.4%減となったが、円安で輸入コストが膨らみ輸入額を押し上げた。輸入額の増加は2カ月連続。サウジアラビアからの原粗油やオーストラリアからのLNGなどの輸入が増えた。品目別でも円安を背景に原粗油やLNGなど燃料輸入額の増加が目立った。
為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=101円73銭で、前年同月比2.9%の円安だった。

いつもの通り、とてもよく取りまとめられている記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易収支については、ここ数か月は輸入の動向に左右されるところが大きく、特に、消費税率引上げ前後の駆込み需要と反動減で大きくスイングしています。季節調整済みの系列で見て、3月に7.47兆円に達した輸入額は4月に6.74兆円に落ち、4-6月の3か月の間は輸入額は6兆円台にとどまっていたものの、7月には7.02兆円と7兆円台を超えています。別の切り口から、季節調整していない原系列の輸入指数を見ると、3月の輸入数量指数は前年同月比で+11.6%増と大きく伸びた後、4-5月はマイナスを記録し、6月はプラスだったものの、7月もマイナスとなっています。ですから、7月の輸入額が前年同月比でプラスをとなったのは数量効果ではなく、輸入価格の上昇による寄与に基づいています。輸入価格指数は前年同月比で+2.7%の上昇となっている一方で、上に引用した記事の最後のパラにもある通り、為替相場は+2.9%の円安ですから、為替の影響を除いたドル建てベースの輸入物価は下落していることがインプリシットに示されていると受け止めています。ひとつの要因として、米国金融政策における量的緩和QE3のテイパリングに伴って、原油などの商品価格は下落する方向にあり、従って、我が国の貿易における輸入価格は低下する可能性が高く、輸入数量が増加しないのであれば価格面から輸入額は伸び悩む可能性が高いと考えるべきです。輸入額からは貿易赤字が縮小する可能性が示唆されていると受け止めています。

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他方、輸出の推移は上のグラフの通りです。いずれも季節調整していない貿易指数を基に、上のパネルは輸出額の前年同月比を数量と価格で要因分解しており、下のパネルは輸出数量とOECD先行指数のそれぞれの前年同月比をプロットしています。ただし、OECD先行指数は1か月だけリードを取っています。先月も主張した通りですが、足元で輸入数量の前年同月比はほぼゼロ近傍で伸び悩みが続いており、下のパネルから、需要サイドではOECD諸国の景気が足踏みしているため、我が国からの輸出への需要が伸び悩む原因となっているのが見て取れます。なお、OECD先行指数の伸びのトレンドよりも輸出が下振れているのはアジア向けの輸出に起因します。そして、アジア経済は米国への輸出によって支えられており、米国経済がこの先拡大を続けるのであれば、日本から米国への直接の輸出とともにアジア経済の拡大に伴う我が国からアジア諸国への輸出もより力強く増加する可能性が高いと私は考えています。

米国経済の回復・拡大は金融政策のQE3のテイパリングに伴う商品価格の下落から我が国の輸入額を抑制し、米国への直接の輸出とともにアジア経済の活性化に伴う我が国からアジア諸国への輸出の増加をもたらすことから、輸出入の両面において貿易赤字の縮小に寄与するものと期待しています。

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2014年8月19日 (火)

初回の攻防が明暗を分け中日に圧勝!

  HE
中  日000001000 161
阪  神41020010x 8121

メッセンジャー投手の熱投とクリンナップで5打点の打棒で中日を圧倒しました。メッセンジャー投手はハーラートップの11勝目です。大量得点差で7回からはリリーフ陣にマウンドを譲り、余裕の勝ち星でした。打つ方も初回に4点を取った後も着実に加点し、中盤までに試合を決めてしまいました。1軍登録されて、代走からいきなりサード盗塁を決め、ホームまで帰って来た大和選手の走塁も今日の試合を象徴しているようでした。

明日も、
がんばれタイガース!

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2014年8月17日 (日)

ドラ1ルーキー岩貞投手、初勝利おめでとう!

  HE
阪  神300100010 5121
横  浜000002000 270

岩貞投手の初勝利で横浜を下しました。勝利の方程式に従って、安藤投手、福原投手、呉投手にリリーフを仰ぎましたが、6回途中まで4安打でソロホームラン2本の2失点ですから、立派なピッチングでした。打撃陣は1回の先制の3点が重かったです。8回に飛び出した女房役梅野捕手のダメ押しホームランも効きました。福留外野手は伊藤隼太選手の守備固めという実に適材適所の人材登用でした。

京セラドームの中日戦も、
がんばれタイガース!

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2014年8月16日 (土)

先発秋山投手が早々に打ち込まれてDeNAに完敗!

  HE
阪  神001100000 270
D e N A20400020x 8130

先発秋山投手が早々に失点してDeNAに完敗してしまいました。猛虎打線もモスコーソ投手を打ち崩せず、序盤から一方的なゲームとなりました。もっとも、後に残らない負け方かもしれません。

明日のドラ1岩貞投手には打線が援護して、
がんばれタイガース!

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今週の読書は星浩『官房長官 側近の政治学』、橋本五郎『総理の覚悟』ほか

今週の読書は、ジャーナリストの手になる『官房長官 側近の政治学』と『総理の覚悟』のほか、以下の通りです。

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まず、星浩『官房長官 側近の政治学』(朝日新聞出版) です。タイトル通り、内閣の要である官房長官にスポットを当てています。著者はテレビなどでもお馴染みの朝日新聞出身のジャーナリストです。官房長官のポストの重要性が増したのは、高度成長期を終えて政治的な何らかの調整が必要になったころ、具体的にはさとう政権の末期ころからと指摘し、総理大臣と官房長官の間合いには子分型、兄貴分型、お友達型があると分析を加えています。お友達型の場合は内閣が短命に終わる場合が多く、兄貴分型だと長期政権が望めると、自分自身の見方を披露しています。また、著者が実際に見た、あるいは、何らかの評価を聞いた範囲で、歴代官房長官のベストスリーは、中曽根内閣の後藤田官房長官、森内閣から小泉内閣にかけての福田官房長官、池田内閣の大平官房長官を上げています。逆に、官房長官に向かないのは、小沢一郎、小泉純一郎、菅直人の3人と指摘していたりします。

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次に、橋本五郎『総理の覚悟』(中公新書ラクレ) です。この著者も読売新聞出身のジャーナリストです。同じ中公新書ラクレのシリーズから2012年にも同じような『総理の器量』という本を出していて、前著の中では中曽根総理大臣から小泉総理大臣までを取り上げています。私も読みました。そして、本書では小泉総理大臣から後の短命内閣にスポットを当てています。もちろん、後付けの結果論も少なくないんですが、ongoing の現在進行形の時に読売新聞に掲載された社説なども示されていて、決して結果論だけではありません。ただし、第1次安倍内閣についての著者の評価は世間相場からすればかなり高い印象があり、このあたりは第2次安倍内閣を見た後の評価も含まれているような気がしないでもありません。それにしても、民主党政権下の3人の総理大臣はボロクソです。まあ、分からないでもありません。p.147 で重要な指摘があります。すなわち、街頭インタビューなどで「政治は誰がやっても同じ」という意見を聞くことがありますが、著者は明確に否定します。この「政治は誰がやっても同じ」という意見は、部分的には行政を支える官僚の能力の高さを念頭に置いたものかもしれませんが、政治のリーダーの重要性については、私は著者に全面的に同意します。

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次に、マイケル・モス『フードトラップ』(日経BP) です。著者はこれまたジャーナリストで、現在はニューヨーク・タイムズで記者をしています。米国民を念頭に、加工食品に含まれる当分、脂肪分、塩分が健康に及ぼす影響などを論じています。食品に便利さ(コンビニエンス)を求めた結果として、飲料や加工食品に含まれる糖分と脂肪分が大量に上ることとなって米国民の体重の増加をまねき、塩分は血圧の上昇などをもたらしたと結論しています。単身赴任を経験した私も同感ですが、ファストフードの外食も含めて、食事のコンビニエンスと健康に及ぼす影響は明らかにトレード・オフの関係にあり、コンビニエンスを求めれば健康に有害な結果をもたらしかねず、逆に、健康的な食生活を送ろうとすれば手間がかかる、ということになりそうです。しかも、少なくとも米国における現状はコンビニエンスの方に重点が置かれて、健康に有害な面が大きい、というのも、その通りだと受け止めています。でも、どちらにしても、食事の量を抑えればいいような気もしますが、なかなかそうも行かないんでしょう。清涼飲料や加工食品に含まれる糖分や脂肪分や塩分を見て、恐ろしい気がする読者も少なくないと思います。

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次に、小中千昭『恐怖の作法』(河出書房新社) です。著者はホラー映画の脚本家・作家です。ということで、副題は「ホラー映画の技術」とされています。スプラッター系ではないファンダメンタルなホラーとして、「リング」や「呪怨」を上げ、ホラー映画の魅力を論じた第1部は2003年に岩波アクティブ新書から出た著者の本の再録です。どうして、わざわざ怖い映画や小説にアクセスするかを論じています。第2部はネットのホラー系の情報について、ガチとネタに分けて考察を加え、祟りや呪いの連鎖にまで話題を広げています。Jホラーの基本イデオロギーとなった「小中理論」の立案者である著者のホラー映画に関する著作ですので、映画に限らず小説も含めてホラー系に興味ある方は一読をオススメします。日本では、夏のこの季節は怪談というか、ホラーの季節と見なされているには周知の通りです。

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次に、鈴木亘『社会保障亡国論』(講談社現代新書) です。この著者は基本的に学者さんです。社会保障を単なるバラマキではなく、財政から見てもサステイナブルな政策にすべく、また、現在の年金・医療などの社会保障の世代間不平等を解消すべく、私のような専門外のエコノミストなどから見ても見識ある議論が展開されています。すなわち、現在の社会保障について、すべてではないものの、「持たざる若者」から「持てる高齢者」への逆再分配の政策もあると喝破し、公費投入を減らして保険料制度、特に年金を積立て方式に戻したり、高齢者優遇の結果にほかならない資産への課税強化、また、相続税の課税ベースの拡大などを提唱しています。基本は世代間不平等の是正ですから、私も大いに賛成するんですが、年金などで既得権益に遠慮した姿勢も見られなくもありません。本のタイトルがイエロー・ジャーナリズム的な雰囲気を醸し出しているのも少し気にかかります。でも、全体として極めてまっとうな社会保障改革論を展開しています。

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最後に、長部日出雄『神と仏の再発見』(津軽書房) です。著者は津軽出身の作家です。副題の「カミノミクスが地方を救う」というのにひかれて借りたんですが、決して地方経済を論じた本ではありません。20近い神社仏閣、全国レベル及び津軽ローカルの神社仏閣を取り上げて紹介しています。挿絵がものすごくたくさん挿入されており、それを見るだけでも手に取って読む値打ちがあるような気がします。

今週はフィクションの小説がなかったんですが、この週末には何冊か小説も借りましたので、来週はいろいろと読みたいと思います。

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2014年8月15日 (金)

8回に上本選手のツーベースでDeNAを突き放して連敗ストップ!

  HE
阪  神011020030 780
D e N A000003100 493

6回に先発能見投手が突然の乱れを見せ、7回に安藤投手が打たれてとうとう追いつかれましたが、終盤8回に上本選手の長打でDeNAを突き放して連敗をストップしました。出来れば、能見投手に勝ち星をつけたかった気がします。同点に追いつかれた安藤投手に勝ちがつくシステムには納得できません。打線は相手守備のミスもありましたが、4番のゴメス選手が復活の兆しを見せているようです。心はまだレフトスタンドに向いているのかもしれませんが、右方向へのヒットが出るようになりました。梅野捕手も見習って欲しいものです。

明日の秋山投手には打線が援護して、
がんばれタイガース!

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夏休みに近くの区民プールに出かける!

夏休みでのんびりしています。
今日は近くの区民プールに出かけました。室内プールです。実は、在住の区営プールではなく、お隣の区のプールだったりします。在住の区の公営プールは2時間単位の料金なんですが、お隣の区では1時間単位だったりします。私はそれほど体力もなく、1時間で切り上げますので、その方が合理的です。それほど泳ぎは速くないんですが、ほとんど休みなしに1時間にわたって、クロールと平泳ぎを交互に泳ぎ続けますので、そこそこの距離を泳いでいる気がします。酒もタバコもギャンブルもやりませんので、プールで泳ぐのがストレス解消に役立っています。

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2014年8月14日 (木)

先発藤浪投手に打線の援護なく巨人に連敗!

  HE
阪  神010000000 150
読  売10010002x 460

7回2失点と十分なQSだったんですが、打線の援護なく藤浪投手が沈みました。打線はハッキリと下り坂です。5安打1得点では首位巨人相手に勝てるハズもありません。また、この3試合の結果が現在の両チームの実力差であると思い知らされました。特に、監督の力量の差がとてつもなく大きいと感じました。4番の阿部選手にバントさせる原監督と特に作戦もなく、あくまで福留外野手や建山投手を起用し続ける和田監督では、差は歴然です。

明日からのDeNA戦くらいは勝ち越しましょうね、
がんばれタイガース!

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機械受注の動向とと設備投資計画は整合的か?

本日、内閣府から6月の機械受注統計が発表されています。民間設備投資の先行指標である船舶・電力を除く民需の動向を見ると、5月前月比▲19.5%減の後、6月は+8.8%増の7,458億円となり、ややリバウンドに力強さを欠いています。また、船舶・電力を除く民需で定義されるコア機械受注の7-9月見通しについては、前期比+2.9%増の2兆3,484億円とわずかながら増加する見込みとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注の回復鈍く 7-9月は2.9%増の見通し
内閣府が14日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比8.8%増の7458億円だった。前月が統計を遡ることができる2005年4月以降で最大の減少幅(19.5%減)だったため、反動で3カ月ぶりにプラスに転じた。ただQUICKが13日時点でまとめた民間予測の中央値(16.2%増)は大幅に下回った。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は6.7%増の3024億円と3カ月ぶりに増加した。電気機械向けの電気計測器や半導体製造装置、「その他製造業」向けのボイラーやタービンなどが伸びた。
船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額も4.0%増の4441億円と2カ月ぶりのプラス。建設業向けの建設機械や卸売・小売業向けの冷凍機械などが増えた。
同時に発表した4-6月期の船舶・電力除く民需の受注額は10.4%減の2兆2824億円だった。4月、5月の落ち込みを補えず5四半期ぶりのマイナス。下げ幅は2009年1-3月期(12.3%減)以来、過去3番目の大きさだ。「ウィンドウズXP」のサポート終了に伴い、3月までに企業がパソコンの更新投資を活発化した反動が響いたことも一因とみられる。製造業、非製造業ともに弱い実績を踏まえ、内閣府は機械受注の判断を前月の「増加傾向に足踏みがみられる」から「一進一退で推移している」へと2カ月連続で下方修正した。
7-9月期の船舶・電力除く民需の受注額は2.9%増の見通し。製造業が引き続き軟調に推移する一方、非製造業で回復を見込む。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費増税前の駆込み需要で、コア機械受注は3月に前月比+19.1%増を記録した後、4月▲9.1%減、5月も▲19.5%減と大幅なマイナスが続いて、6月は何とか3か月ぶりに+8.8%増とプラスに転じたものの、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+17.0%の大幅増だったわけですから、やや物足りない結果に終わりました。結局、消費増税直後の4-6月期は▲10.4%の大幅減となり、5四半期ぶりの前期比マイナスでした。引用した記事にもある通り、7-9月期もリバウンドは+2.9%増と回復の足取りは鈍くなっています。ただ、この9月までの年度上半期のコア機械受注の動きは、例えば、日銀短観に示された設備投資計画と整合的ではないと私は受け止めています。ですから、強気に見れば計画通りに年度後半にかけて設備投資が増加するとの見方が出来る一方で、弱気で見れば機械受注の通りに設備投資計画が下方修正されるとも考えられます。経常利益の水準や資金余剰の現状からして、前者の強気の見方に近い展開が望めるんではないかと私は考えていますが、輸出の動向次第では弱気の目が出る可能性も残されていると考えるべきです。その意味でも、統計作成官庁である内閣府の基調判断「一進一退」というのは、言い得て妙だという気がしないでもありません。

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ついでながら、機械受注の四半期統計が利用可能になりましたので、達成率のグラフは上の通りです。影をつけた部分は景気後退期なんですが、エコノミストの経験則として、達成率90%が景気の分かれ目となると考えられています。コア機械受注の達成率は1-3月期の105.7%の後、実に、4-6月期はその分かれ目の90%に急低下しました。景気転換に対してそれほど機械的な判断が下せる指標ではありませんが、気にかかるところです。

従来から何度も指摘してきましたが、今回の景気回復・拡大局面では、家計部門の強さと企業部門の弱さが好対照をなしています。機械受注と設備投資は後者の代表格と言えます。この企業部門が景気拡大に連ならないと、賃上げという形で家計所得のサポートが出来ません。日本企業のアニマル・スピリットはデフレ期にここまで徹底的に萎縮してしまったんでしょうか?

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2014年8月13日 (水)

去年までの姿に戻って岩田投手が序盤に失点して巨人にボロ負け!

  HE
阪  神000001000 151
読  売22000010x 5110

守りのミスもありましたが、先発岩田投手が序盤に崩れて一方的な負け試合になりました。まるで、去年までの冴えない岩田投手を見ているようでした。打線はハッキリと下り坂です。昨夜は1点差まで追い上げた巨人打線と、今夜はアッサリと4点差で負けた阪神打線の差を強く感じた試合でした。特に、4番のゴメス内野手は来日から一貫して心がレフトスタンドに飛んでいるのがよく分かります。最近数試合では、梅野捕手も心がレフトスタンドで打球がサードゴロだったりしているようです。福留選手と伊藤隼太外野手はせめて打順を入れ替えませんかね?


明日は中5日の藤浪投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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消費増税のショックにより4-6月期のGDP統計1次QEは大きなマイナス成長!

本日、内閣府から今年2014年4-6月期のGDP統計1次速報、いわゆる1次QEが公表されています。4月に消費税率引上げのショックがありましたので、季節調整済みの系列による成長率は前期比で▲1.7%、前期比年率で▲6.8%のマイナス成長を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期GDP年率6.8%減 駆け込みの反動大きく 7-9月期は回復か
内閣府が13日発表した2014年4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.7%減、年率換算で6.8%減と2四半期ぶりのマイナスとなった。QUICKが12日時点で集計した民間予測の中央値の年率7.2%減よりは落ち込みは小さかった。とはいえ消費増税後の駆け込み需要の反動で、東日本大震災のあった11年1-3月期(6.9%減)以来の下げ幅。生活実感に近い名目成長率は0.1%減、年率で0.4%減で7四半期ぶりのマイナスとなった。
実質成長率への寄与度で見ると、輸出から輸入を差し引いた外需が1.1ポイント押し上げた半面、国内需要が2.8ポイントの押し下げ要因となった。
内需のうち個人消費は5.0%減と7四半期ぶりのマイナス。自動車や家電製品をはじめとした耐久消費財に加え、衣服や日用品でも3月までの駆け込み需要の反動が出た。住宅投資も駆け込みの反動から10.3%減となった。
設備投資は2.5%減と5四半期ぶりのマイナス。「ウィンドウズXP」のサポート終了に伴い、前期に企業のパソコン更新投資が活発になった反動が出た影響が大きい。公共投資は0.5%減。政府が13年度補正予算や14年度予算で公共投資を前倒しで進めており、減少幅は前期の2.5%から縮小した。
外需は輸出が半導体素子などを含む電子通信機器が減って0.4%減。輸入は消費増税後の内需の低迷もあり、原油・天然ガス・石油製品や電子通信機器の減少で5.6%減と大きく減った。輸出のマイナスより輸入の減少が大きかった結果、成長率に対する外需寄与度は4四半期ぶりのプラスとなった。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比プラス2.0%だった。
市場の事前予想とそう大きく変わらない結果となった今回のGDP。市場の関心はすでに7-9月期に移っている。焦点は駆け込み需要の反動減が一巡する兆しも見える中で、個人消費が回復していくかどうかだ。このところの物価上昇は購買意欲に影を落とすとの見方も少なくない。日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は「今秋をめどにGDPは回復傾向に向かうとの見方は変えていないが、物価上昇による実質所得の減少が消費者心理にマイナスに働く可能性はある」と指摘する。
下田氏は7-9月期のGDPについて実質年率3%台半ばのプラスになると予測するが、実質所得の減少が響けば「想定よりも回復テンポが緩やかになることも考えられる」とみる。
一方で設備投資の先行きは、実質金利の低下や収益改善を背景に、更新投資を中心に堅調に推移する見通し。個人消費の回復の足取りが鈍ったときに、設備投資がどれだけ景気を下支えできるかがポイントになりそうだ。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2012/4-62013/7-92013/10-122014/1-32014/4-6
国内総生産GDP+0.9+0.4▲0.0+1.5▲1.7
民間消費+0.7+0.2+0.4+2.0▲5.0
民間住宅+2.1+4.7+2.4+2.0▲10.3
民間設備+1.4+0.6+1.4+7.7▲2.5
民間在庫 *(▲0.3)(+0.0)(▲0.1)(▲0.5)(+1.0)
公的需要+1.6+1.5+0.5▲0.6+0.2
内需寄与度 *(+0.8)(+0.8)(+0.5)(+1.7)(▲2.8)
外需寄与度 *(+0.1)(▲0.4)(▲0.6)(▲0.2)(+1.1)
輸出+3.0▲0.7+0.3+6.5▲0.4
輸入+2.3+1.8+3.7+6.4▲5.6
国内総所得 (GDI)+0.8+0.0▲0.1+1.1▲1.5
国民総所得 (GNI)+1.4▲0.2▲0.1+0.8▲1.3
名目GDP+0.3+0.3+0.3+1.6▲0.1
雇用者報酬▲0.0▲0.4▲0.0▲0.1▲1.8
GDPデフレータ▲0.6▲0.4▲0.4▲0.1+2.0
内需デフレータ▲0.3+0.4+0.5+0.6+2.4

テーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示した積上げ棒グラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対する寄与度であり、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4-6月期の最新データでは、前期比成長率が大きなマイナスであり、特に消費増税に伴う赤の民間消費のマイナス寄与が大きく、逆に、グレーの在庫と黒の外需がプラス寄与を示しているのが見て取れます。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比成長率で▲1.9%、前期比年率で▲7.2%のマイナス成長でしたので、ほぼジャストミートしサプライズはありませんでした。1-3月期が消費増税前の駆込み需要により年率+6.1%成長でしたので、4-6月期の年率▲6.8%はほぼこれを吐き出した形になります。前期比成長率に対する消費の寄与度が▲3.1%で、内需寄与度が▲2.8%、ただし、後ろ向きを含めた在庫増の寄与が+1.0%あります。逆に、外需の寄与度が+1.1%なんですが、駆込み需要への反動に起因する輸入減によるものですから、輸出増による外需のプラス寄与とは違って、必ずしも評価できない外需の動きと受け止めています。公的需要はプラスながらも、政府消費のプラスと公共投資のマイナスを合算してプラスになった形です。いずれにせよ、4-6月期のGDP統計はほぼ事前のコンセンサス通りの姿となっており、すでに、多くのエコノミストの目は足元の7-9月期に向いています。大雑把な私の直感で、7-9月期は前期比で+1%近く、前期比年率で+3-4%のまずまずの成長を率を予想しています。特に、駆込み需要と反動の主役であった消費については、月次で見て4月に大きく落ち込んだ後の5-6月はすでに前月比では回復局面に入っている可能性が高く、月次での6月のゲタを持って7-9月期に入っているように私には見えますので、消費はそれなりの増加を示すんではないかと期待しています。ただし、消費に関して懸念されるのは所得であり、上のテーブルでも実質雇用者所得が一貫してマイナスを続けているようですし、物価上昇に見合う所得増が実現されなければ、マインドだけで消費を支えるのは決してサステイナブルではないと考えるべきです。夏季賞与は増加したようですが、恒常所得部分が着実に増加するような形で賃上げが実現されることが重要です。

今回の消費増税の駆込み需要と反動を過去と比較すると、前期比年率成長率で見て1997年の消費増税時は1-3月期が+2.8%に対して4-6月期の反動減が同▲3.5%でしたので、想定内かどうかはともかく、駆込み需要と反動減は今回2014年の方が1997年より大きかったことは確かだと言えます。

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2014年8月12日 (火)

メッセンジャー投手が打って投げて走って巨人を粉砕して0.5ゲーム差!

  HE
阪  神001012000 490
読  売100001010 371

投打に加えて走塁まで及ぶ先発メッセンジャー投手の大車輪の活躍で巨人を粉砕しました。ジャイアンツも先発の杉内投手から必死の継投で、それほど得点は上げられませんでしたが、何とかタイガースも勝ちパターンの継投で最後は逃げ切って、これで再び0.5ゲーム差と肉薄し、明日は首位がかかる一戦となります。

明日は岩田投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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上昇率が縮小した企業物価指数をどう見るか?

本日、日銀から7月の企業物価(PPI)が公表されています。国内物価は前年同月比で+4.3%の上昇を記録し、前月の+4.6%からやや上昇率が鈍化しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の国内企業物価、4.3%上昇 上昇率は前月から鈍化
日銀が12日発表した7月の国内企業物価指数(2010年平均=100)は106.6と、前年同月に比べ4.3%上昇した。石油製品などエネルギー価格の上昇が引き続き目立ったほか、食料品などでも原材料高を転嫁する動きが広がった。伸び率は5年9カ月ぶりの高い伸びだった前月の4.6%から鈍化した。消費税率引き上げの影響を除いたベースでも1.5%上昇と、前月(1.7%上昇)を下回った。
企業物価指数は出荷や卸売り段階など、企業間で取引する製品の価格水準を示す。項目別にみると石油・石炭製品や非鉄金属などが上昇した。イラク情勢の緊迫化などで上昇した原油価格の転嫁が進んだほか、在庫減少や中国のインフラ整備の影響で銅の価格も上昇した。
食料品でもすしや弁当、チーズなどで原材料価格の上昇を製品価格に転嫁する動きが広がった。半面、製材・木製品の前年同月比の伸び率は大きく鈍化した。消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動で、住宅建設用資材の価格が急速に伸び悩んでいるという。
公表している全816品目のうち上昇は424品目、下落は312品目だった。上昇品目数は5月をピークにやや減少傾向にあるものの、上昇が下落を上回るのは13年9月以来11カ月連続となった。今回の公表から電子レンジと食器洗い機の2品目を調査対象から外した。
円ベースでの輸出物価は前年比で0.7%上昇。前月の2.1%から鈍化したが、自動車メーカーが一部車種の輸出価格を引き上げたことなどが寄与した。輸入物価は2.8%上昇した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内と輸出入別の前年同月比上昇率を、下のパネルは需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。

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国内企業物価の上昇率がやや鈍化したのは、基本的に輸入物価や素原材料の上昇率が縮小しているからであり、確かに、中東情勢などに起因する石油価格の上昇などから7月は前月に比べて上昇率が大きくなっていますが、昨年年央から今年1月までコンスタントに2ケタ上昇を続けていた輸入物価が2月以降は急速に上昇率を低下させています。上のグラフのうち、上のパネルでは輸入物価上昇率が、下のパネルでは素原材料の上昇率が、円高是正ないし円安に触れた為替効果の一巡とともに、今年に入って大きく低下しているのが見て取れます。この先、何らかのラグを伴って、消費者物価も含めて、川下に波及する可能性があると考えるべきです。さらに、4月の消費増税ショックに伴う需給ギャップのデフレ方向への変化も年央くらいからは物価上昇率に影響を及ぼしつつある段階に達しており、7月の統計にも現れ始めているのかもしれません。

輸入物価ないし素原材料価格の動向にせよ、消費増税に伴う需給ギャップの悪化にせよ、いずれも、早くから多くのエコノミストに想定されていた動きであり、この先の物価動向に対する見方に変更を迫るものではないと私は受け止めています。

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2014年8月11日 (月)

今日発表の消費者態度指数の注目点やいかに?

本日、内閣府から7月の消費者態度指数が発表されています。前月の41.1から+0.4ポイント上昇して41.5となり、3か月連続で前月を上回っていますが、上昇の傾きはやや緩やかになっています。数学的に表現すれば、1次微分は正なんですが、2次微分は負だということです。それはともかく、まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月消費者態度指数、0.4ポイント上昇 3カ月連続改善
内閣府が11日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は41.5と、前月比0.4ポイント上昇した。改善は3カ月連続で、2013年11月(42.4)以来の高い水準となった。内閣府は基調判断を前月の「持ち直している」に据え置いた。
指数を構成する意識指標のうち、「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」の3項目はいずれも3カ月連続で改善した。雇用や給与水準を示す指標が改善傾向を示しており、消費者にも実感されつつあるようだ。「耐久消費財の買い時判断」は前月比横ばいとなった。
1年後の物価見通しは、「上昇する」と答えた割合(原数値)が前月比2.2ポイント増の85.5%だった。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は7月15日で、有効回答数は5583世帯(回答率66.5%)だった。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、新旧の系列の消費者態度指数のグラフは以下の通りです。いつもの通り、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数の水準と前月差を見て、消費増税直後である4月の37.0を底に、5月は+2.3ポイント、6月は+1.8ポイントと上昇が続き、7月も上昇幅は徐々に縮小しつつも+0.4ポイント上昇して41.5を記録しました。4月の消費増税のショックは徐々に薄らぎつつある、と受け止めています。指数を構成する4項目のコンポーネント、すなわち、「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」のうち、最後の「耐久消費財の買い時判断」が6月から横ばいだったのを除いて、他の3項目はすべて上昇を示しています。統計作成官庁である内閣府では前月に1ノッチ上昇修正した基調判断、すなわち、「持ち直している」を今月も据え置いています。なお、前月に消費者態度指数を取り上げた7月10日付けのエントリーで、物価上昇により実質所得は落ちているハズなのに、名目値のイリュージョンが生じている可能性を指摘しましたが、今月も同じです。この先も同じかもしれません。特に、5-6月に比べて7月に前月差で上昇幅を拡大しているコンポーネントは「収入の増え方」だけだったりしますので、今回の調査基準日は7月15日だったことから、6-7月に支給された夏季ボーナスの増加がマインドの改善につながっているんではないかと想像しています。

繰返しになりますが4月の消費増税の消費者マインドに対する負のショックは、かなりの程度に解消されつつあると私は理解しています。他方、私自身がパッと見で価格上昇を実感するのはガソリンなんですが、今後は物価上昇との対比で所得に対する消費者マインドがどのように変化するか、に注目したいと思います。

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2014年8月10日 (日)

今週のジャズは山中千尋の選ぶ「My Favorite Blue Note」

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今週のジャズは山中千尋がコンパイルした「My Favorite Blue Note」です。まず、収録曲とミュージシャンは以下の通りです。

  1. Low Life/Donald Byrd
  2. Two Mile Run/Duke Pearson
  3. The Preacher/Jimmy Smith
  4. Candy/Lee Morgan
  5. Maiden Voyage/Bobby Hutcherson
  6. This I Dig of You/Hank Mobley
  7. Summertime/Yamanaka Chihiro
  8. Soul Searchin'/Horace Silver
  9. Ruby My Dear/Thelonious Monk
  10. Children of the Night/Art Blakey & The Jazz Messengers
  11. Dear Old Stockholm/Jutta Hipp
  12. Little Girl Blue/Thad Jones
  13. Don't Know Why/Yamanaka Chihiro

見れば分かりますが、7曲めの「サマータイム」と13曲めの「ドント・ノー・ホワイ」は山中千尋自らが新録音に臨んでいます。まあ、小説になぞらえれると書下しの章といえるかもしれません。また、3曲めの「ザ・プリーチャー」をはじめとして、全13曲、山中千尋の新録音を除いて実質的に11曲のうちの4曲がモノラルだったりします。それだけ古い曲も含めて、よく知られた名曲の名演奏が並んでいるんですが、11曲めの「ディア・オールド・ストックホルム」を弾いているユタ・ヒップというピアニストは不勉強にして知りませんでした。また、5曲めにボビー・ハッチャーソンが演奏する「処女航海」が入っていて、確か、同じようなベスト盤で「ビューティフル・ジャズ」にも同じ曲が収録されていたように記憶しているんですが、やっぱり、この曲は作曲者であるハービー・ハンコックの同名のアルバムに収録されている曲を私はもっとも高く評価しています。

こういったジャズのベスト盤を選定する場合、特に日本では、「コーヒー・ブレイク・ジャズ」のシリーズが典型なんですが、ボーカル曲をかなり多く入れてしまうCDがたくさんあるような気がします。さすがに、このアルバムは山中千尋が選んでいますからボーカル曲がものすごく少ないです。そういう意味も含めて、私好みであり、ウォークマンに入れて熱心に聞いています。

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2014年8月 9日 (土)

何とか広島を振り切って能見投手に勝ち星がつき首位に0.5ゲーム差と肉薄!

  HE
広  島000000130 490
阪  神01031000x 5101

今日は5時に帰宅し8回ウラからテレビ観戦を始めましたので、試合の全体像は分からないんですが、昨夜と同じように広島を終盤振り切って、先発能見投手に久し振りの勝ち星がついて連勝でした。巨人が中日に負けて首位に0.5ゲーム差と肉薄し、いよいよペナントレースも面白くなってきました。

明日はルーキー岩貞投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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今週の読書は岩田一政・日本経済研究センター[編]『量的・質的金融緩和』ほか

今週の読書は、岩田一政・日本経済研究センター[編]『量的・質的金融緩和』ほか、以下の通りです。

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まず、岩田一政・日本経済研究センター[編]『量的・質的金融緩和』(日本経済新聞出版) です。本書は日本経済研究センターの金融研究班による2013年11月の研究成果を取りまとめたものであり、昨年4月からのいわゆる「異次元緩和」について、既存の研究成果を紹介するとともに、可能な範囲で定量的な分析を試みています。もちろん、現時点では1年余りのデータしか蓄積されておらず、定量分析は難しい面もあります。日銀のこの量的・質的金融緩和の効果について、イールドカーブ効果、ポートフォリオ・リバランス効果、市場期待効果の3つのルートからの分析を実施し、一定の効果を認めています。さらに、将来にわたっての金融政策の課題として、出口戦略の検討と政府との協調を示唆し、特に、日銀の財務健全性は政府によって保証された上で大胆な金融政策でデフレ脱却を目指すべき、との主張が目につきました。ほかに、金利についてもフォーワード・ガイダンスを実施すべきとの政策提言も目新しいと感じました。かなり包括的に現行の日銀金融政策を分析した学術書ないし教養書としてとてもオススメです。なお、日本経済研究センターの以下のサイトも本書あるいは本書で取り上げたテーマである量的・質的金融緩和政策を理解する上でとても有益だと思います。2つ目のサイトでは、リポート全文は会員限定なんですが、要旨を見るだけでも参考になります。

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次に、池井戸潤『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社) です。ご存じ、半沢直樹シリーズ第4弾最新刊です。フラッグシップ航空会社の再建をテーマとし、政権交代も絡んで、半沢の属する銀行の不正融資の解明と債権放棄の行方を描き出しています。フラッグシップ航空会社ですから政治家の利権も大いに関係しますし、また、モデルとなった日航JALと政府系金融機関もチラリと出たりします。また、半沢と因縁の金融検査官である黒崎もなぜか登場します、ややネタバレになりますが、このシリーズ第4作では半沢が大いにパワーアップし、航空行政を所管する国土交通大臣を辞任に追い込んだりシます。いつもながら、善悪のはっきりしたキャスティングで、旧T系の銀行員、国土交通大臣と再建タスクフォースのスタッフなどが悪役で、意外にも、政府系金融機関のスタッフはいい方に回っています。また、金融庁の黒崎も悪役一辺倒ではなくなって、それなりに重要な情報を半沢にもたらしたりします。相変わらず直木賞作家のペンは快調で、とても面白く仕上がっています。我が家では私と下の倅がこのシリーズを愛読しており、この作品も買って読みました。

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次に、西尾維新『終物語』上中下 (講談社BOX) です。私のような中年向けではなく、高校生から大学生くらいをターゲットにしたラノベの物語シリーズの最終巻です。ですから、最初の『化物語』から読み始めればよかったのかもしれませんが、どうも無理があったのかもしれません。取りあえず、内容を概観すると、物語シリーズですから主人公は高校生の阿良々木暦です。上巻は第1話 おうぎフォーミュラで1年3組の教室に阿良々木暦と忍野扇が閉じ込められ、数学の勉強会メンバーがどうして高得点を取ったのかの謎をときます。老倉育が多数決で犯人にされます。なお、世界でもっとも美しい数式が e + 1 = 0 として紹介されていますが、私は E = MC2 なんではないかと考えています。第2話 そだちリドルでは、中学生のころ阿良々木暦が老倉育に数学を教えてもらう記憶が改められ、老倉家の家庭内暴力が明らかにされます。第3話 そだちロストでは、羽川翼と阿良々木暦が老倉育を家庭訪問し、忍野扇とともに老倉育の母親のロストを解明します。中巻では、忍野忍の第1のパートナー初代怪異殺しと第2のパートナーである阿良々木暦が対決します。下巻の第5話 まよいヘルでは、阿良々木暦が阿鼻地獄で八九寺真宵に会って生き返る、というか、復活することになり、第6話 ひたぎランデブーでは、生き返った阿良々木暦が受験を終えて、恋人である戦場ヶ原ひたぎとデートします。戦場ヶ原ひたぎが阿良々木暦に望むのは「名前で呼んで」だったりします。第9話 おうぎダークでは、忍野扇の正体を臥煙伊豆湖が見破り、阿良々木暦に退治させようとします。以下、ネタバレながら、阿良々木暦が地獄から連れ帰った八九寺真宵の幽霊が北白蛇神社の神様となり、忍野忍は一度完全体になりながらも結局童女に戻って阿良々木暦の影に入り、羽川翼は忍野メメを南極から連れ帰って、忍野扇は実体を持つこととなります。
ということで、その昔の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』と同じように、ハイスクールの生徒について理解するにはいい本で、それなりに、会話なども分かった気がしますが、繰返しになるものの、中年の私には無理があありました。

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最後に、吉村萬壱『ボラード病』(文藝春秋) です。私はこの作者の作品は芥川賞を受賞した「ハリガネムシ」しか読んだことがないんですが。本作はとても重い内容です。舞台は架空のB県海塚市で、30歳の女性が小学5年生のころを回想します。震災や福島やましてや原発という言葉が出て来るわけではありませんが、強く連想させるものがあります。小学生が大量に死んだり、同調できない人が消えたり、などなど、嘘で塗り固められた海塚市の実体について p.160 以降ですべてが明らかにされます。このディストピア小説をどのように受け止めるべきか、私には分かりません。

この週末も何冊か借りましたので、来週も充実した読書生活が送れそうです。

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2014年8月 8日 (金)

何とか終盤逃げ切って広島に先勝!

  HE
広  島102000020 581
阪  神00300130x 7122

今夜もマエケンと藤浪投手の投合いでした。でも、投手戦というよりも、そこそこ点も入って、面白い試合でした。結果、マエケンを打ち崩して、最後は終盤追い上げられながらも逃げ切って広島に先勝でした。終盤8回からはリリーフ陣につなぎましたが、呉投手のイニングまたぎ登板は議論のあるところかもしれません。私にはなんとも分かりません。

明日はエース能見投手に勝ちがつくべく、
がんばれタイガース!

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景気ウオッチャーと経常収支で消費増税のショックが薄れつつあるか?

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーの結果が、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ発表されています。景気ウォッチャーの現状判断DIは前月から+3.6ポイント上昇の51.3と3か月連続で改善した一方で、先行き判断DIは▲1.8ポイント低下の51.5と2か月連続で悪化しています。経常収支は季節調整していない原系列の統計で▲3991億円の赤字となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の街角景気、現状判断指数は3カ月連続改善 反動減和らぐ
内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比3.6ポイント上昇の51.3と3カ月連続で改善した。消費税率引き上げ直前の3月(57.9)以来4カ月ぶりに横ばいを示す50を上回った。消費増税による駆け込み需要の反動減は幅広い分野で和らいだ。
内閣府は街角景気の基調判断を前月の「緩やかな回復基調が続いており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響も薄れつつある」に据え置いた。
「化粧品の売れ行きは順調に回復している。アクセサリーなどの装飾品も回復し、消費増税の影響はほぼなくなっている」(近畿の百貨店)といった前向きなコメントが並んだ。その一方で「ガソリン価格と電気料金の値上がりや消費増税に伴う日用品の価格上昇に実質賃金の上昇が追いついていない。売上高は大きく下がっており、この先の景気低迷が心配だ」(東海の一般小売店)と不安視する声も聞かれた。
2-3カ月後の景気を占う先行き判断指数は前月比1.8ポイント低下の51.5と2カ月連続で悪化した。駆け込み需要の反動減の収束に期待が集まるものの、燃料価格の上昇に懸念が広がったため。「消費増税後の閉塞感は緩和に向かっているものの、様々な食品の価格高騰から値上げ実施を余儀なくされている。売上高への悪影響が懸念される」(北陸のコンビニ)との指摘があった。「燃料の軽油価格が高値で推移し下がる気配がない」(東海の輸送業)との声があった。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は92.0%。3カ月前と比べた現状や2-3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。
1-6月、経常赤字5075億円 上半期で初めて 貿易赤字が拡大
財務省が8日発表した2014年上半期(1-6月)の国際収支状況(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの総合的な取引状況を示す経常収支は5075億円の赤字だった。上半期の経常赤字は現行基準で比較可能な1985年以降で初めて。燃料輸入額が高水準で推移しているうえ、製造業の海外生産が進み、貿易赤字が巨額になっていることが経常赤字の背景にある。半期ベースの経常赤字は13年下半期(13年7-12月)に続き、2半期連続で、赤字額は788億円から拡大した。前年の上半期は3兆3131億円の黒字だった。
貿易収支は輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで6兆1124億円の赤字。前年同期と比べ2兆6855億円拡大し、赤字額は下半期を含む半期ベースでみると、現行基準で比較できる96年以降最大となった。輸出額は自動車や科学光学機器を中心に増加し、前年同期比8.1%増の35兆7627億円となった。液化天然ガス(LNG)や原粗油など燃料輸入の高止まりなどで、輸入額は14.7%増の41兆8752億円だった。
旅行や輸送動向を示すサービス収支は1兆5780億円の赤字。企業が特許などの見返りとして受け取る知的財産権等使用料の項目が7855億円と過去最大の黒字となった。旅行収支も1279億円の赤字と、前年同期(3261億円の赤字)から縮小した。ただ「その他サービス」の赤字拡大でサービス収支全体が悪化し、貿易・サービス収支は7兆6904億円の赤字となった。
一方、第1次所得収支は8兆3226億円の黒字で、前年同期(8兆6878億円の黒字)を下回った。証券投資などで得る利子など証券投資収益は増加したが、海外への直接投資で受け取る配当金が前年同期に大きく伸びた反動があった。
同時に発表した6月の経常収支は3991億円の赤字となり、5カ月ぶりの経常赤字。貿易収支は5371億円の赤字(前年同月は165億円の黒字)で、貿易赤字は12カ月連続となった。

いずれも長いながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気ウォッチャーの現状判断DI及び先行き判断DIのグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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まず、景気ウォッチャーの現状判断DIは6月の47.7から7月は51.3と、50のラインを下から上に超えています。他方、先行き判断DIは下げたとはいえ、まだ50のラインを上回っています。とても教科書的な理解ですが、50のラインを下から上に超えれば景気後退から回復・拡大への景気転換点、逆なら景気後退の始まり、ということになります。もちろん、現実の経済はそれほど単純ではありません。ただ、景気ウォッチャーは慎重な見方の回答者が多いとの印象を私は持っており、実際の転換点になるべき水準は50ではなく40-45の間にありそうな気がします。それはともかく、現状判断DIが大きく改善する一方で、先行き判断DIが小幅に悪化する、という姿は先月と同じであり、いまだに私の理解ははかどりません。基本はあくまで現状判断DIをどう見るか、ということなんだろうと思います。その上で先行き判断DIも併せて見て、統計作成官庁である内閣府の基調判断「緩やかな回復基調が続いており、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動減の影響も薄れつつある」、すなわち、消費増税のショックがフェイドアウトしつつある、ということなんだろうと思います。ただし、1点だけ指摘しておきたいのは、一部で求人の増勢に一服感がみられたことから雇用判断DIが低下している点です。現在の景気回復・拡大は明らかに家計部門がリードしており、先行きの景気の息の長い景気拡大を見通すためには雇用の改善は不可欠です。まだまだ高い水準ながら、雇用に関するマインドが悪化しているのは要注意かもしれません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。季節調整済みの系列をプロットしており、青い折れ線グラフが経常収支を、積上げ棒グラフが貿易収支などの経常収支の内訳を示しています。色分けは凡例の通りです。いつものお断りですが、引用した記事は季節調整していない原系列の統計についての解説であり、グラフと少し印象が異なる可能性があります。いずれにせよ、経常収支については、原系列の統計では5月の黒字から6月は赤字に転じ、季節調整済の系列では黒字幅が縮小しています。グラフで見ても分かる通り、積み上げ棒グラフのうちの黒い貿易収支の赤字幅が6月には大きくなっています。消費増税前の駆込み需要の反動減があった輸入が旧に復しつつあるんだろうと私は受け止めています。その意味で、貿易収支と経常収支も消費増税による撹乱を受けつつも、徐々にそれ以前の姿に戻るのであろうと私は予想しています。

景気ウォッチャーと経常収支を取りまとめるのも乱暴な議論なんですが、景気ウォッチャーの先行き判断DIを別にすれば、現状判断DIと経常収支、また、その主要なコンポーネントである貿易収支については、方向性はともかく、消費増税のショックが徐々に薄らぎつつあることが確認できたと私は考えています。

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2014年8月 7日 (木)

来週発表予定の4-6月期GDP統計1次QEの予想やいかに?

来週水曜日の8月13日に今年2014年4-6月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。必要な経済指標がほぼ出尽くし、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、7-9月期以降の先行き経済の動向に関する記述を取っているつもりです。一応、明示的に先行きに言及しているのは、下のテーブルの上から4機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研、ニッセイ基礎研だけです。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲1.8%
(▲6.9%)
7-9月期を展望すると、企業の景況感や消費者マインドが持ち直すなか、良好な企業業績が雇用・所得環境の改善や設備投資の増加に作用する見込み。加えて、消費税率引き上げに備えた経済対策が公共投資を中心に本格化することも下支えとなり、景気は消費増税を乗り越え、秋ごろにかけて回復軌道に復帰する見通し。
大和総研▲2.4%
(▲9.3%)
2014年7-9月期以降については、日本経済は回復軌道へ復する公算である。
個人消費は増加傾向が明確化する見通しである。耐久消費財については緩やかな増加にとどまるとみているが、非耐久消費財やサービス消費が個人消費の増加を後押しすると考えている。個人消費の前提となる所得環境をみても、足下で労働需給の引き締まりから賃金は上向きの動きとなっていること、および夏季ボーナスの増加が期待できることが個人消費を下支えするとみている。加えて、消費税率の引き上げに伴い悪化していた消費者マインドもすでに持ち直しの動きに転じており、7-9月期以降はマインドの改善も個人消費を後押しする要因となるだろう。
住宅投資に関しては (以下略)
みずほ総研▲1.5%
(▲6.0%)
7-9月期の成長率は、年率+3%-+4%のプラス成長に復すると予想している。増税後の経済情勢に対する警戒感から、設備投資は緩やかな伸びにとどまるだろう。輸出の回復が力強さを欠く中で、駆け込みの反動による輸入の減少がほぼ一巡するため、外需寄与度のプラス幅は4-6月期から大幅に縮小する見込みである。一方、駆け込み需要の反動が徐々に薄れる中で、夏季ボーナスの増加が支えとなって、個人消費は増加に転じるだろう。公共事業の執行が一段と進むことで、公的需要も増加が続くと予想される。7-9月期は個人消費の持ち直しや公需の増加が下支えとなり、高めの成長になると予測している。
ニッセイ基礎研▲1.6%
(▲6.4%)
現時点では7-9月期の実質GDPは前期比年率3%近い成長を予想しているが、景気の実勢は消費増税前よりも弱くなっている。4-6月期の成長率は当初の想定を大きく下回った模様だが、7-9月期も個人消費、輸出を中心に下振れするリスクがあるだろう。
第一生命経済研▲1.7%
(▲6.8%)
駆け込み需要の反動から個人消費が大幅減になったことが落ち込みの主因。また、住宅投資も反動減が大きく出ていてるほか、設備投資の落ち込みにも1-3月期の駆け込みの反動の面があるなど、基本的には反動減の色彩が強いことは確かである。ただし、個人消費の落ち込みの一部には実質所得減による下押しが影響している面もあるほか、相変わらず輸出も弱く、(反動減以外の)需要減の影響も無視すべきではない。必ずしも反動減だけでは片付けられないことには注意が必要だろう。
伊藤忠経済研▲1%台半ば
(▲5-6%)
4-6月期のマイナス成長も想定内と言えるため、今後を展望する上でより重要なのは11月17日に発表予定の7-9月期の成長率である。7-9月期の日本経済が、消費増税という大きな下押し圧力を跳ね除け、所得環境や企業業績の改善を原動力とする回復軌道に乗ったことを確認し、さらに、回復の持続性を期待できるほどに十分なプラス成長となれば、デフレ脱却の可能性は大きく高まる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券▲1.5%
(▲6.0%)
4月の消費税率引き上げ(5%→8%)に伴う駆け込み需要の反動減から、個人消費が大幅に落ち込んだほか、設備投資も減税効果の一巡もあって5四半期ぶりに減少したとみられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲2.4%
(▲9.2%)
2014年4-6月期の実質GDP成長率は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動減によって前期比-2.4%(年率換算-9.2%)と大きく落ち込んだと見込まれる。
三菱総研▲1.6%
(▲6.1%)
2014年4-6月期の実質GDPは、季節調整済前期比▲1.6%(年率▲6.1%)と7四半期ぶりのマイナス成長を予測する。消費税増税後の反動減により、内需が全般的に押し下げられた影響が大きい。

特に、私からコメントすることもないんですが、要するに、4月の消費増税のショックを受けて4-6月期は大きなマイナス成長に陥る、ということなんだろうと思います。先行きについては、7-9月期には回復軌道に復帰すると見込まれていますが、ハイライトしておいたニッセイ基礎研の指摘はとても重要で、消費税率引上げ前後の駆込み需要と反動減という政策要因を除いた現時点での「景気の実勢は消費増税前よりも弱くなっている」可能性があります。消費者マインドの好転と夏季ボーナスの増加は消費を押し上げる効果がある一方で、消費税率引き上げに伴う物価上昇と実質購買力の低下は消費の下押し要因となります。企業はまだ設備投資を見極めているところですし、海外経済も米国を除いて欧州や新興国経済の不透明さはまだ払拭されたとは言いがたいと見なされています。確実なのは公共投資だけという状態ですから、上振れリスクもあるものの、下振れリスクのほうが大きい、ということなんだろうと受け止めています。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから成長率の推移を引用しています。

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2014年8月 6日 (水)

6回の攻防が明暗を分け1点差でヤクルトに惜敗!

  HE
阪  神000120003 680
ヤクルト02100400x 7140

先発岩田投手が6失点と崩れ、特に、6回は3-3の同点から3失点して降板しました。リリーフの建山投手もタイムリーを浴びて4点差と差を広げられ、この6回の攻防が明暗を分けたと言えます。6回の表の攻撃ではゴメス内野手とマートン外野手が出塁したノーアウト1-2塁で福留選手が最悪のゲッツーに終わり、逆転機を逸した後の6回ウラに突き放された形です。福留選手の後を打つ伊藤隼太外野手が2安打でしたので、福留選手のブレーキが祟りました。建山投手も敗戦処理に近い形の登板とはいえ、左バッターには通用しないんではないかと懸念されます。こんな高齢選手を使って傷を深くするくらいなら、若手を登用すべきではないでしょうか。ですから、明日の歳内投手の先発は大いに期待しています。

明日はカード勝越し目指して、
がんばれタイガース!

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景気動向指数のCI先行指数が上昇し家計に支えられた先行き景気の回復を示唆!

本日、内閣府から6月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は前月から▲1.8ポイント下降して109.4を、CI先行指数は+0.7ポイント上昇して105.5を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気一致指数、1.8ポイント低下 基調判断は据え置き
内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.8ポイント低下の109.4と2カ月ぶりのマイナスとなった。中小製造業の出荷や鉱工業生産財の出荷を示す指数の悪化が響いた。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を、前月までの「足踏みを示している」に据え置いた。
数カ月後の先行きを示す先行指数は0.7ポイント上昇の105.5と、5カ月ぶりのプラスに転じた。景気に数カ月遅れる遅行指数は0.9ポイント低下の116.9だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDI(最高は100)は一致指数が10.0、先行指数が33.3だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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以前も書いたことですが、上のグラフの上のパネルのCI一致指数と先行指数を見る限り、まるで景気後退期に入ったかのような下降線の動きを示していることが読み取れます。CI先行指数がようやく6月に上昇しただけで、CI一致指数・先行指数とも今年1月をピークに低下してきているわけです。7月30日に鉱工業生産指数を取り上げたエントリーでは、製造工業生産予測調査に基づく「V字回復説」、やや1997年当時を上回った駆込み需要に起因すると見る「消費税ショック説」に加えて、海外景気の回復の遅れを反映した「そもそも需要が弱い説」の3説を紹介しましたが、今日発表の景気動向指数ではCI先行指数が上向きになったのが先行き経済の回復・拡大を示唆していると受け止めています。CI一致指数でマイナス寄与を詳しく見ると、中小企業出荷指数(製造業)、鉱工業生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)といった生産や出荷などの企業活動がCI一致指数を押し下げた一方で、CI先行指数のプラス寄与を詳しく見ると、消費者態度指数、東証株価指数、新設住宅着工床面積といった家計部門にも支えられたCI先行指数の上昇だったと言えます。この家計部門が景気拡大的に、企業部門がデフレ的に、それぞれ振る舞うのはここ1-2年の日本経済の特徴のひとつと私は考えています。

CI先行指数が6月に上昇したとはいえ、CI一致指数もDI一致指数もともに低下を続けており、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「足踏み」に据え置いています。

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2014年8月 5日 (火)

先発メッセンジャー投手が5回8失点でKOされるも9勝目を上げる!

  HE
阪  神404520104 20231
ヤクルト012230030 11162

いやあ、長くて荒れた試合を制してヤクルトに先勝でした。1回表の新井選手のグランドスラムから始まって、ダイナマイト打線が大爆発して、9回まで23安打20得点を上げました。先発メッセンジャー投手が8失点でKOされながらも、9勝目を上げました。今夜のメッセンジャー投手は先発投手としてQSからほど遠かったんですが、打者として2安打4打点を評価すべきなのかもしれません。クリンナップ3人プラス新井選手が猛打賞でした。ただ1人のノーヒットは俊介外野手だったようです。

明日は岩田投手先発で連勝目指して、
がんばれタイガース!

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日本政策投資銀行の調査による設備投資計画やいかに?

本日、日本政策投資銀行から2013・14・15年度の設備投資計画調査結果が公表されています。2014年度の設備投資計画(大企業)は17兆7102億円に上り、前年度の実績に比べて+15.1%増と3年連続で増える見込みとなっています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

14年度の設備投資計画、15.1%増 24年ぶり高水準 政投銀調査
日本政策投資銀行が5日発表した大企業の設備投資計画調査によると、2014年度の全産業の国内設備投資は17兆7102億円と13年度の実績に比べて15.1%増と3年連続で増える見通しだ。計画段階としては1990年度(17.0%増)以来、24年ぶりの伸び率となった。企業業績の改善期待を背景に、設備投資が活発化している。
調査は資本金10億円以上の大企業3224社を対象に実施した。回答基準日は6月26日で、有効回答社数は2246社(69.7%)だった。
非製造業では13.2%増と、計画ベースでは80年度以来の高い伸び率。消費の拡大や多様化に伴う商業施設や物流施設への投資が続くほか、東京五輪を見据えたインバウンド観光や対日投資など投資に広がりがみられる。製造業は18.5%増だった。紙・パルプを除くすべての業種で前年を上回る計画で、自動車や航空機関連など高機能製品関連の投資で増加する見込み。
海外設備投資は全産業で2.0%増と5年連続で増加する見通しだが、伸び率は13年度実績の19.8%増から大幅に鈍化する。自動車の投資が一服したほか化学や非鉄金属で大型案件がはく落するため。製造業の中長期的な国内外の供給能力については、7割を超える企業が海外を強化する方針を示す一方、国内の供給能力を増加させる比率は28.8%と13年度の22.1%から上昇しており「一部に国内生産を再評価する動きが出始めている」(政策投資銀)とみている。
また、資本金1億円以上の大企業、中堅企業を対象にした地域別の調査では、全産業でみると07年度以来7年ぶりにすべての地域で前年に比べて増加した。

ということで、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。ほとんど、この記事に追加する情報もないんですが、調査結果概要のリポートからいくつかグラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは全産業(大企業)と製造業・非製造業の産業別の設備投資増減率の推移を1990年度からプロットしてあります。なお、大企業の定義は農業・林業・金融保険業を除く資本金10億円以上の民間法人企業となっています。前年度比で見て、製造業+18.5%増、非製造業+13.2%増、両方を合わせた全産業で+15.1%増と、いずれも2桁増を示しており、引用した記事にもある通り、伸び率はかなり高くなっています。企業活動はかなり活発で、売上高DIや経常損益DIはプラスを記録する一方で、設備投資/キャッシュフローDIは2013年度に続いて2014年度も大きなマイナス、すなわち、国内設備投資はキャッシュフローの範囲内にとどまる企業の方が多い、との結果が示されています。

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しかし、何だかんだと言っても、資金配分の使途を高める一番手は国内設備投資です。上のグラフは製造業と非製造業別の2014年度資金計画で配分を高める使途の一覧です。やや見にくいんですが、最大3項目までのマルチアンサーとなっています。製造業・非製造業ともに国内設備投資への配分が高まる結果が示されています。製造業では海外設備投資よりも国内設備投資に重点が置かれている印象があります。また、製造業については研究開発と人件費に、非製造業でも人件費への配分を高める計画となっており、賃上げを織り込んだ資金計画といえます。こういった設備投資、研究開発、人件費などは広い意味で前向きの資金使途といえますが、相変わらず、債務返済も無視できない比率を占めています。

最後に、グラフは取り上げませんでしたが、事業環境の改善についても興味深い結果が示されており、製造業では法人税減税をやや上回って為替の安定が一番に上げられています。製造業では法人減税はトップです。さらに、また、製造業と非製造業に共通してエネルギー安定供給も上げられています。分かるような、分からないような…

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2014年8月 4日 (月)

夏の帰省事情やいかに?

本格的に8月に入り、来週後半からお盆の帰省シーズンを迎えます。私は京都で生まれ育ち東京で就職してから、夏のお盆と年末年始は10年ほど前までは必ず帰省していたんですが、ジャカルタから帰国した直後に父親が亡くなってからトンと京都に帰省しなくなりました。でも、お盆の帰省は多いんでしょう。先週8月1日にネオマーケティングから「帰省に関する調査」の結果が公表されています。まず、リポートから【調査結果概要】を3点引用すると以下の通りです。

【調査結果概要】
【1】帰省ラッシュは8/15がピーク!? チケットの手配は当日約3割
【2】帰省する理由「家族・親に会いたから」60.0%で20代最多
【3】帰省する際「手土産を購入」88.6% 20代は「駅ナカ」使用

ということで、今夜のブログでは図表を引用して、今夏の帰省事情に関するアンケート調査結果を簡単に紹介したいと思います。

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まず、夏休み期間と帰省予定が上のグラフの通りです。早い人は次の土曜日の8月9日くらいから夏休みが始まりますが、やっぱり多いのは来週半ばから後半にかけてのお盆の時期、すなわち、8月13日(水)から17日(日)の期間ということになります。以前よりは割合が低下しているかもしれませんが、まだまだ日本の伝統は崩れていないと受け止めています。

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帰省の理由でもっとも多いのは、やっぱり、家族や親戚に会いたい、ということで、特に若い世代で比率が高い結果が示されています。次に、恒例となっているという理由もあり、30-40代で割合が高くなっています。この2番めの恒例と、割合は低いんですが、親が帰ってこいと言う理由のひとつに、親に孫の顔を見せる、というのがありそうな気もします。我が家はそうでした。最後に、実家でゆっくり過ごすというのもよく分かります。

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2014年8月 3日 (日)

先週の読書はポール・クルーグマンほか『金持ちは税率70%でもいい vs みんな10%課税がいい』など経済書と教養書と短篇集の小説

先週の新刊書の読書は経済書としてポール・クルーグマンほか『金持ちは税率70%でもいい vs みんな10%課税がいい』に加えて、新書も含めて教養書2冊と短篇集の小説2冊、計5冊でした。以下の通りです。旧刊書の読書はこれにプラス・アルファ2-3冊です。

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まず、ポール・クルーグマンほか『金持ちは税率70%でもいい vs みんな10%課税がいい』(東洋経済) です。表紙を見れば分かる通り、サブタイトルは「1時間でわかる格差社会の増税論」とされています。カナダのディベートとその参加者へのインタビューを活字にした本で、金持ち70%課税論者はクルーグマン教授とギリシアのパパンドレウ元首相、みんな10%課税論者はギングリッジ米国下院元議長とラッファー教授です。なお、私は知りませんでしたが、パパンドレウ氏は社会主義インターの議長を務める社会民主主義者だそうです。ディベート前は金持ち70%課税が聴衆のうち58%、みんな10%課税が聴衆のうち28%、未定が14%だったんですが、ディベートの後には金持ち70%課税への賛成が70%、みんな10%課税が30%と、金持ち70%課税の圧勝に終わっています。私にはディベートの上手下手は分かりませんが、余りにも明白な結果、というか、私にとってはディベートする必要すらないテーマだという気がしなくもありませんでした。

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次に、仲正昌樹『精神論ぬきの保守主義』(新潮選書) です。タイトルの「精神論ぬきの」という枕詞は、「制度論としての」という意味らしいです。ですから、欧米の論者であるヒューム、バーク、トクヴィル、バジョット、シュミット、ハイエクなあどが延々と並んで、彼らの制度的な保守主義について解説が行われています。そして、出だしのはじめにの p.9 でインプリシットに保守主義の対局概念が歴史を前に進めようとする進歩主義であることが示唆されています。もっとはなはだしいのであれば、急進主義とも言えるかもしれません。私はエコノミストとして生産ないし所得が増加していく歴史観を持っており、それは基本的にはマルクス主義に近い歴史観なのですが、ある意味では、進歩主義なのかもしれないと思いつつ読み進みました。カール・シュミットを取り上げた第5章で、私が知らなかったのは、シュミットにとって議会の本質は公開の討論であって、多数決で何かを決議することではない、というくだりです。フランス革命後の政治状況を見ても明らかな通り、民主主義下で多数、あるいは、圧倒的多数を握ってしまえば、ある意味で、圧政が可能になるわけで、現在の日本の政治の「1人勝ち」と同じことです。でも、議会とは議論の場である、と言われれば、何となく納得できるものもあります。

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次に、植村和秀『ナショナリズム入門』(講談社現代新書) です。マイネッケの『世界市民主義と国民国家』を説き起こすところから始まり、ナショナリズムとはネーションに対する何らかの特別な価値を見出す考え方、というややラフな定義らしきものを示し、ナショナリズムの反対概念は世界市民主義、すなわち、インターナショナリズムであると示唆しています。おそらく、インターナショナリズムは共産主義ないし社会主義の方向性ですから、逆から見て、ナショナリズムはその反対ということも出来ます。本書では、日本からドイツ、旧ユーゴスラヴィア、米州大陸などの地域的なナショナリズムを取り上げているんですが、より純粋にナショナリズムを考察するのであれば、p.153 でカナダについて、フランス語系ケベック人からすればケベックがネイションでカナダは国家(ステイト)といった旨の記述がありますが、ネイションとステイトの違いや、ナショナリズムとインターナショナリズムだけでなく、帝国主義(インペリアリズム)との関係についても概念的に整理して欲しかった気がします。そうすれば、ナショナリズムに関する理解がさらに深まったんではないでしょうか。おそらく、「帝国主義」という言葉自体が出て来なかったように記憶しています。タイトルで大きく出ながら、また、マイネッケの思想から説き起こしながら、すぐに地域別の各論に入り込んでしまった閉塞感は否定できないと思います。タイトル通りの骨太な議論を期待した読者には残念な内容かもしれません。

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次に、平野啓一郎『透明な迷宮』(新潮社) です。私はこの作者が芥川賞を受賞した「日蝕」から始まって、『葬送』、『滴り落ちる時計たちの波紋』、『決壊』くらいしか読んでおらず、まだ最近作の『空白を満たしなさい』は読んでいないんですが、この作者の作品はかなり久し振りに読んだ気がします。本書は基本的に短篇集であり、表題作のほか、「消えた蜜蜂」、「火色の琥珀」、「Re: 依田氏からの依頼」など、6編の単中編から構成されています。全体的な印象としては、この作者の初期の「ロマンティック3部作」のころのような壮麗な文体でこそないものの、かなりロマンティックな小説です。決して現実離れした幻想小説ではないんですが、なんとも言えず官能的で怪しく摩訶不思議な雰囲気を持つ作者らしい作品が収録されています。逆に、まるでラノベのようにサクッと読めてしまう怖さもあります。どこまで読み込めるかにも、読者としての力量すら試されかねない作品集ではないかと思います。ですので、読書感想文は短めに切り上げたいと思います。

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最後に、角田光代『平凡』(新潮社) です。これも人気作家の短篇集で、6編の短編が収録されています。人生の分岐点における if を前面に打ち出し、もしも、あの人と別れていなければ、結婚していなければ、子どもが出来ていなければ、仕事を辞めていなければ、仕事を辞めていれば、などのあり得たかもしれない「もう一つの人生」について考えさせる作品を収録しています。どこにでもありそうで、まさにタイトル通りの平凡な人生のヒトコマを捉えているんですが、私の勝手な思い込みながら、この作者の作品はとても重いです。サラッと読み飛ばせばいいという考え方もありますが、とっても真剣に頭を悩ませて、じっくりと読んでみるのも、「角田光代のひとつの読み方」だという気がします。

この週末も少し遠出して図書館を回って、いろいろと話題の新刊書を借りて来ました。乱読とまでは言いませんが、今週も脈絡なく読書に励みたいと思います。

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2014年8月 2日 (土)

実に堅調な米国雇用統計のグラフィックス!

日本時間の昨夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が発表されています。先日発表された米国GDP統計でも4-6月期の年率成長率が4%に達し、米国経済の好調さを見せつけられただけに、雇用統計も注目されていたところです。ヘッドラインとなる民間非農業部門雇用者数は季節調整済みの系列で前月から+209千人増加し、失業率も前月からやや上昇したものの6.2%と6%台前半を維持しています。まず、Los Angeles Times のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

July's solid job growth shows economic recovery is advancing
July's employment report showing net growth of 209,000 jobs was below expectations and a sharp tail-off from the previous month, but still represents a solid gain that shows the recovery from the Great Recession is advancing, economists said.
"It's better," Kevin Logan, chief U.S. economist at HSBC Bank, said of an economy growing at about a 2.5% annual rate. "It could be much better, but at least it's improving - even if slowly."
July was the sixth straight month that the economy added more than 200,000 net new jobs. That hasn't happened since the dot-com boom in 1997.
The unemployment rate ticked up by a tenth of a percentage point to 6.2% after hitting its lowest level since 2008 in June. But the rate still was down significantly from 7.3% a year earlier.
The Labor Department also slightly revised up the job growth figures from May and June by a total of 15,000 positions.
That means the economy has added an average of 245,000 net new jobs over the last three months and about 230,000 a month so far this year. The economy averaged 194,000 net new jobs a month in 2013.
But the jobs report also demonstrated that the labor market still has some weak points.
The labor force participation rate remained at 62.9% in July, near an all-time low. The number of people out of work for more than six months was essentially unchanged last month at 3.2 million. And wage growth continued to be weak.
Average hourly earnings rose just a penny to $24.45 and only increased 2% over the previous year, barely keeping up with inflation.
"Until we see real wage growth, we're not really seeing the improvement we need to see," said Tim Hopper, chief economist for TIAA-CREF, one of the nation's largest money managers.
Given the weakness in some of those other labor market indicators, Hopper said, Federal Reserve policymakers are unlikely to start raising the central bank's key short-term interest rate until late next year.
Jason Furman, chairman of the White House Council of Economic Advisers, said the jobs report was encouraging but noted in a blog post that there was more work to do.
"Looking at a range of indicators of unemployment, it is clear that we are far into the economic recovery - and that progress has been broadly shared - but we are not all the way there yet," he said.
Still, Friday's jobs report was another sign that the the recovery is back on a positive track after a scare during the winter.
The economy grew at a robust 4% annual rate from April through June, the Commerce Department reported this week.
Much of that growth came from consumers and businesses catching up on activity lost during the first quarter, when the economy sharply contracted at a 2.1% annual rate.
Other economic data also are improving. Consumer spending rose 0.4% in June, up from 0.3% the previous month, the Commerce Department said Friday.
Personal income also increased 0.4% in June, the same pace as in May.
Consumers in July said they were more positive about their current financial situation than at anytime since 2007, according to survey results released Friday.
Still, the monthly consumer confidence index from the University of Michigan and Thomson Reuters dropped to 81.8 last month from 82.5 in July.
"The slow and uneven pace of the recovery in jobs and incomes during the past five years has made consumers unwilling to put much stock in favorable economic forecasts until repeatedly confirmed by positive realizations," said Richard Curtin, the survey's chief economist.
"What may have been termed a skeptical viewpoint in an earlier era is now regarded as a more practical 'show-me' state of mind," he said.

かなり長いんですが、まずまずよく取りまとめられている印象があります。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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失業率こそ前月から0.1%ポイント上昇したものの、水準としては6%台前半の低さですし、何よりも非農業部門雇用者が今年2月から6か月連続で前月差+200千人超の増加を続けており、米国の雇用は順調な伸びを示し堅調と受け止めています。過去1年12か月の月平均で見ても雇用者数は+200千人を超えており、逆に、7月の雇用増はここ1年くらいの平均的な姿とすら言えます。失業率の上昇も誤差範囲、または、景気拡大初期の労働市場への参入の増加を反映したものであり、後ろ向き先行きが懸念される失業増ではありません。ですから、本日、米国商務省から発表された個人所得も今年に入ってから直近の6月まで前月比プラスを続けており、個人消費も寒波の後は2月以降6月までプラスを記録しています。日本のように景気拡大が企業部門から家計部門に波及するのと違って、米国では家計部門から企業部門へ波及しますから、米国景気はいい循環に乗った可能性が高いと考えるべきです。金融の量的緩和の縮小ないし終了の議論が米国連邦準備制度理事会 (FED) でさらに加速するものと考えられます。

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また、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。逆に言えば、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないんですが、同時に、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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2014年8月 1日 (金)

甲子園90周年のメモリアルデー、サヨナラ勝ちで8月スタート!

  HE
D e N A0200011000 4141
阪  神0022000001x 5132

甲子園90周年のメモリアルデーは藤浪投手の先発で始まり、先制されながらも藤浪選手のタイムリーで逆転し、でも、終盤に追いつかれ延長戦になりながらも、最後は福留選手のタイムリーでサヨナラ勝ちでした。7月はまずまず好調でしたし、8月もいいスタートです。

明日はメッセンジャー投手を守り立てて、
がんばれタイガース!

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オリコン・リサーチの市場リポートから今年上半期の書籍市場を振り返る!

一昨日、7月30日にオリコン・リサーチ社から、「2014年上半期 市場レポート【書籍市場】」が公表されています。今年上半期を振り返っています。初めて見たリポートなんですが、出版物のタイトルを堂々と上げて興味深い分析を実施しています。また、オリコン・リサーチ社のサイト ORICON BiZ online では、書籍だけでなく音楽や映像に関しても今年上半期のマーケット・リポートが公開されています。ご参考まで。

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まず、リポートからマクロで集計された書籍売上の半期毎推移のグラフを引用すると上の通りです。消費税込みの総売上は5299.1億円、前年同期と比較して▲0.8%の減少、また、書籍総売上部数は5億9423.7万部、同じく前年同期比で▲2.2%の減少と、4月からの消費増税にもかかわらず、まずまず堅調な結果と評価されています。別のリポートでは、総売上の前年同期比で見て音楽ソフトが▲2.1%減、映像ソフトが▲4.3%減でしたので、ほぼ横ばいの書籍は健闘といえるかもしれません。よく売れたのは、『人生はニャンとかなる! 明日に幸福をまねく68の方法』といった自己啓発書や『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』などの健康関連、あるいは、本屋大賞受賞作品やゲーム攻略本が中心ながら、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』が勉強本としては異例の注目を集めたり、ディズニー映画『アナ雪』の関連本も好調な売上を示しているとリポートされています。文庫本では「このミス」大賞受賞の『生存者ゼロ』が健闘し、コミックでは『ONE PIECE』と『進撃の巨人』の2強に加えて、TVアニメの放送が始まった『ハイキュー』の売上が急伸しているようです。

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次に、同じくリポートから書籍売上における形態の割合 (売上額) のグラフを引用すると上の通りです。リポートではジャンル別にいろいろと取り上げているんですが、私の興味あるところで政治・経済・社会ではテレビ番組の書籍化作品『里山資本主義』がヒット作として上げられています。残念ながら、私は読んでいません。他方、文芸・ノンフィクションでは上下巻構成の本屋大賞作品に村上春樹の最新作と、売れ筋が昨年2013年上半期と同じ構成であることが特徴としつつ、今年の本屋大賞『村上海賊の娘』は昨年の『海賊とよばれた男』に比べて売上が7割ほどであり、村上春樹の『女のいない男たち』も昨年の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の売上の3割にとどまったとリポートされています。村上春樹の作品はともかく、本屋大賞受賞作について言えば、出光の提灯持ちの小説より、大坂本願寺に兵糧を入れる毛利を支援する村上水軍の活躍を描いた時代小説の方を私は高く評価しているんですが、これは私が一向宗の門徒であるため大きなバイアスがかかっているのかもしれません。

最近、私が本を読む場合、8割以上が図書館で借りているので、このようなリポートに反映される売上にはカウントされていないような気がしますが、週末前の軽い話題として取り上げておきます。

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