日本政策投資銀行の調査による設備投資計画やいかに?
本日、日本政策投資銀行から2013・14・15年度の設備投資計画調査結果が公表されています。2014年度の設備投資計画(大企業)は17兆7102億円に上り、前年度の実績に比べて+15.1%増と3年連続で増える見込みとなっています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
14年度の設備投資計画、15.1%増 24年ぶり高水準 政投銀調査
日本政策投資銀行が5日発表した大企業の設備投資計画調査によると、2014年度の全産業の国内設備投資は17兆7102億円と13年度の実績に比べて15.1%増と3年連続で増える見通しだ。計画段階としては1990年度(17.0%増)以来、24年ぶりの伸び率となった。企業業績の改善期待を背景に、設備投資が活発化している。
調査は資本金10億円以上の大企業3224社を対象に実施した。回答基準日は6月26日で、有効回答社数は2246社(69.7%)だった。
非製造業では13.2%増と、計画ベースでは80年度以来の高い伸び率。消費の拡大や多様化に伴う商業施設や物流施設への投資が続くほか、東京五輪を見据えたインバウンド観光や対日投資など投資に広がりがみられる。製造業は18.5%増だった。紙・パルプを除くすべての業種で前年を上回る計画で、自動車や航空機関連など高機能製品関連の投資で増加する見込み。
海外設備投資は全産業で2.0%増と5年連続で増加する見通しだが、伸び率は13年度実績の19.8%増から大幅に鈍化する。自動車の投資が一服したほか化学や非鉄金属で大型案件がはく落するため。製造業の中長期的な国内外の供給能力については、7割を超える企業が海外を強化する方針を示す一方、国内の供給能力を増加させる比率は28.8%と13年度の22.1%から上昇しており「一部に国内生産を再評価する動きが出始めている」(政策投資銀)とみている。
また、資本金1億円以上の大企業、中堅企業を対象にした地域別の調査では、全産業でみると07年度以来7年ぶりにすべての地域で前年に比べて増加した。
ということで、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。ほとんど、この記事に追加する情報もないんですが、調査結果概要のリポートからいくつかグラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

上のグラフは全産業(大企業)と製造業・非製造業の産業別の設備投資増減率の推移を1990年度からプロットしてあります。なお、大企業の定義は農業・林業・金融保険業を除く資本金10億円以上の民間法人企業となっています。前年度比で見て、製造業+18.5%増、非製造業+13.2%増、両方を合わせた全産業で+15.1%増と、いずれも2桁増を示しており、引用した記事にもある通り、伸び率はかなり高くなっています。企業活動はかなり活発で、売上高DIや経常損益DIはプラスを記録する一方で、設備投資/キャッシュフローDIは2013年度に続いて2014年度も大きなマイナス、すなわち、国内設備投資はキャッシュフローの範囲内にとどまる企業の方が多い、との結果が示されています。

しかし、何だかんだと言っても、資金配分の使途を高める一番手は国内設備投資です。上のグラフは製造業と非製造業別の2014年度資金計画で配分を高める使途の一覧です。やや見にくいんですが、最大3項目までのマルチアンサーとなっています。製造業・非製造業ともに国内設備投資への配分が高まる結果が示されています。製造業では海外設備投資よりも国内設備投資に重点が置かれている印象があります。また、製造業については研究開発と人件費に、非製造業でも人件費への配分を高める計画となっており、賃上げを織り込んだ資金計画といえます。こういった設備投資、研究開発、人件費などは広い意味で前向きの資金使途といえますが、相変わらず、債務返済も無視できない比率を占めています。
最後に、グラフは取り上げませんでしたが、事業環境の改善についても興味深い結果が示されており、製造業では法人税減税をやや上回って為替の安定が一番に上げられています。製造業では法人減税はトップです。さらに、また、製造業と非製造業に共通してエネルギー安定供給も上げられています。分かるような、分からないような…
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