価格引上げの動きは中小企業製品にも広がるか?
昨夜に取り上げた日銀の企業向けサービス物価(SPPI)に関連して、やや旧聞に属する話題かもしれませんが、日本総研から先週の金曜日8月22日に「中小企業にも広がり始めた販売価格引き上げの動き」と題するリポートが公表されています。日銀短観や総務省統計局から公表されている消費者物価指数などを基に、中小企業の工業製品の販売価格引上げが消費者物価に与える影響を分析し、大企業だけでなく中小企業製品にも価格引上げの動きが広がりつつあることを確認しています。
上のグラフは日本総研のリポートから (図表3) 消費者物価・工業製品の寄与度分解 を引用しています。生鮮食品を除くコア消費者物価に占める工業製品のシェアは40%を少し下回るくらいで、ほぼ半分強を占めるサービスに比べて決して高くないんですが、2013年年央から工業製品の前年同月比上昇率はプラスに転じています。なお、上の画像の(注2)にある通り、消費税の影響は除かれています。大企業の製品の価格上昇がこの物価上昇をけん引していましたが、最近時点では徐々に中小企業製品の価格も上昇していることが読み取れます。もちろん、消費者物価に占めるウェイトの高いサービスのうち、小売はもとより宿泊や外食などのサービスでも中小企業のシェアは高く、工業製品だけで判断することは適当ではありませんが、デフレ脱却をより確かなものとし日銀の物価上昇目標達成のために、中小企業のサービスにも価格引上げの動きが広がることが期待されます。
日銀が進める異次元緩和政策によるリフレ政策により、物価上昇率はプラスに転ずるととともに、先行き、徐々にプラス幅を拡大する方向にあると私は考えていますが、それなりに独占度の高い大企業に比べて古典的な完全競争により近い市場で活動している中小企業の価格動向がインフレ目標達成のひとつのカギになるとの考えもあります。今後とも、工業製品とサービスの両方で中小企業製品の価格引上げの動きにも注目したいと思います。
| 固定リンク
コメント