消費者態度指数も8月に悪化し消費税ショックからのリバウンドが鈍い!
本日、内閣府から8月の消費者態度指数が発表されています。先月よりも▲0.3ポイント低下して41.2となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
消費者態度指数、8月は0.3ポイント低下の41.2 判断を下方修正
内閣府が9日発表した8月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は41.2と、前月比0.3ポイント低下した。悪化は4カ月ぶり。内閣府は基調判断を「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。基調判断の下方修正は6カ月ぶり。
指数を構成する意識指標のうち、「暮らし向き」の項目は4カ月連続で前月比で上昇したが、「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の項目はいずれも低下した。
改善が続く所定内給与や、高水準で推移する有効求人倍率など足元の経済指標には持ち直しの動きがみられる。このため雇用環境についても内閣府は「水準は決して低くない」とみている。
1年後の物価見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比0.6ポイント増の86.1%だった。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は8月15日で、有効回答数は5514世帯(回答率65.6%)だった。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、新旧の系列の消費者態度指数のグラフは以下の通りです。いつもの通り、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
昨日発表された景気ウォッチャーと同じで、消費増税ショックの4月を底にして5-7月の3か月連続でマインドは向上してきたんですが、8月は天候要因もあって、わずかながら4か月振りに下降に転じました。引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府は消費者態度指数に現れた消費者心理の基調判断を「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正しています。少し詳しく見ると、消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントうち、「暮らし向き」は上昇したものの、「収入の増え方」と「雇用環境」が特に低下しています。先々週の8月29日付けのエントリーで取り上げた通り、7月の雇用統計は改善が足踏みしていると私は受け止めていますが、現在の景気回復ないし拡大局面はマクロでは企業部門ではなく家計部門がけん引しているだけに、雇用に陰りが見えて家計の所得が伸び悩むようなことになれば景気への影響は小さくないと考えるべきです。特に、足元で進みつつある円安の動きも輸出の伸びをもたらすためには時間がかかるでしょうし、欧州や新興国経済の停滞を背景に輸出の回復が思わしくないだけに、輸出が景気のけん引役になるとは想定しがたいところがあります。当然ながら、消費増税に伴う物価上昇のために実質所得は大きなマイナスのままなんですが、それに加えて家計部門が雇用や収入の面からマインドを悪化させれば、公共投資の積増しがどの程度可能かは不明ですが、景気のけん引役が不在となりかねません。
先月の統計発表の段階では、「消費増税のショックは徐々に薄らぎつつある」と考えていたんですが、やっぱり、消費増税からのリバウンドが鈍いと考えを変えつつあります。今後、ホントに日本経済全体として景気が足踏みを始めれば、追加の金融緩和がアジェンダに上る可能性があります。
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