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2014年9月11日 (木)

法人企業景気予測調査をどう見るか?

本日、財務省から7-9月期の法人企業景気予測調査の結果が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は4-6月期の▲14.6から7-9月期には+11.1に改善しました。また、先行き10-12月期の見通しは+9.9、来年2015年1-3月期は+7.3となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況、7-9月プラス11.1 10-12月はプラス9.9
内閣府と財務省が11日発表した7-9月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況感を示す景況判断指数はプラス11.1だった。プラスは2期ぶり。公共事業の増加や企業の設備投資の活発化を受け、企業の景況感が回復している。
指数は自社の景況が前の期と比べて「上昇」と回答した企業の割合から「下降」の割合を差し引いて算出。4-6月期の大企業全産業の景況感はマイナス14.6から大きく改善したものの、前回調査時点の見通し(プラス13.4)に届かなかった。
大企業のうち製造業はプラス12.7と2期ぶりのプラス。生産用機械器具、自動車・同付属品などで改善が目立った。非製造業もプラス10.2と2期ぶりのプラス。サービス業、卸売業で改善した。
中小企業の景況判断指数は全産業でマイナス10.0。製造業がマイナス9.5、非製造業がマイナス10.1だった。
10-12月期の見通しでは大企業全産業がプラス9.9。2015年1-3月期はプラス7.3となり、景気先行きへの慎重姿勢を表す結果となっている。
14年度の設備投資計画(ソフトウエア含む)は全産業で前年度比5.7%増加。前回6月は4.5%増を見込んでいた。製造業は13.3%増、非製造業は2.0%増だった。
調査は資本金1000万以上の1万5804社を対象に実施し、回答率は81.8%。調査基準日は8月15日だった。
同調査は日銀が10月1日に発表する企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測する手掛かりとして注目される。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と青の折れ線の色分けは凡例の通りです。色が濃いのが実績で、薄いのが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

軽く想像される通り、今年4-6月期に消費増税ショックで大きく落ち込んだ企業マインドは7足元の-9月期にリバウンドした後、年末から来年年初にかけてゆっくりと安定を示すと見込まれています。ただし、前回4-6月期調査の時点では、現在の足元の7-9月期は+13.4と予想されていましたが、実績では+11.1と下振れしています。もっとも、この先の10-12月期は前回調査の+10.3と今回調査の+9.9ですから、大企業においては大きな差はありません。しかし、中堅ないし中小企業では消費増税のダメージが大きくなっているように見えます。すなわち、7-9月期の景況判断BSIを見ると、中堅企業では前回調査の+9.2から今回調査の+5.1へ、中小企業では同じく▲3.7から▲10.0へ、ともに大企業よりも大きく下振れしており、企業規模が小さいほど景況感の下振れの程度が大きくなっています。やや想像を働かせ過ぎかもしれませんが、相対的に、消費税率引上げ分の価格転嫁が企業規模が小さいほど困難になっている可能性が示唆されていると私は受け止めています。
景況判断BSIは以上の通りで、消費増税ショックの大きさを改めて示している一方で、図表は示しませんが、雇用と設備に対する要素需要については引き続き堅調です。すなわち、雇用判断BSIについては、9月末の現状判断も12月末の見通しもともに前回調査よりも今回調査の方が雇用の不足超が拡大しています。しかも、大企業よりも中堅企業や中小企業で雇用の不足超過が大きくなっています。また、全規模全産業で見たソフトウェアを含み土地購入を除く設備投資計画は前回調査の前年度比+4.5%増が、+5.7%増に積み増されています。これを見る限り、昨日発表された機械受注は今後設備投資計画に従って増加に向かう可能性が強いようにも見えます。

法人企業景気予測調査に示された企業マインドに従って雇用が順調に拡大すれば、雇用チャンネルを通じて家計マインドにも影響を及ぼし、家計部門と企業部門の好循環が形成される可能性も十分あります。10月1日に発表される日銀短観に注目が集まります。

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