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2014年10月28日 (火)

商業販売統計はほぼ消費の回復を示す!

本日、経済産業省から9月の商業販売統計が発表されました。ヘッドラインとなる小売販売の季節調整していない前年同月比は+2.3%増の11兆2420億円、季節調整済み指数では前月比+2.7%増となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の小売販売額、前年比2.3%増 気温低下で衣料品など伸びる
経済産業省が28日発表した9月の商業販売統計(速報)によると、小売業の販売額は11兆2420億円と、前年同月比2.3%増えた。伸び率は8月(1.2%増)から拡大した。気温低下により、秋冬物衣料が売れ始めたことなどが寄与した。
小売業の内訳をみると、織物・衣服・身の回り品が9.7%増。野菜や畜産品の相場高を受け、飲食料品が3.4%増えた。
大型小売店は1.7%増の1兆5308億円。既存店ベースでは0.5%増と2カ月連続のプラス。このうち百貨店は1.7%増、スーパーは0.1%減だった。
コンビニエンスストアは5.6%増の8742億円。調理パンやサラダなどの販売が好調だった。既存店ベースでは0.9%増えた。

コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。シャドーを付けた部分は景気後退期です。

photo

グラフを見れば明らかですが、季節調整していない小売販売額の前年同月比伸び率も、季節調整済みの小売販売指数も、いずれも年央7月ころから上向きのラインに乗っています。一例に過ぎませんが、4月からの消費税率の引上げによる消費者物価(CPI)への影響については、日銀から「金融経済月報」(2014年3月)において、フル転嫁を仮定した場合、全国のヘッドラインCPIへは+2.1%、全国のコアCPIへは+2.0%、東京都区部へはヘッドラインCPI、コアCPIともに+1.9%との試算が示されています。従って、9月の小売販売が名目で+2.3%増ですから、ギリギリでこのラインは超えたと評価できるような気がします。でも、9月の消費者物価上昇率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+3.0%ですから、物価でデフレートした実質消費はまだまだマイナスです。他方、1997年4月に消費税率を3%から5%に引き上げた際には、名目の小売販売は12か月連続で前年同月比マイナスを記録しましたから、その当時と比較すれば、駆込み需要と反動減からの回復は早かった、とも言えそうです。このあたりの評価は難しいところかもしれません。しかしながら、私の実感・直観としては、消費は消費税率引上げのショックからほぼ回復しつつある、と考えています。ただし、耐久消費財の代表たる自動車の一部と家電については、まだ完全にショックが払拭されたわけではないと慎重に見る必要があります。すなわち、季節調整していない原系列の四半期データの前年同期比で見て、小売販売は4-6月期に▲1.8%減の後、7-9月期には+1.4%増と名目ベースではほぼ回復を示しました。しかし、7-9月期でもまだ前年同期比でマイナスを記録している業種が2つあり、それは自動車小売業▲0.3%減と電機を含む機械器具小売業▲3.7%減です。マイナスの大きさを見れば明らかな通り、自動車よりも電機の方が回復が遅れていると考えるべきです。ほかに半耐久財や非耐久財が大きなシェアを占めると考えられる織物・衣服・身の回り品小売業は4-6月期に+4.4増、飲食料品小売業も+2.5%増ですから、消費税ショックはほぼ消滅したと見なせると受け止めています。ただし、先行きを考えると所得の増加が消費をサポートする必要がありますから、年末ボーナスも含めて、賃金動向が気にかかるところです。なお、年末ボーナスについては、10月8日付けで労務行政研究所から「東証第1部上場企業の2014年年末賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」と題するリポートが公表されていて、東証1部上場の大企業対象ながら、年間協定による妥結済み企業では、単純平均で対前年同期比4.6%増と3年ぶりにプラスとの結果が示されています。11月に入れば、いくつかのシンクタンクから年末賞与予測が発表されると思いますが、取りあえず、ご参考まで。

今日発表の商業販売統計も評価が難しく、昨夜のエントリーでも最後にも経済の見方が難しいと書きましたが、その要因はまだまだいっぱいあって、いわゆる「ポジション・トーク」というのもあります。私は同業者のエコノミストからメールに添付した形で一般向けではないクローズなニューズレターをいくつかちょうだいしているんですが、とある証券会社からは株式担当エコノミストと債券担当エコノミストの両方からニューズレターを受け取っています。今日発表の商業販売統計ではないんですが、先日の貿易統計の折には、前者の株式担当からは「輸出は下げ止まりの兆し」、後者の債券担当からは「実質輸出は横ばい圏内」といった趣旨のリポートを受け取りました。どちらも正しいような気もしますが、同じ証券会社ながら、社内の立場やお相手する顧客によってリポート内容や表現振りに微妙な違いが生じるのかもしれません。

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