日銀短観12月調査の予想やいかに?
来週月12月15日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。4月の消費増税ショックから4-6月期にとどまらず、7-9月期も2四半期連続でマイナス成長を記録した直後の短観ですから注目が集まっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2014年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、先行きの業況判断DIの予想に着目して拾いました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 大企業製造業 大企業非製造業 <設備投資計画> | ヘッドライン |
9月調査 (最近) | +13 +13 <+8.6> | n.a. |
日本総研 | +15 +13 <+8.0> | 先行き(2015年3月調査)は、全規模・全産業で12月調査対比▲2%ポイントを予想。緩やかな景気回復のもと、比較的高水準での推移が見込まれるものの、過度の円安への懸念や、政治・財政状況を巡る不透明感が重石となり、小幅悪化となる見通し。 |
大和総研 | +12 +12 <+8.0> | 先行きの業況感は総じて改善を示すとみている。製造業では、「自動車」についてはこれまで業況感を下押ししていた国内新車販売に底入れの動きが見られることはポジティブな材料である。需要の回復に伴い在庫調整も進展する見込みであり、先行きの業況感を押し上げるだろう。 |
みずほ総研 | +14 +14 <+8.2> | (大企業製造業) 先行きは、+1ポイントの改善を見込んでいる。在庫調整の進展や設備投資・輸出の増加に対する期待がプラスに寄与するものとみられる。 (大企業非製造業) 先行きは、+2ポイントの改善を見込んでいる。内需の持ち直しが続くことに加え、消費再増税の先送りにより景気の下振れ懸念が和らぐことが、業況改善につながるとみられる。 |
ニッセイ基礎研 | +12 +13 <+7.8> | 今回の最大の注目ポイントは先行きの景況感だ。景気については、今後回復基調に戻るとの見立てがコンセンサスだが、企業マインドが回復シナリオを裏付けるかどうかが注目される。そもそも、増税後の国内景気が大きく落ち込み、回復の足取りが鈍い主因は、実質賃金の低下であると考えられる。冬から春にかけては、来年度の賃金交渉が進められる大事な時期だけに、企業マインドに明るさが確認できるかが今後の賃金動向とその先の日本経済を占ううえで極めて重要になる。また、今年度収益は円安を受けて大企業製造業を中心に上方修正される可能性が高いが、賃上げの原資となるだけに修正幅が注目される。 |
第一生命経済研 | +11 +10 <+8.7> | 従来、日銀短観は景気動向指数と一致すると考えられているが、最近はや遅行しているように思える。今回の短観も、そうした意味でマクロの景気動向に遅行した動きになるのではないか。 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | +13 +14 <+9.1> | 14年度の設備投資計画については、大企業・中小企業とも、9月調査からの上方修正が見込まれる。多くの企業は、人手不足に対応した生産・販売能力の増強に積極的に取り組んでいる模様だ。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +14 +12 <+7.7> | (大企業製造業) 先行きは景気の回復とともに改善が続くと見込まれ、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は2ポイント上昇し、16になると予測する。 (大企業非製造業) 先行きは「小売」などを中心に改善が見込まれ、業況判断DI(先行き)は2ポイント上昇の14に改善すると予測する。 |
三菱総研 | +11 +13 <n.a.> | 先行きの業況判断DI(大企業)は、増税後の反動減の影響は徐々に和らいでいくとみられるほか、原油安の波及が非製造業を中心に業況改善につながるとみられ、製造業は+12%ポイント、非製造業は+14%ポイントといずれも小幅改善を予想する。 |
富士通総研 | +12 +12 <+8.2> | 先行きについては、消費が戻り設備投資の増勢も強まるなど、景気の回復基調が鮮明になっていくことから、製造業、非製造業とも改善すると考えられる。 |
見れば分かると思いますが、大企業の製造業・非製造業の業況判断DI、さらに、大企業全産業の2014年度設備投資計画の前年度比です。設備投資計画は土地を含みソフトウェアを除くベースです。ということで、12月調査の企業マインドはほぼ9月調査から大きな変化はないと見込まれています。また、設備投資計画も9月調査から短観の統計としてのクセに従ってやや下方修正されるという見方が多いように見受けられます。そして、ニッセイ基礎研の指摘の通り、「企業マインドに明るさが確認できるかが今後の賃金動向とその先の日本経済を占ううえで極めて重要」となると私も考えています。ただ、GDP統計について、1次QE、2次QEと2度も続けて大きくハズしましたので、日銀短観もやや慎重に構えるエコノミストがいそうな気がします。下の業況判断DIのグラフは日本総研のリポートから引用しています。
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