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2014年12月10日 (水)

法人企業と消費者のマインドは悪化し企業物価上昇率は消費税を除けばマイナスに!

本日は企業と消費者のマインド指標が公表されています。すなわち、財務省から10-12月期の法人企業景気予測調査が、また、内閣府から11月の消費者態度指数が、それぞれ発表されています。これらに加えて、日銀からは11月の企業物価が公表されています。10-12月期における法人企業景気予測調査の大企業の景況判断指数BSIは+5.0と7-9月期の+11.1から低下し、11月の消費者態度指数も前月の38.9から37.7に低下しています。企業物価は国内物価の前年同月比上昇率で+2.7%の上昇でしたが、消費税の影響を除けば▲0.2%の下落と、2013年3月以来1年8か月振りの下落を記録しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況判断指数、10-12月プラス5.0
2期連続プラスも7-9月より悪化

内閣府と財務省が10日発表した10-12月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況感を示す景況判断指数はプラス5.0だった。2期連続のプラスとなったものの、7-9月期(プラス11.1)からプラス幅は縮小した。原油安による原材料価格の下落や円安による輸出拡大で化学工業などでは景況感が回復したが、消費増税の影響が残り自動車や機械器具などが悪化した。
指数は自社の景況が前の期と比べて「上昇」と回答した企業の割合から「下降」の割合を差し引いて算出。10-12月期は前回調査時点の見通し(プラス9.9)も下回った。
大企業のうち製造業はプラス8.1(7-9月期はプラス12.7)。化学工業に加え、販売価格の転嫁が進む食料品製造業で改善が目立った。非製造業はプラス3.4(同プラス10.2)。外国人観光客の増加により、サービス業などで改善したものの、電気・ガス・水道業、情報通信業で悪化した。
中小企業の景況判断指数は全産業でマイナス10.1。製造業がマイナス9.7、非製造業はマイナス10.2だった。
結果について財務省は「景気は緩やかな回復基調が続いているという経済全体の傾向を反映している」としている。
14年度の設備投資計画(ソフトウエア含む)は全産業で前年度比4.9%増加。前回9月は5.7%増を見込んでいた。製造業は12.0%増、非製造業は1.3%増だった。
調査は資本金1000万円以上の1万5714社を対象に実施し、回答率は81.3%。調査基準日は11月15日だった。同調査は日銀が15日に発表する企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測する手掛かりとして注目される。
11月の消費者態度指数1.2ポイント低下 4カ月連続で基調判断引き下げ
内閣府が10日発表した11月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は37.7と、前月比1.2ポイント低下した。悪化は4カ月連続。内閣府は消費者心理の基調判断を「弱含んでいる」から「弱い動きがみられる」に下方修正した。判断の引き下げは8月以降、4カ月連続で、現行基準で統計を遡ることができる2004年度以降で初めてとなる。
指数を構成する意識指標のうち、「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4項目がいずれも前月比で低下した。4項目がそろって低下したのは3カ月連続で、04年度以降で初めて。1年後の物価見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比1.3ポイント増の88.8と、5カ月連続で増加した。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は11月15日で、有効回答数は5508世帯(回答率65.6%)。
11月の企業物価、増税分除き0.2%下落 1年8カ月ぶり
日銀が10日公表した11月の国内企業物価指数(2010年平均=100)は105.3と、前年同月に比べて2.7%上昇した。上昇幅は10月より0.2ポイント縮小した。前月比では0.2%下がり、2カ月連続で低下した。
消費税率引き上げの影響を除くと前年同月比の伸び率はマイナス0.2%と、2013年3月(マイナス0.5%)以来、1年8カ月ぶりに下落した。
国際商品市況での原油安が石油・石油製品の価格下落を通じて企業物価全体を押し下げた。化学製品は原油安に加えて、アジア域内の需給の減少が価格下落につながった。国内では精米・玄米で在庫が増えているという。
日銀は「為替の円安による押し上げ効果や国内の建設需要の盛り上がりを反映した値上がりはほぼ一巡した」(調査統計局)とみている。半面、先行きについては円建ての原材料の輸入価格に上昇傾向がみられ、食料品やパルプではコスト上昇分を価格に転嫁する動きがあるという。「値下げ、値上げの動きが国内の財の価格にどう波及してくるのかしっかり見ていきたい」とした。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち、前年同月で上昇したの392品目、下落したのは345品目だった。上昇した品目が下落した品目を上回るのは15カ月連続だったが、品目数の差は9月以降減少傾向にある。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。でも、経済指標3つ分ですから、これだけでおなかいっぱいな気もします。といいつつ、続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と青の折れ線の色分けは凡例の通りです。色が濃いのが実績で、薄いのが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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大企業のBSIは来年4-6月期までプラスを維持するとの見込みですが、中堅企業では来年半ばの4-6月期にはマイナスに転ずる見込みですし、中小企業では昨年に一度プラスに転じた以外はほぼ一貫してBSIはマイナスを続けています。大企業でも先行きについては、円高で輸出に期待が持てる製造業よりも内需に依存する割合の高い非製造業では先行き見通しがさらに悪化する方向にあるのは当然です。特に、私が懸念しているのは雇用判断であり、企業規模にかかわらず来年半ばまでは不足超が続く見通しなんですが、企業規模と製造業・非製造業別を通じて、今年2014年12月時点が従業員の不足超のピークとなり、先行きは一貫して不足超幅が縮小する見込みとなっています。業種や地域によるミスマッチを抱えつつ、人手不足は継続すると私は考えていますが、人手不足の程度は緩和される可能性が十分あり、賃金上昇や正規雇用の増加などの雇用の質の改善につながる前に労働需要がピークアウトする可能性も排除できません。今年はボーナスを中心にまずまずの賃上げを経験しましたが、消費増税に伴う物価上昇に追いつかずに実質賃金はマイナスのままですから、来年以降の賃上げが厳しいとなれば消費は盛り上がりを欠いたままになる可能性もあります。気がかりなところです。ただし、設備投資見通しは、前回調査から下方修正されたものの、製造業を中心に前年度比から増加する見込みとなっています。

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続いて、新旧の系列の消費者態度指数のグラフは上の通りです。いつもの通り、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。引用した記事にもある通り、指数のコンポーネントがすべて悪化し、統計作成官庁である内閣府の基調判断も4か月連続で下方修正されています。グラフで示されている通り、需要サイドの消費者マインドは明らかに今年年央をピークに悪化を示していると考えざるを得ません。そして、その消費者マインド悪化の大きな要因は消費増税ショックであることは間違いありません。ただし、先行きについては、私がこのブログで何度か主張してきた通り、消費税率の再引上げに向けた家計防衛的な消費者マインドに基づく消費者行動かどうかは現時点ではこの統計からは確認できません。

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最後に、企業物価上昇率のグラフは上の通りです。3枚のグラフを並べていますが、上のパネルから順に、国内物価と輸出入物価の上昇率、需要段階別の上昇率、一番下が国内物価の上昇率について消費税増税の影響を含むベースと含まないベースの上昇率をそれぞれプロットしています。ヘッドラインとなる国内物価が上昇幅を縮小させているのは、引用した記事にもある通り、国際商品市況での原油安が石油・石油製品の価格下落を通じて企業物価全体を押し下げた結果と受け止めていますが、円安効果の一巡も考慮すべきかもしれません。ただし、ハロウィーン緩和から一段の円安が進んでおり、今後の物価上昇につながる可能性もあります。ただし、国内物価上昇率が消費増税の影響を除くベースで前年同月比マイナスを記録したのは実体的にはともかく、象徴的な意味を見出すエコノミストもいそうな気がします。上のグラフの真ん中のパネルを見て正確に評価すれば、国内企業物価の上昇幅縮小はグレーの折れ線グラフで示した素原材料の値下がりによるものであり、素原材料を製品として販売している企業を除いて、多くの企業にとってはコスト削減につながる動きであると考えられますので、景気には悪影響ばかりではないと私は受け止めています。

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