経団連による「昇給、ベースアップ実施状況調査結果」やいかに?
今夜もまた旧聞に属する話題ですが、昨年12月26日に経団連から2014年1-6月実施分の「昇給、ベースアップ実施状況調査結果」が公表されています。経団連加盟の一部上場などの大企業中心の調査であり、かなり偏りはあると思いますが、それでもここ何年かの調査結果を時系列で見ることにより、それなりの特徴が浮かび上がる可能性もありますので、いくつか図表を引用しつつ、簡単に紹介しておきたいと思います。

まず、リポートから 図表3 昇給およびベースアップの実施状況の推移 (2001-2014年) を引用すると上の通りです。さすがに、経団連加盟の大企業だけあって、と言うか、何と言うか、2001年以降も昇給だけでも実施ている企業が大部分なんですが、昨年2014年上半期の1-6月には昇給に加えてベアを実施した企業が過半に上りました。グラフを見る限り、2001年以降ではもっとも高い比率のようです。

さらに、その詳細を見るため、リポートから 図表4 月例賃金の引上げ額および引上げ率の推移 を引用すると上の通りです。さすがに経団連加盟企業だけあって、毎月勤労統計に見る賃金上昇からは想像も出来ない高い賃上げ率なんですが、それでも2014年は+2.2%と11月の全国消費者物価指数(CPI)のヘッドライン上昇率が+2.4%、生鮮食品を除くコアCPI上昇率が+2.7%でしたから、この程度の賃上げでは実質賃金上昇率はマイナスということになります。
最初に書いた通り、経団連加盟の大企業中心の調査結果であり、その上、定昇やベアの実施企業の方が回答率が高いであろうバイアスは当然に存在すると思いますので、どこまで統計的な判断が可能かは疑問が残ります。加えて、経団連に加盟していない規模の小さい企業ではここまで賃上げを実施していない可能性が高いと考えるべきです。でも、リーマン・ショック後のここ数年で考えると、2014年はそれなりに賃上げの実りがあった年だったのかもしれません。
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