米国雇用統計は好調な米国経済を反映しているのか?
日本時間の昨夜、米国労働省から12月の米国雇用統計が公表されています。ヘッドラインとなる失業率は11月の5.8%から0.2%ポイント低下して5.6%を記録し、非農業部門雇用者は前月から+252千人増加しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、New York Times のサイトから記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。
December Caps a Strong Year for Jobs, but Wages Dip
Capping the best year for job growth since 1999, employers added 252,000 jobs in December, the Labor Department reported Friday, and unemployment fell to 5.6 percent.
The number of new people put on payrolls last month was above what economists had forecast, consistent with the view that the recovery was finally gaining traction after years of only modest growth. In addition, the number of jobs created in November was revised upward to 353,000, from 321,000. That month, the unemployment rate was 5.8 percent.
The pace of overall job growth averaged 246,000 a month last year, up from 194,000 a month in 2013.
But the good news on job creation was tempered by a poor showing in average hourly earnings, which fell 0.2 percent in December after rising 0.4 percent in November. Many economists had thought the increase signaled the start of a trend that wages were finally improving.
まずまずよく取りまとめられている印象があります。この後に、エコノミストへのインタビューなどが取り上げられていますが、長くなりますので割愛します。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。
11月の+353千人増からはかなり減速しましたが、それでも+252千人増はかなり堅調でいいペースの雇用増だと受け止めています。季節調整されているとはいえ、12月は何と言ってもクリスマス・シーズンですし、消費が盛り上がる時期であることは言うまでもなく、この雇用の増加は逆から見て消費もそれなりに堅調であった、と言えそうな結果だと受け止めています。失業率も米国連邦準備制度理事会(FED)がひとつの目安と公表していた6%台半ばを超えて、とうとう5.6%まで低下しています。FEDは昨年の段階で量的緩和の終了を決定しましたが、今年の4月から利上げ時期を探る議論を開始するとされており、早ければ今年年央にも利上げが始まる可能性が出ています。この米国金融政策動向を見通せば、さらに為替で円安が進む可能性もあり、我が国経済への影響も無視できません。
また、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。逆に言えば、サブプライム危機前の+3%超の水準には復帰しそうもないですし、12月統計で少し落ちたのも気にかからないわけではないんですが、まずまず、コンスタントに2%のライン周辺で安定していると受け止めており、少なくとも、底割れして日本のようにゼロやマイナスをつけて、デフレに陥る可能性は小さそうに見えます。
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