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2015年2月12日 (木)

機械受注は順調に増加し企業物価は原油価格下落により3か月連続で下落する!

本日、内閣府から12月の機械受注が、また、日銀から1月の企業物価が、それぞれ公表されています。それぞれの統計のヘッドラインとなる船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は季節調整済みの前月比で+8.3%増の8536億円を記録し、国内物価の前年同月比上昇率は大きく縮小して+0.3%となり、消費増税の影響を除けば▲2.4%の下落となりました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月機械受注8.3%増 10-12月期も増加 基調判断を上方修正
内閣府が12日発表した2014年12月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比8.3%増の8536億円だった。プラスは2カ月連続。製造業、非製造業ともに伸び、QUICKが10日時点でまとめた民間予測の中央値(2.4%増)を大きく上回った。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は24.1%増の3969億円と3カ月ぶりに増えた。伸び率は06年6月(27.8%増)以来の高水準。「その他製造業」向けのボイラーやコンピューター、「その他輸送用機械」向けの鉄道車両や工作機械が伸びた。
船舶・電力を除いた非製造業から受注した金額は7.2%増の4770億円と2カ月連続で増加した。金融・保険業からコンピューターや通信機、運輸・郵便業から鉄道車両などの受注が増えた。
14年10-12月期の「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前期比0.4%増の2兆4196億円と2四半期連続のプラスだった。非製造業が4四半期連続で減少した一方、製造業は2四半期連続で増えた。15年1-3月期は非製造業で持ち直しが見込まれ、1.5%増える見通し。
内閣府は14年10-12月期実績がプラスだったことや15年1-3月期も増加が見込まれることなどを踏まえ、機械受注の判断を前月の「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「緩やかな持ち直しの動きがみられる」へと4カ月ぶりに上方修正した。
同時に発表した14年の受注額は前年比4.0%増の9兆6920億円で2年連続で増加した。
企業物価3カ月連続下落 1月、増税影響除き2.4%低下
原油安で

日銀が12日発表した1月の国内企業物価指数(2010年平均=100)は103.3で、前年同月比0.3%上昇した。消費税率引き上げの影響を除くと前年同月比2.4%の下落となり、3カ月連続で下落。下げ幅は09年12月(3.8%下落)以来、約5年ぶりの大きさとなった。原油安の影響で石油関連の価格が下落したことが影響した。
前月比では1.3%の下落だった。原油価格の下落が要因で、石油・石炭製品や化学製品の価格が大きく下がったことが影響した。食料品などの値上げの動きが出ているものの、物価全体に与える影響は限定的だ。
足元では原油価格は下げ止まりの兆しを見せている。ただ、今後の企業物価の見通しについて日銀は「原油安の影響は時間差を伴って物価に影響するため、しばらくは前月比の物価の押し下げ要因となる」(調査統計局)と見ている。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち、前年同月比で上昇したのは356品目、下落は375品目となり、13年8月以来17カ月ぶりに下落品目が上昇品目を上回った。原油安に加えて、前年に活発だった円安による価格転嫁の動きが一巡していることや、国際的な需要の弱さから非鉄金属の価格が下落していることなどが影響した。

やや長くなってしまいましたが、いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は、続く企業物価も含めて同様に、景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、QUICK取りまとめによる市場の事前コンセンサスはコア機械受注の前月比で+2.4%増で、予測レンジは▲4.7%から+8.3%増でしたから、実績の+8.3%増はまさにレンジの上限ということになります。さらに、1-3月期の見通しでも、製造業は減少するものの非製造業が下支えして、コア機械受注は前期比+1.5%増の2兆4,552億円と見込まれています。これらを総合して、統計作成官庁である内閣府では基調判断を前月の「持ち直しの動きに足踏み」から「緩やかな持ち直しの動き」に上方修正しています。上のグラフの上のパネルからも明らかな通り、コア機械受注はトレンドとして底を脱して上昇局面に入った可能性が高いと私も受け止めています。当然ながら、GDPベースの設備投資も機械受注から一定のタイムラグを伴って増加に転じ、我が国の景気を支えるものと見込まれます。一部の業種における石油価格の下落に伴う企業収益の改善を別にしても、おそらく、直感的には2つの要因があり、ひとつは設備投資がいよいよ更新投資の水準近くまで達して、ネットの資本ストックを確保するための設備投資の必要性が高まっている可能性があります。もちろん、国内ではなく海外への生産拠点のシフトは傾向的に増加していますが、為替水準との見合いで国内生産についても一定の水準を確保する動きはあり得ると私は考えています。さらに、中長期的な動向も含めた人手不足の要因も考えられます。労働と資本の代替は少なくとも短期にはそれほど高くないと考えられますが、ある程度まで先を見据えた計画的な設備投資が増加する素地は広がっていると考えています。

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12月のデータが出ましたので、コア機械受注の達成率のグラフを書いてみました。上の通りです。消費増税直前の昨年2014年1-3月期に大きく上昇した後、4-6月期に大きく落ち込みましたが、7-9月期と10-12月期はならしてほぼ100%の水準にあります。エコノミストの経験則である90%ラインは上回っています。

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次に、企業物価上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価と輸出入物価の上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。ヘッドラインとなる国内物価が上昇幅を縮小させているのは、引用した記事にもある通り、国際商品市況での原油安が石油・石油製品の価格下落を通じて企業物価全体を押し下げた結果と受け止めています。消費増税による物価の押上げ効果を除けば3か月連続の前年比マイナスを記録しています。1月の国内物価の寄与度ベースでは、石油・石炭製品と化学製品のマイナス寄与度が特に大きくなっています。もちろん、原油価格の下落は我が国のような原油輸入国の場合は需給ギャップの改善を通じて物価を引き上げる方向で作用しなくもないんでしょうが、当然ながら、短期的かつ直接的には物価を引き下げます。インフレーション・ターゲティングを金融政策で達成しようとする場合、中央銀行がどこまで原油価格下落に対応した政策を取るかは、判断の難しいところかもしれません。

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