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2015年2月24日 (火)

企業向けサービス物価上昇率は原油安でも堅調にプラスを続ける!

本日、日銀から1月の企業向けサービス価格指数 (SPPI) が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率は+3.4%、国際運輸を除くコアSPPIの上昇率で見ても+3.6%と堅調にプラスを続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の企業サービス価格、前年比3.4%上昇 原油安で伸び鈍化
日銀が24日発表した1月の企業向けサービス価格指数(2010年=100)は102.3と前年同月に比べて3.4%上昇した。伸び率は前月の3.5%から縮小した。消費税率引き上げの影響を除く伸び率は0.7%と前月の0.8%から鈍化した。原油安を背景にした運輸・郵便の価格下落が押し下げ要因になった。
運輸・郵便のうち、外航貨物輸送では専用船価格が大幅に下落し、内航貨物輸送や国際航空貨物輸送では四半期ごとに見直される燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が引き下げられた。
一方、広告価格は堅調で、新聞、インターネット、テレビ広告のいずれも前年比で上昇した。
一部に価格下落の動きがあるが、日銀調査統計局は「好調な業績を背景に企業のサービス需要は底堅い」とみている。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など、企業間で取引される価格水準を表す。調査対象の147品目のうち、上昇は81品目だったのに対し下落は32品目だった。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価 (SPPI) と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価 (PPI) 上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

企業向けサービス物価の前年同月比上昇率を先月と今月で並べると、ヘッドライン上昇率が12月+3.5%から1月には+3.4%とやや上昇幅を縮小させたものの、国際運輸を除くコアSPPIでは逆に、12月+3.5%から1月には+3.6%に上昇幅がやや加速しています。消費税に影響を除くベースでも同様ですが、せいぜいが±0.1%ポイントの範囲ですので、押しなべて上昇率としてほぼ横ばいの動きと受け止めています。上のグラフからも明らかな通り、財を構成要素とする企業向け物価の国内物価上昇率は国際商品市況における原油価格の値下がりから大きく上昇率を鈍化させ、消費税率引上げの影響を除くベースではすでに前年同月比でマイナスに落ち込んでいるんですが、サービス物価はヘッドラインも国際運輸を除くコアSPPIも上昇率で見て横ばいを続けており、消費税の影響を除くベースでも+1%をやや下回るとはいえプラスの上昇率をキープしています。原油価格の下落の財価格への影響と人手不足による人件費上昇サービス価格への影響のコントラストと私は考えています。
企業向けサービス価格指数を品目別に少し詳しく見ると、ソフトウェア開発などの情報通信及び原油価格下落の影響を受けた運輸・郵便などがマイナス寄与を示した一方で、新聞やインターネットなどへの広告及び機械修理や土木建築サービスなどの諸サービスが景気に敏感にプラス寄与していたりします。サービス物価であっても原油価格下落とは無縁ではあり得ずに、マイナスを示す品目もあります。運輸・郵便では原油価格下落により燃油サーチャージの引下げが発生しています。他方、情報通信はマイナスを記録しているんですが、マイナンバー制度開始などを控えて情報通信分野における「システムエンジニア(SE)の需給逼迫への懸念は根強い」と日銀の担当部局が説明しているとの日経新聞の記事も見かけました。

いずれにせよ、消費増税の物価への影響は3月までしか継続せず、4月からはいっせいに剥落します。日銀の物価目標の期間とされる2年に達しつつあるタイミングで、日銀は何らかの追加緩和策を取るのか、あるいは、原油価格下落にともなう物価への影響は無視するのか、注目のポイントかもしれません。

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