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2015年2月27日 (金)

いっせいに発表された政府統計の経済指標から何が読み取れるか?

今日は、そうでなくても短い2月の営業最終日の閣議日ですから、政府統計の経済指標がいっせいに発表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局の消費者物価指数が、それぞれ公表されています。消費者物価の東京都区部を除いて、いずれも1月の統計です。まず、とても長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の鉱工業生産指数、前月比4.0%上昇 2カ月連続で上昇
経済産業省が27日発表した1月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調節済み)速報値は、前月比4.0%上昇の102.6だった。上昇は2カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は3.0%上昇で、市場予想を上回った。伸び率は2011年6月(4.2%上昇)以来の高さ。設備投資向けの一般機械や、自動車を含む輸送機械などの増産が寄与した。経産省は生産の基調判断を前月の「緩やかな持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
生産指数は15業種のうち13業種が前月比で上昇し、2業種が低下した。上昇業種では「はん用・生産用・業務用機械」が9.4%上昇した。半導体製造装置や化学プラント用設備などの増産が目立った。自動車を含む「輸送機械」は4.5%上昇し、3カ月連続の前月比プラスとなった。「情報通信機械」は通信基地局向けに使われる設備が増え、5.8%上昇。「電子部品・デバイス」はスマートフォン(スマホ)向け部品が堅調で1.5%上昇と、7カ月連続プラスとなった。
出荷指数は前月比5.8%上昇の103.9と、2カ月連続のプラス。一方、在庫指数は0.6%低下の111.0。出荷に対する在庫の割合を示す在庫率指数は3.5%低下の108.1と、いずれも2カ月連続で低下した。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、2月が0.2%上昇、3月は3.2%低下を見込んでいる。
1月の小売販売額、前年比2.0%減 7カ月ぶり減少、駆け込み反動で
経済産業省が27日発表した1月の商業動態統計(速報)によると、小売業の販売額は前年同月に比べ2.0%減った。前年を下回るのは、2014年6月以来7カ月ぶり。減少率は消費税率引き上げ直後の14年4月(4.3%)以来の大きさとなった。
増税前の駆け込み需要で前年に消費が盛り上がった反動が出たことに加え、原油安による石油製品価格の下落が影響した。
小売業の内訳をみると、燃料が15.6%減、自動車が4.4%減だった。一方、飲食料品は2.7%増えた。
大型小売店は0.6%増の1兆7227億円。土曜日が前年より1日多かったこともあり、底堅く推移した。既存店ベースは0.0%増。このうち百貨店は0.4%減、スーパーは0.3%増だった。
コンビニエンスストアは6.2%増の8437億円。ファストフード及び日配食品などが伸びた。既存店ベースでは1.6%増えた。
同時に発表した専門量販店販売統計(速報)によると、1月の販売額は家電大型専門店は前年同月比11.6%減の3621億円、ドラッグストアが2.9%増の3878億円、ホームセンターが5.9%減の2323億円となった。
求人倍率、1月1.14倍で横ばい 失業率は3.6%に上昇
厚生労働省が27日まとめた1月の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍と、前月と同じだった。22年9カ月ぶりの高い水準を保った。企業の求人は伸びており、人手不足が続いている。総務省が同日まとめた完全失業率は3.6%と前月より0.2ポイント上がった。新たに働きに出たり、より良い条件の仕事への転職を目指したりする人が増えたためだ。
有効求人倍率は全国のハローワークで職を探す人1人に対して、企業から何件の求人があるかを示す。数字が高いほど、働く人が仕事を見つけやすい一方、企業にとっては採用が難しくなる。
1月に受け付けた新規求人数(原数値)は前年同月より3%増えた。伸びたのは主要11業種のうち6業種。医療・福祉(11.3%増)、理美容など生活関連サービス(8%増)、卸売・小売業(3.9%増)が大きく増えた。
一方、建設業は4.2%減、運輸・郵便業は3.1%減でともに6カ月連続で前年の水準を下回った。新たに職を探す人は6.7%減り、少ない求職者を多くの企業が奪い合う構図が続いている。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は0.70倍と前月より0.01ポイント下がった。
完全失業率は働ける人のうち、仕事につかずに職探しをしている完全失業者の割合を示す。1月の実績は4カ月ぶりに悪化した。完全失業者が7万人増えたためだ。
完全失業者が増えたのは「自発的に仕事を辞める人が増えるなど、労働市場への参入が増えたため」(総務省)といい、7万人の増加のうち、より良い条件の仕事を探して自己都合で退職した人が3万人、新たに職を探す人が3万人を占めた。解雇など意に沿わない失業は1万人増にとどまった。
就業者(原数値)は6309万人と前年同月から47万人増えた。就業率は57%と前年同月から0.5ポイント上がった。女性が29万人増えたほか、男性も19万人伸びた。
年齢別にみると65歳以上(74万人増)のほか、45-54歳(28万人増)が大きく伸びた。業種別にみると製造業が12万人増えたほか、農林業(9万人増)、情報通信業(6万人増)の伸びが目立った。一方、運輸・郵便業と生活関連サービス業は、ともに6万人減った。
雇用者に占める非正規雇用の割合は37.8%と同0.2ポイント伸びた。パート・アルバイトで働く人が増えているため。就労が進んでいる高齢者や女性にはフルタイムではなく、短時間で働くことを望む人が多いためだ。
1月全国消費者物価、上昇率の縮小続く 市場予想も小幅に下回る
総務省が27日朝発表した1月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比2.2%上昇の102.6と20カ月連続で上昇した。電気代の上昇率が拡大する一方、原油安を背景に石油製品が物価の上昇を抑えた。QUICKが発表前にまとめた市場予想の中央値(2.3%上昇)を小幅に下回った。昨年4月の消費増税の押し上げ効果(2%)を除いて1%を割る状態が昨年10月から続いている。
CPIの上昇率は前月の2.5%から縮小した。伸びが縮まるのは6カ月連続。原油相場の下落を受けてガソリンや灯油の下落率が一段と広がった。エアコンも「値上がりにつながる新製品の出回りが鈍くなっている」(総務省)といい、価格が下落に転じた。
同時に発表した2月の東京都区部のCPI(中旬の速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が101.3で、前月と同じく2.2%の上昇となった。ガソリンや灯油は一段と下げたが、電気代や都市ガス代の伸びが拡大したほか、テレビが下落から上昇に転じた。

いずれも網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。しかし、これだけの記事を並べるとそれなりのボリュームになります。これだけでお腹いっぱいかもしれません。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。景気後退期のシャドーについては商業販売統計や雇用統計も同様です。

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まず、鉱工業生産指数については、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの中央値が+2.8%の増産でしたから、前月比+4.0%はかなり上振れた結果が示されたことになります。ただし、引用した鉱工業生産の記事の最後のパラにもある通り、製造工業生産予測調査足元の2月が+0.2%増とほぼ横ばいにとどまっており、目先は慎重な生産計画であることから、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を前月の「緩やかな持ち直しの動き」で据え置いています。上のグラフのうちの上のパネルでも1月の増産はかなり急上昇の印象ですが、2月がほぼ横ばいだとならして見てそれほどでもないのかもしれません。引用した記事にもある通り、業種別に詳しく見ると、輸出向けや設備投資向けの業種で増産となっているのが目につきます。上のグラフの下のパネルでも、資本財や耐久消費財の出荷が持ちま押しつつある印象を受けます。春先から企業業績のいっそうの回復や賃上げに伴う消費の活性化が実現されると仮定すれば、消費や投資が盛り上がって景気回復が本格化することが期待されます。

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生産動向とは対照的に、商業販売統計はややもたついた印象です。上のグラフは商業販売統計のうち小売販売について、上のパネルは季節調整していない原系列の販売額の前年同月比を、下のパネルは季節調整済みの指数をそのまま、それぞれプロットしています。昨年2014年10月以降はやや弱めの動きを示しているのが読み取れます。基本は、消費増税による実質購買力の低下が原因だと私は考えていますが、年末あたりから原油価格の低下が実質購買力に寄与し始めていますから、それほど悲観視はしていません。特に、春先以降に現在の人手不足に対応した賃上げに伴う所得の増加が実現されれば消費は緩やかに回復していくものと予想しています。

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失業率が上昇し、有効求人倍率は横ばいだったんですが、雇用統計の中身は決して悪くないと私は受け止めています。確かに、雇用者も就業者も減少を示していますが、労働力人口が増加しています。すなわち、正しい指標の解釈としては、より有利な職を求めての転職、あるいは、労働市場への新規ないし再参入の動きが活発化した結果であろうと私は考えています。また、新規求人は雇用指標の中でも景気に先行する傾向があるんですが、昨年2014年10月までのもたつきを脱して、先月1月統計まで一段と伸びを高めているのが見て取れます。"Goodbye, secular stagnation: This is not the picture of an economy with lots of slack" と題したマンキュー教授のブログで米国雇用統計のうちの job opening 新規求人が示されていますが、我が国でも人手不足から新規求人は堅調です。

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消費者物価は消費増税の影響を除くベースで、いよいよ2月統計か3月統計あたりから前年同月比でマイナスに突入する可能性が高まりました。国際商品市況における原油価格の下落が原因ですので、ほぼ、1月の底を打ったとみられることから、一定のタイムラグを伴って、春先から年央に原油価格下落の影響が最も大きくなると私は見ていますので、その後は景気回復に伴う需給ギャップの改善に伴って緩やかに上昇率が引き上げられる可能性が高いと受け止めていますが、しばらくは、日銀のインフレ目標との関係で、追加緩和が実施されるかどうかの議論があり得ると考えています。

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