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2015年2月 7日 (土)

米国雇用統計は失業率上昇も堅調な動きを示す!

日本時間の昨夜、米国労働省から1月の米国雇用統計が公表されています。ヘッドラインとなる非農業部門雇用者数は前月から+257千人増加し、失業率は0.1%ポイント上昇したものの、5.7%と依然として低い水準を維持しています。いずれも、季節調整済みの系列です。まず、やや長くなりますが、Los Angeles Times のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

U.S. added 257,000 new jobs in January with strong wage gains
The economy produced another robust month of job gains last month, adding 257,000 net new positions and a strong gain in wages, the Labor Department said Friday.
The unemployment rate ticked up to 5.7%, but that was because more people entered the labor force.
January's job growth was bolstered by an additional 147,000 net new jobs combined in November and December, the Labor Department said.
The upward revisions mean the U.S. economy added an average of 336,000 jobs for the three months ending Jan. 30, an acceleration of 2014's strong job growth.
Economists had forecast the January jobs report would show a gain of 230,000 and the unemployment rate would hold steady at 5.6%, the lowest since June 2008.
Wage gains were surprisingly strong in January, rebounding from a disappointing December.
Average hourly earnings rose by 12 cents last month to $24.75 after a disappointing drop of 5 cents the previous month.
Wage growth has been slow to recover from the Great Recession. But average hourly earnings were up 2.2% for the 12 months ended Jan. 31. The consumer price index rose 0.7% in 2014, largely because of falling oil prices, meaning wage growth easily outpaced inflation.
The jobs report came amid signs economic growth slowed in the fourth quarter after a blistering six-month stretch.
The Commerce Department said last week that the economy expanded at a 2.6% annual rate in the fourth quarter, below forecasts and down significantly from 5% in the previous quarter.
Job growth last year was the best since 1999, averaging 260,000 a month, but the brisk pace of hiring was paired with sluggish wage gains.

賃金も含めて、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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まったくもって堅調としか言いようのない米国雇用です。市場の事前コンセンサスでは220-230千人増と聞き及んでいましたが、わずかながら上回りました。それよりも、昨年2014年の11-12月統計が大きく上方改定されたのが目を引きます。すなわち、11月は353千人から423千人に、12月も252千人から329千人に、ほぼ7万人ずつ2か月で合せて15万人近く上方改定されました。1月の25万人余りは昨年11-12月から見ると増加幅が縮小したように見えなくもありませんが、米国雇用のひとつの目安とされる20万人増を大きく超えていますので、十分に堅調な数字と受け止めています。また、失業率も前月から0.1%ポイント上昇したものの、非労働力人口から職を求めて労働市場へ参入する人が増加した結果と考えられており、どこかの米国紙ではこの失業率上昇を "positive sign" と表現していました。その通りです。もはや、米国連邦準備制度理事会 (FED) が年内にゼロ金利を解除して金利引上げに踏み切るのは疑問の余地なく既定路線となったような気がします。

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また、日本の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。12月統計で少し上昇率が鈍化した可能性を指摘しましたが、1月にはリバウンドしたようです。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないですが、まずまず、コンスタントに+2%のライン周辺で安定していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や現在の欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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