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2015年2月 2日 (月)

チリのカトリック教徒はフランシスコ法王をどのように見ているか?

私は1990年代前半に南米チリの首都サンティアゴにて3年間の独身生活を日本大使館勤務の経済アタッシェとして過ごし、さらに、2000年から3年間家族4人でジャカルタに赴任しています。宗教的なマジョリティでいえば、チリはカトリック教国でインドネシアはイスラム教国です。ということで、2年ほど前の2013年3月14日付けのエントリーでは、カトリックの法王に南米アルゼンティン出身フランシスコ1世が就任したことを取り上げましたが、クリスマスからこの年末年始にかけて海外の友人と旧交を温めていたところ、フランシスコ1世は必ずしもチリで評判が高くない、と聞き及んでしまいました。知り合いが証拠として示すに、このブログでも時折取り上げているピュー・リサーチ・センターによるフランシスコ法王のイメージ調査の結果 Pope Francis' Image Positive in Much of World を知りました。昨年12月11日付けで発表された古い情報ですが、なかなか興味深い内容を含んでいますので、簡単に取り上げたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから引用していますが、フランシスコ法王は世界から概して好意的に受け止められているようです。もちろん、好意にも濃淡はあり、カトリックに限らずクリスチャンが多い欧米からはより好意的な見方が示される一方で、中東では見方が拮抗しています。宗教的な人口構成が違うんですから、この程度の差は当然に生じ得ると考えるべきです。

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次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから引用していますが、今度の結果は地域別ではなく国別にカトリック教徒と非カトリック教徒に分けて結果が示されています。当然ながら、どの国でもカトリック教徒からはより好意的に、非カトリック教徒からはそれほど好意的ではなく見られている法王ですが、その差が大きい順にソートしてあります。私が着目したのは、一番左の列で、カトリック教徒の間でのフランシスコ法王の見方であり、好意比率が80%を下回っているのはチリとガーナだけだったりします。法王の出身国であるチリの隣国アルゼンティンではこの表の中で最高スコアの98%をたたき出しているんですが、その隣国のチリではガーナに次いで低い比率を示しています。長らくチリに外交官として暮らした経験から、もちろん、長大な国境線を有する両国では国境紛争も絶えませんし、チリ人の隣国アルゼンティンに対する何らかのコンプレックスというか、必ずしも友好的でない感情が、ここに出てしまっているのではないか、と感じずにはいられません。

島国の日本ではなかなか想像しがたく、長い国境をもって接する大国でしか見られないとは思いますが、とても興味深い近隣国への感情だという気がします。

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