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2015年3月 3日 (火)

毎月勤労統計に見る雇用の質的改善やいかに?

本日、厚生労働省より1月の毎月勤労統計の結果が公表されています。現金給与総額は前年同月比+1.3%増の27万2779円と11か月連続の増加を示し、製造業の所定外労働時間は季節調整済みの系列で前月比+2.8%増と生産に合わせて大きく伸びました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

現金給与総額、11カ月連続増 1月1.3%増 中小企業でボーナス伸びる
厚生労働省が3日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額は前年同月比1.3%増の27万2779円だった。増加は11カ月連続。景気回復に伴う企業業績の持ち直しを背景に、30人未満の中小企業でボーナスの支払いが増えた。基本給や残業代のプラスも寄与した。一方、現金給与総額から物価上昇分を除いた実質賃金は19カ月連続で減少した。
基本給や家族手当にあたる所定内給与は0.8%増の24万275円と、2カ月続けて増加した。昨春の労使交渉で基本給を底上げするベースアップ(ベア)が広がったため。
ボーナスにあたる特別給与は10.8%増の1万2700円で、昨年8月(13.4%増)以来5カ月ぶりの高い伸び率だった。1月は30人以上の中堅や大手企業のボーナスの伸び率が0.9%増にとどまった半面、30人に満たない中小企業の伸び率が23.4%増となった。
残業代などの所定外給与は円安による輸出の改善で増産が進み、2.6%増の1万9804円だった。所定外労働時間は1.0%増の10.7時間、製造業の所定外労働時間は2.0%増の15.1時間となった。
一方、実質賃金は前年同月比1.5%減と19カ月連続で減少したものの、減少率は昨年12月(1.7%減)から縮小した。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下のパネルは製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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先週の雇用統計は失業率の上昇などを示したものの、生産も増加して堅調な日本経済の姿が確認されました。今日発表の毎月勤労統計でも上のグラフの所定外労働時間、下の賃金動向とも堅調な景気と人手不足からいずれも順調な推移を示していると受け止めています。特に、引用した記事にもある通り、中小企業でのボーナス増加により給与が伸びたのはまずまずいいニュースと受け止めています。所定内給与もグンと増加し、今春から本格的な賃上げが始まる予感もします。また、順序が逆になりましたが、季節調整済みの所定外労働時間指数は昨年2014年1月がピークで、8月が底となっています。生産指数もまったく同じであり、1月を山とし、8月を谷としています。金曜日のエントリーでも指摘しましたが、景気循環日付の山谷を付けるかどうかはビミューなところですが、繰返しになるものの、私はややネガティブです。いずれにせよ、生産や雇用はすでに回復過程に回帰しているのは明らかだと考えるべきです。

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ということで、賃金とともに雇用の質として私が重視している就業形態別の雇用の推移は上のグラフの通りです。正規雇用と非正規雇用に関して、毎月勤労統計からは派遣か直接雇用かなどは判明せず、パートタイムかフルタイムかの就業形態しか判明しませんが、それでも、最近時点では徐々にフルタイムの雇用が伸びているのが観察され、1月統計ではフルタイムの伸び率がパートタイムをとうとう上回りました。ここの状態が続くと、フルタイム雇用のシェアが増加するわけですから、いよいよ、賃上げとともに雇用は量的な拡大から質的な改善の局面に入る可能性が出て来たと私は大いに期待しています。

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