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2015年4月30日 (木)

2か月連続で減産を示す鉱工業生産指数と日銀「展望リポート」の経済見通し

本日、経済産業省から3月の鉱工業生産指数が公表されています。ヘッドラインとなる季節調整済みの前月比は▲0.3%減と、2か月連続の低下を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の鉱工業生産指数、前月比0.3%低下 2カ月連続低下
経済産業省が30日発表した3月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比0.3%低下の98.6だった。低下は2カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2.3%低下で、市場予想からは上振れた。
経産省は「1-3月でならしてみると上昇基調は変わっていない」として、生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
生産指数は9業種が前月比で低下、上昇は5業種で、1業種が横ばいだった。低下業種をみると、「電気機械工業」が前月比3.7%の低下だった。在庫が高水準にあるエアコンで減産の動きがみられた。「石油・石炭製品工業」は7.7%低下した。
自動車を含む「輸送機械」は前月比1.2%上昇した。国内販売や輸出が堅調なことを受け、普通乗用車や普通トラックの生産が好調だった。国内通信事業者の設備投資を背景に情報通信機械工業は5.4%上昇した。
出荷指数は前月比0.3%低下の97.6と、2カ月連続のマイナス。在庫指数は0.3%上昇の113.3で、2カ月連続のプラスとなった。在庫率指数は0.4%上昇の113.9だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、4月は前月比2.1%上昇、5月は0.3%の低下を見込む。経産省では「4月は電気機械工業や電子部品・デバイス工業等が海外からの受注によって上昇する」とみている。

長いながら、網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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鉱工業生産指数の動向は今年に入ってから少しジグザグを繰り返しており、中華圏の春節直前の1月に+4.1%増の増産を示した後、前月2月は春節効果で▲3.1%減と大きな減産となり、3月も▲0.3%減と2か月連続の減産を記録しました。ただし、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲2.3%の減産が予想されていて、レンジでも▲3.5%減から▲0.2%減でしたので上限に近く、これらに比べれば減産幅は小幅にとどまりましたし、加えて、製造工業生産予測調査では足元の4月+2.1%の増産、5月は小幅に▲0.3%の減産が見込まれていますから、統計作成官庁である経済産業省が基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」で据え置いたのも理由があるんではないかと受け止めています。特に、春節効果や何やを四半期データでならして見ると、2四半期連続の増産を示しています。ただし、2-3月の減産の主たる理由は私は海外経済の動向だと考えていますから、先行きはやや不透明な気もします。中華圏の春節効果で1-2月の生産の振れが大きくなったのは事実でしょうし、昨日発表された米国商務省のGDP統計では米国は1-3月期に成長が大きく減速して年率+0.2%となっています。米国連邦準備制度理事会(FED)も昨日の連邦公開市場委員会(FOMC)後のステートメントで "economic growth slowed during the winter months" と景気判断を引き下げています。欧州経済もギリシアの債務問題の解決がくすぶっていますし、最終消費地の米国経済の動向次第ではアジア経済も不安が残ります。こういった米国をはじめとする海外経済の動向が輸出を通じて生産に及ぼす影響がやや不透明であろうと私は予想しています。海外経済の不透明な動向に対応するためにも、賃上げで内需主導の成長経路を進む必要がさらに大きく感じられます。

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ついでながら、3月の生産統計が利用可能になりましたので、四半期ベースで作成している在庫循環図を書いてみました。上の通りです。緑矢印の2008年1-3月期から始まって、リーマン・ショックを経て、黄色矢印の2015年1-3月期まで時計回りに循環しています。昨年10-12月期と直近の今年1-3月期はともに出荷が前年比プラスの在庫率がマイナスですから、出荷・在庫バランスは第2象限にあって、内閣府の「鉱工業の在庫循環図と概念図」に従えば、景気の山を越えて在庫調整を行っている景気後退期にあることになります。

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最後に、本日の日銀金融政策決定会合で「展望リポート」を取りまとめ、政策委員の大勢見通しが上のテーブルのように示されています。成長率も物価上昇率も、私の目から見ていずれも下方修正されているように見えますが、「展望リポート」 p.1 の要旨の3点目では、「2016年度までの見通しを従来の見通しと比べると、成長率の見通しは概ね不変である。物価の見通しは、やや下振れている。」と表現されています。上の表から明らかなんですが、2016年度には消費者物価上昇率はインフレ目標の+2%に達し、現行の8%から10%への消費増税が4月に実施される2017年度についても消費税の影響を除いてほぼ2%の物価上昇率を維持すると見込まれています。

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