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2015年4月 1日 (水)

日銀短観では先行き慎重な企業マインドが示される!

本日、日銀から3月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは+12と昨年2014年12月調査から横ばいを記録し、先行きは+10と企業マインドがやや低下する気配を示しています。一方、2015年度の設備投資計画は大企業全産業の土地を含むベースで前年度比▲1.2%とこの統計のクセとして、ほぼ前年度から横ばいでスタートしています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業DI横ばい 日銀短観、先行きに慎重
日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業の製造業でプラス12となり、前回の昨年12月調査と比べ横ばいになった。円安の一服や海外景気の不透明感から輸出企業の回復が緩やかになった。原油安の影響で非製造業は小幅改善したが、先行きに慎重で景況感は足踏みが続いている。
業況判断DIは景況感を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。QUICKが集計した大企業製造業の市場予想平均(プラス13)を小幅に下回った。
自動車は業績の回復が続いているが、DIはプラス15と横ばいにとどまった。日銀は「国内の業況がさほどよくはなく、慎重な判断につながっている」とみている。電気機械や生産用機械もほぼ横ばいだった。円相場が対ドルで円安が一服しているうえ、対ユーロでは円高基調に転じた。アジア景気の不透明感から海外での需給判断も悪化していることも影響した。
一方、原油安は景況感を下支えしている。原油安で石油・石炭製品の価格や電気・ガス代は大きく下がり、景況感が改善した。小売や対個人サービスなど消費関連も回復した。昨年4月の消費増税の影響が和らいできているほか、「外国人観光客が増えていることも影響している」(日銀)という。大企業非製造業の業況判断DIはプラス19と2ポイント改善した。
中小企業は全産業でプラス2と前回より1ポイントの小幅悪化となった。不動産や小売は改善したが、鉄鋼や自動車など製造業で悪化が目立った。
先行きの業況はやや鈍化している。3カ月後の見通しは大企業製造業でプラス10と足元判断から2ポイント悪化。自動車やはん用機械の悪化が大きく市場予想(プラス15)を下回った。大企業非製造業でも先行きはプラス17と2ポイント悪化。業況感は昨年4月の消費増税後、落ち込んだがおおむね横ばい圏の動きが続いている。
日銀は今回の短観で5年ぶりに調査対象企業を見直した。大企業の調査対象に大幅な変化はないが、指標の連続性を保つため、比較に使う昨年12月調査分は新しい調査対象で再集計した。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIについては、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが最近で+14、先行きも+16でしたから、最近はほぼ横ばい圏内でいいとしても、先行きが+10と最近よりも悪化する方向に向かうのはネガティブと私は受け止めています。同時に、大企業非製造業でも最近の業況判断DIは市場の事前コンセンサスよりも上振れしましたが、先行きが低下するのは製造業と同じで、市場予想よりもネガティブと考えるべきです。全体として、円安による製造業へのプラス効果とともにコストが増加し、さらに需要面で、個人消費の停滞や輸出の回復が緩慢で景況感の改善には至らなかった、と私は受け止めています。特に、先行き不透明というほどのことでもないんですが、企業サイドでは見通しをやや慎重に見ている可能性はあるかもしれません。

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次に、上のグラフは製造業の設備判断DIと全産業の雇用判断DIを企業規模別にプロットしています。プラスが過剰超でマイナスが不足超を示しています。設備についてはまだ過剰超のプラスが記録されているものの、過剰感はほぼ払拭されたと見込まれます。雇用については2013年年央から雇用判断DIのマイナスが続いており、特に、企業規模が小さくなるほど不足感が強いという結果が示されています。人手不足から賃上げの機運が高まっており、コスト増という形で企業経営を圧迫するのか、所得増から消費増という形で経済の好循環を促進するのか、私が後者であろうと考えていることは従来からこのブログで表明している通りです。

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最後のグラフは大企業全産業の土地を含む設備投資計画をサブプライム・バブル崩壊直前の2007年度から、調査時期ごとの修正を踏まえてプロットしています。2014年度の実績見込みが3月調査の時点で前年度比+8.2%増ですから、2015年度の当初計画が▲1.2%減と集計されていますが、まずまず堅調なのではないかと受け止めています。年度当初の設備投資計画がほぼゼロから始まるのは短観の統計としてのクセともいえます。しかしながら、この短観に示された2014年度の設備投資計画とGDP統計ベースで乖離が見られるのが少し気がかりです。

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