企業向けサービス物価は上昇率が鈍化しつつもプラス圏内で推移を続ける!
本日、日銀から3月の企業向けサービス価格指数(SPPI)が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率は+3.2%、国際運輸を除くコアSPPIの上昇率で見ても同じく+3.2%と前月から上昇率は0.1%ポイント縮小したものの、昨年4月の消費増税の影響を除いても堅調にプラスを続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
3月の企業向けサービス価格、前年比3.2%上昇 14年度は3.4%上昇
日銀が24日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は103.0と、前年同月に比べ3.2%上昇した。伸び率は前月から0.1ポイント縮小した。宅配便など運輸関連や宿泊サービスの需要は引き続き高水準だが、消費税率引き上げ前の駆け込みの反動などから伸び率はやや鈍化した。消費増税の影響を除いたベースの伸び率も0.5%と前月から0.1ポイント縮小した。
消費増税の影響を除いて前年同月を上回るのは21カ月連続となる。上昇品目は73で、下落は45。上昇品目と下落品目の差は28と、前月の34から縮小した。日銀は「駆け込み需要の反動に加え、2月の春節による訪日外国人客の増加の効果が剥落した」と説明している。
品目別(消費税の影響を除く)では、宿泊サービスなど諸サービスの伸びが0.9%と2月の1.0%から縮小した。北陸新幹線の開業を受けた値下げもあって国内航空旅客輸送も0.5%と、前月の4.5%から大幅に鈍化した。一方、貸し切りバスなど道路旅客輸送は伸び率が拡大。雑誌広告もマイナスからプラスに転じた。
2014年度は102.5と、前年度比で3.4%上昇した。上昇率は1990年度以来24年ぶりの高水準だった。公共投資の拡大で土木建築サービスの上昇が目立ったほか、労働需給の引き締まりを背景に運輸関連の価格も上昇した。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。価格改定が集中しやすい4月は、好調な企業業績やベースアップ(ベア)による派遣労働サービスの価格引き上げ要請などが相次ぐ見通しだ。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

昨年後半からの国際商品市況における石油価格の下落のため、財を構成要素とする企業物価上昇率は大きく鈍化し、消費増税の影響を除けば前年同月比上昇率で見てマイナスに舞い戻ったんですが、企業向けサービス物価上昇率は消費税の影響を含めて前年同月比で+3%を越え、消費税の影響を除いてもプラスの上昇率を維持しています。企業向けサービス物価では石油価格の影響が小さいことに加えて、賃金の影響がより大きく、人手不足に起因する賃金上昇がよりダイレクトに作用している可能性が高いわけです。例えば、リクルートによる「2015年3月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査」によれば、3大都市圏全体の派遣スタッフの3月度平均時給は前年同月より57円増加して増減率+3.7%を記録しています。こういった賃金上昇の影響をサービス物価は受けやすいと考えられます。同様の傾向は企業間の物価動向だけでなく、消費者物価でも見られ、総務省統計局の消費者物価(CPI)でも財価格の上昇率が石油価格の下落に歩調を合わせて昨年後半から大きく鈍化している一方で、サービス価格は賃金動向に整合的な形で堅調に推移していたりします。
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