景気動向指数に見る我が国の景気やいかに?
本日、内閣府から2月の景気動向指数が公表されています。ヘッドラインとなるCI一致指数は前月から▲2.8ポイント下降して110.5を、CI先行指数は同じく▲0.2ポイント下降して105.3を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
2月の景気一致指数、3カ月ぶり悪化 14年4月以来のマイナス幅
内閣府が6日発表した2月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.8ポイント低下の110.5だった。悪化は3カ月ぶり。マイナス幅は消費増税のあった2014年4月(3.3ポイント低下)以来の大きさとなった。
一致指数を構成する11指標のうち8つがマイナスに働いた。工場の生産などに使われるボイラーやタービンなどの資本財、橋梁などの建設財、自動車といった耐久消費財の出荷が低迷した。スマートフォン(スマホ)のアジア向けの部品出荷が春節(旧正月)前の1月に膨らんだ反動もあった。内閣府は一致指数の基調判断を「改善を示している」で据え置いた。
数カ月先の景気を示す先行指数は0.2ポイント低下の105.3と、2カ月連続で悪化した。鉱工業生産や新規求人数などの指標が悪化した。景気に数カ月遅れる遅行指標は0.2ポイント低下の120.3だった。
指数を構成する経済指標のうち、3カ月前と比べて改善した指標が占める割合を示すDI(最高は100)は一致指数が77.8、先行指数が55.6だった。
いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。
CI一致指数は3か月振りの下降で、先行指数は2か月連続の下降でした。ただ、CI一致指数の3か月後方移動平均は1月指数からプラスに転じており、2月も+0.09ポイントの上昇でしたので、引用した記事にある通り、統計作成官庁である内閣府では機械的に求める景気の基調判断を「改善」に据え置いています。また、CI一致指数の2月の下降は主として鉱工業生産・出荷の寄与によるものであり、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、鉱工業生産財出荷指数などのマイナス寄与が大きくなっています。その大元は春節効果であることは、鉱工業生産指数を取り上げた先週3月30日付けのエントリーで指摘してありますので、今日の記事では繰り返しません。ですから、生産が持ち直せば景気も改善を示す可能性が高いと私は受け止めています。加えて、CI先行指数のプラス寄与では消費者態度指数がもっとも大きなプラス寄与を示しており、昨年4月の消費増税から冷え込んでいた消費者マインドが持ち直しつつある可能性が示唆されていると考えるべきです。
ついでながら、すっかり見逃していましたが、3月31日予定の発表が延期されていた2月の毎月勤労統計が先週金曜日の4月3日に厚生労働省から公表されています。いつもの所定外労働時間指数と賃金上昇率とともに、年末賞与のグラフも併せて上の通りです。2月の所定外労働時間は生産の減産に合わせる形で減少しましたが、賃金については、まだまだ実質賃金はマイナスとはいうものの、着実に上昇幅を拡大しているように見えます。
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