明日発表の1-3月期1次QE予想やいかに?
明日5月20日に1-3月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。昨年2014年4月の消費税率引上げ後、4-6月期、7-9月期と2四半期連続のマイナス成長を記録した後、10-12月期にはプラス成長が確認されたところで、今年1-3月期の成長率にも注目が集まっています。5月の連休くらいまでに必要な経済指標がほぼ明らかにされ、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、先行きの今年4-6月期以降を重視して拾っています。もっとも、明示的に取り上げている機関は決して多くなく、アッサリした発表のリポートも少なくありません。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
日本総研 | +0.3% (+1.4%) | 4-6月期を展望すると、耐久消費財を中心とした在庫調整圧力が重石となるものの、①円安などを背景に堅調な企業収益をはじめとする良好な投資環境、②企業の収益改善や人手不足を背景とした春闘での賃上げの広がり、③経済対策の実施に伴う内需の下支え、などにより、わが国景気は堅調に推移する見込み。 |
大和総研 | +0.4% (+1.4%) | 先行きの日本経済は基調として緩やかな拡大が続く公算である。個人消費は緩やかながら拡大基調を維持すると見込んでいる。エネルギー関連価格の下落を通じた実質所得の押し上げ効果が続くことに加え、ベースアップ等による名目賃金の上昇が支えになるとみている。 |
みずほ総研 | +0.4% (+1.6%) | 2015年4-6月期は、昨年末以来の消費者マインドの改善を受けて、個人消費が緩やかに持ち直すと予想される。設備投資も回復の動きが続くだろう。他方、1-3月期に増加した在庫を取り崩すため、在庫投資はマイナス寄与に転じると見込まれる。公共投資も、2014年度当初予算分のはく落などから減少が続く見込みである。以上のように、2015年4-6月期は個人消費や設備投資の持ち直しが見込まれるものの、在庫削減の動きも顕在化することなどから、緩やかな回復にとどまると予想している。 |
ニッセイ基礎研 | +0.5% (+2.1%) | 実質GDPは2四半期続けて潜在成長率を上回る伸びとなった模様だが、2四半期連続マイナス成長の後であり実態として高成長を続けているわけではない。個人消費の水準は駆け込み需要が本格化する前(2013年10-12月期)を▲2%近く下回っており、その水準に回復するのは2016年までずれ込みそうだ。 |
第一生命経済研 | +0.4% (+1.6%) | 全体としてみれば、景気回復の持続が確認できたことは前向きに捉えることができるものの、原油安効果が期待されていた割には回復力が鈍い印象だ。特に消費のもたつきが気にかかる。原油安効果の顕在化による景気加速シナリオの実現は、4-6月期以降に持ち越された形だ。 |
伊藤忠経済研 | +0.9% (+3.8%) | 成長ペースが速まったとはいえ、消費増税による2014年4-6月期の落ち込み(前期比年率▲6.4%)に比べれば極めて緩慢なままであり、2014年10-12月期時点でGDP比▲2.3%であった需給ギャップが1-3月期においても▲1.5%程度へ縮小するに過ぎない。当社は、今後の成長ペースを前期比年率+1%台半ばから後半程度とみているが、その場合、需給ギャップが解消するのは2016年7-9月期頃である。2017年4月に予定される次回の消費増税を乗り越えてデフレ脱却に向けた動きを維持できるかどうか、未だ予断を許さない状況が続いていると言えよう。 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | +0.5% (+1.9%) | 1-3月期は、長らく低迷が続いた設備投資が4四半期ぶりに前期比プラスに転じたとみられる。設備投資の増加率は1/0%と、個人消費(0.1%)や住宅投資(0.3%)を上回る見込み。民間在庫増(在庫投資)も前期比0.3%ポイントのプラス寄与となった模様で、企業部門が1-3月期の成長をけん引したとみられる。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +0.3% (+1.1%) | 個人消費は、反動減の一巡や実質賃金の減少幅縮小を背景に前期比でプラスが続くが、伸びは小幅にとどまっている。設備投資は、企業業績が改善していることを受けて4四半期ぶりに増加に転じたと予想されるがプラス幅は小さい。公共投資は2013年度の補正予算の効果一巡などから前期比マイナスに転じたと考えられる。一方、輸出、輸入とも増加したが、輸入の伸びが輸出の伸びを上回ったため、外需寄与度はマイナスとなったようである。 |
三菱総研 | +0.9% (+3.8%) | 2015年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.9%(年率+3.8%)と2四半期連続のプラス成長を予想する。内需が持ち直しの動きを続ける中、景気は緩やかに回復している。 |
ということで、私も前期比年率で+1%台後半から+2%強くらいの成長率を見込んでいるんですが、いくつかのリポートを拝見する限り、需給ギャップの解消やデフレ脱却のためには、このペースの成長率では物足りずに、さらなる景気加速が必要とされる、という見方もかなり広範に見られます。私自身はさらなる成長の加速が必要とまでは考えておらず、こんなもんだろうという気もします。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用しています。2014年10-12月期にはプラス寄与だった外需が2015年1-3月期にはマイナスに転じているのが見て取れます。また、設備投資のプラス寄与が大きくなっています。仕上がりの成長率は10-12月期から1-3月期にかけて加速しているわけではありません。大雑把に私の実感と一致している気がします。
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