消費者態度指数は5か月ぶりに低下し、企業物価は消費増税から一巡してマイナスに転じる!
本日、内閣府から消費者態度指数が、また、日銀から企業物価指数 (PPI) が、それぞれ発表されています。いずれも4月の統計です。消費者態度指数は前月から▲0.2ポイント低下して41.5を記録し、企業物価のうちヘッドラインの国内物価上昇率は昨年4月からの消費増税の物価押上げ効果がほぼ剥落したため、前年同月比で▲2.1%の下落と大きなマイナスに転じました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
4月の消費者態度指数、5カ月ぶり低下 0.2ポイント低下の41.5
内閣府が15日発表した4月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の41.5だった。5カ月ぶりに前月を下回った。
低下幅が小さかったことを考慮し、内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」に据え置いた。
指数を構成する意識指標である「暮らし向き」、「収入の増え方」、「耐久消費財の買い時判断」の3項目が前月から低下した。4月以降の食料品などの値上げが影響した可能性がある。「雇用環境」は5カ月連続で上昇した。
1年後の物価見通しについては「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比1.4ポイント増の89.2だった。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は4月15日で、有効回答数は5564世帯(回答率は66.2%)だった。
4月の企業物価指数、増税除き2.2%下落 6カ月連続で前年割れ
日銀が15日発表した4月の国内企業物価指数(2010年=100)は103.6で、前年同月比2.1%下落した。一部公共料金などに残る消費税率引き上げの影響を除くと2.2%下落となり、6カ月連続で前年同月を下回った。下げ幅は3月(2.1%下落)から拡大した。
前月比では0.1%上昇した。前月比の上昇要因を品目別に見ると、電気料金の値上げを背景に「電力料金・都市ガス・水道」が小幅上昇。建設資材の需要増で「金属製品」も小幅上昇した。
4月は原油価格が急上昇したが、物価への波及には時差があり、4月の企業物価への影響はほとんど見られなかった。メーカーによる値上げが相次いでいる食料品を含む「食料品・飲料・たばこ・飼料」は横ばいだった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち、消費税の影響を除くベースで前年同月比で上昇したのは330品目、下落は356品目となり、4カ月連続で上昇品目が下落品目を上回った。下落品目と上昇品目の差は26品目で、3月の43品目から縮小した。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、新旧の系列の消費者態度指数のグラフは以下の通りです。いつもの通り、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。
消費者態度指数は5か月振りの低下ながら、ほぼ横ばい圏内に近い動きと受け止めています。しかも、引用した記事にもある通り、4項目のコンポーネントのうち、低下を示した「耐久消費財の買い時判断」は前月から▲0.9ポイントと大きな低下だったんですが、逆に、「収入の増え方」は▲0.1ポイントの低下にとどまり、一方、「雇用環境」は+0.8ポイントの上昇を示していますから、先行きは決して悪くないような気もします。でも、供給サイドのマインド指標である景気ウォッチャーは上昇して企業からは期待感が広がっているにもかかわらず、需要サイドの消費者態度指数は低下を示して家計の財布の紐はまだまだ緩まない、ということなのかもしれません。
続いて、企業物価上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の、下のパネルは需要段階別の、それぞれの上昇率をプロットしています。いずれも前年同月比上昇率ですが、昨年4月の消費税率引上げに伴う物価の押上げ効果が剥落し、ヘッドラインの国内物価が▲2.1%を記録するなど、一気に上昇率が低下しマイナスに落ち込んでいたりするのが読み取れます。基本的には国際商品市況における石油価格の下落に加えて、4月からは昨年の消費増税の影響の剥落のインパクトが大きいと受け止めています。なお、寄与度でプラス寄与している項目は、電力・都市ガス・水道が+0.05%、金属製品と農水産物がともに+0.03%などとなっています。引用した記事にもある通り、4月は石油価格が上昇しましたが、その影響は今後に持ち越しているようです。4月末の「展望リポート」の中間見直しあたりで、追加緩和があり得ると私は考えていたんですが、今後の金融政策動向もウォッチしたいと思います。
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