今年の新入社員はワーク・ライフ・バランスのゆとり重視派か?
そろそろ5月も半ばとなり、その昔の「5月病」なんて言葉は現在では死語になったのかもしれませんが、4月に入った新入社員に関する意識調査結果などが出回り始めています。このブログでも三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「新入社員意識調査アンケート結果」を毎年定点観測していますが、今年は5月1日に発表されています。まず、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのサイトから【アンケート調査結果概要】のポイントだけを5点引用すると以下の通りです。
【アンケート調査結果概要】
- 理想の上司は「寛容型」。会社に望むのは人間関係の良さ。
- 売り手市場でも就職活動は依然として「大変」。8割近くが"ブラック企業"ではないか気に掛けた。
- 30歳時点での予想年収は平均424万円。最高時点では平均602万円にまで上がると予想。
- 今の日本は「曇り」。最も問題のある格差は「貧富の格差」。将来の年金には期待薄。
- 将来の地方移住には比較的前向き。
この調査では昨年もワーク・ライフ・バランスについて考えさせられる結果が出ていたんですが、人手不足から徐々に売り手市場になりつつある今年は、一段とゆとり重視の結果が明らかにされているようです。ということで、pdfの全文リポートから図表を引用しつつ、今年の調査結果を簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、上のグラフはリポートから p.3/27 図表3.就職活動の際、"ブラック企業"を気にしたか を引用しています。最初の【アンケート調査結果概要】にもある通り、人手不足が少しずつ顕在化しつつあり、就職活動は「大変」から「楽」にシフトしつつあるんですが、他方で、「ブラック企業」への警戒感が就活生の中で広がっています。「気にした」と「少しは気にした」を合わせると80%ほどに上ります。高校では就職課などが仲介・斡旋し、もともとよく知る企業に就職するケースも多い一方で、大学や大学院卒の学生は、それまでほとんどつながりのなかった企業への応募が中心となることから、どうしても警戒感が高くなっているのではないかとリポートでは分析しています。
次に、上のグラフはリポートから p.4/27 図表6.会社に望むこと: 私生活に干渉されない を引用しています。最近10年余りの推移です。実は、この調査では、会社に最も望むこと上位3つを順位付けして回答して、1位に3点、2位に2点、3位に1点としてポイント化した結果、「人間関係がよい」が最も高く、次いで「自分の能力の発揮・向上ができる」となっており、「私生活に干渉されない」は7位に過ぎないんですが、リーマン・ショック後の就活が厳しかった時期にはそれほどでもなかったものの、最近時点ではワーク・ライフ・バランスを重視する傾向もあって、徐々にポイントを増加させているのが見て取れます。
次に、上のグラフはリポートから p.5/27 図表7.仕事・職場生活に関する不安 を引用しています。逆の視点といえます。会社に望むことの反対で、「上司・先輩・同僚との人間関係」と「仕事が自分に合っているか、うまくできるか」が同率で首位となっています。男女別ではいずれも女子にこの不安の比率が高いようです。
その他、【アンケート調査結果概要】に上げられている他にも、就労意欲や出世意欲や30歳時の予想年収などの興味ある意識調査結果もなくはないんですが、帰宅が遅くなった勝手な都合で割愛します。また、「海外勤務の希望」については、この調査では設問自体がありません。ワーク・ライフ・バランスにも影響しそうな気がしますが、もはや話題性がなくなったのかもしれません。
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