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2015年6月 8日 (月)

1-3月期2次QEは設備投資の上振れで大幅上方改定も景気は足元で踊り場か?

本日、内閣府から今年2015年1-3月期のGDP統計速報、いわゆる2次QEが公表されています。ヘッドラインとなる実質成長率は前期比+1.0%、前期比年率+3.9%と、1次QEから大きく上方修正されています。主たる改定要因は設備投資です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月実質GDP改定値、年率3.9%増に上方修正
速報は2.4%増

内閣府が8日発表した2015年1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増、年率換算では3.9%増だった。設備投資の上振れなどにより、5月20日に公表した速報値(前期比0.6%増、年率2.4%増)から大幅な上方修正となった。
設備投資は1-3月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、前期比2.7%増(速報値は0.4%増)に大幅に上振れた。法人企業統計では卸売業・小売業やサービス業などが増加に寄与した。内閣府では「設備投資が増えてきたのは景気にとって良い流れ」としている。
民間の在庫寄与度はプラス0.6ポイントとなり、速報値(プラス0.5ポイント)から小幅な上方修正となった。商業動態統計の確報値を反映し、流通在庫が上振れた。原材料在庫も速報段階で仮置きしていた水準を上回った。
個人消費は0.4%増(速報値は0.4%増)、公共投資は1.5%減(同1.4%減)だった。
生活実感に近い名目GDPは前期比2.3%増(同1.9%増)、年率では9.4%増(同7.7%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期と比べてプラス3.4%(同プラス3.4%)だった。
同時に発表した14年度の実質GDPは13年度比0.9%減と、速報値の1.0%減から小幅に上振れた。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2014/1-32014/4-62014/7-92014/10-122015/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+1.1▲1.7▲0.5+0.3+0.6+1.0
民間消費+2.1▲5.1+0.4+0.4+0.4+0.4
民間住宅+2.0▲10.8▲6.4▲0/6+1.8+1.7
民間設備+5.1▲4.8+0.1+0.3+0.4+2.7
民間在庫 *(▲0.6)(+1.3)(▲0.7)(▲0.2)(+0.5)(+0.6)
公的需要▲0.4+0.4+0.5+0.2▲0.2▲0.2
内需寄与度 *(+1.4)(▲2.7)(▲0.5)(+0.0)(+0.8)(+1.1)
外需寄与度 *(▲0.3)(+1.1)(+0.1)(+0.3)(▲0.2)(▲0.2)
輸出+6.1▲0.0+1.6+3.2+2.4+2.4
輸入+6.6▲5.2+1.1+1.4+2.9+2.9
国内総所得 (GDI)+0.8▲1.5▲0.7+0.5+1.8+2.2
国民総所得 (GNI)+0.6▲1.3▲0.3+1.5+0.9+1.3
名目GDP+1.3+0.1▲0.7+0.8+1.9+2.3
雇用者報酬+0.0▲1.6+0.6▲0.0+0.6+0.6
GDPデフレータ+0.1+2.2+2.1+2.4+3.4+3.4
内需デフレータ+0.8+2.5+2.3+2.1+1.4+1.4

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2015年1-3月期の最新データでは、前期比成長率がプラスを示し、グレーの民間在庫が大きく、また、赤の民間消費と水色の設備投資がそれぞれ小幅のプラス寄与を示している一方で、黒の外需がマイナス寄与に転じたのが見て取れます。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比年率で+2.7%でしたから、これもかなり上回り、大幅な上方改定であったと受け止めています。先月の1次QE公表時にこのブログでは「年率+2.4%成長は物足りないか?」と題した記事だったものですから、+4%近い成長率は十分ではないかと思います。特に、1次QEの「物足りない感」を強めていたのが在庫の寄与の大きさだった一方で、2次QEは設備投資の寄与が+0.4%ありますから、これでもまだ+0.6%の在庫の寄与には及ばないとはいえ、1-3月期の上方修正に加え、今回の季節調整替えの影響などによって、過去2四半期、すなわち、2014年7-9月期と10-12月期の設備投資がマイナスからプラスに上方修正されているのも目を引き、景気回復感が強まったように受け止めています。先週の法人企業統計の設備投資を詳しく見ると、卸売業・小売業をはじめとする非製造業の伸びが大きく、消費の回復を見越した投資と受け止められており、今後、ボーナスや賃上げによる所得の改善とともに消費がさらに上昇を示せば、内需中心の景気回復が本格化する可能性もあります。ただし、現時点で明らかな4月の統計をいくつか見る限り、冬季の海外経済の減速、特に米国と中国の減速のため、4-6月期からは我が国経済も一時的に踊り場のような減速状態に入る可能性が大きいと私は予想しています。

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GDP統計のほかにも、本日、いくつか経済指標が公表されています。上は景気ウォッチャーのいつものグラフです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。現状判断DIがやや低下し、先行き判断DIがやや上昇していますが、ほぼ先月から横ばい圏内の動きで、統計作成官庁である内閣府の基調判断も「緩やかな回復基調」で据え置かれています。

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さらに、上は経常収支のいつものグラフです。青い折れ線が経常収支の推移を、積上げ棒グラフがその内訳をそれぞれ表しています。いずれも季節調整済みの系列です。4月の経常収支は3月の経常黒字からまたしても赤字に戻っています。

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