来週月曜日6月8日に公表される2015年1-3月期2次QE予想やいかに?
来週月曜日の6月8日に今年2015年1-3月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっており、一昨日の法人企業統計の発表により必要な経済指標がほぼ明らかにされ、シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、先行きの今年4-6月期以降を重視して拾っています。もっとも、明示的に取り上げている機関は決して多くなく、2次QEですからアッサリした発表のリポートも少なくありません。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
内閣府1次QE | +0.6% (+2.4%) | n.a. |
日本総研 | +0.7% (+2.8%) | 成長率は前期比年率+2.8%(前期比+0.7%)と1次QE(前期比年率+2.4%、前期比+0.6%)から上方修正される見込み。 |
大和総研 | +0.6% (+2.5%) | 在庫投資の減少がGDPの下押し圧力となるものの、最終需要が増加する中での在庫調整の進展と解釈することができるため、むしろポジティブな内容である。 |
みずほ総研 | +0.9% (+3.7%) | 2015年4-6月期は在庫投資や公共投資が下押し要因となるものの、個人消費や設備投資を中心に回復が続くと予想している。 |
ニッセイ基礎研 | +0.6% (+2.3%) | 15年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.6%(前期比年率2.3%)になると予測する。設備投資の上方修正と民間在庫の下方修正が相殺されることにより、1次速報の前期比0.6%(年率2.4%)とほぼ変わらないだろう。 |
第一生命経済研 | +0.8% (+3.1%) | 足元で公表されている4月分の経済指標は全般的に冴えないものが目立っており、4-6月期の成長率については不透明感が漂いつつある。1-3月期の成長率は上方修正される可能性が高いものの、このまますんなり景気加速とは、なかなか行きそうにない。 |
伊藤忠経済研 | +0.8% (+3.4%) | 今後 、在庫調整の終了や輸出の拡大に個人消費の持ち直しが加わり、設備投資も拡大基調を取り戻すことから、景気は徐々に回復に向かうという見通しの実現可能性が高まることになろう。 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | +0.8% (+3.1%) | 実質GDP成長率が、1次速報の前期比年率2.4%から3.1%に上方修正されると予想している。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +0.7% (+2.8%) | 修正幅は小さいものの、これまで横ばいで推移してきた設備投資の伸びが高まったと考えられること、懸念された在庫投資の寄与度の大きさが下方修正されると見込まれることから、景気の見方が前向きに変化する可能性がある。 |
三菱総研 | +0.5% (+2.0%) | 2015年1-3月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.5%(年率+2.0%)と、1次速報値(同+0.6%(年率+2.4%))から小幅下方修正と予測する。 |
というわけで、私は小幅の上方修正と予想しているんですが、シンクタンクによっては下方修正という見方もあって、必ずしも一定の方向性が示されているわけではありません。しかし、少なくとも1-3月期については大和総研や三菱UFJリサーチ&コンサルティングのように、在庫投資の下方修正と設備投資の上方修正の組合せは、いわゆる仕上がりの成長率実体経済が大きく変わらなくても、最終需要の増加と在庫調整の進展を意味するのでポジティブな見方をすべき、という意見がある一方で、足元の4-6月期については、先月末の鉱工業生産指数や昨日の法人企業統計を見て、このブログでも「企業活動はやや踊り場的な局面に入りつつある可能性」を示唆したところですが、第一生命経済研のコメントにあるように、4-6月期の成長率についてはまだ不透明であって、1-3月期の上方修正された成長率の経路に沿った景気加速が実現するとは限らない、という見方もエコノミストの間に広がっています。もちろん、基本は、みずほ総研のコメントのように「回復が続く」、あるいは、伊藤忠経済研のように「徐々に回復に向かう」ということで、決して、景気がさらに悪化する方向にある、というわけではないと私は受け止めています。
なお、下のグラフはそのみずほ総研のリポートから引用しています。前期比年率成長率+3.7%はやや高過ぎるという印象を私は持っているんですが、ほかのリポートはテーブルばかりでしたので、仕上がりの数字よりもビジュアルを重視して選んでみました。
また、本日、内閣府から県民経済計算が発表されています。2012年度の1人当たり県民所得を大きな順でソートすると以下のグラフの通りです。ご参考まで。
最後に、本日、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し」 Economic Outlook No.97 が公表されています。全文ファイルを何とか入手する予定ですので、日を改めて取り上げたいと考えています。
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