法人企業景気予測調査の景況判断BSIはマイナスに転じるものの設備投資計画は前年比プラス!
本日、財務省から4-6月期の法人企業景気予測調査の結果が公表されています。ヘッドラインとなる大企業の景況判断指数BSIは▲1.2と1-3月期の+1.9から低下してマイナスに転じています。ただし、7-9月期以降は再びプラスに戻ると見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
大企業景況判断指数、4-6月は4期ぶりマイナス 7-9月は10.6
内閣府と財務省が11日発表した4-6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数はマイナス1.2だった。マイナスは4四半期ぶり。前回の1-3月期はプラス1.9だった。
先行き7-9月期の見通しはプラス10.6(前回調査時は7.8)、10-12月期は8.9と、今後は回復を見込んでいる。
大企業のうち製造業はマイナス6.0(1-3月期はプラス2.4)。自動車メーカーで新車投入に伴う生産が一服したことや鉄鋼業の在庫調整などが響いた。原油価格の下落で恩恵を受けた化学工業や値上げが浸透した食料品製造業などはマインドが改善した。非製造業はプラス1.3だった。
2015年度の全産業の設備投資見通しは前年度と比べ5.9%増だった。前回3月調査時点は3.9%減だった。スマートフォンや自動車向け電子部品の生産能力増強や銀行のシステム投資などが寄与する見込み。
結果について財務省は「景気は緩やかな回復基調が続いている」とするこれまでの認識を据え置いた。
調査は資本金1000万円以上の1万6405社を対象に実施し、回答率は80.4%。調査基準日は5月15日だった。同調査は日銀の企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測する手掛かりとして注目されている。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と青の折れ線の色分けは凡例の通りです。色が濃いのが実績で、薄いのが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。
この統計のヘッドラインとなる大企業の景況判断BSIを見ると、やはり、足元の4-6月期が踊り場的な減速に入っているのが企業マインドからも確認できます。しかし、昨夜のエントリーでも指摘したように、第1に、我が国景気の減速は海外経済に起因している可能性が高いことが伺われます。すなわち、4-6月期の大企業ののうち製造業の景況判断BSIは▲6.0を示している一方で、非製造業はマイナスに転ずることなく1.3を記録しています。第2に、あくまで企業マインドに即した可能性ながら、この踊り場は決して長くなく、7-9月期には終了している可能性も読み取れます。すなわち、大企業と中堅企業の景況判断BSIは足元の4-6月期はマイナスながら、7-9月期にはプラスに戻ると見込まれており、中小企業でも10-12月期にはプラスを回復するとの結果です。なお、このあたりの規模に伴う企業マインドの回復の時期的なズレについては、従来からこんなもんだという気もしないでもありません。また、図表はお示ししませんが、経常利益については全規模の合計で2015年度も増益を見込んでいますが、2015年度の上半期は減益の後、下半期で上半期をカバーする増益、という見通しが示されています。
さらに、これも図表は示しませんが、従業員と設備に関する要素需要の見込みについて全規模の合計で見て、従業員判断BSIは引き続き人手不足を示しつつも、年末にかけてその人手不足の程度は緩和されるとの結果が示されています。また、2015年度の設備投資計画については、こういった統計のクセとして、1-3月期調査の段階では固めに前年度比▲3/9%減と見込まれていましたが、年度が明けて設備投資計画を精査したところ+5.9%増に上方修正されました。特に、非製造業の+0.5%増に比べて、製造業では+15.7%増と大きく増加すると見込まれています。
4月1日に公表された3月調査の日銀短観では慎重なサイドに振れた企業マインドが示されたと私は受け止めています。7月1日に公表される6月調査の日銀短観やいかに?
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