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2015年6月30日 (火)

セットアッパー福原投手が失点してヤクルトに競り負ける!

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阪  神000200010 390
ヤクルト00010201x 4101

7番スタメンながら鳥谷遊撃手の4安打で3点は取りましたが、終盤にリリーフ陣が失点してヤクルトに競り負けました。ベテラン救援陣の安藤投手や今夜の福原投手あたりに疲れが出ているんでしょうか。それにしても、あれだけ調子の悪かった大引選手にこれだけ打たれると、私なんぞはややショックです。ヤクルト相手だけに野手陣ももっと得点を取りたいところでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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毎月勤労統計から雇用の質の改善は読み取れるか?

本日、厚生労働省から5月の毎月勤労統計が公表されています。ヘッドラインとなる現金給与総額は季節調整していない原系列で見て前年同月比+0.6%の増加を示し、景気と相関の高い所定外労働時間は季節調整済みの系列で前月から▲1.7%の減少を記録しました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

給与総額、5月は0.6%増 実質賃金、0.1%減 毎月勤労統計
厚生労働省が30日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額(名目賃金)は前年同月比0.6%増の26万8389円だった。増加は2カ月連続。基本給やボーナスの堅調な伸びが寄与した。今春の労使交渉では自動車や電機など好業績の企業を中心に昨年を上回る賃上げが広がった。一方、物価変動の影響を除いた実質賃金指数は0.1%減と25カ月連続で減少した。
基本給や家族手当にあたる所定内給与は0.3%増の23万9897円で、3カ月連続で増加した。昨年を上回るベースアップ(ベア)となった今春の労使交渉の結果が徐々に反映され始めている。
ボーナスにあたる特別給与は19.3%増の9664円。業績が持ち直した一部企業で夏季賞与が前倒しで支給されたようだ。ただ、足元では生産が弱含んでおり、残業代など所定外給与は1.6%減の1万8828円となった。
所定外労働時間は1.7%減の10.6時間。製造業の所定外労働時間は1.3%減の14.7時間だった。
一方、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は0.1%減と25カ月連続で減少。消費増税による物価押し上げの影響が一巡し、減少率は縮小したものの、賃金の伸びが物価上昇に追いついていないことを改めて示す結果となった。厚労省は実質賃金について「改善傾向で推移しているが、今後の動向を注視したい」としている。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、下のパネルは製造業に限らず調査産業計の賃金の季節調整していない原系列の前年同月比を、それぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、所定外労働時間については、昨日発表の鉱工業生産指数の動きと整合的であり、5月統計では前月比で▲1.7%減となりました。労働は生産の派生需要ですから、昨日発表された鉱工業生産と整合的な動きと考えています。また、賃金については、引用した記事にもある通り、ベースアップの結果が少しずつ反映され始めているように受け止めていますが、まだまだ動きが緩やかで、特に、5月はパートタイム労働者の給与が減少したことから、名目では4月に続いて前年同月比でプラスを記録したものの、実質ではマイナスが続いています。ただ、上のグラフの太くて色の濃い所定内給与の前年同月比で見る限り、賃金もジワジワと上向きになっているのが読み取れようかと思います。足元で労働市場はほぼ完全雇用に近い状態になっていると私は考えていますので、先行き賃金がさらに上昇する局面が近づいていると考えるべきです。4月ころから日本経済が踊り場入りしているのは賃金動向にとって気にかかるところですが、景気の回復ないし拡大の継続により賃金上昇から消費拡大への経路が開け、我が国経済の好循環が実現する可能性も十分ありそうな気がします。その第一歩は夏季ボーナスなのかもしれません。ボーナスの増加が実感され、消費に回る可能性は十分あります。ただ、消費者が企業のように債務返済に資金を回すようであれば、好循環のサイクルが実現しない可能性もあり得ます。

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先週の雇用統計の発表から、私自身も動労市場は完全雇用に近づいている可能性を感じていますが、その一つの指標として、毎月勤労統計からいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の前年同月比伸び率をプロットした就業形態別の雇用の推移が上のグラフです。5月統計でもパートタイムの伸び率の方が高いんですが、徐々に伸び率が低下しているように見える一方で、フルタイムの伸び率が少しずつ上昇幅を拡大しており、両者がかなり接近しているのが見て取れようかと思います。賃金の伸びはまだ物足りませんが、パートタイムが増加しているというものの、フルタイムも伸びを高めているという意味で、少しずつ雇用の質が改善しつつあるのは確かです。

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2015年6月29日 (月)

鉱工業生産指数と商業販売統計から我が国経済の踊り場を確認する!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数商業販売統計が公表されています。いずれも5月の統計です。ヘッドラインとなる鉱工業生産は季節調整済みの前月比で▲2.2%の減産、商業販売のうちの小売販売は季節調整していない原系列の前年同月比で見て+3.0%の増加を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産指数、2.2%低下 基調判断を下方修正
経済産業省が29日発表した5月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は前月比2.2%低下の97.1だった。低下は2カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中央値は0.7%低下で、市場予想を下回った。生産の基調判断は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」から「一進一退で推移している」に下方修正した。基調判断の引き下げは昨年6月以来、1年ぶり。
生産指数は15業種のうち12業種が前月比で低下し、上昇は3業種だった。自動車の国内販売や輸出が低調で、輸送機械工業が前月比5.4%減と落ち込んだことが響いた。アジアでスマートフォンの生産が一服していることを受け、電子部品・デバイス工業も4.3%減だった。
出荷指数は前月比1.9%低下の96.0と、2カ月ぶりに低下した。在庫指数は0.8%低下の112.9だった。低下は4カ月ぶり。在庫率指数は1.9%上昇の115.3だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、6月は前月比1.5%上昇、7月は0.6%の上昇を見込む。もっとも予測調査は実績よりも上ぶれる傾向にある。経産省では依然として在庫積み上がり局面が続いているとみており、「生産が6-7月に2カ月連続で上昇するのはなかなか難しい」としている。
小売販売額、5月3.0%増 2カ月連続プラス、伸び率は鈍化
経済産業省が29日発表した5月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比3.0%増の11兆7690億円だった。消費増税後の反動減の影響が一巡し、2カ月連続でプラスとなった。ただ、4月の4.9%増(確報)に比べ伸び率はやや鈍化した。
業種別では、白物家電などを含む機械器具(9.1%増)や飲食料品(4.9%増)、自動車(4.1%増)などで伸びた。小売業販売の基調判断は「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」とし、4月から据え置いた。消費増税の影響が薄れる一方、一部の高価格の耐久消費財で回復が鈍い点などを踏まえた。
百貨店とスーパーを含む大型店は6.2%増の1兆6922億円、既存店ベースの販売額は5.3%増だった。衣料品、飲食料品ともに伸びた。既存店のうち、百貨店は6.3%増、スーパーは4.8%増だった。
コンビニエンスストアの販売額は6.4%増の9344億円、既存店ベースは1.6%増だった。

いずれも網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。しかし、これだけの記事を並べるとそれなりのボリュームになります。これだけでお腹いっぱいかもしれません。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。景気後退期のシャドーについては商業販売統計も同様です。

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先月にこの統計が発表された時点での製造工業生産予測調査では、5月は前月比で+0.5%の増産という結果が示されており、また、直近の日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも▲0.8%の減産だったんですが、統計が出てみると▲2.2%の減産ですから、かなり大きな下振れと受け止めています。もっとも、先月の鉱工業生産統計の発表時から、「生産については横ばいの動きが続く踊り場的な段階に入った」とこのブログで私も指摘しているところで、この踊り場入りが確認されたと考えるべきです。同時に、引用した記事にある通り、統計作成官庁である経済産業省も基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」から「一進一退」に下方修正しています。なお、この踊り場の背景は、海外経済の低迷に伴う輸出の不振と在庫調整であり、後者の在庫調整の進展については、在庫水準の低下により把握できます。しかし、出荷がそれ以上に減少していることから在庫率は上昇していたりします。製造工業生産予測調査では6-7月は増産が見込まれていますが、少なくとも4-6月期の四半期については、減産がほぼ確定と考えていいような気がしますし、現時点の足元でのギリシアにおける債務デフォルトの可能性から欧州経済の先行きがさらに悪化するようだと、主たるルートとして中国経済を経由して我が国への影響も小さくない可能性が残ります。ただし、上のグラフのうち、下のパネルに見られるように、耐久消費財出荷はまだ底入れまで時間がかかりそうですが、設備投資需要はやや上向き加減に見えなくもありません。海外経済の低迷を内需がどこまで補完できるかも焦点ですが、すべてを上向きにするだけの力強さがあるとも私は想定していません。

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次に、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。昨年4月からの消費増税の大きなかく乱効果が一巡して、今年4-5月の小売販売は順調に推移していると見受けられます。ただ、昨年の駆込み需要の反動で今年3月に前年同月比▲9.7%減を記録した後、4月+4.9%増、5月+3.0%増ですから、引き続き、やや物足りない気もします。上のグラフの下のパネルで示した季節調整済みの系列で見ても、小売販売はほぼ横ばい圏内であり、突然、先月から始まった経済産業省の基調判断でも先月・今月と「小売業販売は一部に弱さがみられるものの横ばい圏」とされているのは、引用した記事にある通りです。先ほどの生産のグラフにもある通り、設備投資向けの出荷はまずまず増加基調ですが、耐久消費財出荷はまだ低迷を続けています。この先、夏季ボーナスや賃上げにより、どこまで所得増加が実感できるか、あるいは、正規職員の増加などの雇用の質の改善が進むかどうか、などの労働市場に依存する部分も小さくないと考えられます。

最後に、本日の統計とは何の関係もないながら、ユーロ圏諸国の現行の支援の枠組みが明日で失効することから、ギリシアのデフォルトの可能性が高まっているように金融市場で受け止められています。資本規制が強化され、ギリシアの銀行は今日から来週の7月6日まで閉鎖されると報じられています。日経新聞のサイトなどで見る限り。麻生財務大臣などは日本市場への影響は大きくないといった趣旨の発言をしていますが、実は、リーマン・ショックの時もそう考えられていたものですから、いったい何が起こるのか、いうまでもないことながら、多くのエコノミストは注目しているものと思います。

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2015年6月28日 (日)

中軸に当たりが戻り先発藤浪投手の好投で横浜を2タテし6連勝!

  HE
D e N A000020000 280
阪  神00021201x 6100

野手キャプテン鳥谷遊撃手の7番スタメンはやや衝撃的だったんですが、試合が始まってみると投打がかみ合った強い阪神でした。昨日に続いて福留外野手とゴメス内野手の連続弾で先制し、今日は1番に入った上本二塁手の渋いタイムリーで勝ち越し、その後は細かく加点した上に、藤浪投手が7回まで2失点に抑えて、中盤以降は横浜を圧倒しました。鳥谷選手だけが「蚊帳の外」っぽいんですが、3-4番をはじめとする中軸に当たりが戻って盤石の勝利と見受けました。

神宮のヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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ソニー・ロリンズ「ロード・ショウズ vol.3」を聞く!

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今週のジャズはソニー・ロリンズ「ロード・ショウズ vol.3」です。昨年のうちにリリースされたアルバムでしたが、ようやく2015年も半ばになって聞きました。曲目構成は以下の通りです。

  1. Biji
  2. Someday I'll Find You
  3. Patanjali
  4. Solo Sonny
  5. Why Was I Born
  6. Don't Stop the Carnival

ソニー・ロリンズ、いうまでもなくジャズ界のビッグネームです。1930年生まれで私と同じ乙女座ですから、もうすぐ85歳です。当然ながら、まだ、ご存命だったりします。ジャズ・ファンであれば聞いておくべきです。ご存命中のアルバムとしてはラスト・リリースになるかもしれません。

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2015年6月27日 (土)

福留選手の同点弾・逆転弾とゴメス選手のダメ押し弾で横浜に圧勝して阪神5連勝!

  HE
D e N A020100000 370
阪  神10010102x 591

甲子園に戻って投打がかみ合った強い阪神でした。特に、打つ方では福留外野手の同点弾と逆転弾が強く印象付けられた気がします。守備でも福留選手のライトゴロ処理や最終回の大和選手のダイビングキャッチなどスーパープレーがオンパレードでした。投手陣もさすがにメッセンジャー投手の無失点はそうそう続きませんが、2日休んでリリーフ陣も復活でしょうか?

明日のDeNA戦も、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書を中心にエッセイも含めて5冊ほど!

先週の海外出張の後、少し体調を崩し気味で、腰痛がして仕事を早退していたりしたんですが、今週の読書は単行本や新書の経済書を中心に5冊ばかり。以下の通りです。

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まず、森信茂樹『税で日本はよみがえる』(日本経済新聞出版社) です。財務省出身の税に関する専門家らしく、幅広い観点から日本経済にプラスとなるような税制改革の方向性を示しています。しかし、何といっても現時点でもっとも関心が高いのは、財政再建のためにはどこまで消費税率を上げるか、なんですが、この問いにはまったく触れていないどころか、近づくことすらしていません。それから、日本で国民に租税回避の傾向が強いのは、いわゆる「土建国家」といわれる通り、集めた税金を公共事業でごく一部の国民にしか還元しなかったためであり、いわゆる「福祉国家」のスキームの下、もちろん再分配機能は保持しつつ、幅広い国民に還元する道を取らなかったことに原因があると私は考えています。また、それとも関係して、特定の何らかの間違ったグルーピングによる租税や補助金などの優遇策が取られたことも国民の間の不公平感の拡大に大きく寄与しています。すなわち、産業別では農業が保護され、企業規模別では中小企業が優遇され、世代別では高齢者に手厚い社会保障が与えられる、といった点が問題として認識されていないうらみはあります。

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次も経済書で、清水誠『負の利子率政策』(日本評論社) です。5章構成の本書の中で、4章まではリフレ派の金融政策批判を繰り広げており、その批判のポイントは量的緩和をしても信用乗数の低下により相殺される、という1点に尽きます。私も量的緩和はかなりの程度に信用乗数の低下で相殺されるとは考えていますが、それでも効果が残るかどうかは定量的な検証に委ねるべきであり、私の知る限りなんですが、量的緩和は価格引上げに効果があると考えるべきです。最後の第5章で負の利子率政策を展開していますが、私には政策効果に比べて政策の実施コストが高過ぎるように感じられてなりません。従来から、私のような公務員はコスト意識が希薄で、政策効果がプラスである限り政策リソースをつぎ込んで、結局、ムダなことをやっている可能性が往々にしてあるんですが、その私にしてもコストが高いと感じるデフレ対策の政策が、この負の利子率政策と小刻みに短い周期で消費税率を引き上げる政策です。一部の欧州の国で実施しているように本書で主張されていますが、もう少ししっかりした検証が必要ではないかと受け止めています。

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次に、酒井順子『裏が、幸せ。』(小学館) です。表紙のイメージからも理解できる通り、その昔は「裏日本」と呼ばれた日本海側の紀行記をはじめとするエッセイです。それにしても、北陸新幹線の開業にドンピシャで照準を合わせた出版には恐れ入ります。私自身は著者のいう表のど真ん中の京都の南部の出身で、現在では東京在住ですし、私に限らず我が家の親戚筋は大阪や名古屋などの東海道沿線の都市部に在住していますので、ほとんど「裏日本」とは何のつながりもありません。せいぜいが、東京で就職する前の大学生のころに金沢や鳥取・島根といった日本海を臨む地方都市に旅行した経験があるくらいです。当時は自動車で旅行したものですから、島根県の県庁所在地ながら松江の駅前北口の交差点に信号がないという事実にショックを受けたことを記憶していたりします。でも、この著者らしくセンスよく「裏日本」の魅力を解き明かして取りまとめています。私は長崎大学に出向していた際に、長崎の人は長崎新幹線の継続的な輸送サービスを必要にしているのではなく、たった1回限りの工事が欲しいんではないかと感じたことがありますが、この著者の論理展開を読み進むと北陸の人はホントに新幹線の交通サービスを上手に利用できそうな気になってしまいます。

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いつも後の方に新書を置く私の読書感想文の並びのクセで、次に、大竹文雄『経済学のセンスを磨く』(日経プレミアシリーズ) です。基本的に、行動経済学に基づくエッセイなんですが、本書の著者はいつも新しい論文を紹介したりして、なかなか勉強になるので可能な限り読むようにしています。最終章の教育に関する計量的な分析を紹介した部分などは、とても参考になります。もちろん、著者の連発する「労働経済学者の標準的な見方」も私のようなマクロエコノミストには新鮮です。ただ、行動経済学の実証的な見方を提供する視点も十分にありながら、やや旧来型の「人はインセンティブに反応する」という行動経済学の実証に裏付けられていない見方も顔をのぞかせます。そのあたりはバランスを取りつつ読み進む姿勢が要求されるかもしれません。多くの経済に関係するビジネスパーソンや経済学に興味ある学生諸君などにオススメです。

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ホントの最後に、伊坂幸太郎『3652』(新潮文庫) です。デビュー10周年で編集されたエッセイ集をさらに5年後の今年15周年記念で文庫化されています。私の知る限り、この著者は単行本が文庫化されるに当たっては、少なからざる追加修正を施すことから、文庫本が出てから読むというファンもいたりすると聞き及んでいます。著者は今や押しも押されもしない我が国トップグループの人気作家ですが、2003年から急にエッセイが増加するので、このあたりから売れ始めたのだということが手に取るように見て取れます。ただし、干支エッセイで苦労していたり、エッセイがやや苦手な様子も理解できます。私はこの著者のファンなので、本書はついつい買ってしまいましたが、同時期に文庫化されて出版された『仙台ぐらし』が仙台に興味ない私には魅力的に見えなかったものの、まだ仙台に関するエッセイの方がよかったんではいないか、あるいは、本書を買ったのは失敗だったんではないか、と反省しています。ただ、著者の読書感想文や映画の評価などには興味ひかれます。そのうちに、『仙台ぐらし』も読もうと考えています。

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2015年6月26日 (金)

雇用統計と消費者物価から何が読み取れるか?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価 (CPI) が、それぞれ公表されています。失業率は3.3%と前月と同じ水準を示し、有効求人倍率は1.19倍と先月からさらに+0.02ポイント上昇しました。他方、消費者物価は生鮮食品を除くコアCPI上昇率で+0.1%と、先の4月で消費増税が一巡して大きく上昇率が鈍化したものの、何とかプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

有効求人倍率1.19倍に上昇5月、完全失業率は3.3%
雇用情勢の改善が続いている。厚生労働省が26日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍と前月から0.02ポイント上昇し、23年2カ月ぶりの高水準になった。雇用環境の好転で就業者が増え、新たに仕事を探す人が減っている。総務省が同日発表した失業率は3.3%と、18年ぶりの低水準になった前月と同じだった。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。数字が高くなるほど、求職者は仕事を見つけやすくなる。
新規求職申込件数は前年同月比10.8%減の47万2079件。新規求人数(原数値)も前年同月比4.0%減の77万3440人だったが、求職者の減少の影響の方が大きかった。
失業率も改善傾向が続いている。完全失業率は働ける人のうち、職に就かずに仕事を探している完全失業者の割合。女性の失業率は前月から0.2ポイント下がって3.0%になり、20年3カ月ぶりの低水準だった。景気回復に伴う人手不足で、女性の就業が進んだ。
完全失業者数は前年同月よりも18万人減って224万人だった。総務省は「雇用情勢は引き続き改善している」との判断を示した。
全国消費者物価、5月は0.1%上昇 4月から実質上振れ
総務省が26日発表した5月の消費者物価指数(CPI、2010=100)は、生鮮食品を除く総合が103.4と前年同月比0.1%上昇した。上昇は24カ月連続。QUICKが事前にまとめた市場予想の中央値は横ばいだった。4月は0.3%上昇だったが公共料金などで残った前年の消費増税の影響を除くと横ばいで、5月の物価上昇率は前月比で実質的に僅かに上振れた。
生鮮食品以外のコーヒーなど食料に加え、宿泊料や外国パック旅行がプラスに寄与した。ルームエアコンやテレビなどの耐久消費財では新商品への切り替えが進む中で、4月からマイナス幅が縮小した。原油安が引き続き物価の抑制要因となり、ガソリンや灯油などの石油製品を中心にエネルギー価格は下がった。品目別では上昇が332品目、下落が145、横ばいは47だった。
食料・エネルギーを除く「コアコア」のCPIは101.1と前年同月比で0.4%上昇した。4月(消費増税の影響を除き0.2%)から伸び率が拡大した。先行きについて総務省は「緩やかな上昇が見込まれる」としている。生鮮食品を含む総合は104.0と0.5%上昇した。
先行指標となる6月の東京都区部CPI(中旬速報値、2010=100)は、生鮮食品を除く総合が102.1となり、0.1%上昇した。伸び率は5月(0.2%上昇)から鈍化した。食料価格が上がる一方、電気代や都市ガス代などエネルギー価格が軒並み下落した。コアコアCPIは0.2%の上昇で、5月(0.1%上昇)からやや強含んだ。昨年6月以降、携帯電話各社が通話料を引き下げた影響が一巡したという。

いずれも網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。しかし、2つの統計の記事を並べるとそれなりのボリュームになります。これだけでお腹いっぱいかもしれません。続いて、雇用については、以下のグラフの通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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先月の段階で、失業率の低下や有効求人倍率の上昇などの雇用の改善は、雇用の増加というよりも、むしろ、非労働力人口の増加や労働力人口の労働市場からの退出によるものであり、決してポジティブに捉えるべきではないと指摘しておきましたが、今月の統計を見ても大きな方向感に変化ありません。すなわち、すべて季節調整済みの系列で見て、就業者数は3月から4月にかけて▲28万人減った後、4月には+19万人増しか戻らず、雇用者数でも▲23万人減の後、+18万人増にとどまりました。失業者数は着実に減少しているものの、2月▲5万人減、3月▲9万人減の後、4月▲2万人減、5月▲1万人減と大きく減速しました。ですから、労働供給サイドから見て、ほぼ完全雇用に達した可能性があります。実は、私は失業率で見た完全雇用水準は3.0%ないし3.1%だろうと見ていたんですが、日本の労働市場はかなり硬直化しているのかもしれないと、考えを改めつつあります。逆から、すなわち、労働需要サイドから見て、有効求人倍率は上がり続けていますから、人手不足は深刻化する可能性が残されています。来週の毎月勤労統計を確認したいところですが、それにしては賃金が上がらない、あるいは、正規職員などの質の高い雇用機会が増加してこない、というのはとても不思議だったりします。もう少し時間がかかるのか、それとも、日本の労働市場がかなり構造変化したのか、現時点では何ともいえません。

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次に、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って全国の生鮮食品を除くコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。東京都区部の統計だけが4月中旬値です。いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とは微妙に異なっている可能性があります。ということで、引用した記事にもある通り、全国ベースでも、先行指標となる東京都区部ベースでも、消費増税の影響を除けば、5月のコアCPI上昇率は4月からわずかながら加速しています。ただし、先行きを考えると、既に電力・都市ガス大手は燃料費調整制度に基づいて6月、7月、8月までの大幅値下げを発表しており、秋口くらいまでCPI上昇率はゼロ近傍からマイナスを記録する可能性が高いと私は受け止めています。その際、日銀がインフレ目標達成に向けて追加緩和を実施するのか、あるいは、変動の激しいエネルギー価格に起因する相対的な価格変動であるとして政策対応は見送るのか、注目されるポイントです。

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2015年6月25日 (木)

来週発表予定の日銀短観の予想やいかに?

来週月7月1日の発表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。1-3月期の2次QEでまずまずの成長経路に戻った感があるものの、4月以降の景気指標は踊り場的な要素もあり、足元と先行きの企業マインドに注目が集まっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと大企業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2015年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、先行きの業況判断DIの予想に着目して拾いました。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)+12
+19
<▲1.2>
n.a.
日本総研+12
+22
<+5.0>
先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査対比▲1%ポイントを予想。緩やかな景気回復が続くと見込まれるなか、景況感も総じて高い水準が続く見通し。
大和総研+11
+22
<+4.7>
業況判断DI(先行き)は、賃上げにより個人消費が活発化する見込みであることを主因に、総じて改善するとみている。製造業では、個人消費や設備投資の回復が足下で積み上がっている在庫消化につながるとみられることが、先行きの業況感の改善要因となろう。同様に、非製造業でも賃上げによる個人消費の活発化が、個人消費関連業種の先行き判断を押し上げる公算だ。
みずほ総研+11
+21
<+6.1>
(大企業製造業) 先行きは、1ポイントの改善を見込んでいる。海外経済の持ち直しや国内での在庫調整の一巡などが見込まれることから、加工業種・素材業種ともに業況判断は改善すると予想する。
(大企業非製造業) 先行きは、2ポイントの改善を見込んでいる。原油安が電気料金などに反映されることで企業収益が押し上げられることや、消費回復への期待から、幅広い業種で改善するだろう。
ニッセイ基礎研+13
+23
<+6.4>
先行きの景況感は企業規模によって方向感が分かれそうだ。大企業では米国経済や国内消費の回復などへの期待から、製造業・非製造業ともに改善が予想される。一方で、経営体力の問題から、先行きへの警戒が高まりやすい中小企業では今回も景況感悪化が示されると見ている。
第一生命経済研+11
+27
<+5.2>
仮に、次回短観で、製造業 ・非製造業の企業収益の改善が一段と進んでいれば、たとえ目先の製造業 の業況DIが前回比で悪化していたとも、景気全体の先行きをそれほど悲観すべきことではないと理解できる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+12
+27
<+7.0>
15年度の設備投資計画は、前回3月調査から上方修正される見通し。特に大企業では、計画の大幅な上方修正が見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+13
+21
<+4.8>
(大企業製造業) 先行きについても、内外景気の持ち直しペースが高まると期待しにくい中で、業況感の改善は緩やかにとどまると予測する。大企業製造業の業況判断DI(先行き)は1ポイント上昇の14になるだろう。
(大企業非製造業) 先行きは、個人消費の持ち直しに合わせて「小売」など個人消費関連の業種を中心に引き続き改善が見込まれる反面、「建設」など先行きの業績を慎重に見ている業種も一部にあることから、大企業非製造業の業況判断DI(先行き)は21と横ばいにとどまると予測する。
三菱総研+12
+24
<n.a.>
先行きの業況判断DI(大企業)は、雇用・所得環境の改善から消費が緩やに回復するとみられるほか、企業の設備投資意欲も堅調さを維持しており、製造業は+14%ポイント、非製造業は+25%ポイントといずれも改善を予測する。
富士通総研+16
+27
<+5.1>
先行きの見通しについては、今回調査の改善の反動もあり、わずかに悪化すると見込まれる。

上のテーブルからも明らかなんですが、足元における大企業の景況感は、おしなべて、ほぼ横ばいの製造業に対して、非製造業の方がわずかながら改善幅が大きいと予想されています。円安にもかかわらず、海外需要の低迷などから輸出が伸び悩んでいたり、製造業の中でも素材産業などは円安による原材料費アップの影響が出ていたりします。さらに、内閣府から発表された1-3月期のGDP統計にも表れているように在庫圧力がまだ調整しきれていない印象もあります。他方、非製造業では春節時における中華圏からのインバウンド観光客の消費拡大に加えて、国内の個人消費も緩やかながら持ち直しつつあり、小売や対個人サービスなどで改善を示すことが予想されています。また、背景には日銀のリフレ政策に伴って、コストアップを価格転嫁できる環境が整いつつあることも見逃せないと私は考えています。この点は、まだ指摘するエコノミストは少ないようですが、それなりに重要であろうと思います。また、先行きについては、9月調査ではやや反動を示す業種もあり得るものの、ボーナス増や賃上げによる所得の上昇に伴う消費拡大や設備投資の増加などを背景に、順調な景気拡大パスをたどることが期待されています。まあ、あくまで希望的観測込みの予測です。また、設備投資計画についても3月時点から上方改定されると見込まれています。円安に伴う国内回帰がどこまで進むかはまったく未知数ですが、利益を含むキャッシュフローに比較した設備投資額がデフレ期にかなり抑制されて来た現状を反映し、また、人手不足による労働から設備への代替も一部に生じることから、今後の景気拡大をけん引することが期待されています。これも希望的観測込みかもしれません。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから業況判断DIの推移を引用しています。

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2015年6月24日 (水)

投打かみ合った強い阪神が広島を撃破しセリーグ唯一の貯金1か?

  HE
阪  神100410100 7110
広  島000010010 250

投打がかみ合った強い阪神でした。特に、能見投手が投打に渡る活躍を見せ、広島に完勝しました。巨人がDeNAにリードされていますから、やや情けないながらも、セリーグ唯一の貯金保持球団となるかもしれません。打つ方ではマートン外野手の復調が強く印象付けられた気がします。

甲子園に戻ってのDeNA戦も、
がんばれタイガース!

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企業向けサービス物価上昇率は引き続き堅調に推移!

本日、日銀から5月の企業向けサービス物価(SPPI)が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率は+0.6%と前月よりも0.1%ポイント縮小したものの、国際運輸を除くコアSPPIの上昇率は前月と同じ+0.7%でした。4月で消費増税の物価押上げ効果がほぼ一巡してSPPI上昇率は大きく鈍化したものの、企業物価(PPI)と違って原油価格低下の影響が小さいため、マイナスに転ずることなくプラスを維持しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業向けサービス価格、前年比0.6%上昇 リースなど上がる
日銀が24日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は102.9と、前年同月比0.6%上昇した。消費増税の影響を除くベースでも伸び率は0.6%で変わらず、4月(確報値)から横ばいだった。産業機械・通信機器リースなどが大きく上昇した。一方、新聞広告やテレビのスポット広告が下落した。
調査品目のうち、上昇品目は73、下落は35だった。上昇品目と下落品目の差は38で4月の37から拡大した。2013年10月以来、20カ月連続で上昇品目が下落品目を上回った。
日銀は「5月は消費増税を除くベースで横ばいになったが、上昇基調は変わっていない」(調査統計局)としている。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフに見られる通り、当然ながら、消費増税の影響が一巡した4月以降はヘッドライン・コアとも大きく上昇率が縮小しています。ただし、ヘッドラインの消費税の影響を除くベースでの前年比上昇率は小幅ながら拡大しており、3月の+0.4%から4月には+0.6%、5月も+0.6%と、4月以降むしろ上昇幅を加速しています。PPI上昇率がマイナスに転じたのとは大きく違っており、相対的な価格変動の影響ながら、国際商品市況における原油価格低落の影響の大きいPPIと国内の人手不足から労働コストの上昇の影響が大きいSPPIの違いを反映していると受け止めています。ただし、「相対的な価格変動」と書きましたが、ホントに相対価格の変化なのか、原油にせよ労働コストにせよ、当然に一般物価に影響が及ぶわけですから、一般物価水準やその上昇率への影響は見逃すべきではありません。
品目別に詳しく見ると、ヘッドラインの前年同月比上昇率への寄与で見て、4月から5月へは▲0.1%ポイントの上昇率の低下があったわけですが、大きなマイナス寄与品目としては、新聞広告▲0.09%とテレビ広告▲0.05%が上がっています。先月5月26日付けのエントリーで4月の企業向けサービス物価を取り上げた際に、これらの広告が4月に上昇したのは季節的な要因かもしれないと示唆したところ、実際にそうだったのではないかと受け止めています。また、引用した記事のタイトルにもある通り、5月はリースが+0.05%と品目別ではもっとも大きなプラス寄与を示しています。

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2015年6月23日 (火)

突然ながらストレス解消法やいかに?

私自身はいうまでもなく日々ストレスを感じている哀しきサラリーマンの中間管理職なんですが、とても旧聞に属する話題ながら、ビールのアサヒグループ・ホールディングスの青山ハッピー研究所から6月10日に「あなたのストレス解消法を教えて?」と題する調査結果が公表されています。男女別の結果が示されているんですが、男性に偏りつつも、図表を引用して簡単に紹介したいと思います。

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まず、上のグラフは男女を通して年代別にストレスを感じているかどうかを問うた質問への回答です。「とてもストレスを感じている」と「まあまあストレスを感じている」という回答は合せて、20代で73.9%でしたが、30代では84.2%、40代では84.0%と、一気に80%台半ばまで上昇します。自由回答の中にも、仕事や家族のことなどをはじめとして、30-40代はさまざまな社会的な、あるいは、家庭内の責任がのしかかるストレス多き年代であることが伺える回答が寄せられているようです。その一方、定年を過ぎると60代で52.6%と一気に落ち込み、70代以上では43.2%までストレスが減少します。私も早くその世代に到達したいという気がします。

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男性のストレスの原因は、「仕事」、「将来」、「病気・体調不良」がトップスリーとなっています。回答比率は上の表の通りです。女性もトップスリーは男性と同じ順でこの3項目なんですが、女性の場合は「仕事」44.5%、「将来」35.7%、「病気・体調不良」30.2%と、「仕事」の回答割合がグンと減り、その分、2-3番目の要因が多くなるとともに、男性では現れない「家事」が25.7%で4位に、「育児」が17.3%で5位に、それぞれ入っています。

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最後に、男性のストレス解消法は上の通りです。「お酒」が圧倒的といえます。なお、女性のトップ回答は「デザート・菓子など甘いものを食べる」で38.1%を占めますが、「お酒」も28.9%ながら3位に入っています。まあ、ビール会社のアンケートですから、回答者の方で配慮した結果かもしれません。私の場合はお酒はあまり飲まないので、この10番目までの選択肢からの複数回答であれば、お風呂とスポーツなんではないかと思います。

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2015年6月22日 (月)

サービス産業生産性協議会による日本版顧客満足度指数について考える!

とても旧聞に属する話題ですが、サービス産業生産性協議会から2015年度「JCSI (日本版顧客満足度指数: Japanese Customer Satisfaction Index)」第1回調査の結果が6月10日に公表されています。対象は6業種、すなわち、コンビニエンスストア、シティホテル、ビジネスホテル、飲食、カフェ、事務機器となっています。ネット調査を実際に実施したのはインテージだったりします。まず、サービス産業生産性協議会のサイトから各業種の顧客満足度1位企業・ブランドを引用すると以下の通りです。

各業種の顧客満足度1位企業・ブランド
  • セブン-イレブン(コンビニエンスストア)
  • 帝国ホテル(シティホテル)
  • リッチモンドホテル(ビジネスホテル)
  • モスバーガー(飲食)
  • ドトールコーヒー(カフェ)
  • 富士ゼロックス(事務機器)

とても興味深い結果なんですが、昨年と今年の調査結果からJCSI業種・業態別の顧客満足度分布について、リポートからグラフを引用すると以下の通りです。

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今年2015年実施の調査結果と昨年2014年がとても見にくいんですが、例えば、スーパーマーケットとコンビニエンスストアを比べると、中央値はどちらも大差ないながら、やや後者の顧客満足度の分布が低位に位置しているのが見て取れます。シティホテルとビジネスホテルは、当然ながら、前者の方が顧客満足度の分布も中央値も高くなっています。また、飲食とカフェを比較すると、含まれる業種や業態が幅広いだけに飲食の方の顧客満足度の分布が大きくばらついているのに対して、カフェは一定の範囲内に収斂しているように見えますし、中央値もやや高くなっています。どうでもいいことながら、私がよく利用しているミスタードーナツは飲食ではなくカフェに分類されているようです。また、今回の結果ではないんですが、携帯電話の顧客満足度が極めて特徴的なのが見て取れます。ほぼ独占に近いような少数社による寡占の弊害が出ているような気がします。

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2015年6月21日 (日)

ヤクルトに完勝して3連勝で5割復帰!!

  HE
ヤクルト000200000 261
阪  神01000300x 4100

投手陣がよく踏ん張って、特に休養十分のリリーフ陣がピシャリと抑えてヤクルトに完勝でした。打つ方はこんなもんでしょう。先発の藤浪投手はそれほど調子がよくないなりに試合を作ってくれたと思います。4連敗の後の3連勝で、ようやく5割復帰です。

次の広島戦も、
がんばれタイガース!

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メルボルン出張から帰国する!

1週間ほどブログをお休みしましたが、豪州メルボルンで開催されていた経済モデルの年次総会に出席していました。昨日になって帰国しました。年齢とともに体力が大いに低下している上に、機中泊から始まった出張で、海外での会議出席で疲れたせいもあってヘロヘロです。でも、体重はかなり増えてしまいました。昼間はほとんど会議でしたので写真もあまりありません。
メルボルンの地図は以下の通りです。

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2015年6月13日 (土)

今週の読書は経済書を中心に5冊ほど!

今週の読書は、なぜか経済書ばかり4冊と新書1冊の計5冊です。

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まず、岩井克人『経済学の宇宙』(日本経済出版社) です。ゼミ生だったお弟子さんの日経記者を相手に岩井教授が自伝的な半生を語っています。もちろん、ご自身の経済学の興味分野や、その当時の最新の経済学、あるいは、著名なエコノミストとの交流も着目すべきです。岩井教授ご自身が、留学してph,Dの学位を取ったころがエコノミストとしての頂点であり、東大助教授として帰国した際は、いわば「都落ち」のような印象を持った、といった部分が何となく分かる気がしました。

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次に、マーティン・ウルフ『シフト&ショック』(早川書房) です。著者は Financial Times などの経済・金融分野のコラムを担当するジャーナリストです。2007年のサブプライム・バブル崩壊から2008年のリーマン・ショック、さらに金融危機などの原因を考察し、金融危機の回避策を模索しています。本書はとても包括的で興味深いのは確かなんですが、このタイミングで出版されると少し語り尽された論点については、当たり障りのない議論に終始して売るような印象も受けます。今一度グレート・リセッションについて考えを巡らせ、いろんな論点をセリするには格好の書ですが、本書を読むことにより何か新たな発見を期待すべきではありません。

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次に、鷲田祐一『イノベーションの誤解』(日本経済出版社) です。著者自身も理解しているようですが、極めて挑戦的なタイトルで、読者によってはケンカを売られたと誤解する人もいるかもしれません。製造現場重視のイノベーションから、ユーザを巻き込んだマーケティングも考慮したユーザイノベーションというコンセプトで解き明かそうと試みています。新製品普及の際の情報の伝達について、初期はワッツ的なスモールワールド論が当てはまり、後期はバラバシ的なスケールフリー論が適用可能、というひとつの考えは成り立たないわけでもなかろうが、著者自身も気づいているように、正規分布を基にしたスモールワールドとべき乗分布に基づくスケールフリーが対立モデルであるだけに、とても苦しいこじつけと見えなくもありません。また、「イノベーション」という広く普及した言葉を使っていますが、エコノミストにとってはシュンペーターの「イノベーション」であり、製品、製造、市場、原料、組織の5点を展開した議論のうち、ユーザイノベーションが第1の視点である一方で「カイゼン」は第2の視点であり、どこまでいっしょに議論できるかに疑問が残りました。最後に、本書は学術書であり、イノベーションに興味を持つ一般の方々を対象にした教養書ではありません。読み始める際にその点は忘れるべきではないと思います。

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次に、翁邦雄『経済の大転換と日本銀行』(岩波書店) です。岩波書店のシリーズ「現代経済の展望」の現時点での最新巻、6巻目です。全シリーズは13巻あるらしいですから、先の長い話かもしれません。本書の著者は日銀金融研の所長を最後に退職して大学に天下ったエコノミストですので、いわゆる旧来の「日銀理論」の擁護に徹頭徹尾終始しています。なお、日銀政策委員に名を上げられながら国会でリジェクトされたBNPパリバ証券のエコノミストがいましたが、そのニューズレターの書評で絶賛されています。

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最後に、岡本裕一朗『フランス現代思想史』(中公新書) です。この業界の大御所岡本教授による解説書です。しかしながら、本書のスコープは1960年代のサルトルの実存主義批判から発生した構造主義から始まって、当然ながら、1968年の5月革命をはさんで、ポスト構造主義や脱構築など幅広いものとなっています。具体的な人名を上げた方が分かりやすいと思いますが、レヴィ=ストロース、ラカン、バルト、アルチュセール、フーコー、ドゥルーズ=ガタリ、デリダなどが取り上げられています。しょっぱなに、いわゆる Sokal Hoax から始まっています。ご興味ある向きは「ソーカル事件」でweb検索してみれば、フランス現代思想の面白おかしく怪しい一面がうかがえそうな気もします。巻末の読書案内も、「忍耐力さえあれば、読み通すことができる」など、極めて適確な標語とともに参考文献が網羅されています。

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2015年6月12日 (金)

今夜は福原投手が打たれてオリックスにサヨナラ負け!!

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  HE
阪  神0000000000 031
オリックス0000000001x 190

中盤から終盤は阪神が押し気味だった場面もありましたが、結局、福原投手が打たれて延長戦でオリックスにサヨナラ負けでした。マートン外野手をスタメンから外して打線を組み替えたんですが、相変わらず左投手はサッパリ打てないみたいです。メッセンジャー投手は復帰後無失点を続けているんですが、打線に得点力なくリリーフ投手が延長で失点するんですから、どうも勝てません。

明日は、
がんばれタイガース!

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世銀「世界経済見通し」 Global Economic Prospects やいかに?

昨日、世銀から「世界経済見通し」Global Economic Prospects が公表されています。副題は Global Economy in Transition とされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。あまり注目されることのないリポートですので、簡単に紹介しておきたいと思います。
まず、世界経済の成長率は2015年+2.8%、2016年+3.3%、2017年+3.2%と見込まれています。今年1月時点での「世界経済見通し」Global Economic Prospects 比較して、今年2015年は▲0.2%下方改定されていますが、2016-17年は変更ありません。我が国の成長率は2015年+1.1%、2016年+1.7%、2017年+1.2%と予想されています。1月時点の見通しから2015年は▲0,1%ポイント下方改定されたものの、逆に2016年は+0,1%ポイント上方改定されています。いうまでもありませんが、2017年の成長率が低下するのは消費増税の第2段階目が2017年4月に実施されるからです。
下の画像は世銀のサイトにある Infographic です。クリックすると全文リポート p.4 TABLE 1.1 The global outlook summary のページだけを抜き出したpdfファイルが別タブで開きます。

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2015年6月11日 (木)

延長11回に安藤投手が松田選手のサヨナラツーランに沈んでソフトバンクに負ける!!

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 十一 HE
阪  神01000002000 360
ソフトB10011000002x 5110

8回に福留外野手のタイムリーで追いつきましたが、安藤投手が松田選手のツーランに沈んでサヨナラ負けでした。打線としてはマートン外野手のブレーキが何とも痛かった気がします。終始押されっ放しで、ソフトバンクとの層の厚さの違いや力の差は歴然としていたように感じてしまいました。

明日からの関西ダービーは、
がんばれタイガース!

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法人企業景気予測調査の景況判断BSIはマイナスに転じるものの設備投資計画は前年比プラス!

本日、財務省から4-6月期の法人企業景気予測調査の結果が公表されています。ヘッドラインとなる大企業の景況判断指数BSIは▲1.2と1-3月期の+1.9から低下してマイナスに転じています。ただし、7-9月期以降は再びプラスに戻ると見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況判断指数、4-6月は4期ぶりマイナス 7-9月は10.6
内閣府と財務省が11日発表した4-6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数はマイナス1.2だった。マイナスは4四半期ぶり。前回の1-3月期はプラス1.9だった。
先行き7-9月期の見通しはプラス10.6(前回調査時は7.8)、10-12月期は8.9と、今後は回復を見込んでいる。
大企業のうち製造業はマイナス6.0(1-3月期はプラス2.4)。自動車メーカーで新車投入に伴う生産が一服したことや鉄鋼業の在庫調整などが響いた。原油価格の下落で恩恵を受けた化学工業や値上げが浸透した食料品製造業などはマインドが改善した。非製造業はプラス1.3だった。
2015年度の全産業の設備投資見通しは前年度と比べ5.9%増だった。前回3月調査時点は3.9%減だった。スマートフォンや自動車向け電子部品の生産能力増強や銀行のシステム投資などが寄与する見込み。
結果について財務省は「景気は緩やかな回復基調が続いている」とするこれまでの認識を据え置いた。
調査は資本金1000万円以上の1万6405社を対象に実施し、回答率は80.4%。調査基準日は5月15日だった。同調査は日銀の企業短期経済観測調査(短観)の内容を予測する手掛かりとして注目されている。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と青の折れ線の色分けは凡例の通りです。色が濃いのが実績で、薄いのが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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この統計のヘッドラインとなる大企業の景況判断BSIを見ると、やはり、足元の4-6月期が踊り場的な減速に入っているのが企業マインドからも確認できます。しかし、昨夜のエントリーでも指摘したように、第1に、我が国景気の減速は海外経済に起因している可能性が高いことが伺われます。すなわち、4-6月期の大企業ののうち製造業の景況判断BSIは▲6.0を示している一方で、非製造業はマイナスに転ずることなく1.3を記録しています。第2に、あくまで企業マインドに即した可能性ながら、この踊り場は決して長くなく、7-9月期には終了している可能性も読み取れます。すなわち、大企業と中堅企業の景況判断BSIは足元の4-6月期はマイナスながら、7-9月期にはプラスに戻ると見込まれており、中小企業でも10-12月期にはプラスを回復するとの結果です。なお、このあたりの規模に伴う企業マインドの回復の時期的なズレについては、従来からこんなもんだという気もしないでもありません。また、図表はお示ししませんが、経常利益については全規模の合計で2015年度も増益を見込んでいますが、2015年度の上半期は減益の後、下半期で上半期をカバーする増益、という見通しが示されています。
さらに、これも図表は示しませんが、従業員と設備に関する要素需要の見込みについて全規模の合計で見て、従業員判断BSIは引き続き人手不足を示しつつも、年末にかけてその人手不足の程度は緩和されるとの結果が示されています。また、2015年度の設備投資計画については、こういった統計のクセとして、1-3月期調査の段階では固めに前年度比▲3/9%減と見込まれていましたが、年度が明けて設備投資計画を精査したところ+5.9%増に上方修正されました。特に、非製造業の+0.5%増に比べて、製造業では+15.7%増と大きく増加すると見込まれています。

4月1日に公表された3月調査の日銀短観では慎重なサイドに振れた企業マインドが示されたと私は受け止めています。7月1日に公表される6月調査の日銀短観やいかに?

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2015年6月10日 (水)

効果的な長打でソフトバンクに競り勝つ!!

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  HE
阪  神012020000 570
ソフトB010020100 470

福留外野手と鳥谷遊撃手のホームランにゴメス選手のタイムリー・ツーベースと、効果的な長打が出てソフトバンクに競り勝ちました。昨夜はタイガースが連勝を止められましたが、今夜はホークスの連勝ストップです。こういった競った試合をモノにするのは重要だという気がします。藤浪投手に勝ち星がついたのもとってもよかったです。

明日も、
がんばれタイガース!

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大幅に増加した機械受注と膠着状態にある企業物価

本日、内閣府から4月の機械受注が、また、日銀から5月の企業物価が、それぞれ公表されています。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は前月から+3.8%増加して9025億円となり、企業物価のうちの国内物価上昇率は前年同月比で▲2.1%を記録しました。前月と同じでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、4月3.8%増 市場予想上回る、基調判断を上方修正
内閣府が10日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比3.8%増の9025億円だった。製造業からの受注増がけん引し、2カ月連続で前月実績を上回った。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.5%減)より上振れした。
金額ベースでは2008年7月(9031億円)以来、6年9カ月ぶりの高水準だった。内閣府は機械受注の基調判断を「持ち直している」と改め、昨年12月以来4カ月ぶりに上方修正した。従来は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」だった。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は10.5%増の4020億円だった。プラスは2カ月連続。3月(0.3%増)から増加幅が拡大した。業種別では、半導体製造装置などを含む「電気機械」、工作機械や産業用ロボットなどの「自動車・同付属品」といった分野の発注増が寄与した。半面、非製造業(船舶・電力除く)から受注した金額は0.6%減の4949億円と、2カ月ぶりに前月実績を下回った。
内閣府は5月に4-6月期の受注額(船舶・電力除く民需)が前期比7.4%減るとの見通しを示している。5、6月の受注額がともに横ばいだった場合、4-6月期の受注額は5.3%増になるという。
5月の企業物価、増税除き前年比2.0%下落 7カ月連続前年割れ
日銀が10日発表した5月の国内企業物価指数(2001年=100)は103.9で、前年同月比2.1%下落した。一部公共料金などで残る消費増税の影響を除くと2.0%の下落となり、7カ月連続で前年同月を下回った。下げ幅は4月(2.2%)から縮小した。
前月比では0.3%上昇した。前月比の上昇要因を品目別に見ると、原油価格の反発で「石油・石炭製品」が上昇。中国の需要増への期待を背景に「非鉄金属」の価格も上がった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち、前年同月比で上昇したのは340品目、下落は351品目となり、5カ月連続で下落品目が上昇品目を上回った。下落品目と上昇品目の差は11品目で、4月の26品目から縮小した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は、続く企業物価も含めて同様に、景気後退期を示しています。

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市場の事前コンセンサスはコア機械受注で前月▲1.5%減から▲2%減くらいまでが中央値でしたから、ややびっくりしたというのが正直な印象です。先月の公表段階で4-6月期の受注見通しについてはコア機械受注の前期比で▲7.4%減でしたから、これと照らし合わせても大きな上振れだと受け止めています。特に、電気機械や自動車・同付属品といった我が国が従来から比較優位にある製造業が大きく増加しており、これらを総合して、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」から「持ち直している」に上方修正しています。
なお、私の基本的な景気認識としては、繰り返しこのブログに書いた通り、4月くらいからの足元の景気は海外需要の減速のために踊り場に入る可能性があると見ていましたが、設備投資をはじめとして内需が拡大することにより、ごく短い踊り場で一気に内需主導の景気回復に戻る可能性もなくはない、との見方もあり得るかもしれません。でも、ボーナスや賃上げが実感されて消費が上向くには時間がかかる可能性が十分あるでしょうから、一気に踊り場を駆け抜けるとも思えません。いずれにせよ、機械受注をはじめとして、もう少し指標の動きを見極めたいと思います。

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続いて、企業物価上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の、下のパネルは需要段階別の、それぞれの上昇率をプロットしています。いずれも前年同月比上昇率ですが、昨年4月の消費税率引上げに伴う物価の押上げ効果が先月から剥落した上に、昨年後半からの国際商品市況での原油価格の低下の影響も大きく、ヘッドラインの国内物価が4月、5月とも▲2.1%を記録するなど、一気に上昇率が低下しマイナスに落ち込んでいたりするのが読み取れます。消費増税分を除くと4月から下落幅は縮小したとはいうものの、企業物価をはじめとして消費者物価なども、しばらく膠着した動きが続く可能性があります。消費者物価上昇率2%という日銀のインフレ目標については、原油価格の低落から現時点では目標を達成できていないわけですが、これまた、物価についてももう少し長い目で見る必要がありそうな気がします。

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2015年6月 9日 (火)

ソフトバンクにボロ負けして連勝ストップ!!

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  HE
阪  神000000000 040
ソフトB10201001x 5150

まったくなすすべなく、ソフトバンクにボロ負けでした。点差以上に差が大きかった気がします。まったく勝てそうな雰囲気はありませんでしたので、私はさっさとお風呂に入ってしまいました。

明日は、
がんばれタイガース!

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2か月連続で低下した消費者態度指数の先行きやいかに?

本日午後、内閣府から5月の消費者態度指数が公表されています。先月から▲0.1ポイント低下して41.4を記録しています。ほぼ横ばい圏内ながら、4月5月と2か月連続の低下を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の消費者態度指数、0.1ポイント低下の41.4 基調判断引き下げ
内閣府が9日発表した5月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.1ポイント低下の41.4だった。2カ月連続で前月から悪化した。指数を構成する4つの意識指標のうち、「雇用環境」が前月から1.4ポイント低下した。食料品などで値上げが続いていることも消費者の心理に影響したようだ。
内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。判断を引き下げるのは2014年11月以来、半年ぶり。
意識指標では「雇用環境」のほか、「耐久消費財の買い時判断」も前月から低下した。「暮らし向き」と「収入の増え方」は上昇した。
1年後の物価見通しについて「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月から1.8ポイント減少し、87.4だった。
調査は全国8400世帯が対象。調査基準日は5月15日で、有効回答数は5498世帯(回答率は65.5%)だった。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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昨日公表された景気ウォッチャーが供給サイドのマインドを、この消費者態度指数が需要サイドのマインドを、それぞれ代表する指標だと私は考えているんですが、いずれも5月はほぼ横ばい圏内ながら低下を示しています。景気ウォッチャーの基調判断は「緩やかな回復基調」で据え置かれましたが、消費者態度指数は、引用した記事にもある通り、「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正されています。半ノッチくらい下方修正と受け止めています。まあ、6か月振りの低下だった景気ウォッチャーと2か月連続の低下だった消費者態度指数の違いはありますが、ビミョーなところかもしれません。消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントのうち、「収入の増え方」と「暮らし向き」は上昇を示しているんですが、特に、「雇用環境」が▲1.4ポイントと大きく低下を示しています。緩やかな景気回復に従って労働市場に新規参入ないし再参入しようとした向きがまだ適当な職を見つけられないのか、それとも、4-5月くらいから生産が踊り場に入って派生需要である労働市場がパッとしないのか、不勉強にして追加情報はありません。夏場に向けて、ボーナスの増加や賃上げ効果で消費が拡大したり、あるいは、本格的な設備投資需要が盛り上がったり、といった内需主導の景気回復を私は期待しています。

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2015年6月 8日 (月)

1-3月期2次QEは設備投資の上振れで大幅上方改定も景気は足元で踊り場か?

本日、内閣府から今年2015年1-3月期のGDP統計速報、いわゆる2次QEが公表されています。ヘッドラインとなる実質成長率は前期比+1.0%、前期比年率+3.9%と、1次QEから大きく上方修正されています。主たる改定要因は設備投資です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月実質GDP改定値、年率3.9%増に上方修正
速報は2.4%増

内閣府が8日発表した2015年1-3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増、年率換算では3.9%増だった。設備投資の上振れなどにより、5月20日に公表した速報値(前期比0.6%増、年率2.4%増)から大幅な上方修正となった。
設備投資は1-3月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、前期比2.7%増(速報値は0.4%増)に大幅に上振れた。法人企業統計では卸売業・小売業やサービス業などが増加に寄与した。内閣府では「設備投資が増えてきたのは景気にとって良い流れ」としている。
民間の在庫寄与度はプラス0.6ポイントとなり、速報値(プラス0.5ポイント)から小幅な上方修正となった。商業動態統計の確報値を反映し、流通在庫が上振れた。原材料在庫も速報段階で仮置きしていた水準を上回った。
個人消費は0.4%増(速報値は0.4%増)、公共投資は1.5%減(同1.4%減)だった。
生活実感に近い名目GDPは前期比2.3%増(同1.9%増)、年率では9.4%増(同7.7%増)だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期と比べてプラス3.4%(同プラス3.4%)だった。
同時に発表した14年度の実質GDPは13年度比0.9%減と、速報値の1.0%減から小幅に上振れた。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2014/1-32014/4-62014/7-92014/10-122015/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+1.1▲1.7▲0.5+0.3+0.6+1.0
民間消費+2.1▲5.1+0.4+0.4+0.4+0.4
民間住宅+2.0▲10.8▲6.4▲0/6+1.8+1.7
民間設備+5.1▲4.8+0.1+0.3+0.4+2.7
民間在庫 *(▲0.6)(+1.3)(▲0.7)(▲0.2)(+0.5)(+0.6)
公的需要▲0.4+0.4+0.5+0.2▲0.2▲0.2
内需寄与度 *(+1.4)(▲2.7)(▲0.5)(+0.0)(+0.8)(+1.1)
外需寄与度 *(▲0.3)(+1.1)(+0.1)(+0.3)(▲0.2)(▲0.2)
輸出+6.1▲0.0+1.6+3.2+2.4+2.4
輸入+6.6▲5.2+1.1+1.4+2.9+2.9
国内総所得 (GDI)+0.8▲1.5▲0.7+0.5+1.8+2.2
国民総所得 (GNI)+0.6▲1.3▲0.3+1.5+0.9+1.3
名目GDP+1.3+0.1▲0.7+0.8+1.9+2.3
雇用者報酬+0.0▲1.6+0.6▲0.0+0.6+0.6
GDPデフレータ+0.1+2.2+2.1+2.4+3.4+3.4
内需デフレータ+0.8+2.5+2.3+2.1+1.4+1.4

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2015年1-3月期の最新データでは、前期比成長率がプラスを示し、グレーの民間在庫が大きく、また、赤の民間消費と水色の設備投資がそれぞれ小幅のプラス寄与を示している一方で、黒の外需がマイナス寄与に転じたのが見て取れます。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは前期比年率で+2.7%でしたから、これもかなり上回り、大幅な上方改定であったと受け止めています。先月の1次QE公表時にこのブログでは「年率+2.4%成長は物足りないか?」と題した記事だったものですから、+4%近い成長率は十分ではないかと思います。特に、1次QEの「物足りない感」を強めていたのが在庫の寄与の大きさだった一方で、2次QEは設備投資の寄与が+0.4%ありますから、これでもまだ+0.6%の在庫の寄与には及ばないとはいえ、1-3月期の上方修正に加え、今回の季節調整替えの影響などによって、過去2四半期、すなわち、2014年7-9月期と10-12月期の設備投資がマイナスからプラスに上方修正されているのも目を引き、景気回復感が強まったように受け止めています。先週の法人企業統計の設備投資を詳しく見ると、卸売業・小売業をはじめとする非製造業の伸びが大きく、消費の回復を見越した投資と受け止められており、今後、ボーナスや賃上げによる所得の改善とともに消費がさらに上昇を示せば、内需中心の景気回復が本格化する可能性もあります。ただし、現時点で明らかな4月の統計をいくつか見る限り、冬季の海外経済の減速、特に米国と中国の減速のため、4-6月期からは我が国経済も一時的に踊り場のような減速状態に入る可能性が大きいと私は予想しています。

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GDP統計のほかにも、本日、いくつか経済指標が公表されています。上は景気ウォッチャーのいつものグラフです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。現状判断DIがやや低下し、先行き判断DIがやや上昇していますが、ほぼ先月から横ばい圏内の動きで、統計作成官庁である内閣府の基調判断も「緩やかな回復基調」で据え置かれています。

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さらに、上は経常収支のいつものグラフです。青い折れ線が経常収支の推移を、積上げ棒グラフがその内訳をそれぞれ表しています。いずれも季節調整済みの系列です。4月の経常収支は3月の経常黒字からまたしても赤字に戻っています。

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2015年6月 7日 (日)

小刻みな加点で日本ハムを下して能見投手4勝目で4連勝!!

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  HE
日本ハム010000000 172
阪  神10001110x 480

能見投手が6回まで失点1とまずまずの好投を見せて早めに交代した後、中継ぎと抑えのリリーフ陣がしっかりと仕事をし、日本ハムに完勝して4連勝を記録しました。打つ方でも小刻みに加点し、阪神らしい勝利だった気がします。

明日も、
がんばれタイガース!

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先週の読書は経済書を中心に6冊ほど!

先週の読書は、経済書と専門書のノンフィクション、新書など以下の6冊です。

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まず、大内伸哉『労働時間制度改革』(中央経済社) です。この読書感想文のブログでは経済書に分類しておきますが、著者は神戸大学法学部の労働法学者であり、エコノミストではありません。サブタイトルが「ホワイトカラー・エグゼンプションはなぜ必要か」となっています。私はこの副題に留意しながら読み進んだんですが、この副題の問いは答えられていないと感じざるを得ませんでした。著者の結論は最後の第8章に取りまとめられているんですが、p.203-04 で著者自らが問うている現行制度、特に裁量労働制や管理者監督者制でなぜダメなのかは私の頭の回転が悪いせいか、明らかではありませんせした。一応、私は役所の管理職で管理者監督者ですし、他方、研究者ですから裁量労働制の経験もあります。その上で、本書の著者も薄々感じている「人件費の削減」目的について、p.210 で何の論証もなく否定しています。ホワイトカラー・エグゼンプションも、移民を含む外国人労働者の受入れも、正社員の雇用保障の緩和も、すべて経営者側から提案されている労働に関する規制緩和などの改革案は、ひょっとしたら、人件費の削減を目的にしているのかもしれない、という目で見直すことが必要です。労働に関する「岩盤規制の見直し」などと称されながら、この視点に耐えられる労働制度改革はどれだけあるんでしょうか?

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次に、ウィリアム・ノードハウス『気候カジノ』(日経BP社) です。著者は米国エール大学の教授であり、経済学者の立場から地球温暖化や気候変動を分析するDICE/RICEと名付けられたモデルを開発しています。後に出てくる岩波新書の『異常気象と地球温暖化』の著者は気候科学者であり、ペアで私は読みました。地球温暖化や気候変動については、科学的に、人間活動に由来する気温上昇は明らかに自然界で吸収できないレベルに達しており、気候科学から見て4℃を超える気温上昇はかなり破壊的な影響をもたらすことが明らかです。経済学的に見ても、決して一国で対応できるわけではなく、多数の国際間協力でより大きな効果を上げることができ、さらに、可及的速やかな対応策が低コストかつ効率的な効果をもたらすことが明らかです。とても重要な課題なんですが、本書の最後の第Ⅴ部の気候変動の政治学にもある通り、米国保守派でダーウィン進化論を否定するがごとく、気候変動の科学的な知見を認めない人が少なくないのは残念です。なお、著者がエール大学で開発しているDICE/RICEモデルとともに、マサチューセッツ工科大学(MIT)で運営されているEPPAモデルもこの分野では注目されています。以下はリンク先です。Excelで動かせるフルモデルもあったりします。

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次に、小林信介『人びとはなぜ満州へ渡ったのか』(世界思想社) です。一応、経済書に分類しておきます。というのは、本書は著者が経済学の博士号を申請した論文を基に編集されているからです。通常、満州移住は貧しさ故に、というか、有り体に言えば、日本で食いっぱぐれて渡満したと俗説で信じられているところ、長野県の史料から検証しており、この俗説を否定するとともに、渡満を推奨する世話役的な、本書では「中心人物」とか「中堅人物」としている仲介者、現在の用語で言えばブローカーのような人物の活躍、さらに、本書で「バスの論理」と読んでいるイワユル」バンドワゴン効果、さらにさらにで、長野県の場合は、1933年2月の左翼教員弾圧による地ならし的な効果などの複合的な要因により渡満の多寡が決まっている、と結論しています。明確な表現はなかったかもしれませんが、貧困による食い扶持減らし的なプッシュ要因ではなく、仲介者から国策である満州移民を求められたというプル要因の方が強かった、という結論です。一応、それなりの統計的な検証もしているんですが、何分、長野県内の検証にとどまっており、ホントに日本全国でこの論理が成立するかどうかはとても怪しいと私は受け止めています。興味深い一考察ではありますが、日本からの満州移民について、現地人の目から日本の国策に従った「加害者」と見なすか、逆に、実にマルサス的な貧困ゆえの「被害者」と見なすか、本書はやや前者の傾向を示してしまいそうな気がしないでもありません。

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次に、ジャック・エル=ハイ『ナチスと精神分析官』(角川書店) です。著者は医療、科学、歴史を得意分野とするジャーナリスト、ノンフィクション・ライターです。本書はタイトルが少し分かりにくいんですが、ナチスでナチス流の精神論を振りまいた精神分析官をメインに据えているんではなく、第2次大戦後にナチスの戦犯を裁くニュルンベルク裁判の被告と接した米国陸軍の精神科医であるダグラス・ケリー少佐を主人公にしています。ナチス側の主たる登場人物はゲーリングです。要するに、第2次世界大戦を引き起こし、同時に、ユダヤ人大虐殺を実行したナチ高官は、「ナチ気質」とでもいった異常な精神構造、あるいは、精神医学的な異常を有していたのか、それともそうでないのか、という疑問を解き明かそうとした精神科医の物語です。結論は後者であり、ナチ高官は精神医学的な異常を有していたわけではない、ということですから、場合によっては、考えたくもないことかもしれませんが、日本はもちろん米国や欧州でも、戦争を引き起こしたり特定の人種の抹殺を図ったりといった異常行動に走る可能性がある、ということです。私はこの結論は当然と受け止めました。「民族浄化」の名の下にコソボでセルビア人大虐殺が実行されたのは1990年代のつい最近のことです。民主主義と平和を守るためには、それと意識した努力が必要なのだということを戦後70年にして改めて実感しました。

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次に、鬼頭昭雄『異常気象と地球温暖化』(岩波新書) です。著者は気象庁出身の科学者であり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会の第2次評価報告書から第5次評価報告書までの執筆を担当した研究者です。ノードハウス教授が経済学の立場から地球温暖化や気候変動を解き明かしているのに対して、本書は気候科学の立場からの研究成果を取りまとめています。繰返しになりますが、科学的に、人間活動に由来する気温上昇は明らかに自然界で吸収できないレベルに達しており、気候科学から見て4℃を超える気温上昇はかなり破壊的な影響をもたらすことを本書では明らかに跡付けています。

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最後に、高野潤『新大陸が生んだ食物』(中公新書) です。主として南米のペルーやボリビアをはじめとしたアンデスやアマゾン上流の食物を取材しています。「新大陸」とのタイトルながら地域的に限定されているのと同じように、「食物」のタイトルながら草食系しか取り上げられていません。肉食系の人には物足りないかもしれません。私は南米チリの大使館に経済アタッシェとして3年余勤務しましたが、知らないことばかりでした。なお、著者はカメラマンですので、フルカラーの写真を豊富に収録しており、写真を見るだけでも手に取る値打ちがありそうな気がします。

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2015年6月 6日 (土)

息詰まる投手戦で虎の子の1点を完封リレーで守り切り日本ハムに先勝して5割に復帰!!

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  HE
日本ハム000000000 020
阪  神00010000x 151

両先発の阪神メッセンジャー投手と日本ハム大谷投手の息詰まる投手戦でしたが、大谷投手に11三振を喫しながらも、上本内野手のタイムリーによる虎の子の1点を守り切って日本ハムに先勝して5割に復帰しました。打つ方では上本内野手の唯一のタイムリーも見事でしたが、2番に起用された柴田外野手の2安打も光りました。投手陣では何といっても先発メッセンジャー投手が8回を2安打無失点に抑え、最終回は呉投手が三者三振に切って取りました。阪神らしい勝利だった気がします。

能見投手の踏ん張りに期待して明日も、
がんばれタイガース!

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米国雇用統計は順調な米国景気の拡大を示すのか!

昨日、米国労働省から5月の米国雇用統計が公表されています。季節調整済の系列で見て、ヘッドラインとなる非農業部門雇用者の前月からの増加は+280千人を、失業率は前月から+0.1%ポイント上昇したものの依然として低水準の5.5%を、それぞれ記録しています。まず、New York Times のサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

Strong Job Growth Data Eases Concerns After Winter Dip in Economy
You could almost hear the sighs of relief.
Worries about the American economy's momentum were blunted on Friday by the government's announcement that e mployers added a hefty 280,000 jobs in May, well above the monthly average logged over the last year.
The official unemployment rate ticked up slightly to 5.5 percent as more Americans jumped back into the labor pool and began the job hunt. Hourly wages, which have grown fitfully, rose 0.3 percent last month, possibly helping to lure back some discouraged workers who had been staying on the sidelines.
The new data is likely to buttress the argument that the economy's modest contraction in the first quarter and other pasty-faced reports were a blip, partly a casualty of the harsh winter, rather than evidence of a more fundamental slowdown.
The return of stronger job growth is also likely to bolster the resolve of Federal Reserve officials who hope to start raising interest rates from their near-zero level later this year.

やや長いものの、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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非農業部門雇用者数の前月からの増加幅に関して、市場の事前コンセンサスは220-30千人でしたから、かなりこれを上回った結果だと受け止められているようです。しかも、異常気象だった冬季を過ぎて、西海岸の港湾労働紛争も集結し、4月の+221千人に続いて5月も+280千人の雇用増と、米国労働市場の一応の目安とされる+200千人増を軽く上回っていますので、米国経済が冬季の減速を終えて本格的に回復軌道に戻りつつあることが実感されます。特に、小売業の雇用増が消費の回復を示唆していると考えるべきです。失業率も先月から+0.1%ポイント上昇しましたが、景気回復に伴って労働市場に復帰する失業者の増加による労働参加率の高まりも同時に生じており、決して悪い数字と考える必要はありません。市場の観測によれば、米国連邦準備制度理事会(FED)は早ければ9月か10月にでも利上げを開始しそうですが、先週5月28日に明らかにされた国際通貨基金(IMF)の 2015 Article IV Consultation のステートメントではインフレ率との見合いで、場合によっては "keeping the fed funds rate at 0-0.25 percent into the first half of 2016" も imply される、と結論しています。とても回りくどい表現ですが、京都人として何となく理解できるものがあったりします。

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また、日本やユーロ圏欧州の経験も踏まえて、もっとも避けるべきデフレとの関係で、私が注目している時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、ほぼ底ばい状態が続いている印象です。サブプライム・バブル崩壊前の+3%超の水準には復帰しそうもないですが、まずまず、コンスタントに+2%のライン周辺で安定していると受け止めており、少なくとも、底割れしてかつての日本や現在の欧州ユーロ圏諸国のようにゼロやマイナスをつけてデフレに陥る可能性は小さそうに見えます。

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2015年6月 5日 (金)

景気動向指数は昨年4月の消費増税の反動のそのまた反動で大きなプラスを示す!

本日、内閣府から4月の景気動向指数が公表されています。ヘッドラインとなるCI一致指数は+1.9ポイント上昇して111.1を、CI先行指数も前月から+1.2ポイント上昇して107.2を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の景気一致指数、1.9ポイント上昇
内閣府が5日発表した4月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.9ポイント上昇の111.1だった。数カ月先の景気を示す先行指数は1.2ポイント上昇の107.2。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。
CIは、指数を構成する経済指標の動きを統合して算出。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。

いつもながら、簡潔によく取りまとめられた記事だという気がします。あまりに簡潔すぎて続報が出そうな気もしますが、現時点ではこれだけです。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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当月の統計だけで見ると、CI一致指数は3か月ぶりの上昇、CI先行指数は2か月連続の上昇です。3か月後方移動平均だと、CI一致指数は2か月連続の下降ですから、単月ではかなり大きな上昇ながら、まだまだ4月の景気は本格的な回復とは言いがたい印象があります。特に、CI一致指数の上昇への寄与を見ると、商業販売額(小売業)(前年同月比)と商業販売額(卸売業)(前年同月比)の寄与が合わせて+1ポイントを超えており、昨年の消費増税前後の駆込み需要と反動減のそのまた反動ですから、やや割り引いてみる必要がありそうな気がします。また、投資財出荷指数(除輸送機械)がプラス寄与の一方で、耐久消費財出荷指数がマイナス寄与ですから、企業部門から家計部門にトリクルダウンしていない現状が見て取れます。設備投資も大いに結構ですが、やっぱり賃上げによる消費の喚起を望みたいと思います。

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2015年6月 4日 (木)

今夜はスッキリ完封リレーでロッテに完勝!!

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  HE
ロ ッ テ000000000 060
阪  神01000020x 370

一昨夜と昨夜はもつれた試合になりましたが、今夜はスッキリ完封リレーで岩貞投手の今季初勝利でした。打つ方では江越外野手の先制打も光りました。

明日は日本ハムを甲子園に迎えて、
がんばれタイガース!

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OECD「経済見通し」Economic Outlook, No.97 は世界経済の減速を示唆するのか?

昨日、経済協力開発機構(OECD)から半年に1度の「経済見通し」Economic Outlook, No.97 が公表されています。ヘッドラインとなる実質GDP成長率見通しを見ると、日本は今年2015年+0.7%と昨年11月の見通しから▲0.1%ポイント引き下げた一方で、来年2016年は+1.4%と逆に+0.4%ポイント上方に修正しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

世界の景気回復もたつく OECD見通し、下方修正
世界の景気回復がもたついている。経済協力開発機構(OECD)は3日発表した最新の経済見通しで、2015年の世界の実質経済成長率の見通しを3.1%と、前回14年11月時点の3.7%から下方修正した。年初の米国景気の一時的な低迷や、中国の景気減速が背景にある。
日本経済の成長率見通しは15年を0.7%と、前回から0.1ポイント引き下げた。消費増税後の反動減からの回復が遅れたためだ。一方、先行きは「消費者心理は改善しており、賃上げやボーナスも加わって消費は回復していく」(OECD経済局)と見ており、16年は1.4%と前回から0.4ポイント上方修正した。
海外景気の回復の足取りは弱そうだ。米国の見通しは15年を2.0%、16年を2.8%とした。前回と比べ、15年は1.1ポイントと大きく引き下げ、16年も0.2ポイントの下方修正となった。15年1-3月に悪天候でマイナス成長になったうえ、利上げ観測の台頭に伴うドル高が企業収益を圧迫しているためだ。
ただ米国の経済指標は足元で明るさも見えている。OECDも労働市場の改善を背景に家計の消費や住宅投資が回復し、強い成長を取り戻すとのシナリオは崩していない。
中国の見通しも下方修正した。15年は前回より0.3ポイント低い6.8%、16年は0.2ポイント低い6.7%とした。不動産投資や設備投資の減速や、供給過剰に陥っている製造業の投資効率の低下が成長を下押しするとみている。
中国政府は15年の成長率を「7%前後」とする目標を掲げている。OECDの見通しは政府目標を下回る格好となり、景気減速への警戒感がにじむ。日本にとっても「中国の減速が深刻になることが最大のリスク」(OECD)と位置づけた。
報告書では主要国に共通する課題として、生産性の伸びが弱まっていることを指摘した。経済を高い成長ペースに乗せるため、設備投資の増加が必要だと強調。各国当局に投資を促す政策の実施を求めた。

ということで、私はpreliminaryなバージョンのリポート全文をpdfで入手しましたが、OECDのサイトにも第1章と第3章は公開されています。以下の通りです。第2章は国別見通しですので、第1章と第3章でほとんど重要な情報は収集できそうな気がします。

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上のグラフはヘッドラインとなる経済成長率をOECD加盟国と非加盟国とその合計である世界全体で四半期別の推移をプロットしています。リポート第1章から p.12 Figure 1.1. Global growth is set to recover を引用しています。なお、グラフから読み取れますが、今年1-3月期の成長率が減速したのは米国の冬季の異常気象や港湾労働紛争に起因すると私は考えています。中華圏の春節要因もあるかもしれませんが、私にはこのグラフほどのインパクトがあったとは想像できません。また、この1-3月期の成長率の減速がOECD経済見通しの発射台を下方修正してしまったことから、引用した日経新聞の記事にもあるように、見通し全体が下方修正されて世界経済の回復がもたついているように見えている可能性があると私は受け止めています。もちろん、米国のドル高による企業収益圧迫や中国の製造業の供給過剰などにより、米中G2の成長率の下方修正が世界経済の成長率の引下げにつながっているのは引用した記事の通り明らかなんですが、他方、予測の発射台の下方修正を考慮すれば、世界経済の回復は数字に表れているほどもたついているわけではない、とも考えられます。それから、上のグラフだけではやや情報量が不足するような気がしたので、画像をクリックすると、リポート p.6 Summary of projections の1ページだけを抜き刷りしたpdfファイルが別タブで開くようになっています。

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ということで、第1章の見通し概観と第2章の国別見通しに続いて、第3章では投資の増加を分析しています。上のグラフはリポートから p.215 Figure 3.7. Domestic tangible capital investment by foreign-owned firms を引用しています。私のこのブログでも長らく設備投資増加の必要性を訴えているんですが、特に上のグラフから、日本における外資の投資がとても少ないことが読み取れます。プロットされているのは有形の投資のGDP比ですから技術供与や特許などが含まれていないとはいうものの、他のOECD加盟国と比べて極端に外資の投資が少ない点は理解できると思います。日本企業のアニマル・スピリットが将来に対する投資を抑制的に作用している可能性がある上に、外資の投資受入れもこの程度では、この先、ますます人口減少社会に入っていく日本の生産性を設備投資の面から高めることが難しそうな気がして不安が残ります。

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第2章の国別見通しに戻って、日本の見通しサマリーである p.140 Japan: Demand and output を引用すると上の通りです。GDP成長率とGDPコンポーネントを取りまとめています。引用は省略しますが、第2章の国別見通しの日本の部分 pp.138-42 では人手不足や労働力不足がかなり分析を加えられていて、国際的にも多くのエコノミストから注目されていることが実感されます。
最後は OECDのサイトにあるフラッシュをシェアしています。

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2015年6月 3日 (水)

8点差からまさかの延長戦に突入したものの何とかサヨナラでロッテに勝利!!

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ロ ッ テ0000008000 8111
阪  神2110310001x 9171

何とかサヨナラで勝ったので、まだよかったんですが、8回一気に追いつかれるというハラハラの展開でした。昨夜の試合は見ていないんですが、今夜の試合も落とすようだと、かなり苦しい展開といえました。それにしても、鳥谷選手は流し打ちのバッティングが目につくんですが、私としてはもっと引っ張って強い打球を見せて欲しい気がします。

明日も、
がんばれタイガース!

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来週月曜日6月8日に公表される2015年1-3月期2次QE予想やいかに?

来週月曜日の6月8日に今年2015年1-3月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっており、一昨日の法人企業統計の発表により必要な経済指標がほぼ明らかにされ、シンクタンクや金融機関などから2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、先行きの今年4-6月期以降を重視して拾っています。もっとも、明示的に取り上げている機関は決して多くなく、2次QEですからアッサリした発表のリポートも少なくありません。なお、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.6%
(+2.4%)
n.a.
日本総研+0.7%
(+2.8%)
成長率は前期比年率+2.8%(前期比+0.7%)と1次QE(前期比年率+2.4%、前期比+0.6%)から上方修正される見込み。
大和総研+0.6%
(+2.5%)
在庫投資の減少がGDPの下押し圧力となるものの、最終需要が増加する中での在庫調整の進展と解釈することができるため、むしろポジティブな内容である。
みずほ総研+0.9%
(+3.7%)
2015年4-6月期は在庫投資や公共投資が下押し要因となるものの、個人消費や設備投資を中心に回復が続くと予想している。
ニッセイ基礎研+0.6%
(+2.3%)
15年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.6%(前期比年率2.3%)になると予測する。設備投資の上方修正と民間在庫の下方修正が相殺されることにより、1次速報の前期比0.6%(年率2.4%)とほぼ変わらないだろう。
第一生命経済研+0.8%
(+3.1%)
足元で公表されている4月分の経済指標は全般的に冴えないものが目立っており、4-6月期の成長率については不透明感が漂いつつある。1-3月期の成長率は上方修正される可能性が高いものの、このまますんなり景気加速とは、なかなか行きそうにない。
伊藤忠経済研+0.8%
(+3.4%)
今後 、在庫調整の終了や輸出の拡大に個人消費の持ち直しが加わり、設備投資も拡大基調を取り戻すことから、景気は徐々に回復に向かうという見通しの実現可能性が高まることになろう。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券+0.8%
(+3.1%)
実質GDP成長率が、1次速報の前期比年率2.4%から3.1%に上方修正されると予想している。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.7%
(+2.8%)
修正幅は小さいものの、これまで横ばいで推移してきた設備投資の伸びが高まったと考えられること、懸念された在庫投資の寄与度の大きさが下方修正されると見込まれることから、景気の見方が前向きに変化する可能性がある。
三菱総研+0.5%
(+2.0%)
2015年1-3月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.5%(年率+2.0%)と、1次速報値(同+0.6%(年率+2.4%))から小幅下方修正と予測する。

というわけで、私は小幅の上方修正と予想しているんですが、シンクタンクによっては下方修正という見方もあって、必ずしも一定の方向性が示されているわけではありません。しかし、少なくとも1-3月期については大和総研や三菱UFJリサーチ&コンサルティングのように、在庫投資の下方修正と設備投資の上方修正の組合せは、いわゆる仕上がりの成長率実体経済が大きく変わらなくても、最終需要の増加と在庫調整の進展を意味するのでポジティブな見方をすべき、という意見がある一方で、足元の4-6月期については、先月末の鉱工業生産指数や昨日の法人企業統計を見て、このブログでも「企業活動はやや踊り場的な局面に入りつつある可能性」を示唆したところですが、第一生命経済研のコメントにあるように、4-6月期の成長率についてはまだ不透明であって、1-3月期の上方修正された成長率の経路に沿った景気加速が実現するとは限らない、という見方もエコノミストの間に広がっています。もちろん、基本は、みずほ総研のコメントのように「回復が続く」、あるいは、伊藤忠経済研のように「徐々に回復に向かう」ということで、決して、景気がさらに悪化する方向にある、というわけではないと私は受け止めています。
なお、下のグラフはそのみずほ総研のリポートから引用しています。前期比年率成長率+3.7%はやや高過ぎるという印象を私は持っているんですが、ほかのリポートはテーブルばかりでしたので、仕上がりの数字よりもビジュアルを重視して選んでみました。

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また、本日、内閣府から県民経済計算が発表されています。2012年度の1人当たり県民所得を大きな順でソートすると以下のグラフの通りです。ご参考まで。

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最後に、本日、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し」 Economic Outlook No.97 が公表されています。全文ファイルを何とか入手する予定ですので、日を改めて取り上げたいと考えています。

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2015年6月 2日 (火)

米国における自由貿易の支持やいかに?

その昔の2013年8月20日付けのこのブログの記事で「どういう人が自由貿易を支持するのか?」と題して、杏林大学総合政策学部の久野新准教授の論文を引いて、自由貿易の選好に関する議論を紹介したりしたんですが、日本ではないものの、ピュー・リサーチセンターから5月27日に "Free Trade Agreements Seen as Good for U.S., But Concerns Persist" とのタイトルの世論調査結果が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。家計に対するインパクトともに、米国経済への影響について質問がなされていますので、主として後者に着目して、図表を引用しつつごく簡単に紹介したいと思います。

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まず、上のグラフは調査結果のサイトから Views of How Free Trade Deals Affect Economy を引用しています。2009年と2010年における過去の同様の調査に比べて最近時点の2015年では、経済成長と賃金と雇用について好影響を及ぼすとの結果が増加しているのは確かですが、これら3点については否定的な影響の方が強いと考えられているようです。特に、賃金や雇用については自由貿易が悪影響を及ぼすとの見方の方がかなり多いとの結果が示されています。

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次に、上のテーブルは調査結果のサイトから Age Gap in Views of Free Trade Agreements を引用しています。テーブルのタイトルになっている通り、いろんな属性のうちで年齢別がもっとも顕著に差が出ています。すなわち、若い層ほど自由貿易協定を good thing と見なす比率が高いということです。さらに、年齢別ほど明らかでも差が大きくもありませんが、所得階層別では大雑把に見て高所得者ほど自由貿易協定の支持者が多そうに見えます。高齢になるほど自由貿易が支持されないという点は日米で共通しているように見えますが、日本ではいわゆる「食の安全」とも関係して、性別に見て女性が自由貿易に反対する比率が高い一方で、ピュー・リサーチセンターのこの調査結果では、引用はしないものの、また、米国経済への影響ではなく家計への影響ながら、性別で自由貿易に対する態度に差があるようには見えません。興味のあるところです。

最後に、厚生労働省から毎月勤労統計が公表されています。4月の統計です。いつものグラフだけ以下の通り貼り付けておきます。

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2015年6月 1日 (月)

法人企業統計は引き続き堅調な企業部門を反映!

本日、財務省から1-3月期の法人企業統計が発表されています。季節調整していない原系列のベースで統計のヘッドラインを見ると、売上高は前年同期比▲0.5%減の343兆5978億円ながら、経常利益は+0.4%増の17兆5321億円、設備投資は+7.3%増の13兆1294億円をそれぞれ記録しており、収益をはじめとする堅調な企業活動がうかがい知れます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです

設備投資、1-3月前年比7.3%増 8四半期連続で増加
法人企業統計

財務省が1日発表した2015年1-3月期の法人企業統計によると、金融機関を除く全産業の設備投資は前年同期比7.3%増の13兆1294億円と、8四半期連続で増加した。金額ベースではリーマン・ショック前の2008年1-3月期以来、7年ぶりの高水準。伸び率は14年1-3月期(7.4%増)以来1年ぶりの大きさだった。円安に伴う企業業績の改善などを背景に、資金を設備投資に充てる動きが続いた。
産業別の設備投資の動向は、製造業が6.4%増と3四半期連続で増加。新型車向けに生産能力を増強した輸送用機械や、工場の生産自動化システム向けの投資を増やした電気機器などで増えた。非製造業は7.8%増と、プラスは8四半期連続。卸売業による物流センター建設や、宿泊業でのホテル改修などが投資額を押し上げた。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となるため注目が高い「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で5.8%増えた。伸び率は10-12月期(0.9%)から拡大した。内訳は製造業が前期比2.3%増、非製造業は7.6%増だった。
全産業の売上高は前年同期比0.5%減の343兆5978億円と、7四半期ぶりに減収となった。製造業が3.9%減る一方、非製造業は0.9%伸びた。前年同期に消費増税前の駆け込み需要が膨らんだ反動が出て、食料品や家電などの分野で売り上げが減った。
経常利益は0.4%増の17兆5321億円と、比較可能な1954年4-6月期以降で過去2番目の高水準だった。プラスは13四半期連続。うち非製造業は1.2%増えた。運輸業で堅調なトラック輸送が寄与したほか、電力では電気料金引き上げによる収支改善もあった。一方、駆け込みの反動などで製造業は1.3%減った。
財務省は今回の結果について「景気の緩やかな回復基調が続いている経済全体の動向を反映した」とみている。同統計は資本金1000万円以上の企業の収益や投資動向を集計。今回の結果は内閣府が8日に発表する15年1-3月期のGDP改定値に反映される。

いつもの通り、とてもよくまとまった記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、今年の1-3月期の企業活動は、季節調整済みの系列で見て、売上げや経常利益が前期比マイナスを記録しているものの、基本的には外需に起因すると私は考えています。すなわち、中華圏の春節や米国における冬季の異常気象や西海岸港湾における労使紛争などの影響です。ですから、先週金曜日に公表された鉱工業生産指数と同じように企業活動はやや踊り場的な局面に入りつつある可能性があるものの、本格的な景気後退局面ではない可能性が高いと受け止めています。米国経済はすでに最悪期を脱したと考えられますし、外需ではギリシアの債務返済に起因する欧州経済の動向と中国経済に懸念が残る形となっています。夏場以降はボーナスをはじめとして所得の増加が実感できるようになれば、消費の回復とともに内需主導の景気回復の経路が開けると期待してよさそうです。さらに、この法人企業統計でも人手不足もあって設備投資がいよいよ増加する局面に近づいた印象があります。いうまでもありませんが、円安が輸出を通じて主として製造業に恩恵をもたらした一方で、消費や設備投資などに牽引された内需の回復は非製造業へのサポートになると考えるべきです。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。いずれも、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はバブル経済の末期の匹敵する水準まで低下しました。また、最初にお示ししたグラフでは季節調整済みの設備投資はこの1-3月期にかなり増加したような形になっているものの、キャッシュフローとの比率で見れば50%台後半で大きく増加したわけではありません。逆から見て、賃金も設備投資もまだまだ増加余地が残されていると考えられます。

最後に、これらの法人企業統計を大雑把に見て、来週公表予定の1-3月期2次QEでは設備投資が素直に上方修正されるものと予想しています。そのうち、2次QE予想がシンクタンクなどから出そろったら、日を改めて取り上げたいと思います。

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