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2015年6月 4日 (木)

OECD「経済見通し」Economic Outlook, No.97 は世界経済の減速を示唆するのか?

昨日、経済協力開発機構(OECD)から半年に1度の「経済見通し」Economic Outlook, No.97 が公表されています。ヘッドラインとなる実質GDP成長率見通しを見ると、日本は今年2015年+0.7%と昨年11月の見通しから▲0.1%ポイント引き下げた一方で、来年2016年は+1.4%と逆に+0.4%ポイント上方に修正しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

世界の景気回復もたつく OECD見通し、下方修正
世界の景気回復がもたついている。経済協力開発機構(OECD)は3日発表した最新の経済見通しで、2015年の世界の実質経済成長率の見通しを3.1%と、前回14年11月時点の3.7%から下方修正した。年初の米国景気の一時的な低迷や、中国の景気減速が背景にある。
日本経済の成長率見通しは15年を0.7%と、前回から0.1ポイント引き下げた。消費増税後の反動減からの回復が遅れたためだ。一方、先行きは「消費者心理は改善しており、賃上げやボーナスも加わって消費は回復していく」(OECD経済局)と見ており、16年は1.4%と前回から0.4ポイント上方修正した。
海外景気の回復の足取りは弱そうだ。米国の見通しは15年を2.0%、16年を2.8%とした。前回と比べ、15年は1.1ポイントと大きく引き下げ、16年も0.2ポイントの下方修正となった。15年1-3月に悪天候でマイナス成長になったうえ、利上げ観測の台頭に伴うドル高が企業収益を圧迫しているためだ。
ただ米国の経済指標は足元で明るさも見えている。OECDも労働市場の改善を背景に家計の消費や住宅投資が回復し、強い成長を取り戻すとのシナリオは崩していない。
中国の見通しも下方修正した。15年は前回より0.3ポイント低い6.8%、16年は0.2ポイント低い6.7%とした。不動産投資や設備投資の減速や、供給過剰に陥っている製造業の投資効率の低下が成長を下押しするとみている。
中国政府は15年の成長率を「7%前後」とする目標を掲げている。OECDの見通しは政府目標を下回る格好となり、景気減速への警戒感がにじむ。日本にとっても「中国の減速が深刻になることが最大のリスク」(OECD)と位置づけた。
報告書では主要国に共通する課題として、生産性の伸びが弱まっていることを指摘した。経済を高い成長ペースに乗せるため、設備投資の増加が必要だと強調。各国当局に投資を促す政策の実施を求めた。

ということで、私はpreliminaryなバージョンのリポート全文をpdfで入手しましたが、OECDのサイトにも第1章と第3章は公開されています。以下の通りです。第2章は国別見通しですので、第1章と第3章でほとんど重要な情報は収集できそうな気がします。

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上のグラフはヘッドラインとなる経済成長率をOECD加盟国と非加盟国とその合計である世界全体で四半期別の推移をプロットしています。リポート第1章から p.12 Figure 1.1. Global growth is set to recover を引用しています。なお、グラフから読み取れますが、今年1-3月期の成長率が減速したのは米国の冬季の異常気象や港湾労働紛争に起因すると私は考えています。中華圏の春節要因もあるかもしれませんが、私にはこのグラフほどのインパクトがあったとは想像できません。また、この1-3月期の成長率の減速がOECD経済見通しの発射台を下方修正してしまったことから、引用した日経新聞の記事にもあるように、見通し全体が下方修正されて世界経済の回復がもたついているように見えている可能性があると私は受け止めています。もちろん、米国のドル高による企業収益圧迫や中国の製造業の供給過剰などにより、米中G2の成長率の下方修正が世界経済の成長率の引下げにつながっているのは引用した記事の通り明らかなんですが、他方、予測の発射台の下方修正を考慮すれば、世界経済の回復は数字に表れているほどもたついているわけではない、とも考えられます。それから、上のグラフだけではやや情報量が不足するような気がしたので、画像をクリックすると、リポート p.6 Summary of projections の1ページだけを抜き刷りしたpdfファイルが別タブで開くようになっています。

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ということで、第1章の見通し概観と第2章の国別見通しに続いて、第3章では投資の増加を分析しています。上のグラフはリポートから p.215 Figure 3.7. Domestic tangible capital investment by foreign-owned firms を引用しています。私のこのブログでも長らく設備投資増加の必要性を訴えているんですが、特に上のグラフから、日本における外資の投資がとても少ないことが読み取れます。プロットされているのは有形の投資のGDP比ですから技術供与や特許などが含まれていないとはいうものの、他のOECD加盟国と比べて極端に外資の投資が少ない点は理解できると思います。日本企業のアニマル・スピリットが将来に対する投資を抑制的に作用している可能性がある上に、外資の投資受入れもこの程度では、この先、ますます人口減少社会に入っていく日本の生産性を設備投資の面から高めることが難しそうな気がして不安が残ります。

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第2章の国別見通しに戻って、日本の見通しサマリーである p.140 Japan: Demand and output を引用すると上の通りです。GDP成長率とGDPコンポーネントを取りまとめています。引用は省略しますが、第2章の国別見通しの日本の部分 pp.138-42 では人手不足や労働力不足がかなり分析を加えられていて、国際的にも多くのエコノミストから注目されていることが実感されます。
最後は OECDのサイトにあるフラッシュをシェアしています。

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