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2015年6月26日 (金)

雇用統計と消費者物価から何が読み取れるか?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、総務省統計局から消費者物価 (CPI) が、それぞれ公表されています。失業率は3.3%と前月と同じ水準を示し、有効求人倍率は1.19倍と先月からさらに+0.02ポイント上昇しました。他方、消費者物価は生鮮食品を除くコアCPI上昇率で+0.1%と、先の4月で消費増税が一巡して大きく上昇率が鈍化したものの、何とかプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

有効求人倍率1.19倍に上昇5月、完全失業率は3.3%
雇用情勢の改善が続いている。厚生労働省が26日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍と前月から0.02ポイント上昇し、23年2カ月ぶりの高水準になった。雇用環境の好転で就業者が増え、新たに仕事を探す人が減っている。総務省が同日発表した失業率は3.3%と、18年ぶりの低水準になった前月と同じだった。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。数字が高くなるほど、求職者は仕事を見つけやすくなる。
新規求職申込件数は前年同月比10.8%減の47万2079件。新規求人数(原数値)も前年同月比4.0%減の77万3440人だったが、求職者の減少の影響の方が大きかった。
失業率も改善傾向が続いている。完全失業率は働ける人のうち、職に就かずに仕事を探している完全失業者の割合。女性の失業率は前月から0.2ポイント下がって3.0%になり、20年3カ月ぶりの低水準だった。景気回復に伴う人手不足で、女性の就業が進んだ。
完全失業者数は前年同月よりも18万人減って224万人だった。総務省は「雇用情勢は引き続き改善している」との判断を示した。
全国消費者物価、5月は0.1%上昇 4月から実質上振れ
総務省が26日発表した5月の消費者物価指数(CPI、2010=100)は、生鮮食品を除く総合が103.4と前年同月比0.1%上昇した。上昇は24カ月連続。QUICKが事前にまとめた市場予想の中央値は横ばいだった。4月は0.3%上昇だったが公共料金などで残った前年の消費増税の影響を除くと横ばいで、5月の物価上昇率は前月比で実質的に僅かに上振れた。
生鮮食品以外のコーヒーなど食料に加え、宿泊料や外国パック旅行がプラスに寄与した。ルームエアコンやテレビなどの耐久消費財では新商品への切り替えが進む中で、4月からマイナス幅が縮小した。原油安が引き続き物価の抑制要因となり、ガソリンや灯油などの石油製品を中心にエネルギー価格は下がった。品目別では上昇が332品目、下落が145、横ばいは47だった。
食料・エネルギーを除く「コアコア」のCPIは101.1と前年同月比で0.4%上昇した。4月(消費増税の影響を除き0.2%)から伸び率が拡大した。先行きについて総務省は「緩やかな上昇が見込まれる」としている。生鮮食品を含む総合は104.0と0.5%上昇した。
先行指標となる6月の東京都区部CPI(中旬速報値、2010=100)は、生鮮食品を除く総合が102.1となり、0.1%上昇した。伸び率は5月(0.2%上昇)から鈍化した。食料価格が上がる一方、電気代や都市ガス代などエネルギー価格が軒並み下落した。コアコアCPIは0.2%の上昇で、5月(0.1%上昇)からやや強含んだ。昨年6月以降、携帯電話各社が通話料を引き下げた影響が一巡したという。

いずれも網羅的によく取りまとめられた記事だという気がします。しかし、2つの統計の記事を並べるとそれなりのボリュームになります。これだけでお腹いっぱいかもしれません。続いて、雇用については、以下のグラフの通りです。上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期です。

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先月の段階で、失業率の低下や有効求人倍率の上昇などの雇用の改善は、雇用の増加というよりも、むしろ、非労働力人口の増加や労働力人口の労働市場からの退出によるものであり、決してポジティブに捉えるべきではないと指摘しておきましたが、今月の統計を見ても大きな方向感に変化ありません。すなわち、すべて季節調整済みの系列で見て、就業者数は3月から4月にかけて▲28万人減った後、4月には+19万人増しか戻らず、雇用者数でも▲23万人減の後、+18万人増にとどまりました。失業者数は着実に減少しているものの、2月▲5万人減、3月▲9万人減の後、4月▲2万人減、5月▲1万人減と大きく減速しました。ですから、労働供給サイドから見て、ほぼ完全雇用に達した可能性があります。実は、私は失業率で見た完全雇用水準は3.0%ないし3.1%だろうと見ていたんですが、日本の労働市場はかなり硬直化しているのかもしれないと、考えを改めつつあります。逆から、すなわち、労働需要サイドから見て、有効求人倍率は上がり続けていますから、人手不足は深刻化する可能性が残されています。来週の毎月勤労統計を確認したいところですが、それにしては賃金が上がらない、あるいは、正規職員などの質の高い雇用機会が増加してこない、というのはとても不思議だったりします。もう少し時間がかかるのか、それとも、日本の労働市場がかなり構造変化したのか、現時点では何ともいえません。

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次に、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って全国の生鮮食品を除くコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。東京都区部の統計だけが4月中旬値です。いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とは微妙に異なっている可能性があります。ということで、引用した記事にもある通り、全国ベースでも、先行指標となる東京都区部ベースでも、消費増税の影響を除けば、5月のコアCPI上昇率は4月からわずかながら加速しています。ただし、先行きを考えると、既に電力・都市ガス大手は燃料費調整制度に基づいて6月、7月、8月までの大幅値下げを発表しており、秋口くらいまでCPI上昇率はゼロ近傍からマイナスを記録する可能性が高いと私は受け止めています。その際、日銀がインフレ目標達成に向けて追加緩和を実施するのか、あるいは、変動の激しいエネルギー価格に起因する相対的な価格変動であるとして政策対応は見送るのか、注目されるポイントです。

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