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2015年6月10日 (水)

大幅に増加した機械受注と膠着状態にある企業物価

本日、内閣府から4月の機械受注が、また、日銀から5月の企業物価が、それぞれ公表されています。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は前月から+3.8%増加して9025億円となり、企業物価のうちの国内物価上昇率は前年同月比で▲2.1%を記録しました。前月と同じでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、4月3.8%増 市場予想上回る、基調判断を上方修正
内閣府が10日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は前月比3.8%増の9025億円だった。製造業からの受注増がけん引し、2カ月連続で前月実績を上回った。QUICKが事前にまとめた民間予測の中央値(1.5%減)より上振れした。
金額ベースでは2008年7月(9031億円)以来、6年9カ月ぶりの高水準だった。内閣府は機械受注の基調判断を「持ち直している」と改め、昨年12月以来4カ月ぶりに上方修正した。従来は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」だった。
主な機械メーカー280社が製造業から受注した金額は10.5%増の4020億円だった。プラスは2カ月連続。3月(0.3%増)から増加幅が拡大した。業種別では、半導体製造装置などを含む「電気機械」、工作機械や産業用ロボットなどの「自動車・同付属品」といった分野の発注増が寄与した。半面、非製造業(船舶・電力除く)から受注した金額は0.6%減の4949億円と、2カ月ぶりに前月実績を下回った。
内閣府は5月に4-6月期の受注額(船舶・電力除く民需)が前期比7.4%減るとの見通しを示している。5、6月の受注額がともに横ばいだった場合、4-6月期の受注額は5.3%増になるという。
5月の企業物価、増税除き前年比2.0%下落 7カ月連続前年割れ
日銀が10日発表した5月の国内企業物価指数(2001年=100)は103.9で、前年同月比2.1%下落した。一部公共料金などで残る消費増税の影響を除くと2.0%の下落となり、7カ月連続で前年同月を下回った。下げ幅は4月(2.2%)から縮小した。
前月比では0.3%上昇した。前月比の上昇要因を品目別に見ると、原油価格の反発で「石油・石炭製品」が上昇。中国の需要増への期待を背景に「非鉄金属」の価格も上がった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している814品目のうち、前年同月比で上昇したのは340品目、下落は351品目となり、5カ月連続で下落品目が上昇品目を上回った。下落品目と上昇品目の差は11品目で、4月の26品目から縮小した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。影をつけた部分は、続く企業物価も含めて同様に、景気後退期を示しています。

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市場の事前コンセンサスはコア機械受注で前月▲1.5%減から▲2%減くらいまでが中央値でしたから、ややびっくりしたというのが正直な印象です。先月の公表段階で4-6月期の受注見通しについてはコア機械受注の前期比で▲7.4%減でしたから、これと照らし合わせても大きな上振れだと受け止めています。特に、電気機械や自動車・同付属品といった我が国が従来から比較優位にある製造業が大きく増加しており、これらを総合して、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」から「持ち直している」に上方修正しています。
なお、私の基本的な景気認識としては、繰り返しこのブログに書いた通り、4月くらいからの足元の景気は海外需要の減速のために踊り場に入る可能性があると見ていましたが、設備投資をはじめとして内需が拡大することにより、ごく短い踊り場で一気に内需主導の景気回復に戻る可能性もなくはない、との見方もあり得るかもしれません。でも、ボーナスや賃上げが実感されて消費が上向くには時間がかかる可能性が十分あるでしょうから、一気に踊り場を駆け抜けるとも思えません。いずれにせよ、機械受注をはじめとして、もう少し指標の動きを見極めたいと思います。

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続いて、企業物価上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の、下のパネルは需要段階別の、それぞれの上昇率をプロットしています。いずれも前年同月比上昇率ですが、昨年4月の消費税率引上げに伴う物価の押上げ効果が先月から剥落した上に、昨年後半からの国際商品市況での原油価格の低下の影響も大きく、ヘッドラインの国内物価が4月、5月とも▲2.1%を記録するなど、一気に上昇率が低下しマイナスに落ち込んでいたりするのが読み取れます。消費増税分を除くと4月から下落幅は縮小したとはいうものの、企業物価をはじめとして消費者物価なども、しばらく膠着した動きが続く可能性があります。消費者物価上昇率2%という日銀のインフレ目標については、原油価格の低落から現時点では目標を達成できていないわけですが、これまた、物価についてももう少し長い目で見る必要がありそうな気がします。

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