企業向けサービス物価上昇率は引き続き堅調に推移!
本日、日銀から5月の企業向けサービス物価(SPPI)が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率は+0.6%と前月よりも0.1%ポイント縮小したものの、国際運輸を除くコアSPPIの上昇率は前月と同じ+0.7%でした。4月で消費増税の物価押上げ効果がほぼ一巡してSPPI上昇率は大きく鈍化したものの、企業物価(PPI)と違って原油価格低下の影響が小さいため、マイナスに転ずることなくプラスを維持しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
5月の企業向けサービス価格、前年比0.6%上昇 リースなど上がる
日銀が24日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は102.9と、前年同月比0.6%上昇した。消費増税の影響を除くベースでも伸び率は0.6%で変わらず、4月(確報値)から横ばいだった。産業機械・通信機器リースなどが大きく上昇した。一方、新聞広告やテレビのスポット広告が下落した。
調査品目のうち、上昇品目は73、下落は35だった。上昇品目と下落品目の差は38で4月の37から拡大した。2013年10月以来、20カ月連続で上昇品目が下落品目を上回った。
日銀は「5月は消費増税を除くベースで横ばいになったが、上昇基調は変わっていない」(調査統計局)としている。
企業向けサービス価格指数は運輸や通信、広告など企業間で取引されるサービスの価格水準を示す。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルはサービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしています。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
上のグラフに見られる通り、当然ながら、消費増税の影響が一巡した4月以降はヘッドライン・コアとも大きく上昇率が縮小しています。ただし、ヘッドラインの消費税の影響を除くベースでの前年比上昇率は小幅ながら拡大しており、3月の+0.4%から4月には+0.6%、5月も+0.6%と、4月以降むしろ上昇幅を加速しています。PPI上昇率がマイナスに転じたのとは大きく違っており、相対的な価格変動の影響ながら、国際商品市況における原油価格低落の影響の大きいPPIと国内の人手不足から労働コストの上昇の影響が大きいSPPIの違いを反映していると受け止めています。ただし、「相対的な価格変動」と書きましたが、ホントに相対価格の変化なのか、原油にせよ労働コストにせよ、当然に一般物価に影響が及ぶわけですから、一般物価水準やその上昇率への影響は見逃すべきではありません。
品目別に詳しく見ると、ヘッドラインの前年同月比上昇率への寄与で見て、4月から5月へは▲0.1%ポイントの上昇率の低下があったわけですが、大きなマイナス寄与品目としては、新聞広告▲0.09%とテレビ広告▲0.05%が上がっています。先月5月26日付けのエントリーで4月の企業向けサービス物価を取り上げた際に、これらの広告が4月に上昇したのは季節的な要因かもしれないと示唆したところ、実際にそうだったのではないかと受け止めています。また、引用した記事のタイトルにもある通り、5月はリースが+0.05%と品目別ではもっとも大きなプラス寄与を示しています。
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